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2011年09月08日(木)

枕草子(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 

枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:角川書店
出版:角川書店
発行:2001/07

評価〔C+〕 千年前の女性が書いた随筆集
キーワード:古典、平安時代、随筆、

いつもより特別に聞こえるもの。正月元旦の牛車の音。同じく、元旦の鶏の声。明け方の咳払い。……楽器の音色はいうまでもない。(第一一一段より抜粋)


古典において非常に著名な女流作家の一人、清少納言が書いた随筆集です。書かれた時代は約千年前の平安時代。紫式部の源氏物語とだいたい同じくらいですね。その識字率も低く男尊女卑、階級社会だったころに、後世に名を残す作品を書き記すことができたのは、世界でも稀なことだと思います。本書は、その作品を現代語訳・原文・解説と古文に不慣れな人向けに書いた入門書です。

この随筆は大きく2つに分けられます。1つは「春は曙」「すさまじきもの」のように、連想や感想をそのまま書き記したもの、もう1つは身分の高い中宮・藤原定子に仕える者として、貴族社会の日常の様子を綴ったものです。予想よりも後者が多く、当時の流行や慣習が清少納言を通して語られ、より現実感のある文章となっています。しかし、好みとしては前者のほうが好きで、こうした昔の人の感性に触れ、やっぱり同じだとかぜんぜん違うとか思いをはせるほうが面白いです。印象に残ったのは「遠くて近いもの」かな。

遠いくせに近いもの。極楽。船の旅。男女の仲。


とても渋く、若い女性の文には見えませんが、良いですね。

全体的にもっと詳しい解説をつけて欲しいと感じました。思ったより解説があっさりしていたので、いまいちピンとこない段もありました。コラムのような一歩進んだ読み物もあれば良かったのに。訳文は教科書的です。そのあたりはもう少し女性風の文章で、例えばあとがきで紹介していた「桃尻語訳 枕草子」のようにしたほうが、雰囲気が出て読みやすかったかもしれません。

とは言え、平安時代の空気を少し感じることはできました。貴族にとって和歌は重要なものであること、男女の交際はある面では厳しく、またある面では今と変わらないものであること。はじめて枕草子の本を読むのには、とっつきやすいと思います。





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[ 2011/09/08 21:49 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)