2011年09月28日(水)

ファウスト〈2〉(新潮文庫) 

ファウスト〈2〉 (新潮文庫)ファウスト〈2〉 (新潮文庫)
著者:ゲーテ
出版:新潮社
発行:1968/02

評価〔D+〕 メフィストとの契約の結末
キーワード:古典、ドイツ文学、ファウスト伝説

メフィストーフェレス「(観客に向かって)われわれは所詮、自分で作ったものに縋るのですな。」(P162より抜粋)


二部構成の後半、第二部です。悪魔と契約をし、世の中の面白さや素晴らしさの探求を続けるファウスト。1部のように、思うがまま欲望のままに世界を回ります。

宮廷、冥府、異国の地ギリシャと1部以上にあちこちに舞台が飛びます。グレートヒェンの話を続けるのかと思ったら、あっさり流されていてちょっと戸惑いました。現実的な場面もあればファンタジーのような箇所もあり、飽きさせないつくりになっていると感じました。

相変わらずメフィストはファウストの要望に応えるべく奮闘し、悪魔というよりもむしろ人間のようです。話の展開よりも、多種多様な登場人物たちのちょっとした台詞が目を引きました。

しかし、神話や歴史に明るくないと楽しめなかったり、ときどき説明不足であったりして、やはり1部と同じで十分に楽しめたとは言えません。長編だったせいもあって、どうにか無理やり読みきったと言ったところです。結末は、まあ予想の範囲内でした。ちょっと話はずれるのですが、新潮社の古典作品は、裏表紙におおまかな粗筋が結末まで書いてあるので、良いような悪いような……。

1回でファウストを理解したとは思っていないので、また読む意欲が沸いてきたら再読してみます。





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[ 2011/09/28 18:28 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年09月26日(月)

θ(シータ) 11番ホームの妖精 

θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)
著者:籘真 千歳
出版:アスキーメディアワークス
発行:2008/04

評価〔B+〕 遠い未来の訳あり駅員
キーワード:SF、未来、駅、

「ええ、ここも東京駅です。このホームだけぽつんと離れて、上空2200メートルに浮いていますけれど」(Ticket01より抜粋)


少し前にリニアモーターカーの営業予定の年が公表されました。まだまだ先の話ですが、より速くより快適な交通手段は、多くの人々に望まれています。本書は、鏡色の門により世界の果てまで数時間で到達できるようになった遠い未来が舞台。三等駅員の少女T・Bと狼型サイボーグの義経しかいない上空に浮遊している東京駅11番ホームでの事件が、T・Bを通して描かれています。

彼女も言っているように、「ワケのない人も物も来ない」特殊なホームですので、旅行者とのほのぼのした交流や地元の人々との触れ合いはまったくありません。彼女たちの過去に起因する状況なので、それを知れば納得するでしょう。

徐々に明かされる世界設定はよく練られていて、物語をより深くしています。後半登場する十三月には、いつかはこういう人が現れるのではないのだろうか、と唸ってしまいました。SFはこういう点が面白いと思います。設定に関することひとつ。実在の東京駅には11番ホームはかつてはあったのですが、この本同様、現在は存在しないみたいです。よく出来ているね。

特に印象的だったのは、地の文章が丁寧語で書かれていることです。例えば、「人が来た」なら「人が来ました」という具合に。彼女の人柄をよく表している一人称ですが、これだけのことだけで、だいぶ雰囲気が変わるものだなと感じました。一方、彼女が駅のコンピュータ・アリスに命令するときのオペレーター台詞が格好良いです。なんか盛り上がります。

表紙折り返しにはハードSFと書かれていますが、気負わず楽しめると思います。著者のハヤカワ文庫のスワロウテイル人工少女販売処に興味があり、読む前の試しとして本書を読んだのですが、これならスワロウテイルのほうも安心して読むことができそうです。





[ 2011/09/26 21:18 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年09月21日(水)

Q.E.D.―証明終了28 

Q.E.D.証明終了(28) (月刊マガジンコミックス)Q.E.D.証明終了(28) (月刊マガジンコミックス)
著者:加藤 元浩
出版:講談社
発行:2007/09/14

評価〔B+〕 雰囲気の怖い話あり
キーワード:推理、謎解き

「あれは普通じゃない、見る人を闇に引き込むのよ!」(本文より抜粋)


1つ目の話「ファラオの首飾り」はミイラ発見に関する出来事で、同著者の別の漫画「C.M.B」とのコラボ作品となっています。僕は「C.M.B」を読んだことがないのですが、違和感はありませんでした。でも、既読ならば、キャラクターが作品をまたいで登場する楽しさを味わえるでしょう。こうしたゲスト出演は、ブギーポップシリーズを連想してしまいます。

この話で、燈馬が真相を突きつけるシーンですが、「自信なんかないはず」の後に続く台詞は分かるのですが、理路整然と話す彼としては少々違和感がありました。最後の雑誌編集者サラの意見が印象的。

2つ目の「人間花火」はこの漫画にしては暗く怖いのお話です。人格を変えるという絵の謎を追います。読んでいて少し謎が分かった箇所がありましたが、分からなかったツポビラウスキー症候群の正体には驚きました。医師の安西先生凄いよ。それにしても、著者のイメージする闇はアレなのか……なまず?どじょう? ちょっとコミカルでした。



[ 2011/09/21 20:16 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年09月18日(日)

ファウスト〈1〉(新潮文庫) 

ファウスト〈1〉 (新潮文庫)ファウスト〈1〉 (新潮文庫)
著者:ゲーテ
出版:新潮社
発行:1967/11

評価〔D+〕 学者と悪魔の契約
キーワード:古典、ドイツ文学、ファウスト伝説

メフィストーフェレス「御契約をなさいませんか。あなたがこの世にあるかぎりは、わたしの術でたんと面白い目を見せて差上げます」(本文より抜粋)


詩のイメージが強いドイツの文豪ゲーテですが、詩集以外にも小説や戯曲なども残しています。それらの中で、六十年近くの歳月をかけて書き上げた大作が、このファウストです。二部構成で、第一部が収録されています。

世界の全てを見究めたいと望む学者ファウストは、悪魔メフィストーフェレスとある契約を結びます。その契約とは、面白い体験をさせてあげる代わりに、あの世では家来になれというもの。生きる楽しみをなくしていた彼は、悪魔と共に様々な世界へと旅立ちます。

詩人だけあって、詩的表現と歌が多いです。でも、どうもこの感性とうまく合わないらしく、最後まで上手く雰囲気を味わえませんでした。展開も、脈絡もなく大きく移動したり、注釈や解説を読まないと理解できないくらい飛んでいたりして、魅力的には感じられませんでした。筋書きそのものは難しくないんですけどね。理解が浅いのか、好みに合わないのか、その両方なのか。また、西洋の神話や宗教も取り扱っているので、取っつきにくさも感じました。

絶賛している書評を多く目にしたので、さぞかし面白いのではと期待していただけに残念です。文章は訳のおかげか読みやすいです。巻末の解説も理解の助けとなるでしょう。

何度も一旦止めようかと思ったのですが、止めたらずっと読まない気がしたので頑張って読みきりました。これだけ合わなく面白さを感じられないと、第二部を読むのを躊躇いますが、一部だけ読んでも……とも思うので、感想はどうあれ読破するつもりです。








[ 2011/09/18 21:16 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年09月15日(木)

NIGHTMARE MAKER2 

NIGHTMARE MAKER 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)NIGHTMARE MAKER 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
著者:Cuvie
出版:秋田書店
発行:2010/03/19

評価〔B〕 夢見装置の影響
キーワード:夢、学園、青春、恋愛

「先生の見たい夢って、現実ではとても実現できそうにもないものですか?」(本文より抜粋)


見たい夢を願望そのままに見みせてくれる夢見装置の話の続きです。

相変わらず装置の開発に励む内田と、彼の知らないところで増える被験者たち。中には、夢と現実の区別があやふやになってきている人もいて、現実にも影響が出始めます。特に茅野先生。1巻でも危なかったのに、もうどうなってしまうのやら。夢のシーンが多いと、読者もどのシーンが現実かこんがらがってしまいますね。

人の欲望を描いているため、性的描写には説得力があります。脈絡もなくエロティックでないのが良いです。しかし、そればかりでも話の良さが隠れてしまうので、多過ぎないようにほどほどが良いですね。

また、ヒロインの灯明の心境の変化も見所です。この巻で一番印象的だったのは、数々の官能シーンではなく、夜の公園で「このっこのっ」と頑張っていた彼女の表情です。

終盤、内田を驚かせるある出来事が起きます。あの人のあのアイディアがどう転ぶのか、次も期待できそうです。




[ 2011/09/15 20:55 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年09月13日(火)

月見月理解の探偵殺人3 

月見月理解の探偵殺人 3 (GA文庫)月見月理解の探偵殺人 3 (GA文庫)
著者:明月千里
出版:ソフトバンククリエイティブ
発行:2010/08/15

評価〔B〕 ゲームではなく推理小説風
キーワード:殺人ゲーム、サスペンス風

「その地下室の先には、『魔物』がおる。月見月家の中枢を担う連中も、わしら《ゾディアック》でも手に余る存在のひとりがな」(二日目より抜粋)


月見月家の探偵・理解に強引に招待され、初は月見月家の別荘で夏の休暇を過ごすことになります。特別な能力を持つ月見月の関係者たち、そして前回登場した星霧交喙も加えて、孤島で起きる一大事に巻き込まれていきます。表紙がインパクト大。

事件の発端は別荘に幽閉されている月見月悪夢。彼女の能力、一緒に過ごすと殺人衝動に目覚める《死霊招きの呪歌》がポイントです。感染しているかどうか、確実に確認できるのは理解のみ。また、予想通り現れた月見月の面々も特殊能力を持つので、事件はまるで制約の多いゲームのようです。

ゲームと言えば、今までは初と理解がゲームに挑む形でしたが、今回は明確なゲームではなく推理小説のような状況です。このような展開は嫌いではないけれど、やはりゲームが絡んだ騙し合いのほうが月見月シリーズらしくて好きです。

期待通りどんでん返しもあって良かったのですが、その真相がややこしく分かりにくかったかな。少々強引なような気もします。それとは別に、もはや探偵殺人は関係ないのでは?と思っていたのですが、次回への引きで探偵殺人ゲームが再登場。次の4巻は、5巻とともに大きなひとつの話になっているようなので、期待したいと思います。



[ 2011/09/13 21:06 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年09月10日(土)

タイタンの妖女 

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)
著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
出版:早川書房
発行:1977/10

評価〔B〕 どこか心に引っかかるSF
キーワード:SF、サスペンス、宇宙、

「では、タイタンで会おう」と、そのにやにや笑いがいった。やがて、それも消えていった。(本文より抜粋)


大富豪のマカライ・コンスタントは、ラムファードの実体化現象の場へと招待を受けます。時間等曲率漏斗に飛び込み不可思議な存在となったラムファードは、コンスタントに予言を残します。予言は本当なのか、予言した意図は何なのか、そして彼の運命はどうなるのか。舞台は地球のみならず、ある星から別の星へと大きく移動、それに伴ってコンスタントの人生も大きく揺れ動いていきます。なんとも壮大なSFです。

移動するたびに話の雰囲気が大きく変わるので、まるで連作短編集を読んでいるような気分になります。物語もとらえどころがなく、不安定な展開のようでもあります。全体の筋書きよりも、特定の場面や人物の台詞といった局所的なところに目がいきます。世の中に対する皮肉や人生の理不尽さ、生きる喜びが表現されているのが、本書の魅力なのかもしれません。

どの星が好きか、どの人物・生命体が好きかは、かなり好みが分かれそうですが、僕は終盤になって登場するトラルファマドールから来たミロが気に入っています。ミロの持つメッセージの話も結構好きです。

著者は村上春樹に影響を与えたそうですが、確かにどことなく村上春樹の文章を感じさせてくれます。本来は逆なんですけど。テレビで爆笑問題の太田光氏が紹介していたのが、読むきっかけでした。新装版では彼のあとがきもついているので、字の小さい本書よりおすすめです。





[ 2011/09/10 21:51 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年09月08日(木)

枕草子(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 

枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:角川書店
出版:角川書店
発行:2001/07

評価〔C+〕 千年前の女性が書いた随筆集
キーワード:古典、平安時代、随筆、

いつもより特別に聞こえるもの。正月元旦の牛車の音。同じく、元旦の鶏の声。明け方の咳払い。……楽器の音色はいうまでもない。(第一一一段より抜粋)


古典において非常に著名な女流作家の一人、清少納言が書いた随筆集です。書かれた時代は約千年前の平安時代。紫式部の源氏物語とだいたい同じくらいですね。その識字率も低く男尊女卑、階級社会だったころに、後世に名を残す作品を書き記すことができたのは、世界でも稀なことだと思います。本書は、その作品を現代語訳・原文・解説と古文に不慣れな人向けに書いた入門書です。

この随筆は大きく2つに分けられます。1つは「春は曙」「すさまじきもの」のように、連想や感想をそのまま書き記したもの、もう1つは身分の高い中宮・藤原定子に仕える者として、貴族社会の日常の様子を綴ったものです。予想よりも後者が多く、当時の流行や慣習が清少納言を通して語られ、より現実感のある文章となっています。しかし、好みとしては前者のほうが好きで、こうした昔の人の感性に触れ、やっぱり同じだとかぜんぜん違うとか思いをはせるほうが面白いです。印象に残ったのは「遠くて近いもの」かな。

遠いくせに近いもの。極楽。船の旅。男女の仲。


とても渋く、若い女性の文には見えませんが、良いですね。

全体的にもっと詳しい解説をつけて欲しいと感じました。思ったより解説があっさりしていたので、いまいちピンとこない段もありました。コラムのような一歩進んだ読み物もあれば良かったのに。訳文は教科書的です。そのあたりはもう少し女性風の文章で、例えばあとがきで紹介していた「桃尻語訳 枕草子」のようにしたほうが、雰囲気が出て読みやすかったかもしれません。

とは言え、平安時代の空気を少し感じることはできました。貴族にとって和歌は重要なものであること、男女の交際はある面では厳しく、またある面では今と変わらないものであること。はじめて枕草子の本を読むのには、とっつきやすいと思います。





[ 2011/09/08 21:49 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2011年09月07日(水)

罪と罰3(アクションコミックス) 

罪と罰 (3) (アクションコミックス)罪と罰 (3) (アクションコミックス)
著者:落合 尚之
出版:双葉社
発行:2008/04/28

評価〔B+〕 ここからが本当の始まり
キーワード:シリアス、漫画化、

理性が俺を見放したのか――!?これは何かの罰なのか!?(本文より抜粋)


計画実行中に起きた不測の事態、弥勒が選んだ行動から続きが始まります。始めからクライマックス。

今までは弥勒の心理描写を重視してきましたが、彼が具体的な行動をした結果、警察、検察、売春組織と多くの人々が動き出しました。罪と罰は、ここからが本番と言えるでしょう。

プライドが高く何に対しても許すことができない彼が苦悩する姿は、真に迫るものがあります。迷いとは違ったストレスが彼の心を押しつぶしていきます。最初の頃の、崇高な決意を持っていた彼からはほど遠いです。

終盤は、過去の回想が始まります。少しだけ登場していた謎の男性・首藤との出会いが明かされます。本格的には次の巻で明らかになりそうです。





[ 2011/09/07 21:26 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年09月02日(金)

死神様に最期のお願いを2 

死神様に最期のお願いを 2 (ガンガンコミックスJOKER)死神様に最期のお願いを 2 (ガンガンコミックスJOKER)
著者:山口 ミコト
出版:スクウェア・エニックス
発行:2010/08/21

評価〔B〕 新たな最後の願い
キーワード:死神、サスペンス、ホラー、オカルト

「北条白羽、あんたの“最期の願い”は何?」(本文より抜粋)


生きている人間と死者、そして死神たちが、様々な死に関わっていく物語。裏をかくのが上手い漫画でもあります。

1巻の懸案事項であった静と響の処遇は、一応決着がつきます。まぁ結果は予想通りだった訳ですが、それにいたる過程がやはりこの漫画らしくて良かったかと。最初は読んでいて少々混乱しました。著者が表紙折り返しで書いているように、一番性質が悪いのは静でしょう。

人間が不満を持ったまま死ぬと悪霊になってしまう、それを防ぐため願いをかなえてあげる“最期の願い”は、今後もストーリーの重要な核となっていきそうです。死神のお話ではなく、死に直面した人の願いのお話ということでしょうか。

ただ1巻より意表をつく展開は少なかったのが、少し残念です。次の巻では、また1巻のように驚くような演出が多いことを期待します。



[ 2011/09/02 21:03 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年09月02日(金)

2011年8月の読書メモ 

超能力者のいた夏〔B+〕
オセロー (新潮文庫)〔B〕
「不自由」論―「何でも自己決定」の限界〔B+〕
NIGHTMARE MAKER1〔B+〕
Q.E.D.―証明終了27〔B+〕
B.A.D.1 繭墨は今日もチョコレートを食べる〔B-〕
大東京トイボックス2〔B+〕
ネトゲ廃人〔B-〕
イマジン秘蹟1〔B+〕

以上、9冊でした。漫画が多いと思ったのですがそうでもなかったようです。新書が少なかったかな。でもまあそれなりにバランスが取れていて良かったと思います。

見事なまでに評価Bが並びました。Cをつけたような気がしましたが、気がしただけでした。そろそろSの本に出会えると良いのですが。

読みたい漫画が多いので、9月は漫画が多くなりそうです。




[ 2011/09/02 21:02 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)