2010年06月29日(火)

70億の針3 

70億の針 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)70億の針 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者:多田乃伸明
出版:メディアファクトリー
発行:2009/10/23

評価〔A+〕 思いもよらぬ新展開
キーワード:SF、現代

「だが今回のことは完全に特異だ…。時間の流れの向き自体が変わってしまったような――」(本文より抜粋)


宇宙から飛来した2つのプラズマ生命体を巡る話も3巻目です。前回、テンガイとメイルシュトロームの戦いは収束し、これからどう話が進むのか分からないところで終わりました。ヒカルの日常に傾いていくのかと思っていたのですが、依然としてSFらしい大規模な話のまま進んでいきます。新しい登場人物が登場し、2巻に比べて展開が速いので、少し戸惑うかもしれません。

メイルシュトロームの言葉を追っていくと、テンガイと違って妙に人間っぽいところがあって興味深いです。意外に笑えます。本当に意外だ。一方、テンガイは相変わらず格好良いです。外見は変わらないのに。不思議。

この巻を読んでみて再確認したのは、SFの要素と人の内面を描いた部分が、上手くバランスが取れている点です。どちらかに偏り過ぎては、この面白さはなかったんじゃないのかな。また、本に挟まっていたMFコミックの小冊子に著者のコメントが載っていて、そこには『少々の勇気で見えていた景色がアナタを受け入れてくれるかも。』とあります。SFとして面白いけれど、これはやはり他者との繋がりの物語なのかな、と思いました。

次回4巻が最終巻みたいで、本当に惜しいです。もう少し続いてくれれば良かったのに。この物語がどう終わるのか楽しみです。




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[ 2010/06/29 23:21 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年06月26日(土)

神様のメモ帳 

神様のメモ帳 (電撃文庫)神様のメモ帳 (電撃文庫)
著者:杉井 光
出版:メディアワークス
発行:2007/01/06

評価〔B〕 萌え系ではないと思います
キーワード:ニート、学園、

「ニートというのはね。なにかが『できない』人間や、なにかを『しようとしない』人間のことじゃないんだ」(本文より抜粋)


ニート探偵なるものが活躍するらしいと知り、関心を持ちました。ニート探偵。ニートなのか探偵なのか。探偵だったら収入がありそうだから、既にニートではないんじゃないのだろうか?と疑問に思ったのを覚えています。その謎は読み進めていけば、ニート探偵自身が説明してくれます。

主人公は転入してきたばかりの高校生・藤島鳴海。ひょんなことからクラスメイトの篠崎彩香と話をするようになり、彼女を通じて様々なニートたちと出会います。その中の一人がニート探偵のアリス、という訳です。アリスは理屈っぽい……というか口が達者なので、ともするとすぐ他人と言い争いになってしまいそうですが、そうならないのは彼女の魅力なんでしょうか。詭弁を弄してもユーモアを言っても、そして持論を述べても、なんか印象深いんだよなあ。余談ではありますが、神様のパズルのヒロインを思い出してしまいました。

そんなニートたちがある出来事に関わり活躍するのですが、話の展開自体は一般の小説とあまり変わりません。登場人物や設定がライトノベルのそれなので、どこかしら変わった、不思議な印象を受けました。また、事件の真実は、アリスの推理と同じでだいたい予想したとおりでした。めずらしく。うーん、悪くはないけれど、すごくインパクトのあるわけでもないかな。

出てくる人たちはだいたいが暇そうな感じで、ラーメン屋の裏手でダラダラしている様はまさにニートといった心証です。その雰囲気が嫌いでなければ、気に入ってもらえるかと思います。萌え系と思って読むと、良い意味で裏切ってくれますよ。




[ 2010/06/26 19:05 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2010年06月17日(木)

読書について 他二篇 

読書について 他二篇 (岩波文庫)読書について 他二篇 (岩波文庫)
著者:ショウペンハウエル
出版:岩波書店
発行:1983/01

評価〔A-〕 自分で考えるのが大切です
キーワード:読書、古典、哲学、ショウペンハウエル

読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。(「思索」より抜粋)


ドイツの哲学者ショウペンハウエルが書いた、主に読書についての本です。このブログでは初の岩波文庫です。……いや、岩波文庫の本をまともに読むのは人生で初かも。なぜかお堅い本が読みたくなりました。この本、ネットでの評判も良かったし。表題作の「読書について」、そして「思索」「著作と文体」の3篇が収録されています。

主題である「読書について」と「思索」は短く、大半は「著者と文体」が占めます。前者2つは読み手、後者は著作者を対象としているように感じたので、読む順序は「読書」「思索」「著者と文体」が良かったかもしれません。

内容は、非多読のススメです。最近は、本は読めば読むほど良いという傾向が見られますが、それとは逆で、悪書はよまずに済ませることが重要だと論じています。人生に悪書を読んでいる暇はない、と。また、読書は他人に考えてもらうことでもあり、読書よりも思索が大切で意義のあることだと説いています。後者は、以前からそのようなことを感じていたので、すんなり受け入れられます。前者は、どの本にも何かしら得るものがあるのではと思っていたので、多少の反感はありますが、確かにそういう意見もあると思います。

全体的に断定的で攻撃的、社会に対する怒りに満ちた文章です。そのため主張は分かりやすいのですが、極端だと思う意見もあり、全面的に賛成という訳ではありません。また、「著者と文体」の後半は、ドイツ語の乱れに重点が置かれていて、読書から離れてしまっているのが残念でした。

ネットでの書評ほど絶賛はしませんが、現代日本でも通用することも多く、ためになると思います。期待していたほどではなかったので、BにしようかAしようかと迷ったのですが、今後もときどき読み返すことになりそうなので、A-ということで。




[ 2010/06/17 21:20 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2010年06月09日(水)

エンマ6 

エンマ(6) (ライバルコミックス)エンマ(6) (ライバルコミックス)
著者:ののやま さき
出版:講談社
発行:2010/04/30

評価〔B-〕 なんかアケメネス王の迫力がすごかった
キーワード:オムニバス、シリアス

「お前…、本当にエンマか?」(本文より抜粋)


この世のためあの世のため、今日も明日も骨を抜く紙人形漫画の6巻です。もう6巻。月刊誌連載ってこんなに刊行ペースが早かったっけ?

この巻ではエンマにある重要な出来事が起き、それによってエンマに変化があらわれます。それとともに、この漫画の雰囲気も徐々に変わっていきそうです。エンマ自身の話がどう絡んでいくのか。また、6巻にして初の前後編のエピソードがでました。以前から数話続く話があればいいなと思っていただけに、素直に嬉しいです。1話完結の時とあまり変わらないような感じでしたけれどね。

相変わらず地域も時代も変化に富んでいて良いです。しかし、各話の質は当初と変わらないと思うのですが、だんだん慣れてきたせいか展開が読めてしまうことがあり、少々残念です。

そういえばエンマの次回告知はいつもながら上手いですね。興味をそそる見せ方だ。次回告知を見るに、次もなかなか面白そうです。



[ 2010/06/09 21:57 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年06月03日(木)

プシュケの涙 

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)プシュケの涙 (メディアワークス文庫)
著者:柴村 仁
出版:アスキーメディアワークス
発行:2010/02/25

評価〔A-〕 話の筋ではなく構成がポイント
キーワード:SF、現代

「俺たち二人で探ってみないか」
「何を」
「なぜ吉野彼方は自殺したのか」
(本文より抜粋)


物語は一人の少女が自殺したところから始まります。なぜ彼女・吉野彼方は自殺したのか?疑問を持つ少年・由良と、事件の目撃者の少年・榎戸川がその謎を追います。本書は2009年に電撃文庫から出版された同タイトルを、細かい点を手直ししてはいますが内容はほとんど変えず、メディアワークス文庫から再刊行したものです。

この小説は前半と後半が分かれていて、2部構成になっています。上記のように前半は推理もの、後半は一転して青春ものなのですが、その構成の巧みさによって物語により奥深さがでています。厚みがある感じ。詳しく説明するのは避けますが、相互に影響し合って、読んでいると感情が入り混じって複雑な心境になります。前半も後半も個々で読めばこれほど強い印象は残らなかったでしょう。読後には、またすぐに前半を読み返してみたくなると思います。そして、読み返すと全然違ってみえるから素晴らしいです。

話の筋は、前半は良い意味で予想外でしたが、後半は素直な展開でした。斬新で奇抜な着想ではありませんでした。その点が残念と言えば残念かも。奇抜といえば、作品中で由良は“変人”と称されていますが、確かに個性的ではあるけれど変人ってほどではないと思うけどなあ。印象に残ったのはぶわぶわくんのシーンと最後の美術室での一幕。後者の最後の文が、なんとも綺麗で悲しく、そして切ないです。

ライトノベルと一般書籍では、やはり一般書籍に近いと思いました。続編であるハイドラの告白、セイジャの式日も刊行されていて、そこでは由良のその後を見ることができます。そちらも期待できそうです。






[ 2010/06/03 21:38 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2010年06月01日(火)

2010年5月の読書メモ 

空の下屋根の中1〔B〕
走馬灯株式会社〔B〕
知性の限界〔S〕
「農業」という生き方 ど素人からの就農入門〔B〕
カスタム・チャイルド〔C-〕
鬼燈の島4〔C+〕

以上、6冊でした。先月に引き続き、漫画とそれ以外の本が同数となりました。鬼燈の島の4巻は来月に取っておこうかと思ったのですが、結局読んでしまいました。最終巻なので結末が早く知りたかったんですよ……。鬼燈の島は、シリーズ全体の評価もC+くらいかな。

漫画以外の今年初の評価Sは、哲学系新書・知性の限界でした。前作の理性の限界に続いてのSですね。知的好奇心を刺激してくれて、素晴らしい本です。Sは簡単につけたくないですが、かといってSがないのも寂しいものです。Sが出て良かった良かった。

来月は漫画を控えめにして、小説かライトノベルを読む予定です。





[ 2010/06/01 22:06 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)