2012年02月29日(水)

銃・病原菌・鉄(下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 

文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
著者:ジャレド・ダイアモンド
出版社:草思社
出版日:2012/02/02

評価〔A〕 時代が下った後の話と局所的な歴史
キーワード:文明、格差、食糧生産、家畜、文字、発明

技術に対する革新性や保守性を、その社会がどの大陸にあるかで決めることは正しくない。革新的な社会や保守的な社会は、どの大陸にも、どの時代にも存在する。また、技術に対する社会的受容性は、同じ地域において、常に同じであるわけではない。(第13章より抜粋)


なぜそれぞれの文明で大きな差がついてしまったのか、その理由を探求する読み物です。引き続き多方面の研究結果から考察しています。

上巻で究極の原因を明かしてしまったようなものなので、何が原因なんだろうとワクワクする気持ちは少なくなってしまいましたが、それでも十分面白いです。第12章の文字と第13章の発明については、今までとは別の話題のようですが、上巻での食糧生産の流れと関係していて、大きな繋がりが見えてきます。19世紀に作られたチェロキー語の誕生までの経緯が、とても興味深いです。

15章からは少し視野を狭め、局地的に文明の発達を考察しています。ニューギニア、オーストラリア、中国、アフリカなどなど。他の地域と隔離されていなく、交流もあったのに発展しなかったニューギニアとオーストラリアの話がこの中では一番印象深かったかな。上巻の感想でも書きましたが、原書では日本の章もあるようで、このあたりの一章として書かれたのではないでしょうか。ああ、間違った記述でも読んでみたかったなあ、この著者の日本文明分析。

下巻は上巻を裏づける内容・記述が多いので、上巻に比べると衝撃度や新鮮さはありません。それでも知的好奇心を刺激してくれる楽しい読み物だと思います。エピローグでは中世以降、どうして中国ではなくヨーロッパが覇権を握ったのかが書かれていますが、イスラム世界も交えてもっと詳しく書いて欲しかったです。

余談ではありますが、この本を読んでいるとパソコンの文明シミュレーションゲーム・シヴィライゼーションを遊びたくなります。あのゲームも文化交流の面で、本書の正しさを示していると思いますよ。

上下巻とも冗長さを感じますが、この厚い本をじっくり読むと、論拠となる数多くの研究結果を丹念に調べ上げていることが分かります。歴史に興味ない方も、こういう題材だったら興味を持ってくれそうな気がします。面白かったです。





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[ 2012/02/29 22:56 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2012年02月25日(土)

罪と罰5(アクションコミックス) 

罪と罰(5) (アクションコミックス)罪と罰(5) (アクションコミックス)
著者:落合 尚之
出版社:双葉社
出版日:2009/03/28

評価〔B+〕 病院での出会い
キーワード:シリアス、漫画化、

「そうとも……俺の奥さんはそりゃあかわいいよ……。だから飲まずにいられないんだよ…………!」(本文より抜粋)


首藤と弥勒の過去が終わり、病院で目を覚ましたところから始まります。3巻の最後でほんの少しだけ登場した女性・飴屋英知香と、彼女の夫・菊夫が、弥勒と関わってきます。

4巻で過去編が終わったかと思ったら、偶然同室となって知り合った飴屋夫婦の回想シーンが始まり、最初は「またか」と少々うんざりしかけていたのですが、あまりに壮絶な内容で飽きたりだれたりはしませんでした。途中までは可能性のありそうな話ですが、英知香の屋上の決断は……うーん。

病院から出てきた弥勒がある人物と会い、その人物が彼の生き方を変えるよう説得するシーンがあります。彼にとっては痛烈な言葉ですが、周囲を現実的に認識した意見です。彼の葛藤は続きます。

終盤に大きな出来事が起きます。これが弥勒にどう影響を与えていくのか、今後に注目です。予告ページを見る限りでは話が進展しそうなので楽しみです。




[ 2012/02/25 11:08 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2012年02月22日(水)

銃・病原菌・鉄(上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
著者:ジャレド・ダイアモンド
出版社:草思社
出版日:2012/02/02

評価〔S-〕 文明はいつから差がついたのか?
キーワード:文明、格差、食糧生産、狩猟と農耕、家畜

現代社会における各社会間の不均衡についての疑問は、つぎのようにいいかえられる。世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか?なぜほかの形で分配されなかったのか?(プロローグより抜粋)


進化生物学者である著者は、研究のために訪れていたニューギニアである人物にこう尋ねられました。「白人はたくさんのものをニューギニアに持ち込んだが、ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜか」。素朴だけれど極めて重要な疑問に、当時は答えられなかった著者が研究によって得た答えを記した人類の文明に関しての本です。ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位。

買おうかどうか一年以上迷っていて、古本で2冊とも安かったらと思っていたら、今月文庫化することを知りました。裏表紙に待望の文庫化と書いてありますが、僕にとってはまさにそのとおり。うれしー。

現代の国や民族の差がこれほどまでに開いてしまったのは、西洋の産業革命が大きな原因だとよく耳にしますが、ではなぜその産業革命時点で格差がついたのか?根本的な原因としていつから差がついたのか?どうしてこのように違った文明と発達していったのか?を本書では究明していきます。確かにアメリカン・インディアンが産業革命を起こす可能性もあったのでは、と思う人もいるでしょう。その文明間の不均衡は偶然なのか、地域住民の能力の差なのか、はたまた何か他の要因があるのかを考察していて、非常に知的好奇心を刺激してくれます。以前読んだ「人類進化の700万年」が人類になるまでの話なら、この本は人類になってからの世界を追っています。先に前者を読んでおくと繋がって面白いです。

2章のポリネシアの島々の変遷や3章のスペインとインカ帝国の邂逅は、詳しく知らなかっただけに良かったです。前者は長いときの流れを感じさせ、後者は文明の差を明確にし、人類の歴史にも様々な衝突があったことを教えてくれます。また、9章の「シマウマはなぜ家畜にならなかったのか」は、確かに考えてみれば馬は家畜なのになぜ?と思います。こうした身近な話から語る歴史は、試験のための勉強とは異なって素直に楽しめます。このような話ばかりなら歴史の授業も面白く感じていたのにね。上巻最後の11章ででてくる病気は、人と人との争いには関係ないように見えますが、実際は大きな影響を与えていたことが分かります。

なお、Amazonのある書評によると、原書には日本について書かれた章があるようです。内容はどうであれ、著者が日本をどのようにとらえていたかは興味があったので、訳書には載せて欲しかったなあ。

話題は多岐に渡り興味深いのですが、持論を説明するための文章が多く、冗長に感じる時があります。主張が正しいことを補強するのは言いのですが、やり過ぎるとテンポが悪くなって読みにくいです。食料生産について幾度となく解説していますが、中盤は少々ダラダラしてしまったように感じました。それと、翻訳された本であるためか、文がわかりづらいところがあります。なんでこんな見慣れない言い方なんだろうと、何度か戻って読み返しました。段落と段落の繋がりに違和感を感じることもありました。先述の冗長さがその違和感をさらに悪化させ、簡潔で読みやすい本とは言えません。内容は良いだけに残念です。

しかし、美点が上記の欠点をしのいでいるため、全体として評価するなら良い啓蒙書だと思います。4章の図で、既に結論が出ていると言っていいのですが、あれは結構説得力のある結論なのではないでしょうか。色々思うところはありますが、引き続き下巻を読みます。





[ 2012/02/22 22:37 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2012年02月16日(木)

ゼロ年代SF傑作選 

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)
著者:S-Fマガジン編集部
出版:早川書房
発行:2010/02/10

評価〔B+〕 SFの試し読み
キーワード:SF、短編集、

なんでも奴が言うには、我々が大昔から敵と戦い続けているこの「大空」の重力方向の遥か彼方、つまりずっとずっとずっとずっと下に、大空と同じくらい広大な固体の平面があるのだという。(「おれはミサイル」より抜粋)


もうゼロ年代と振り返る時代になってしまったんですねぇ。本書は「リアル・フィクション」と呼ばれる日本SF第五世代にあたる作家たちの短編集です。SFマニアには既知で既読の著者ばかりなのでしょうが、僕はマルドゥックシリーズの冲方丁と、「イリヤの空、UFOの夏」の秋山瑞人しか知りません。色んな著者の作品を試しに読んでみたかった、というのが本音です。

傑作選とありますが、いくつか他の作品の外伝が収められています。外伝だけ読んでも楽しめますのでご心配なく。先に本編を読んでいると読んでいないとで、感想が違ってきそうですけどね。でも逆に、外伝を先に読んで、本編に興味が出てくることもありそう。

SF短編集ですが、ファンタジーっぽいものありライトノベルっぽいものありで、あまりSF色は濃くありあません。科学やテクノロジーの描写に重点を置いたハードSFは少なめです。その点では、普段SFを読まない方たちも気軽に手にとることができます。しかし、分かりやすい作品ばかりではないので、他人にはどう説明していいのか迷います。「エキストラ・ラウンド」や「デイドリーム、鳥のように」はSFっぽくないけれど、結構好みです。

気になっていた新城カズマ・桜坂洋・海猫沢めろん・長谷敏司の短編が読めたので、とりあえず満足です。傑作選かどうかはさておき、ちょっとSFを読んでみたいと思っている方にはよろしいのではないでしょうか。



[ 2012/02/16 22:08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2012年02月11日(土)

ヴァルプルギスの後悔〈Fire2.〉 

ヴァルプルギスの後悔〈Fire2.〉 (電撃文庫)ヴァルプルギスの後悔〈Fire2.〉 (電撃文庫)
著者:上遠野 浩平
出版:アスキーメディアワークス
発行:2009/08/10

評価〔C+〕 アルケーの思惑。
キーワード:シリアス、超能力

「だからさ――その二つを組み合わせれば、いけるんじゃないかと思うのよ」(chapter fiveより抜粋)


ブギーポップ本編でも出番の多い霧間凪に焦点を当てた外伝の二冊目です。〈Fire1.〉を読んだのが1年くらい前だったので、初登場の人たちは誰がどんな人だったかはあまり記憶に残っていませんでした。トラス・アトラスって6人もいたっけ?のような状態。〈Fire1.〉をさらっと読み返してから本書を読みました。

いくつもの勢力が入り乱れているので、話の規模が大きいのは良いのですが、そのせいか展開が遅いように感じます。これが一冊目なら良いのですが、二冊目でまだ起承転結の起あたりに感じられるので、その点がどうも不満でした。ビートの外伝でも似たような記憶が。

戦闘の多い巻となりましたが、二人の魔女の強さや凄さが際立ちました。そして、継続して意識があり行動しているアルケスティスと、未だ人間の内側にいるヴァルプルギスとの差が、終盤大きな出来事となって表れます。魔女たちに反して、チームで戦う合成人間ってあまり強くないよね。バーゲン・ワーゲンとか。どのチームも敵無しみたいに言われているけどどうなんでしょうね。相手が悪いのでしょうか。

一度読み終えてから〈Fire1.〉を再読すると、あの時のあの台詞はこういう意味だったのかと気づき、細かな伏線が貼られているのが分かります。外伝シリーズは最初から完結の巻まで一気に読んだほうが面白いのかもしれません。また、本編の人物も登場し、他の事件と関連も見えてきます。この外伝からもブギーポップシリーズの終わりが近づいている気配がします。

ちょっと話がそれますが、挿絵の変化が気になります。全体的にどんどん幼くなっているような……。表紙の凪とchapter fourのサウスさん、子供っぽいです。

終盤出てきたマキシムというキャラに興味がわきました。どう物語にかかわってくるのか見ものです。引きで終わったので、次で大きく進展するといいなあ。



[ 2012/02/11 22:53 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2012年02月08日(水)

鬼灯さん家のアネキ3 

鬼灯さん家のアネキ (3) (角川コミックス・エース・エクストラ 22-3)鬼灯さん家のアネキ (3) (角川コミックス・エース・エクストラ 22-3)
著者:五十嵐 藍
出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
発行:2011/07/01

評価〔B+〕 ハルの姉らしい面
キーワード:ギャグ、兄弟姉妹、

「色んな兄弟の形があるもんだね」(本文より抜粋)


血の繋がらない姉弟が繰り広げる日常系シスターコンプレックスギャグ4コマです。

新しいキャラクターが登場しました。裏表紙にも描かれている桐原兄妹。吾朗とハルの姉弟と違って血の繋がった生まれながらの兄妹です。おそらく。残念ながら出番はあまりありませんでしたが、なかなか良い味を出していると思います。ちなみに、吾朗ちゃんの隠れた才能というか得意技、僕もできます。今、試してみましたが、どれでもできるよ。

他の書評で話題になっている水野の中編「境界線」は、多少の違和感はありますが良かったと思います。ギャグ漫画なのでシリアスな展開は意外でしたが。内容とは別の話ですが、見せ方が大コマ連発で少し雑に感じたのが残念です。この中編は賛否両論じゃないのかな。この出来事でハルのお姉さんらしい面が表れていて、なんか良い感じでした。

あとがきで書かれているように、色んな人の違う面が見れて良いです。深く面白くなってきたところですが、次の4巻で最終巻。知ってはいましたが残念です。きっちり心残りなく終わらせてくれることを期待しています。




ちょっとしたネタばれ話はつづきにて。
[ 2012/02/08 21:31 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2012年02月04日(土)

マンガはなぜ規制されるのか 「有害」をめぐる半世紀の攻防 

マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)
著者:長岡 義幸
出版:平凡社
発行:2010/11/16

評価〔B〕 道徳心と表現の自由
キーワード:漫画、青少年、規制、出版

マンガなどの表現物に対する規制は、大きく分けるとふたつある。わいせつか否かと、「青少年に有害」か否かだ。(第二章より抜粋)


2~3年前、東京都の青少年条例改定案が議論された時に、ネットでも話題になりました。ネットでは、表現の自由が侵害されるとのことで反対意見が多かったと記憶しています。当時はなぜそれほどの大事になったのか詳しく知らなかったので、いまいちピンときませんでした。どうしてマンガを規制するのか?を今までの経緯と共に論じた、ルポ風の解説本です。

題名に反して、内容の大半は規制の歴史と規制についての解説です。なぜの部分、著者の意見は第五章で語られますが分量は少ないです。その点は期待はずれで不満が残りました。しかし、その分、有害図書や青少年条例の流れが多くの人の発言記録を踏まえて丁寧に書かれています。資料のような感じです。ただし、著者は出版側の人なので、まったくの中立ではなく批判的です。順を追って読めば、規制についての基本的な知識が得られるでしょう。非実在青少年って言葉がなんか凄いよね。「ヒツジの箱」の話も実に役所らしいです。

僕が子供の頃は、テレビゲームばかりしていると脳波に異常が起きるゲーム脳と呼ばれる状態になる、なんてよく言われたものですが、規制の歴史を見ると、マンガも戦後の頃から同じように保護者や教育者たちからよい顔をされなかったみたいです。非難される内容も理由も同じなのが、驚きました。出版業界も以前から自主規制をしていて、有害図書に指定されたら即廃刊にするなど決して努力しなかったわけではないのが分かります。

規制側の「妄想であっても子供の人権を侵害する」という主張や、権力を強めたいだけに見える某機関はいかがなものかと思います。二章の、憲法学者が法廷で述べた「表現の自由は、少数者の利益保護のためのもの」は、説得力があります。確かに多数派のためだったらそのような権利は必要ないでしょう。

暴力的シーンや過激な性描写が実際に犯罪を誘発するのかは、科学的に証明されていません。保護者側からすれば子供を守ろうとする情や道徳・倫理の問題だけれど、創作者側からすれば書きたいものを書き読みたいものを読む表現の自由の問題なので、いまいち噛み合っていないのかもしれません。マンガは好きだし、あまり過保護でもなあと思うので、表現の自由を大切にして欲しいですね。




[ 2012/02/04 10:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2012年02月01日(水)

お伽草紙 (新潮文庫) 

お伽草紙 (新潮文庫)お伽草紙 (新潮文庫)
著者:太宰 治
出版:新潮社
発行:2009/03

評価〔B〕 ユーモアのある中期の太宰
キーワード:文学、太宰治、御伽噺、

「お前は、まあ、何を言い出すのです。私はそんな野蛮な事きらいです。亀の甲羅に腰かけるなどは、それは狂態と言ってよかろう。決して風流の仕草ではない」(お伽草子 浦島さんより抜粋)


日本や中国の古典・民話・伝承を下敷きに、著者が自由に物語を創作した短編集です。数編の中国の物語と、井原西鶴の作品を元にした「新釈諸国噺」、日本の昔ばなしを作り変えた「お伽草子」となっています。全編パロディのような本です。

太宰と言えば代表作・人間失格のせいか暗いイメージがありますが、中期ではお伽草子のようなユーモア溢れる小説を発表していて意外でした。詳しく描かれていないおじいさんや狸の性格を想像して個性を出すのは、解説でも書かれているように得意そうです。竜宮城の著者の解釈は斬新だと思いました。御伽噺は覚えているようで、かなり忘れています。特に、舌切雀は本来の話がまったく思い出せません。今度確かめて、太宰のそれと見比べてみます。

一方、「新釈諸国噺」は、著者が世界で一ばん偉い作家と絶賛した西鶴の作品を、独自に書き変えたものです。諸国と題しただけあって、日本の様々な地域を舞台とした小品を選び書いています。西鶴と著者を通して、当時の社会の様子や人々の想いが分かります。武士の義理を描いた「義理」、庶民の大晦日がテーマの「遊興戒」などは、時代を感じます。人の言動自体は今とあまり変わりなさそうですけどね。「赤い太鼓」はオチが良いです。最後の長台詞は実に上手い。

中国の古典の中では「清貧譚」が好みです。才之助の意地っ張りなところが。貧乏人のプライドは、客観的にはあのように見えるのでしょうか。うーん。

全体的にユーモアと遊び心に溢れています。太宰治が暗くて取っつき難いと思っている方には、本書から読むことをお勧めします。印象が変わる短編集となるでしょう。



[ 2012/02/01 22:58 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2012年02月01日(水)

2012年1月の読書メモ 

決断力〔B〕
イマジン秘蹟2 人でなしの恋〔B+〕
月華美刃2〔B〕
黄昏乙女×アムネジア3〔B+〕
平家物語 (ビギナーズ・クラシックス)〔B+〕

天使の囀り (角川ホラー文庫)〔A+〕
地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人〔B〕
ビン ~孫子異伝~1〔B〕
アラクニド1〔B+〕
付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います〔B-〕

以上10冊でした。漫画を読むのを自制しなかったつもりですが、4冊と今までとあまり変わりませんでした。新書やライトノベルも読み、バランスが良いといえば良いのかもしれません。

一冊目は「決断力」にしようと思っていました。決断力がないので、自戒の意味をこめて。

評価Bで埋め尽くされた中、目立ったのが「天使の囀り」です。久しぶりに貴志祐介を読んだのですが、相変わらず内容が濃くて圧倒されました。Sをつけるかどうか迷いましたが、A+で。ホラーもなかなか面白いです。




[ 2012/02/01 22:57 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)