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2009年10月13日(火)

70億の針1 

70億の針 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)70億の針 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者:多田乃 伸明
出版:メディアファクトリー
発行:2008/11/22

評価〔S-〕 あらはあるけれど好み
キーワード:SF、現代

『全宇宙の生命を脅かすモノ―― 災いの渦』(本文より抜粋)


珍しくSFです。しかも漫画で。今までは日常系やギャグが多かったので、なにかこう重厚な物語の筋がしっかりした漫画を読みたくなったので、この漫画を選びました。

大まかに説明すると、生命を滅ぼす宇宙生命体とそれを追うもう一方の生命体、そして両者の争いに巻き込まれた主人公の少女・高部ヒカルのお話です。なんか『寄生獣』みたいだなーと思いましたが、本書の宇宙人たちは実態を持たないところが違います。人の心に取り付き共生するのです。非常に斬新だとは言い難いのですが、他人とうまく接することが苦手なヒカルを主役にすることによって、SFならではの『宇宙人と人類』とは別に、『他人とのコミュニケーション』も大きな軸としているのが興味深く面白いです。冒頭はそれほど引き込まれなかったのですが、次第に2つの主題がうまく表れてきてのめり込みました。

ヒカルの性格は行動だけをみても理解するのは容易ですが、客観的な視点を持つ共生宇宙人と会話によってさらに際立つように感じました。用水路に落ちた携帯の話などは良い例です。彼女のあの人見知り振りといいますか対人関係能力の低さが、こういっては何ですが共感が持てます。また、最後の体育館の話はすごく好きです。演出が上手。

【ここからネタばれ】
疑問点を少々。テンガイが「自分を排除するまで奴が学校を離れることはない」と言っていたのに、終盤では「奴を逃せば人間達の中に紛れ込む」と言っているんだけど、これって矛盾していないのかな? それと、ヒカルは喋らなければテンガイに意思を伝えることができないようなのに、序盤で聞きたくなくても聞こえるのよ!と思っただけで通じたのはなぜでしょうか? あれは小声だったのかな。
【ネタばれここまで】

だいぶ楽しめましたが、どちらかといえば万人向けではなく評価の分かれそうな作品です。漫画は特に絵で好き嫌いがわかれますし。今まで評価Sをつけた本は完成度の高いものでしたが、この本は完成度よりも満足度やいかに感情移入できたかを考慮して評価をS-としました。漫画としては初のSです。初はやまむらはじめの短編になるかと思っていたので、嬉しい誤算です。

実は本書には元となったSF小説があるそうです。題名は「20億の針」だそうですよ。普段SF小説を読んでいる人がこの漫画を読んでどんな感想を持つのか聞いてみたいですね。




(あとで追記する可能性あり)

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[ 2009/10/13 22:51 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)