2010年01月31日(日)

2010年1月の読書メモ 

関係する女 所有する男〔B+〕
エンマ5〔B+〕
スプライトシュピーゲル I〔B-〕
生きるのも死ぬのもイヤなきみへ〔A+〕

上記の4冊でした。漫画を読むのを控えて小説を読もうと思っていたのですが、そのどちらでもなく新書が2冊となりました。読みたいときが読みどきであるが信念なので、ま、これはこれで良いかと。

「関係する女」と「生きるのも死ぬのも」は、どちらも評価に迷いました。特に後者はその人の性格や年齢、読んだときの状況や心境と、読者によってEにもSにもなりうる本です。こういう本は難しいね。

現在、読んでみたい本がまあまああるので、どれにしようか思案中です。迷うのも楽しみの一つです。




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[ 2010/01/31 12:01 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)

2010年01月27日(水)

生きるのも死ぬのもイヤなきみへ 

生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)
著者:中島 義道
出版:角川グループパブリッシング
発行:2009/03/25

評価〔A+〕 考えながら生きるのが大切です。
キーワード:哲学、人生観、

きみたちは生きていたくないけれど、といって死にたくもないのだろう?この二つの願望は矛盾してはいない。それどころか、ごく自然に両立するのだ。(本文より抜粋)


凄い題名の本です。何か怖いもの見たさのような心持ちで手にとってみたのですが、予想外に読みやすく興味を持ちました。

この本は、著者と架空の4人の若者との対話形式のエッセーとなっています。若者たちは皆20代の大学生・OL・フリーター・引きこもりで、特別な立場ではなくいかにもいそうな感じの人たちなので、読者も違和感無く対話に溶け込めると思います。

主題は『どうせ死んでしまうのだから、何をやっても虚しい』という人生において根本的な問題についてです。怖くて目をそむけている人生の虚しさについて考えることこそ、最も重要なことと著者は唱えています。幸福よりも真実を優先する姿勢は、まさに哲学です。そして主題だけでなく、世間体や労働そして愛情と人生に大きな影響を与えるものについても話し合われているので、観念的抽象的過ぎることもありません。

若者達は容貌、能力、他人の目、虚無感と次々に悩みや著者にぶつけますが、著者はそれらを肯定し時には諭してくれます。もう少し説教くさい本なのかと思っていただけに驚きましたが、受け流すような対応は心に残ります。

現実主義者には、そんなこと考えている暇があるなら現実と向き合え!と叱られそうな本です。でも、少しでも悩んだことのある人には、きっと何らかのプラスになるかもしれません。またきっと読み返すでしょう。






[ 2010/01/27 22:11 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2010年01月16日(土)

スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee 

スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee (1) (富士見ファンタジア文庫 136-8)スプライトシュピーゲル I Butterfly&Dragonfly&Honeybee (1) (富士見ファンタジア文庫 136-8)
著者:冲方 丁
出版:富士見書房
発行:2007/01

評価〔B-〕 オイレンより少しだけ柔らかい感じ。
キーワード:ライトノベル、SF、シュピーゲルシリーズ

三人の少女の背に、輝きが生える。紫・青・黄の、大きな大きな――羽。(第1話より抜粋)


オイレンシュピーゲルと世界観を同じくするもう1つの物語です。国際都市ミリオポリスの公安高機動隊、通称MSSに所属する手足を機甲化した3人の少女たちが、悪戦苦闘しつつも生きていきます。暴力的で危険な世界で活躍する可憐な少女たち。所属組織は異なりますが、基本的にはオイレンと同じです。

『少女B=乙』『黄のリボンタイ/細い脚/芥子色のスカート』などの/と=を使った特徴ある文体も健在です。戸惑うかもしれませんが、著者もあとがきで「読む」のではなく「見流して」くださいと書いていたので、読者が好きなように見流すのが良いかと。

オイレンと異なる点は、まず主役たちの持つ印象です。スプライトの鳳、乙、雛は程度は違えど幼さを残していて、健気な印象を受けます。オイレン3人組の不良っぽさとは違って、学校をサボるというよりは学校内でこっそりお菓子を食べるような感じでしょうか。また、機甲化するのは同じなのですが、鳳たちはそれぞれ異なる特性の羽も持っています。羽のおかげで空を自由に飛ぶことができ、スプライトのほうがよりファンタジーな雰囲気です。本文中に『妖精たちの物語』と表されていますが、まさにそのような感じです。

このシリーズ単体で読んでも楽しめますが、やはりもう一方のシリーズも合わせて読んだほうが、よりこの世界を堪能できると思います。2つのシリーズは後に合流するようですし。2つを比べると、うーん、どちらかと言えばオイレンのほうが面白いかな。でも羽の設定が好きなので、評価は同じB-にしておきます。




[ 2010/01/16 22:10 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2010年01月12日(火)

エンマ5 

エンマ 5 (ライバルコミックス)エンマ 5 (ライバルコミックス)
著者:土屋 計
出版:講談社
発行:2010/01/06

評価〔B+〕 新しい局面へ
キーワード:オムニバス、シリアス

――あれが… …ナユタ…?(本文より抜粋)


時を越え骨を抜く紙人形エンマを描いた物語ももう5巻です。4巻の終わりに今冬発売とあったので、それとなく調べてみたら幸運にも発見。予告どおり出版されるのは凄いと想います。小説なんて予告は当てにならな……エヘン、エヘン、何でもありません。

今回はナユタの過去が語られています。ナユタがどのような経緯で人間を憎むに至ったかを知ることができ、個人的にはイマイチ影の薄かった彼も、これから存在感が増すのではないでしょうか。また、今までは閻魔王のいる第五裁判所くらいしか触れられなかった冥府についても、徐々に明らかになっていきます。冥府の人間関係(神関係?)も人間同様一筋縄ではいかないこともあるようです。そういえば神話に出てくる神々も結構人間くさいしね。こういう裏設定みたいなのが明かされていくのは、面白いですね。

一応書き留めておきます。ゾバイダは途中まで男だと思っていました。別にミスリードでも何でもなかったのに。なんかすみません。

先程アマゾンの書評を読もうとして見てみたら、まだ誰も感想を書き込んでいませんでした。おぉアマゾンより早い読書感想だ。それはともかく、ひとつの大きな曲がり角に来たこの物語、今後も期待しています。




[ 2010/01/12 18:47 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年01月09日(土)

関係する女 所有する男 

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)関係する女 所有する男 (講談社現代新書)
著者:斎藤 環
出版:講談社
発行:2009/09/17

評価〔B+〕 ちょっとまとまりのない感じもします。
キーワード:男女論、性差、ジェンダー、精神分析

僕の目論見は、あたかも男女格差本のパロディのような体裁をとりながら、「男女の違い」というイメージを最終的に解体してみせることだ。(はじめにより抜粋)


今年最初の本に選んだのは新書でした。社会的文化的性差、すなわちジェンダーについて書かれたよくある本かと思いきや、巷に溢れる安易な男女論を強く批判し、精神分析の観点から男女の違いを解き明かすことに挑戦した少し固い本です。先月に読んだ「社会調査のウソ」に近い立ち位置で、強い主張を持った新書だと思います。

フロイトやラカンの理論から男性は所有原理、女性は関係原理に基づいて生きているとし、結婚、精神疾患、趣味の違いと様々な具体例を挙げて論じています。興味を引いたのは趣味の例としておたくに注目した点で、腐女子を分析しているのは新鮮で面白かったです。加えて、脳科学による性差は証明されていななく、言語を司る部分以外は左脳右脳で違いはないことや、男女で身体感覚が異なり、女性が男性よりも身体性が重要であることは、知らなかったのでためになりました。

「欲望の二大原理」の成り立ちは少々腑に落ちない部分もあったし、具体例の説明も無理やりこじつけたような気がする箇所もありました。立場を所有する、という言い方は違和感があるなあ。どちらかといえば、所有原理より関係原理のほうが納得いきます。また、「ファルス的享楽」をはじめとする精神分析の専門用語は、なるべく噛み砕いて説明しようと努力しているのは分かりますが、すんなりと頭に入ってこなくて読むのに難儀しました。

観念的な話をしたかと思えば、結婚生活など現実的な話にとんだりと、全体としてちょっとまとまりに欠くような印象を受けましたが、鋭い分析をしている箇所もあり、性のありようを認識する上で、ひとつの指針となりうる理論なのではないでしょうか。





[ 2010/01/09 21:58 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)