2011年12月31日(土)

2011年のまとめ 

がんばって年内にまとめを更新します。

今年読んだ書籍は106冊でした。106。ついに百冊を超えました。途中から百に届くのではないかと気づき、なんとか大台に乗せ、達成感を得ることができました。一昨年の49、昨年の79と順調に増えています。新しい本を多く読んだため、過去に読んだ本を読み返すことが減った一年だったと思います。

さて、その内訳ですが、

小説 (24)
ライトノベル (21)
推理小説 (0)
漫画 (29)
4コマ漫画 (7)
随筆 (2)
社会・歴史 (5)
心理・哲学 (5)
自然科学・医学 (9)
言語 (3)
実用 (1)
WEB漫画 (0)

となっています。自然科学を自然科学・医学へ変更しました。来年から推理小説のカテゴリーを廃止します。今までそのカテゴリーに属していた本は、小説へ移します。

漫画についてですが、4コマを含む漫画は全体の約34.0%でした。約3冊に1冊は漫画です。主観的に少なかったと感じました。読み返している回数が多いから、漫画を読んでいる時間が多くて錯覚したのでしょう。小説とライトノベルが増え、フィクションの楽しみを活字で補った形となりました。来年は漫画を控えないで好きなように読もうかな。

評価別の数は以下のとおりです。

〔S〕 3冊
〔A〕 12冊
〔B〕 73冊
〔C〕 14冊
〔D〕 4冊
〔E〕 0冊

Bより評価の高いものよりも、Bより低いもののほうが多いです。春から夏あたりはBとCばかり続きましたからね。秋ぐらいから平均的に良くなってきました。Sは3冊。昨年と同じです。もう少し多いと嬉しい。Aは12冊で全体の約11.3%で、昨年よりずっと減りました。Cよりも少ないですしね。見る目も養わないと。今年もEがなかったのが救いです。

一ヶ月で読んだ最高記録が16冊になりました。数をこなせば良いかと言うとそうではありませんが、達成感や充実感があって良かったと思います。時間とお金に都合がつけば、17冊以上に挑戦してみます。

今年ももう数時間しかありませんが、よいお年を。



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[ 2011/12/31 18:32 ] 年別まとめ | TB(0) | CM(0)

2011年12月31日(土)

2011年12月の読書メモ 

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います〔B〕
貧乏神が!1〔C〕
ハサミ男 (講談社文庫)〔B+〕
夜の来訪者 (岩波文庫)〔B+〕(積読)
完全教祖マニュアル〔S〕
死神様に最期のお願いを4〔B〕
NIGHTMARE MAKER3〔B〕
やむなく覚醒!! 邪神大沼〔C〕
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学〔A〕(積読)
罪と罰4(アクションコミックス)〔B+〕

李陵・山月記 (新潮文庫)〔B+〕(積読)
空ろの箱と零のマリア4〔B+〕


以上12冊でした。これで年間通算100冊を超えました。結構読めるものなんだなと感慨を覚えました。

新書で評価Sが出ました。「完全教祖マニュアル」。題名だけ見たら人格を疑われそうな本ですが、笑えて学べて面白い一冊です。宗教はさっぱり分からないという人に読んで欲しい、素晴らしい知識が台無しな一品です。信じれば救われます。

B+でもAにしようか迷った本がいくつかあります。衝撃度や読後感からB+に留めましたが、良かったものばかりです。ま、Cも2つ出たので、今月はだいぶ荒れましたね。

読もうと思っていた本をどんどん消化していった一ヶ月でした。



[ 2011/12/31 17:54 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)

2011年12月31日(土)

空ろの箱と零のマリア4 

空ろの箱と零のマリア〈4〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈4〉 (電撃文庫)
著者:御影 瑛路
出版:アスキーメディアワークス
発行:2010/06/10

評価〔B+〕 はこマリ版人狼の後編
キーワード:サスペンス、学園、殺人ゲーム

そう――僕はまだ、“怠惰なる遊戯”に負けたわけではない。だから、もしかしたら、、“怠惰なる遊戯”を抜け出せる可能性があるかもしれない。(本文より抜粋)


退屈しのぎのための箱“怠惰なる遊戯”によって強制的にゲームをさせられる参加者たち。一輝は醍哉に宣言したようにマリアを救うことができるのか? 「王降ろしの国」後編です。

こちらの予想通りには進まないだろうなーと疑りながら読んでいたら、あっさりそのとおりになって嬉しくなってしまいました。1巻のように、こう展開していのかと思ったら急に目的が変わります。劇中の一輝のように、翻弄されてしまいました。一言助言しておくと、3巻を読んだら間を置かずに本書も読んだほうが良いです。某人物が言うようにヒントは既に出ています。判りづらいので予想は難しいと思いますが。

意外な展開は良かったのですが、箱の終わらせ方は好みではありませんでした。あの手段は理解はできますが、すっきり終わったとは言いにくいかな。また、全ての懸案が解決されたわけではないので、それらは次回以降への伏線となるでしょう。あの人物が今後も絡んでくるのは間違いなさそう。

ミスリードが上手なので先が読めず、相変わらず面白いです。あとがきによると、次が出るまで時間がかかりそうです。3・4巻ともにマリアの影が薄かったので、また彼女の出番が増えるのを期待しています。




[ 2011/12/31 17:46 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年12月29日(木)

李陵・山月記 (新潮文庫) 

李陵・山月記 (新潮文庫)李陵・山月記 (新潮文庫)
著者:中島 敦
出版:新潮社
発行:2003/12

評価〔B+〕 中国の古典を元にした短編集
キーワード:文学、近代、短編集

気が付くと、手先や肱(ひじ)のあたりに毛を生じているらしい。少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。自分は初め眼を信じなかった。(表題作より抜粋)


十代の頃、国語の授業で表題作である山月記を読みました。抜粋だったか全文だったか覚えていませんが、虎となってしまった人が何かを語っているシーンがどこか心の中に残っていて、後で読み返してみようと思っていました。それが読むきっかけです。

表題作を含む4つの短編・中編が収められています。全て中国の古典が元となっています。今風に表現すると、インスパイヤやモチーフといった感じでしょうか。山月記の素材は「人虎伝」です。

大人になってみて読み返した山月記は、記憶していたよりも深い物語でした。主人公である李徴の苦悩も、教科書で読んだ時はあまりピンときませんでしたが、大人になってみると色々と理解でき、その奥深さに心を打たれます。詩を歌った後、李徴は運命について話していますが、それがなんと言いますか人生を感じさせてくれて良かったです。上手く言い表せませんが。

人生の悲哀という点では李陵も興味深いです。漢の武帝の頃、戦乱の世を生きる軍人を通して、忠誠心・孤独・望郷の念など表現しています。李陵と同じような境遇に陥りながらも、違う行動を示した蘇武の存在によって、李陵の揺れる心が鮮明になっています。この作品は、昭和19年に中国語に翻訳され出版される程良く出来たものです。本場の人に受け入れられるのは凄いですね。

一つだけ残念な点があります。文章が古いためか、注釈が非常に多いです。そのため読む速度が落ちて、物語にのめり込むのを妨害された気分になりました。でも、その煩わしさがあっても、読む価値はあると感じます。



[ 2011/12/29 23:52 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年12月29日(木)

罪と罰4(アクションコミックス) 

罪と罰(4) (アクションコミックス)罪と罰(4) (アクションコミックス)
著者:落合 尚之
出版:双葉社
発行:2008/09/27

評価〔B+〕 計画へと促される理由
キーワード:シリアス、漫画化、

「お前の思想には行動が足りん! 外に出て世界に触れてみろ、ミロク――!」(本文より抜粋)


3巻終盤から始まった弥勒の過去編の続きです。謎が多い首藤と会話を重ねるうちに、嫌悪しながらも認めていく弥勒の様子が描かれています。首藤は一見粗野で欲望に忠実なだけに見えますが、知能は高く侮りがたい人物なのが理解できます。

また、彼の家族の過去や、姉の善乃の状況が明らかになります。少々気になったのがあの姉弟の仲の良さです。何か理由があるのでしょうか……あれば今後明かされていくのを期待します。

3巻のような息苦しい緊迫感はありませんが、代わりに徐々に高まっていく弥勒の焦燥感が伝わってきます。この過去編によって、弥勒が強く計画へ駆り立てられるのが分かり、彼の一連の行動に説得力が増したと思います。読後に再び1~3巻を読むと、感想が少し変わるかもしれません。

最後にようやく過去編が終わり、現在へと戻ります。弥勒の計画が、彼自身にどう影響していくのか興味深いです。




[ 2011/12/29 23:08 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年12月27日(火)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)
著者:本川 達雄
出版:中央公論社
発行:1992/08

評価〔A〕 様々な生物の世界が見えるようです。
キーワード:生物学、入門書、サイズ、

もし心臓の拍動を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるだろう。(第一章より抜粋)


もうだいぶ前の話になりますが、テレビか何かで、心臓の鼓動時間によって生物の時間感覚は異なる、というようなことを聞いたことがあります。もしかしたら本書と何か関係のある、もしくは著者自身が説明していたのかもしせません。その気になる興味深い見解について書かれているのが、この生物学入門書です。題名に時間とありますが、時間に限らず生物学全般を取り扱っています。

生物の入門書というと、一番速く飛ぶ生物のランキングや見慣れない生物の奇妙な生態などが頭に浮かびますが、本書は数学を用いて生物の共有点・関連性を調べ、生物の大きさによって生き方の違いを明らかにしています。一例を挙げると、動物の体重とその動物が食べる量をグラフに取ると、ほぼ一本の直線上にのります。これは食べる量が体重の約0.8乗に比例し、体重が増えるほど食べる量は増えないことが分かります。多種多様の形状や生態があるにもかかわらず、です。ちなみに、同じように体重と消費エネルギーの関係を調べ、日本人の平均消費エネルギーからサイズを計算するとゾウと同じくらいになるです。ゾウ並みだと言われると、いかに現代人がエネルギーを使っているかが理解できます。

また、島と大陸では同じ種でも大きさに違いが出る「島の規則」や、生物界には便利な車輪を使うものがいないのはなぜか?など、一風変わった議論も面白いです。図鑑や生物番組の視覚にうったえる力は弱いですが、別の良さがあります。流体力学を考慮した生体構造の違いの説明が上手で、印象に残りました。まさに生きている世界そのものが違います。

説明で対数グラフや累乗が多く使用され、どうも数字は苦手だという方には勧めるのを躊躇いますが、そうでないならばおそらく楽しめると思います。単なる観察ではなく分析・考察に重点を置いた生物学入門書でした。




[ 2011/12/27 21:18 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2011年12月22日(木)

やむなく覚醒!! 邪神大沼 

やむなく覚醒!! 邪神大沼 (ガガガ文庫)やむなく覚醒!! 邪神大沼 (ガガガ文庫)
著者:川岸 殴魚
出版:小学館
発行:2009/06/18

評価〔C〕 現代社会の邪神になろう
キーワード:邪神、ギャグ、学園

「単刀直入におうかがいしますが、僕って邪神なんですかね?」「もちろん邪神です」(本文より抜粋)


ある日、帰宅した高校生・大沼貴幸を待ったいたのは一冊の本『初心者らくらく邪神マニュアル+スターターキット』でした。最初は気にも留めなかったのですが、読む分には問題ないだろうと本を開きます。マニュアルから現れた使い魔に邪神だと断言され、腑に落ちないまま邪神を目指すこととなった高校生を描いたギャグライトノベルです。第3回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作。

凶悪な姿に変身する訳でもないので、クラスメイトもお前邪神なんだろ?と気軽に話しかけてきます。特殊能力は体の頑丈さのみ。普通に高校生活を送りたい大沼の思いに反し、ちゃくちゃくとまたはグダグダと邪神へ道を突き進む姿が笑いをさそいます。配下の妖魔召喚や強敵との戦闘もあり、文字だけみると凄そうですが、ギャグなので重いシリアスな描写はありませんのでご安心を。何も考えずにサクサク読むことができます。

色々なネタをベースにしたギャグが多いので、元ネタを知らないと笑えないかもしれません。多かったのはドラゴンクエストかな。邪神といえばファンタジーなのでしょうか。後半から出てくる存在自体がネタの田中がお気に入りです。

笑いの方向もアイディアも好きなのですが、どうも完成度が低いように感じました。きちんとまとめれば、まだまだ面白くなりそうなのに。周囲が女性ばかりの割りに、安易に恋愛に走らないのは好感が持てるのですが。んー、次を読むかどうか迷うなあ。




[ 2011/12/22 21:40 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年12月20日(火)

NIGHTMARE MAKER3 

NIGHTMARE MAKER 3 (ヤングチャンピオン烈コミックス)NIGHTMARE MAKER 3 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
著者:Cuvie
出版:秋田書店
発行:2011/01/20

評価〔B〕 拡大する影響
キーワード:夢、学園、青春、恋愛

大事なのは「認識」。現実でも夢でもかまわない。(本文より抜粋)


渡会家で渡会の真意を知ることとなった内田。その後、なおも被験者は増え続けます。ある日の朝、登校してきた灯明に衝撃的な事件が起きます。保健室でもらした本音が、ああ。

個人で楽しむ夢の範疇を超えはじめた夢見装置に、内田はある決意をし行動に移します。単発で数人の被験者の話が載っていますが、現実と夢の違いをみせてくれます。熱心に説得する神谷くんに対し、高村さんが冷静に放った一言が良いです。まあ、そういうことだよね。どちらが良いとか悪いとかではなく。それと、最後の話は単純に面白いです。体も軽い!!で笑ってしまいました。いや、そういう話をよく聞くし、実際そうなんだろうけどさ。

また、この巻の始めで出番は終わったと思われた館山も、再び話に絡んできてなにやら不穏な空気が漂ってきました。大丈夫なんでしょうか。大丈夫かといえば茅野先生ですが……ま、いいか。

全体的にエッチさは減っています。勢いも少し落ちたように感じました。単発で出て来る被験者の話もありましたし。内田の決意がどう転ぶのか、次の巻に注目です。




[ 2011/12/20 21:45 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年12月18日(日)

死神様に最期のお願いを4 

死神様に最期のお願いを(4)(完) (ガンガンコミックスJOKER)死神様に最期のお願いを(4)(完) (ガンガンコミックスJOKER)
著者:山口 ミコト
出版:スクウェア・エニックス
発行:2011/06/22

評価〔B〕 後で補完して欲しいです。
キーワード:死神、サスペンス、ホラー、オカルト

ヒントならある。僕が考えた結果、大きなヒントは四つ。(本文より抜粋)


この巻でなんと最終巻です。ネットの噂によると本が売れなかったので打ち切りとか何とか。書評を見た感じでは結構好評だったのにね。惜しいです。3巻終盤の死神様ゲームの続きと結末、謎の人物・南田登場、そして相田家殺人事件の真相に迫ります。

死神様ゲーム編は今までどおりでしたが、急遽終わりが決まったのか、それ以降は駆け足で話がまとめられています。本作品最大の謎である相田家の事件が再び焦点となり、盛り上がったところで終わってしまいます。あのような終わり方をする小説もあるので、駄目ではないのですがやはりきっちり完結させて欲しかったです。表紙折り返しやおまけを見ると、一番無念なのは著者本人だとは思いますが。色々と事情はあるのでしょうが、残念な判断でした。

自分の感想を見返してみるとあまり高評価をつけていませんでしたが、結構このシリーズは好きでした。読者の予想を裏切る展開が良かったです。今後も面白い漫画を書き続けてくれることを期待しています。




長いネタばれは続きにて。↓(あとで書き直す可能性あり)
[ 2011/12/18 11:55 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年12月14日(水)

完全教祖マニュアル 

完全教祖マニュアル (ちくま新書)完全教祖マニュアル (ちくま新書)
著者:架神 恭介、辰巳 一世 他
出版:筑摩書房
発行:2009/11

評価〔S〕 真剣に不真面目な宗教入門
キーワード:宗教、マニュアル、入門書

教祖はただお金が稼げるだけではありません。あなたを信じる人々をハッピーにし、そして彼らからの尊敬も得られる素晴らしい職業なのです。(序章より抜粋)


常々思うのですが、人に難しいことを分かりやすく教えるのはとても困難なことです。興味を持ってもらえるように面白く教えるとなると、至難の業ではないでしょうか。その至難の業を、宗教という日本ではあまり良いイメージがなさそうな題材でなしえた本書には感心してしまいました。……まあ、敬虔な信者の方には怒られそうですが。

この本は教祖になるためのハウツー本、の体裁を取った宗教入門書です。目次を見ると、弱っている人を探そう、現世利益をうたおう、異端を追放しようなど真面目なのか不真面目なのか判断しにくいのですが、中身は不真面目な内容を真面目な顔をしてやっている感じです。

説明はところどころ今時の口調をそのまま使っていて、真面目な台詞が妙に俗っぽくなっていたりして笑いを誘います。仏僧はニート以下!と主張し、甘い汁を吸うため出版を勧めるその姿勢は、ここまで言い切ってしまって良いのだろうか?と一読者ながら心配してしまいます。

もちろん、ただふざけているだけではありません。キリスト教・イスラム教・仏教の3大宗教をはじめ過去の宗教が通ってきた道を例に挙げ、どのような経緯で何をするようになったかが解説されています。巻末の参考文献を見ると、きちんと調べて書かれていることが分かるでしょう。イスラム教は寛容だと聞いていたのですが、どこがそうなのかよく分からなかったのですが、食事規制や禁止事項の例を読み、なるほどと納得できました。また、お守りは免罪符という意見も理解できます。一見なんのためにするのか分かりにくい事にも、それなりの理由があるのが面白いですね。衝撃的だったのは、悟りをひらこうの記述です。なんかもう紙一重って感じ。

宗教の布教活動が資本主義社会の経済活動と似ているのは興味深いです。科学的ですと説明すると、鵜呑みにしてしまう人がいます。4章では、テレビの権威にしたがうおばさんとイスラム教徒の違いは、みのもんたに従うか預言にしたがうかの違いしかないと、その判断の委任の快適さを論じています。どの宗教も、程度に違いはあれそうした面を持つものだと再認識しました。また、宗教施設はディズニーランドと同じく別世界を感じさせ、高揚感を与えることで人々の心をとらえているとの分析はなるほどなーと思いました。

さすが「よいこの君主論」の著者だけのことはあります。大いに笑わせて、いや楽しませてもらいました。人間の宗教活動そのものを一歩突き放して見た、でも学術書のように硬く難しくはない読みやすい奇書です。特定の宗教に厚い信仰を寄せている人々には薦めにくいですね。





[ 2011/12/14 22:39 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2011年12月11日(日)

夜の来訪者 (岩波文庫) 

夜の来訪者 (岩波文庫)夜の来訪者 (岩波文庫)
著者:プリーストリー
出版:岩波書店
発行:2007/02/16

評価〔B+〕 どんでん返しと社会風刺の面白さ
キーワード:戯曲、イギリス、近代

警部「こういうふうに仕事を進めるのがわたしのやり方なんです。一度に一人の人間、一つの線の尋問、っていうわけです。さもないと、ごちゃごちゃになってしまいますから。」(第1幕より抜粋)


20世紀前半、小説で人気が得て大きな影響力を持ったプリーストリーの戯曲です。解説によると、本作品は著者のもっともよく知られた戯曲で、1954年には映画化されたそうです。

郊外の裕福な家が舞台。家主の娘シーラ・バーリングと婚約者ジェラルドの婚約を祝って、バーリング一家とジェラルドが幸せなひと時を過ごしていると、グールと名乗る警部が尋ねてきます。ある女性の自殺について聞きたいことがあると彼は言うのですが……というふうに始まるミステリー戯曲です。スピード感があり次から次へと話は進んでいきます。

イギリスは今でも階級社会らしいのですが、当時も爵位にこだわる人物の様子が描かれています。また、登場人物たちの傲慢な言動や知られたくない事が警部によって暴かれていくので、社会風刺の一面を持つ戯曲であり興味深いです。著者の共同体の思想が強く反映されています。警部が帰った後の態度の違いがでて、それによって彼らの本性が分かり面白いです。

終盤どんでん返しがあり、これには感心しました。あの行動にあのような意味があったとは……うまく作ったものです。岩波文庫はとても硬いイメージがありましたが、考えを改めねば。過度の個人主義を非難した警告の書としても、娯楽作品としても楽しめます。




[ 2011/12/11 10:40 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年12月10日(土)

ハサミ男 (講談社文庫) 

ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)
著者:殊能 将之
出版:講談社
発行:2002/08/09

評価〔B+〕 騙されませんでしたが面白かったです。
キーワード:推理、現代、警察、

「きみは今回の事件が本物のハサミ男の犯行ではないと知っている、この世でたったふたりの人間のうちのひとりなんだよ。きみが探さなければ、誰が探すのかね。」(本文より抜粋)


連続殺人犯であるハサミ男は、次の犠牲者となる女子高校生を定め調査をしていました。殺害の機会をうかがっていたのですが、犠牲予定の少女がハサミ男の犯行を真似て殺されているのを発見してしまいます。偶然、遺体発見者となってしまったハサミ男。警察とハサミ男、2つの勢力が捜査を進めていく推理小説です。

他の方の書評を見て、この小説には何か仕掛けがあることは知っていました。そのせいかどうかは分かりませんが、大仕掛けには騙されませんでした。しかし、他人の書評や自分の経験を考慮するに、引っかかったほうがさらに楽しめると思います。引っかからなかったのは嬉しいのですが、引っかかった時の衝撃や爽快感のようなものも良いものだと気づきました。騙される面白さとでも言うのでしょうか。それと、医師の正体も早めに気がついてしまいました。珍しいことです。

意外な真犯人や推理の根拠となる伏線は良かったです。仕掛けの種明かしから真相、そして事件の結末までは面白かったです。頭が良く皮肉屋の医師の発言は、マスコミ批判といい推理といい興味深いですね。ハサミ男の公私のギャップが良いです。妙な現実感があって納得してしまいます。不満な点は、事件が起きるまでが長いのと、途中警察側のシーンが長く、やや退屈だったことです。うーん、長くしたいのは分かりますが、もう少し短くならなかったのでしょうか。

推理小説としては、先月読んだ「葉桜の季節に君を想うということ」より全体的に質が高いと思います。大仕掛けに騙されていたら、評価ももっと高くなっていたと思います。Sもありえたかもしれません。普段、推理小説を読まない人の感想が聞きたいですね。



ネタばれは続きにて↓

[ 2011/12/10 22:41 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年12月05日(月)

貧乏神が!1 

貧乏神が! 1 (ジャンプコミックス)貧乏神が! 1 (ジャンプコミックス)
著者:助野 嘉昭
出版:集英社
発行:2008/11/04

評価〔C〕 不幸と幸運のドタバタ劇
キーワード:ギャグ、ドタバタ、オカルト、貧乏神、学園

「不幸はいらんかね~。人生舐めきった小娘の教育に、不幸はいらんかね~?」(本文より抜粋)


生まれながらの幸運の持ち主である高校生・桜市子は、恵まれた人生を送っていたのですが、ある日彼女の前に貧乏神が現れます。貧乏神・紅葉の目的は市子から運を奪い、人間界の運の均衡を保つと宣言します。こうして紅葉は市子に取り付きことになるが、はたして――というドタバタコメディです。

紅葉は貧乏神ですが、体形にコンプレックスを持ち感情に正直と実に人間くさくて良いと思います。面倒臭がりなところも共感できますし。怪しいアイテムを駆使し市子の運気を下げようとがんばる姿を見ていると、思わず応援したくなります。一方、市子は、容姿・スタイル・学力・身体能力・経済力と、性格以外は非常に恵まれたギャグ漫画の主人公としては珍しいタイプです。性格の悪い彼女が紅葉と喧嘩しつつどのように成長していくかを、笑いとともに描いています。ギャグ一辺倒ではありません。

それで肝心のギャグなのですが、あまり楽しめませんでした。ドタバタなので、もっと笑えるかと思ったのですがそうはいきませんでした。漫画の出来の問題ではなく、ノリやセンスが肌に合うかどうかの問題だと思います。背景もしっかり書かれているし、メリハリがついてテンポも良いだけに残念です。アマゾンの書評を見て面白そうだと思って読んだのですが、期待しすぎたのかもね。




[ 2011/12/05 21:44 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年12月01日(木)

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います 

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
著者:御堂 彰彦
出版:メディアワークス
発行:2006/10

評価〔B-〕 不思議な道具にまつわる話
キーワード:骨董店、オカルト、連作短編集

「よくあるでしょう?不幸を呼ぶ石、呪いの藁人形、死に様が映る三面鏡、とかね?これはその一つで、偶然を起こす振り子。」(本文より抜粋)


付喪堂骨董店~FAKE~はその名のとおり骨董店ではありますが、売っている品はあやしい噂のある偽物ばかり。しかし、稀に『アンティーク』と呼ばれる不思議な力を持つ本物が現れます。骨董店の店員たちとアンティークに関する一話完結タイプの連作短編集です。オカルト系は結構好き。

神秘的な、超自然的なアイテムが登場するというアイディア自体は、特に珍しいものではありません。読んだ本の中では「魔法行商人ロマ」が近いかな。不思議なムードに合った、落ち着いていてやや暗めの雰囲気です。魔法のような便利な物を手にする話は、自分の力ではなく道具の力に頼ると碌な事にならないことを示唆する教訓・皮肉めいた話になりがちです。しかし、そうではないまったく違った微笑ましい話もあって、変化があって良かったと思います。登場人物たちの違う一面も見れましたしね。

少し不満なのは、ややインパクトに欠けたことでしょうか。もう一押し何かが欲しかったような気がします。店員たちの過去の話や、付喪堂骨董店にまるわる逸話なんかがあれば良かったのになー。「キノの旅」の1巻的展開を期待していたので。最後の第四章はあれはあれで良いんですが。

最終巻まで読んだ人の書評によると、全体的に上手い構成・展開となっているそうなんで、期待して読み続けようと思っています。完結していて評判が良いのは良いことです。





[ 2011/12/01 21:50 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年12月01日(木)

2011年11月の読書メモ 

死神様に最期のお願いを3〔B〕
英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語〔B-〕
文鳥・夢十夜(新潮文庫)〔C-〕
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)〔A-〕
月華美刃1〔B+〕
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)〔A-〕
人と接するのがつらい―人間関係の自我心理学〔B+〕
生徒会役員共6〔B-〕
桐咲キセキのキセキ〔C〕

以上の9冊でした。もう一冊読んで丁度10冊にしようと思っていたのですが、12月になってしまいました。読み終わってはいたんですけどね。

新書が少なめで小説・ラノベ・漫画が多いです。このところフィクションが多いです。本に娯楽を求めている、ということかな。引きこもり過ぎか?…………私生活を見直すべきなんでしょうか。

今年感想を書いた数が90を超えました。今年中に100を達成できるようがんばります。



[ 2011/12/01 21:47 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)