2011年03月29日(火)

鬼灯さん家のアネキ1 

鬼灯さん家のアネキ (1) (角川コミックス・エース・エクストラ 22-1)鬼灯さん家のアネキ (1) (角川コミックス・エース・エクストラ 22-1)
著者:五十嵐 藍
出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
発行:2010/07/04

評価〔B+〕 あやうい感情を上手く笑いに
キーワード:ギャグ、兄弟姉妹、

「そして今日も弟想いのお姉ちゃんによる、ゆかいな日々が続くのでした」(本文より抜粋)


弟が姉に対して恋愛感情を抱いていると書くと、どのような内容を想像しますか? 文学作品なら禁断の愛や近親相姦など非常に重いイメージがありますが、本書はそのようなことはありません。基本的にギャグ漫画ですし、なによりこの姉弟は血がつながってません。姉のハルが弟である吾朗をイタズラしてからかうのですが、弟は血のつながりのないことを過度に意識してしまうところに面白さがあります。それに、吾朗の場合は恋愛よりはシスターコンプレックスのような感じなので、気軽に笑って読むことができます。

日常系ギャグなのでこれといった展開はなく、ハルが吾朗を弄ぶシーンが多いです。徐々に2人の友人やクラスメイトが登場し幅が出てきますが、基本路線は変わりません。かなりサディスティック。姉萌えな方々には受けがよさそうです。一方、あやういけれど深く重い展開にはならないので、それを期待している方にはまったくオススメできません。

ハルの友人・美咲や吾朗とクラスメイト・水野、そしてなにより最後に登場するある人物によって、このギャグ漫画はただの姉萌え漫画では終わりません。その出来事は読んでのお楽しみ。終盤の「なんか違う」と最後の回が良いですね。脇役では吾朗と水野の会話が好き。水野とお友達になりたいです。

ときどき4コマではなく1ページ漫画になっている点も、変化があって良いです。どのギャグもお腹を抱えて笑うほどではないけれど、十分面白いと思います。実の姉がいる人がこの漫画を読んだら、いったいどう思うんでしょうか? 感想を聞いてみたいですね。



ネタばれ感想はつづきにて。
スポンサーサイト
[ 2011/03/29 22:39 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年03月27日(日)

竹取物語(全) (ビギナーズ・クラシックス) 

竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:角川書店
出版社:角川書店
出版日:2001/09

評価〔A-〕 改めて全部読むと、印象が違って面白いです。
キーワード:古典、物語、今昔物語集

ある日のこと、根もとが光っている竹を一本見つけた。中をのぞいてみると、背丈が十センチほどの女の子が、とてもかわいらしい姿ですわっている。(訳文より抜粋)


誰もが知っているであろう「かぐや姫」のお話。竹の中から生まれて、求婚者たちに5つの難題を出し、そして月に返っていくという物語の原本が、この竹取物語です。元となったのは今昔物語集にある話かと思っていたのですがそれは酷似したもので、竹取物語は別に存在しているそうで。本書はその全文が訳文と共に収録されています。

現代語訳・原文・解説の順で記述されているため、古文の知識がなくても楽しむことができます。学校で習ったことはほとんど覚えてないのですが、訳文を読んだ後に原文を読むと、文法に囚われることなく古文のリズム・韻律の良さを感じることができます。訳文自体も砕けた表現を使っていて、読みやすく分かりやすいです。論語のビギナーズ・クラシックスを読んだ時も思ったのですが、とにかく易しく書かれているのが嬉しいです。

記憶していた大まかなあらすじでは、恋愛を絡めたファンタジーといった印象でしたが、解説や時代背景などのコラムを読み進めるうちに段々イメージが変わっていきました。かぐや姫の口をかりた男性批判や権威主義批判は、当時の社会制度を批判する意味も持ち、唯の娯楽作品ではないことを教えてくれます。このあたりははじめにに書かれているように、一部分のつまみぐいでは見えてこない作品の真価でしょう。

著者はかぐや姫のことを冷酷で恐ろしい女だと評していますが、僕は少々我がままだけれど、自分の意見を持った人物だと思うけどな。いくつかある落語のようなオチも、好みは分かれるでしょうが、なかなか洒落ています。

紫式部が「物語のいではじめのおや」と高評価したのも頷けます。興味があるけれど全文通して読んだことがない方は、是非一度読んでみてください。色々な意味が込められていることに気がつくでしょう。





[ 2011/03/27 21:47 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年03月24日(木)

雷撃☆SSガール  

雷撃☆SSガール (講談社BOX)雷撃☆SSガール (講談社BOX)
著者:至道 流星
出版:講談社
発行:2009/08/04

評価〔A〕 疾走感溢れる経済ライトノベル
キーワード:経済、経営、ライトノベル、社会、

「ねぇ、まさか、この世界が真っ当だなんて思ってるの?」(第一章より抜粋)


西尾維新だったと思うのですが、「経済小説はライトノベルではありえない」という文章を目にしたことがあります。しかし、本書は経済・経営もの、見せ方を変えればビジネス書になりそうな内容なのに、極端な性格や能力のキャラがいたり、様々なタイプの可愛い女性キャラがいたりして、確かにライトノベルなのです。「狼と香辛料」、未読だけど、以外では初めて見ました。驚いた。

零細企業を経営する冴えない青年・ジンは、不幸な出来事があった日の夜、キャバクラで絶世の美女・リンと会う。彼女は世界征服を志す変わった娘で、翌日、なぜか彼の会社に姿を現す。彼女は何者で何を考えているのか? 戸惑う彼をよそに彼女の計画は動き出します。冒頭は穏やかな感じで始まりますが、動き出してからが凄いです。どんどん話は大きく展開は加速し、読みながらどこまで行ってしまうんだろう?とワクワクしながら読みました。

リンの言葉は極端ではありますが、簡単に否定できず、ジンならずとも魅了されてしまいます。あとがきによると著者の本業は会社経営だそうです。体験から来る言葉は現実味があります。盲点をつく斬新なビジネスモデル、『作らないで、売ってみる』販売手法、投資による株価の操りなど興味深いものが多いです。

残念だったのは、最後が中途半端に終わった点です。あと2章くらいあるのかと思ってページをめくったら、終わりでした。いや、まあ、切りが良いといえば良いのですが、もう少し大きな区切りをつけて欲しかったですね。

ラノベでよく見る典型的なキャラが多いとはいえ、それを気にさせないくらい面白く、疾走感溢れる経済エンターテイメント小説です。おそらく学生よりは社会人、サラリーマンよりは自営業・経営者のほうが楽しく読むことができるでしょう。一風変わったライトノベルはいかがでしょうか?






[ 2011/03/24 23:01 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2011年03月20日(日)

大東京トイボックス1 

大東京トイボックス 1 (バーズコミックス)大東京トイボックス 1 (バーズコミックス)
著者:うめ
出版:幻冬舎
発行:2007/03/24

評価〔B+〕 小さなゲーム会社の物語
キーワード:ゲーム業界、社会人、新入社員

「いえ!ゲームクリエイターは私の夢ですから!!」(本文より抜粋)


ゲームが好きな人なら一度は考えてみるであろう職場、ゲーム会社。これはそのゲーム制作会社を舞台とした漫画です。業界漫画とでもいうのかな? 夢と情熱を持ってゲームクリエイターを志す若者、百田モモが奮闘します。前作「東京トイボックス」の続編となっていますが、「大東京」だけで読んでも十分面白いです。事実、僕はまだ前作を読んでいませんし。

本書ではモモが働く小さな会社・スタジオG3と業界最大手のソリダスが登場し、2つの企業の違いが見てとれます。どの業界もそうだけれど、規模によって結構変わるよね。そのG3でモモは意欲満々で働くけれど、能力不足を実感したり予想外の問題が発生したりと、現実を思い知らされます。社会人ならば誰もが共感できると思います。それを教え諭す企画チーフの天川太陽が実に格好良いです。彼女が初めて彼を見た時の格好はひどいものだけど、それ以上に能力と経験を持ち仕事をこなしていく姿は魅力的です。彼の言葉は重さがあります。

終盤、ソードのメインプランナーの話は展開が読めたのですが、それでも盛り上がります。その後にとったモモの行動も彼女らしくて好きです。1巻は1冊の本としてうまくまとまった感じ。アツかった。

熱意を持って突き進むモモと、現実を見据えて仕事をする天川が魅力的。社会人向けの漫画に見えますが、学生さんが仕事を知るにも参考になる作品じゃないかな。また、モモの回想シーンでおやっ?と思うところがあり、彼女の過去に何があったか気になります。今後の展開が楽しみです。「東京」のほうも興味がでてきました。




[ 2011/03/20 21:41 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年03月17日(木)

少女ノイズ(光文社文庫) 

少女ノイズ (光文社文庫)少女ノイズ (光文社文庫)
著者:三雲 岳斗
出版:光文社
発行:2010/04/08

評価〔B〕 乙一のGOTHのようなミステリ
キーワード:推理、ミステリ、青春、ボーイミーツガール、進学塾、

死体のように倒れたままの斎宮瞑に、その銀色の機械はひどく馴染んでいた。まるで壊れて洩れ出した彼女の内臓みたいだと僕は思った。(1 Crumbling Skyより抜粋)


大学教員の皆瀬梨夏からアルバイトを紹介された大学生・高須賀克志は、進学塾で斎宮瞑(いつきのみや・めい)の専任講師となります。彼女と言葉を交わすうちに、瞑の行動の理由、周囲で起きる事件、そして彼自身の不可思議な記憶の謎が明らかになっていく連作短編集。殺人現場の写真に執着する青年と、大人びて無気力な少女のコンビが事件を解決していく推理ものです。

各短篇は独立していてそれほど長くありません。すぐ解決しますが、どれも推理しようとするとかなり難しいです。普段から推理小説を読んでいる人は解けるのでしょうか……。あれこれ推理するより、探偵役の洞察力に驚嘆しつつ楽しむほうが良いと思います。

解説では恋愛小説として評価されています。著者がライトノベル出身であり、印象的なキャラクターや表紙の絵などが影響して、ライトノベルと見なしている人もいるようです。しかし、ミステリの部分もなかなかです。事件の背景が見えてくるにつれ、関係者の言動の真意が明らかになり、なるほどと感心してしまいます。僕としてはミステリのほうが印象強いです。好きなのは「四番目の色が散る前に」。

主役2人の様子が、乙一のGOTHを彷彿させますが、ミステリとしてはこちらのほうが上です。久しぶりに推理ものを読みましたが、キャラ小説としてもミステリとしても楽しめました。





[ 2011/03/17 23:03 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年03月09日(水)

マンホール3 

マンホール 3 (ヤングガンガンコミックス)マンホール 3 (ヤングガンガンコミックス)
著者:筒井 哲也
出版:スクウェア・エニックス
発行:2006/06/24

評価〔B〕 うまく着地した社会派ホラー
キーワード:ホラー、現代、SF、生物

「…これまで私が引き起こしてきた事件は、私自身の命を賭けた挑戦だ。」(本文より抜粋)


前の巻で大規模な事件へと発展し、捜査本部が設置された笹原署。溝口と井上も事件を追い、ついにフィラリア感染事件も核心に迫っていきます。

事件の背景、犯人の真の意図が明らかにされていくにつれ、「何が善なのか?何が問題なのか?」を問う社会派の面が強くでています。1、2巻が気味が悪かったのでその印象が強いのですが、思いのほかすっきり爽快感ある終わり方になっています。話が大きくなり過ぎなかったのは良かったのですが、展開が速く、だいぶ駆け足になってしまったのが残念です。

読了後に気づいたのですが、裏表紙に半分くらいこの巻の粗筋が書いてあるのですが、こんなに書いてしまって良いのでしょうか……。もう少しぼかすとか、ほのめかす程度に留めておけば良いのに。覚え書き。FAXの中ってああなってたんだ。

全体的に質の高い漫画だと思います。実写化してもあまり違和感がなさそう。2巻で読む意欲が低下しましたが、最後まで読んで良かったです。




[ 2011/03/09 21:40 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2011年03月06日(日)

脳と性と能力 

脳と性と能力 (集英社新書)脳と性と能力 (集英社新書)著者:カトリーヌ・ヴィダル、ドロテ・ブノワ=ブロウエズ 他
出版:集英社
発行:2007/06/15

評価〔B〕 男女間に先天的な差はあるのか?
キーワード:性、脳、男女、解剖学、生物学、神経学、心理学

つまり、男性と女性が違うとする<信頼に足る>テストは、口頭の流暢さと三次元の回転のみになる!それも、かろうじてといった程度だ!(第二章より抜粋)


女性は言語能力に秀でていて男性は空間能力に長けている、とよく言われますが真実なのか?そもそも生まれつき能力に差があるのだろうか?などなど、男女の特性を脳科学で検証していく新書です。著者の2人は神経生物学者と科学ジャーナリストという興味深い組み合わせ。「関係する女 所有する男」で言及されていたので読みました。

タイトルにある脳はもちろん、解剖学、遺伝子、染色体、ホルモン、心理実験と様々な面から、一般的に知られている概念を検証しています。歴史を紐解いてみると、白人は有色人種より優れている、男性は女性より優れていると偏見で結論ありきで書かれた論文が多く、信頼に足るものが実に少ないのが分かります。加えて、メディアが伝える新発見は、その後の研究により否定されているものもあり、情報を鵜呑みにしてしまう危険を再認識しました。また、男女の差は経験によって埋め合わせる程度のものでしかないとあって、少々驚くとともに安堵しました。それよりも文化や社会の影響が大きいそうです。能力の差を、性別のせいにしてはいけないと感じました。

本書の裏には、自分の利益のため脳科学を利用している者への不快感があります。社会に蔓延した誤った知識のせいで科学が悪用されないよう、こうした本を出しているのでしょう。その姿勢は頭が下がります。以前読んだ「『社会調査』のウソ」に似ています。

翻訳のせいか、専門的な内容のためか分かりませんが、少し分かりにくいのが難点です。しかし、エピローグでは挙げてきた問題と結論のまとめがあり、素人でも理解できるようになっています。助かります。男女の差に疑問を持ったら読んでみてはいかがでしょうか。




[ 2011/03/06 22:19 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2011年03月04日(金)

2011年2月の読書メモ 

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選〔B〕
計算力を強くする〔C+〕(積読)
手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~〔C+〕
ヴァルプルギスの後悔〈Fire1.〉〔B-〕
罪と罰1(アクションコミックス)〔B〕

以上の5冊でした。このブログを始めた頃なら少なくないと思いますが、最近では少なめかな。ジャンルも偏らなかったと思います。漫画は珍しく1冊だけでした。

少々評価が辛いかも。ですが、「手紙屋」はあの価格を考慮すると、高評価にはしづらいです。以前、読書メーターで、『古本ではなく新品の値段で買ってこそ、正当に評価できる』のような意見を見たことがあります。それを思い出しました。一理あると思います。

それと、blogramのカテゴリー「ブギーポップ」で1位になりました! きっとヴァルプ1を読んだからでしょう。やりました。また、「コロンボ警部」のカテゴリーで18位に。なぜだ。

来月はもう少し小説かライトノベルを読みたいなあ。







[ 2011/03/04 18:49 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)