2011年05月29日(日)

ペンギン・サマー 

ペンギン・サマー (一迅社文庫)ペンギン・サマー (一迅社文庫)
著者:六塚 光
出版:一迅社
発行:2009/04/20

評価〔B〕 地方の伝承とSFの融合
キーワード:伝承、伝説、SF

「隆司ー! クビナシ様捜索ツアーに行こうぜー!」(本文より抜粋)


高校生の東田隆司は幼馴染の相馬あかりから、伝説のクビナシ様探しにつきあって欲しいと頼まれます。クビナシ様とは街に古くからある伝承で、白首山の悪者を懲らしめた存在です。街で話題の秘密結社や埋蔵金伝説、はては喋るペンギンまで巻き込み、事態は大きく動き出します。

ジャンルとしては民俗学・伝承+SFでしょうか。ライトノベルで地方で語り継がれた伝承を主題にしたものは、珍しいですね。しかし、民俗学のような重々しさはなく、ラノベらしいコミカルな軽い感じで書かれています。文体も日記、音声メモ、書籍、演劇の台本調と様々です。これらが終盤で収束し、すべてが繋がります。数多くの伏線がありますが、はっきりとこうだと説明していないものもあり、読者として試されているような気もしてニクイですね。すぐ再読してしまいました。

構成や伏線は上手なのですが、登場人物やクライマックスの描写はあまり……といった感じです。ラノベ特有のキャラの濃さがなく、印象が薄いといいますか何といいますか。もう少し話を長くしても良いから、人物を個性豊かに書いて欲しかったです。

このタイトルはエンジンサマーなるSF小説が元ネタのようですね。そちらも気になってきたので、後で探してみようと思います。





自分メモ用、ネタばれ伏線回収は続き↓にて。

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[ 2011/05/29 10:27 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年05月25日(水)

ハムレット (新潮文庫) 

ハムレット (新潮文庫)ハムレット (新潮文庫)
著者:ウィリアム シェイクスピア
出版:新潮社
発行:1967/09

評価〔B〕 たぶん四大悲劇で1番有名な作品
キーワード:戯曲、シェイクスピア、イギリス文学、四大悲劇、

ハムレット「生か、死か、それが疑問だ、どちらが男らしい生き方か、じっと身を伏せ、不法な運命の矢弾を堪え忍ぶのと、それとも剣をとって、押しよせる苦難に立ち向い、とどめを刺すまであとには引かぬと、一体どちらが。」(第三幕より抜粋)


おそらく誰もが一度くらいは題名を聞いたことあるくらい有名な戯曲、シェイクスピアの四大悲劇の1つです。字が大きめの改版を読みました。深夜に現れた亡き父王の言葉を受け、王子であるハムレットは復讐を誓います。しかし、内向的な彼は実行に移すことを戸惑います。復讐すべきか否か、その結末とは……。

どこかで四大悲劇の中で1番展開が遅いと書いてあったのを見て、中だるみしないだろうかと危惧していたのですが、そんなことはありませんでした。台詞回しが良くて迫力があります。ハムレットは、支離滅裂なことを言ったかと思ったら、世の中の真実を訴えているようにも見えて、哲学的で面白いです。それにしても、彼は母親をあれほど痛烈に非難しなくても良かったのでは。彼の道徳心が強さがうかがえます。また、人が亡くなるシーンは、他の作品のように、思いのほかあっさりで驚きました。戯曲なのですから、もう少し大げさでも良いんじゃないのかな。

巻末に解題、解説、劇の演出が収録されていますが、解説が良かったです。今まで読んだの作品を振り返るとともに本作品についての分かりやすい説明がなされています。解題や演出は専門的過ぎて興味がわきません。でも、詩形であるハムレットは、訳した時点で美しさの9割を失うという意見は、分かるような気がします。

新潮社の本の裏表紙には他の作品同様、内容のほとんどが書かれています。読む前に結末を知りたくない方は、裏表紙は見ないようにしましょう。僕はうっかり読んでしまった。(笑) 未読の四大悲劇はオセローのみとなりました。近いうちに読むつもりです。




[ 2011/05/25 21:10 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年05月21日(土)

放課後プレイ2 

電撃4コマ コレクション 放課後プレイ2 (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 127-2)電撃4コマ コレクション 放課後プレイ2 (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 127-2)
著者:黒咲練導
出版:アスキー・メディアワークス
発行:2010/05/27

評価〔B〕 ある部室の一コマ
キーワード:4コマ、青春、恋愛

「こんちゃーっス」
「はい、こんにちは。」
(本文より抜粋)


2とありますが前回の続きではありませんので、2巻よりもツーと言ったほうがしっくりきそうです。

今回は、漫画研究同好会の先輩女子と後輩男子の放課後の様子を綴っています。初対面から始まるので、恋愛ものとしては一般的です。女の子のほうが大人しいので、年下ながら男の子のほうが主導権を握っている感じです。前回よりも扇情的なシーンは少なくなり、純愛っぽいです。コマを贅沢に使って心情を表現しているのが良いです。第8話と第12話が特に。

ゲームの話はもちろん、カードゲームやプラモデルなどオタクっぽい話題が多いのは変わりありません。P30の古今東西まほーの呪文ゲーム、知らないものが多かったです。分かったのは、ドラクエとFF、スレイヤーズにダイの大冒険、あとバスタードかな? 難しい。知らなくても楽しめますが、この手のことを知っていたほうがさらに楽しめるでしょう。

巻末のおまけ漫画。本編とは全然関係ない短編かと思っていたのですが、Amazonの書評で「あれは二人の…」とあったので、あぁなるほど、『あの女の子が2人の娘なのか』、と妙に納得すると同時に感心してしまいました。

女の子のそばかす(?)が多過ぎじゃないのかなと思っていたのですが、慣れてしまうと味があるなあと思ってしまうから不思議です。既に3巻も出版されているようなので、そちらも後で読もうと思います。




[ 2011/05/21 21:24 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年05月19日(木)

空ろの箱と零のマリア2 

空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)
著者:御影 瑛路
出版:アスキーメディアワークス
発行:2009/09/10

評価〔B+〕 違う箱と対決です
キーワード:サスペンス、学園、

「現在、近くで誰かが“箱”を使用している」(本文より抜粋)


主人公・星野一樹は、自分に不思議なことが起き始めていることに気づきます。身に覚えのないメール、いつもと違う友人たちの態度。いったい何が起きているのか? 彼はある事件がきっかけで知り合ったマリアと、この現象の原因を追います。

1巻はそれ自体で完結しているので、どのように続くのか気になっていたのですが、やはり何でも願いをかなえてくれる“箱”が登場します。前回同様、誰が所有者なのか?どうすれば平穏な日常に戻れるのか?が焦点となっています。ループものでなければ何を書くのか興味ありましたが、なるほどこうきたか。相変わらずのサスペンス調で面白いです。

ただ、1巻ほど物語は大きく転換することはなく、そのあたりは少々残念です。今度の「泥の中の一週間」は「拒絶する教室」よりは不可解ではないせいかな。でも、がっかりした訳ではないので安心してください。

読後、序盤の一人称の視点に注意して読むと、また違った面白さがあります。最後に、次の巻への引きがあり、一波乱ありそう。こういうラノベをもっと読みたいですね。





[ 2011/05/19 20:53 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年05月17日(火)

惑星のさみだれ1 

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)
著者:水上 悟志
出版:少年画報社
発行:2006/01/27

評価〔C-〕 お約束やぶりファンタジー
キーワード:現代、SF、ファンタジー

その日ぼくは巻き込まれた。惑星を砕く物語に。(本文より抜粋)


ある日、主人公の学生・雨宮夕日は地球の危機を救うため騎士になれと頼まれる、よくある巻き込まれ型ファンタジーなのですが、典型的なパターンを少しずつ外してくるとこに味があります。例えば、危機に対して戦う願いを即拒否したり、世界を救う主人公たちの目標がアレだったり。

絵柄は重くなく軽く、内容はギャグとシリアスは今のところ半々くらいでしょうか。展開は早めであっちこっちに話が飛びます。斜に構えた態度、癖のある性格である夕日を好きになれるかどうかが、この漫画の評価を大きく左右しそう。関係ないけれど、夕日の祖父がはじめ祖母に見えました。

最近出版された10巻で無事完結したそうで、ネットを見る限り評判もかなり良いので期待して読んだのですが、どうも合わないと言いますか、面白く感じません。確かに短編集「げこげこ」と同じ人が書いているのだと分かるのですが、「げこげこ」のほうがずっと良かったです。序盤はそれほどでもないと知っていたのですが、この調子で続くとなると、どうしようかな。

好評の作品なので言いづらいのですが、正直2巻を読むかどうかは未定です。後半のほうが面白そうなので、3巻ぐらいまでは我慢して読もうかなーとも思うし……迷うなあ。





ネタばれ不満点は続きにて。

[ 2011/05/17 22:21 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年05月14日(土)

すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫) 

すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)
著者:松田 公太
出版:新潮社
発行:2005/03

評価〔B〕 飲食業の起業話
キーワード:自叙伝、タリーズ、コーヒーショップ、

情熱は誰でも平等に持つことができる。その点が生まれ持っての資産や容姿、才能とは違う。(第1章より抜粋)


高品質の豆で淹れたスペシャリティコーヒー店は、日本でもだいぶ定着してきました。一杯数百円は高いけれど味とお洒落な感じが受けて、常連となる人もいます。スペシャリティコーヒーと言えば、スターバックスの知名度が高いですが、発祥の地シアトルではタリーズも人気のようです。そのタリーズを日本で広めたのが著者です。彼の生い立ちからタリーズジャパンの近況まで書かれています。

親の都合もあってセネガル・日本・アメリカと異なる文化を渡り歩いた結果、食を通じて文化を伝えることに使命感を持ったとあります。確かに食生活は文化の根本的なもので、外国に住んでもすぐに変わるものではありません。文化に馴染んでも食だけは保守的な人もいます。しかし、そんな食の壁を恐れず、普通の一社会人でだった彼が持ち前の情熱と行動力でどんどん進んでいく姿は、どこか頼もしいですし勉強になります。挑戦することの大切さが分かります。

既読の「田宮模型の仕事」に比べると、派手さも突拍子もない面白さもありません。本当に一から契約、出店までこぎつけた起業活動の記録です。起業後の会社は人がすべてという意見も参考になりますが、起業前の銀行時代の話や開店までの苦労話も面白いです。

一つ気になる点があります。本書ででてくるビジネスパートナー・ミッキーについてですが、この本の記述は事実と異なるとブログ「バリスタ ミッキーのNZ Cafe放浪記」で述べていることです。まだ全て目を通したのではないので、どちらが本当のことを言っているか分かりませんが、どちらが真実でも残念ですね。

プロローグでも述べられていますが、ビジネスのハウツー本ではありません。しかし、情熱や行動が人生を変えるという意見は、仕事に限らず参考になりそうです。




[ 2011/05/14 22:23 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2011年05月11日(水)

運は数学にまかせなさい――確率・統計に学ぶ処世術 

運は数学にまかせなさい――確率・統計に学ぶ処世術 ((ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ))運は数学にまかせなさい――確率・統計に学ぶ処世術 ((ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ))
著者:ジェフリー S.ローゼンタール
出版:早川書房
発行:2010/07/10

評価〔B+〕 実学としての数学
キーワード:数学、確率・統計、ランダム、

これらのシナリオは多岐にわたるけれど、一つだけ共通点がある。どの場合にも、確率やランダム性、不確実性の法則を知ることによって、より良い決断をし、自分を取り巻く世界をもっと鮮明に理解できるようになるのだ。(第1章より抜粋)


カジノのギャンブル、例えばルーレットやブラックジャックは勝つ確率は五分五分のように見えます。どのようにしてカジノは安定して利益をあげているのでしょうか? また、政治家や製薬会社が説明のために挙げる統計データは、どのくらい信用できるものなのでしょうか? こうした日常で直面する確率・統計の問題を、難しい数式を極力使わずに説明しています。数学は実学とは程遠いイメージを持っている人もいますが、身近なちょっとしたことを例にあげて、確率を利用することにより状況を良くする術が多く語られています。

上記のギャンブルや統計データの他に、事故にあう確率や世論調査、不幸の手紙、スパムメール。既読の「社会調査のウソ」と似ていますが、こちらは広範囲で知っていたほうが役に立つことを教えてくれます。どの章の例も、知ってて良かった確率・統計!みたいな感じでちょっと笑ってしまいました。

「公表の誤り」は、正当に見える調査でも特定の意図を反映させることができるのが示されていて、興味深いですね。また、量子力学を用いた乱数生産法には驚かされました。物理を数学に使うとは凄いですね。14章の「モンティ・ホール問題」は知っていましたがやはり面白いです。直観で判断する危険性を説いています。

著者は数学者なのですが、統計学者でも滅多に起こらない事故を心配したり、滅多にかからない病気に脅えたりします。専門家といえど自分のこととなると冷静さを欠いてしまう姿は、親近感が持てるのではないでしょうか。そんな著者が一般の人向けに書いた本書は、確率・統計の良い入門書となるでしょう。「社会調査のウソ」と合わせて読むと、より効果的だと思います。





[ 2011/05/11 22:26 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2011年05月03日(火)

2011年4月の読書メモ 

超常現象をなぜ信じるのか〔A-〕
リア王(新潮文庫)〔C+〕
神栖麗奈は此処にいる〔B+〕
数学女子1〔B-〕
人類進化の700万年〔B〕>(積読)
死神様に最期のお願いを1〔B+〕
生徒会役員共5〔B〕
象られた力〔B〕
神栖麗奈は此処に散る〔B+〕
罪と罰2(アクションコミックス)〔B〕
シフト1 世界はクリアを待っている〔B+〕

以上の11冊でした。ブログ開設以来、一ヶ月で11冊は最高記録です。10冊を超えるように計画的に読んだので、そうなるのは分かっていたのですが、やり遂げた感があります。漫画を多くすればもう少し多くできそうですが、数をこなすことが読書そのものより大切ではないので、機会があればがんばってみようかと思います。

たくさん読むと、月初めの頃に読んだものが先月読んだような気分になります。「神栖麗奈は此処に散る」を読書中に、「此処にいる」を読んだのって3月だっけ?と思ってしまいました。ただ読んだだけの読書にならないよう気をつけないと。

やけに評価Bばかりとなりました。Cは「リア王」のみ。質よりも好みや満足感を吟味した上でのC+です。名作とされる古典でも、好きではないものに高評価はつけられません。題材は嫌いじゃないけどね。

来月はライトノベルを多めに読もうかな。




[ 2011/05/03 20:46 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)