2010年05月28日(金)

鬼燈の島4 

鬼燈の島~ホオズキノシマ 4 (ヤングガンガンコミックス)鬼燈の島~ホオズキノシマ 4 (ヤングガンガンコミックス)
著者:三部 けい
出版:スクウェア・エニックス
発行:2009/09/25

評価〔C+〕 どんでん返しが欲しかった。
キーワード:シリアス、サスペンス、ホラー、ミステリー

ウソなんかついてなかった。だとすると…(本文より抜粋)


少年少女の逃走劇もついに最終巻です。シュウの主張が正しいのか、それとも違った裏があるのか、ホオズキ学園で起きた出来事が明らかになります。

3巻からの引きで心とユキノの言い争いの場面から始まりますが、両者の言い分も理解でき、ここが読んでいて1番盛り上がる場面だと思います。そこから一気に事件は終わりへと収束するのですが、読書メーターの感想でも多く書かれていたように、だいぶあっさりしていて少々物足りませんでした。残念。文字の部屋の謎も、納得いくようないかないような感じでしたし。

巻末には2・3巻同様、短編漫画が収録されています。今度はユキノ先生の中学時代の話です。なんか、短編のほうがまとまりが良いような……。

シリーズを通して、不安感を煽るサスペンスとしては楽しませてもらいましたが、謎解きミステリーとしては、意外性はあまりなかったと思います。しかし、「カミヤドリ」に比べて、娯楽性に重点を置いた作品でした。さて、次はどのような物語を描いてくれるのでしょうか。




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[ 2010/05/28 21:36 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年05月26日(水)

カスタム・チャイルド 

カスタム・チャイルド (電撃文庫)カスタム・チャイルド (電撃文庫)
著者:壁井 ユカコ
出版:メディアワークス
発行:2005/04

評価〔C-〕 もう少し波乱があっても良いかと。
キーワード:SF、遺伝子工学、現代

 硬質な感じの瞳でまっすぐこっちを見据えて、少女がはじめて口を開いた。若干ハスキーなトーンの、非常に一方的な感じのする早口の喋り方で。
「家近いの?泊めて」(本文より抜粋)


遺伝子技術の異常進化を遂げた世界で、ある出来事を契機に、怠惰な感じの男子大学生・三嶋と謎の少女・マドカが偶然出会う物語です。以前感想を書いたメディアワークス文庫の「カスタムチャイルド罪と罰」の元となった本です。もっともこちらはMW文庫ではなく電撃文庫から出版されていますが。「罪と罰」が良かったので、本書にも興味を持ち読んでみました。

三嶋は一般人でありながらスラム街に出入りし、遺伝子操作により異形の姿となった人々とも交流しているので、脇役もなかなか個性豊かです。また、複雑な家庭環境を持つ登場人物もいて、そのあたりは「罪と罰」と似ています。一方マドカにはある秘密があって、それが物語の核心となっています。本の総ページ数がかなりありますが、それが苦にならないのは文章が上手いからなのでしょうか。同著者の「キーリ」のように、読点の少ない長い文が特徴的です。

しかし、設定が十分に活かされているかと問われれば、自信を持って肯定はできません。スラム街の人々の問題、三嶋や友人であるススキの悩みは、現代社会にも似たような形で存在していると思います。それに、「キーリ」同様、展開がある程度予想がつくのが、残念でした。悪くはないんだけど、インパクトに欠けます。

世界観は好きですし、登場人物たちも嫌いではないのですが、満足度は高くなかった本書。「キーリ」が好きな人はこの本も気に入るでしょうが、個人的には「罪と罰」のほうが面白かったです。





[ 2010/05/26 21:10 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2010年05月19日(水)

「農業」という生き方 ど素人からの就農入門 

「農業」という生き方 ど素人からの就農入門 (アスキー新書 129)「農業」という生き方 ど素人からの就農入門 (アスキー新書 129)
著者:永峰英太郎
出版:アスキー・メディアワークス
発行:2009/11/09

評価〔B〕 農業とは生き様だ
キーワード:農業、職業、ドキュメンタリー

「農業という生き方」が興味深いのは、農業を職業として選んでいる点では、一本の線で結ばれるのにもかかわらず、一人ひとり、その生きざまはまったく異なるという点だ。(第二章より抜粋)


農業とは無縁だった人々が、新規就農者として働く生の姿を伝えている現地報告本です。マスメディアで伝えられる農業といえば、作物のブランド化や大資本の参入だったりと大きな事業が多いですけれど、本書はあくまで一般の人が最前線で努力している様子を伝えています。

経験を積み独立までの道のりや、土地や作物によって変わる農業の実態がいくつか挙げられています。新規就農者がどのような経緯で農業に興味を持ち、実践して何を学んだか、にも焦点が当てられていて、単なるハウツー本でないのが興味深いです。どの就農者も、やはりと言いますか、失敗や苦労をされていて、半端な気持ちや田舎への憧れだけでは続かないことが分かります。教えてもらうより学ぶ姿勢が欠かせません。

後半は、新規就農者から見た農業の世界、また挫折した人の意見や新しい取り組みについて書かれています。この部分、特に農業を諦めた人の例はもう少し取り上げて欲しかった。辛いと言っても、具体的に農業がどう辛いのか実感しにくいです。耕作放棄地が多いのに農地確保が難しいのはなぜかは、なるほどと思ったし、ネット通販をしていても地域との繋がりが大切なのは、意外でした。

失敗談も隠さず書かれていて、新規就農者の実態がよく分かりました。考えによって生き方が大きく変わる職業なのかも。謳い文句のとおり、農業に興味のある人にとっては、かなり助けとなると思います。




[ 2010/05/19 22:07 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2010年05月13日(木)

知性の限界 

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)
著者:高橋 昌一郎
出版:講談社
発行:2010/04/16

評価〔S〕 知的好奇心を刺激される秀逸な本です。
キーワード:哲学、科学、知性

それでは皆様のご要望にお答えして、新たにシンポジウムを開催することにしましょう。(序章より抜粋)


ディベート形式で分かりやすく哲学について解いた「理性の限界」の第2弾が登場です。前著で、だいぶ多岐に渡って限界について語られたので、もう続編はなさそうだな~と感じていただけに、この予期せぬ2冊目は驚くと同時に本当に嬉しい限りです。帯にあるように『深くて楽しい論理ディベート』の再開です。

「理性の限界」懇親会から話は始まり、「知性の限界」についてシンポジウムで議論する前回同様の形をとっています。この形式で、専門外の素人の発言が入っていたほうが、専門用語ばかりの説明にならないので有り難いですね。

今回のテーマは、言語・予測・思考の3つ。「言語」では、言葉を介して情報を完全に伝えられるのか厳密に考察していきます。単語1つ取ってみても、言語理解の難解さが実感できます。「予測」の章で語られている理論は、それなりに知っていたので目新しさはないけれど、上手く説明されていて読んでいて興味深いです。何度考えても、ヘンペルのパラドックスは面白いです。こういうのを最初に学校で教えれば、学問に興味を持つ人がもっと増えると思うんだけどなあ。最後の「思考」では、どのようにしたら宇宙や神の存在証明ができるか検討しています。形而上学をみていると、確かに思考の限界に挑戦しているかのように感じます。本当に良く思いつくもんだ。

自然科学の分野の話が多めだった前回に比べると、本題である哲学の話が多くなっています。哲学は妥協なく突き詰めて考える学問だと思うので、限界という題材にはしっくりきます。

難解な論理や概念が、素人にここまで分かりやすく書かれているのは、素晴らしくもあり嬉しくもあります。現時点での学問の限界と同時に、未来の可能性も示唆しているのが、知的刺激を受け非常に面白かったです。もっと評判になっても良い本だと思うんだけどな。秀逸。





[ 2010/05/13 21:43 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(2)

2010年05月08日(土)

走馬灯株式会社1 

走馬灯株式会社(1) (アクションコミックス)走馬灯株式会社(1) (アクションコミックス)
著者:菅原 敬太
出版:双葉社
発行:2010/01/28

評価〔B〕 予想していたより捻ってあります
キーワード:現代、SF、オムニバス、人生、

「人生が全部観れるディスクなんだ…。これってまるで…死ぬ前に見るっていう……走馬灯みたいじゃん……」(本文より抜粋)


走馬灯株式会社では自分の人生が記録されたDVDを観ることができる、といった不思議な設定の漫画です。いくつかの独立した話が収録されているオムニバス形式。共通して登場するのは会社と主任の神沼だけです。

この会社に迷い込んだ人は、その人の視点の映像記録を、生まれてから現時点まで視聴できます。ここまでですと、戸田誠二の「生きるススメ」に収録されたラスト・ムービーに似ていますが、異なるのは視聴者に関係者の人生も観ることができる点です。これによって新たな事実が発覚したりすることもあり、話が思わぬ方向に流れることもあります。また、DVDなので飛ばして観ることが可能です。親切設定。

各話結末が予想していたよりも捻ってあって面白かったです。こう言ってはなんですが、嬉しい誤算です。ただ、この漫画は濡れ場含む性的表現が多いので、そういうのが嫌いな方はご注意下さい。話の展開上必要な場合は分かるんだけど……。アクションは青年誌でしたっけ?

話によってホラー風だったり感動ドラマ風だったりするので、1冊で色々楽しめます。この設定でオムニバス形式だとマンネリ化しないか気がかりですが、良い意味で読者の予想を裏切っていって欲しいです。



[ 2010/05/08 21:20 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年05月07日(金)

空の下屋根の中1 

空の下屋根の中 (1) (まんがタイムKRコミックス)空の下屋根の中 (1) (まんがタイムKRコミックス)
著者:双見 酔
出版:芳文社
発行:2009/07/27

評価〔B〕 厳密にはニート漫画ではありません
キーワード:4コマ、ニート、無職、現代

本当にヒマなのが悔しい……。(本文より抜粋)


高校卒業後、なりゆきでニートになってしまった無職少女・笹川香奈絵の物語です。ニートが主役だと知って興味を持ちました。僕の買ったものには帯がついていませんでしたが、それには『今日もやることがない。』『職ナシ、資格ナシ、やる気は…あったりなかったり』とあるらしいです。RPG風に言うと無職レベル1からスタートです。

序盤は予想通りと言いますか期待通りと言いますか、なかなかの暇人っぷりを披露してくれますが、友人の働いている姿や周囲の声に刺激され、就職活動を始めます。主役の香奈絵は、情熱的ではありませんがそれなりに向上心のある少女です。ニートを知らない人が想像しているような人物像とは違って、だらけたり前向きになったりと、かなり現実味があると思います。

巻頭と幕間にもう1つメタな漫画がありますが、こちらは本当に働きたくないニート男性のお話。本編に比べると、うーん、なんと表現したものか……こちらのほうがギャグっぽいです。

全体的に表紙の雰囲気そのままの、穏やかでゆったりとした無職の若者の日常と言った感じです。笑いに偏りすぎず、でもシリアスになり過ぎずと、上手くバランスが取れた漫画です。




[ 2010/05/07 22:21 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年05月01日(土)

2010年4月の読書メモ 

シュレディンガーのチョコパフェ〔A〕
世界制服1〔D+〕
結婚できない10の習慣 「婚差値40」の女〔C+〕
無限の住人24〔B-〕
無限の住人25〔B+〕
白いへび眠る島〔D+〕(積読)
「空気」と「世間」〔A-〕
メンヘラちゃん〔S〕

上記のとおり7冊+WEB漫画1つでした。漫画が多めでしょうか。なんだかんだで読みやすいので、手が出てしまいます。

白いへび眠る島は、ずーっと前に手に入れたのです。はじめの数ページ読んでは止め、忘れたころにまた初めから数ページ読み……と、なかなか物語に入り込むことができませんでした。意を決して読んだのですが、やはり合いませんでした。なんとなく察知していたのでしょうか。

今年最初の評価Sは、なんとWEB漫画のメンヘラちゃん。4月まででSにしようかなと思った作品もあったんですが、メンヘラちゃんはあまり迷いませんでした。初めて読んだ時の衝撃が凄まじかった。恐るべし。

創作系の本の評価が少し辛いかもしれません。逆に、解説本は甘いかも。読んだ時の心境にも影響するので、どの本も同じように評価するのは結構難しいね。気をつけよう。




[ 2010/05/01 21:12 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)