2008年01月27日(日)

ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド  

ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド (電撃文庫 か 7-21)ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド (電撃文庫 か 7-21)
著者:上遠野浩平
画  :緒方剛志
出版:メディアワークス
発行:2008/01

評価〔C〕 人生は中二階。
キーワード:シリアス・SF

「君はおそらく、この混乱を終わらせることだけはできる――それを選ぶかどうかは、君次第だ」(本文より抜粋)


久しぶりなような気がするブギーポップの新刊です。えー、この本を買うのに本屋を何件も探してまわりました。『狼と香辛料』や『灼眼のシャナ』ならどの本屋も沢山あったのに、ブギーポップがないとはこれいかに。

春休みを過ごす2人の少女が、元クラスメイトの少年と再会するところから始まります。この3人組と組織から追われるチーム、それを追う始末屋を巡る物語です。チームが追われる発端となった3年前に何が起こったのか?事件は3年の時を経て、再び動き出します。

時間は少し遡って、イマジネーターの頃の話です。シリーズとしては新しい展開はありません。あの頃、違う場所では違う世界の危機があったと描かれる、ブギーポップでは多々見かける作りです。登場人物たちの繋がりが見え世界観がしっかりしてくるのは良いのですが、
話が停滞気味なのは残念です。また、時系列ごとに書かれていないので、どの物語の後にどの話に続くのか混乱しそうです。

【ここからネタばれ】
メザニーンが実体なき怪物――しかも本物は3年前に消えていて、残っているのはその残滓にしか過ぎない設定は凝ってるなあ。残滓でなくてメザニーンそのものでも、別によかったと思いますけど。

セピアのストーンズ・キャストは言われているほど強くないと思うし、逆にフィクスのヘビー・ヒートのほうが断然強そうです。しかし、チームの話のはずなのに、一番目立っていたのはメローでしょう。年齢が低い(低そうな)キャラは珍しいですし。やきそばシーンが切ない。

イマジネーターは他の巻のみならず、ナイトウォッチシリーズなど他の作品にも登場するので驚きはしませんが、何度も何度も出されると飽きそうです……。

【ネタばれここまで】

各章の扉絵に、『~~ってなんですか?』とデフォルメされた登場人物と共に描かれています。質問の内容もヒントも味があっていいです。あの扉絵もそうだけど、挿絵を見ていてチームの誰がどのイラストなのかよくわかりませんでした。タンクトップの奴がロデオだと思うんだけど、自信ありません。あってるの?

今回は登場人物が多いせいか、あまり触れられていないキャラがいました。話の構成は相変わらず良かったのですが、他の巻と比べると何かちょっと足りない感じもしました。相変わらずあの口笛は格好良いです。僕も吹きたい。

最初の『笑わない』から10年くらいたつのに、雰囲気も質もあまり変わらず続いているのは嬉しいです。次回は話が進むことを願って。

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[ 2008/01/27 22:36 ] ライトノベル | TB(0) | CM(2)

2008年01月22日(火)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)
著者:桜庭一樹
絵  :むー
出版:富士見書房
発行:2004/11

評価〔C〕 一般向けの単行本もあるよ
キーワード:シリアス・青春

「彼女はさしずめ、あれだね。“砂糖菓子の弾丸”だね」(本文より抜粋)


第138回直木賞受賞記念という訳ではありませんが、少し前から興味のあった桜庭一樹の本を読みました。今回が初めてなのでどの作品にしようか迷ったのですが、タイトルだけは何度も目にしていたこの作品にしました。

田舎に住む中学2年のさめた感じの少女・山田なぎさと、都会からなぎさのクラスに転入してきた変な少女・海野藻屑。なぎさは彼女の家庭環境のせいか、少しでも早く“実弾”が欲しいと思っていますが、藻屑は“砂糖菓子の弾丸”を周囲に撃ってばかり。この13歳の2人を中心に物語は進んでいきます。表題にもある“砂糖菓子の弾丸”とは、何かを変える力をまったく持たない甘い嘘、言い訳、現実逃避のたとえです。なぎさの好む現実に影響力を持つ力、“実弾”とは逆のもの。子供はどうあっても実弾は撃てません。大人になってからは忘れがちですが力がないのです。そのあたりがテーマの、可愛らしい表紙からは想像できないほど重々しい話です。(それにしても、この話を読んでいて予想よりも没頭しなかったのは、歳をとったからなのかなーとちょっとガッカリ)

この“実弾”と“砂糖菓子”は2人の考え方の違いをうまく表現し、かつ物語ともよく合っている言葉だと思います。そのなぎさの切望してやまない実弾ですが、大人になった身としては、それだけで生きていくのは難しいと感じています。実弾ももちろん大切ですが、嘘を楽しむ余裕や一時的な現実逃避も必要なのではとも思うのです。未だに砂糖菓子の弾丸を撃っている身としては、考えさせられます。

また、なぎさが兄を貴族と呼ぶのもなかなか。言葉を選ぶセンスが光ります。これらの言葉と、藻屑がペットボトルのミネラルウォーターを飲むシーンが印象的でした。あの間がいいです。なんか心に残ります。

【ここからネタばれ】
冒頭の新聞記事と、藻屑の「私は人魚」発言は本当なのかどうか判断がつかないまま読んでいました。前者は鉈のシーンでも藻屑の結末をはっきり言っていたのだけど、やはり初めから結末を明かすとは信じがたかったのです。物語の現実?は厳しい。後者は、この本がライトノベルだと考えると、本物の人魚でもありかなと思っていました。ラノベでなければ、甘い嘘かとあっさり流していたのですが。

なぎさが雅愛に対して「魂はお金のことなんかで真実を曲げたりしないのだ」と、藻屑のために行動で示すのが凛々しくて格好いい。事件の後、なぎさがミネラルウォーターを飲んでみるのも、なんともいえず物悲しくて良かったです。再読すると、藻屑がどのような気持ちで喋っているのかを推し量りつつ読めるので、1回しか読んでいない人は是非。

【ネタばれここまで】

この本は富士見ミステリー文庫から出ていますが、推理小説のような謎はほとんどありません。そうしたものを期待するとがっかりします。また、なぎさの一人称で話が進むので、他の人物が何故そうしたのかが説明されていないところがあり、伏線を全て回収するような練りに練った構想が好みの人には向きません。好き嫌いがはっきり分かれる小説だと思います。

しかし、物語を分析するのではなく、2人の心境の変化を感じとるように読めば、とても心に響く話だと思います。子供と大人で感想は違ってくると思うけど、どちらにせよ面白かったの一言で終わらないはず。桜庭一樹の他の作品も読んでみたいです。


[ 2008/01/22 22:52 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2008年01月16日(水)

数学にときめく 

数学にときめく―あの日の授業に戻れたら (ブルーバックス)数学にときめく―あの日の授業に戻れたら (ブルーバックス)
著者:新井紀子
編集:ムギ畑
出版:講談社
発行:2002/06

評価〔B〕 数学の面白さの原点がここに
キーワード:数学・知的好奇心・クイズ

この本を通して、あなたがあなたの方法で数学と仲直りができることを、あるいは、数学との新しいおつきあいが始まることを心から願っております。(プロローグより抜粋)


働くお母さんと数学。この2つの言葉が結びつくとは、正直言って思ってもいませんでした。それらがネット上の会話を通して違和感なく、そして楽しさを持って繋がるなんて驚きです。

この本は、数学が苦手そうなどこにでもいる働くお母さん達と、数学がマラソン大会より嫌いだった数学者とのネット上でのやりとりをまとめたものです。まず数学者の先生がクイズのようにして問題を出し、それをお母さん達があれこれ意見を出し合いながら解くというスタイルです。

例えば、あみだくじではどうして出発するところが違うと、出口も違うのでしょう?という問題の「あみだくじの謎」や、日本人の3パーセントが佐藤という名字だそうですが、娘の34人のクラスには佐藤さんは1人もいません、珍しいですねと言われたのですが、どこかおかしい気がするのは私だけ?と疑問をなげかけた「佐藤さんのいないクラス」など。こんな感じの、微分や解の公式を知っていても解けないけれど、ちょっと物の見かたを変えると解けるような一筋縄ではいかない問題ばかりです。個人的に「無限の長さを持つ曲線」がお気に入り。

お母さん達は知恵を出し合い、普段の生活から解き方のヒントを得て、先生も思いもしなかった方法で問題を解いていきます。その様子は、どう見ても数学のイメージからくる孤独や苦悩とはほど遠く、逆に和気藹々とお喋りを楽しむようです。見知らぬ魚をどう味付けしたら美味しい料理になるのか、を話し合っているってイメージに近いかな。

学校で習う数学がつまらなかったり嫌われたりするのは、これ何に使うの?と思ってしまう公式の暗記や、解き方が1つしかないような計算問題が多かったからだと思います。お母さん達は、それとはまったく別の方法で再び数学に接してみた結果、学者にも勝るとも劣らない発想をし、会話から知恵を絞ることががでてきたのでは。先生がいう様に、日本のお母さんの底力はすごい。

数学という単語を聞くと、嫌そうな顔をする人がいます。中には即座に強い拒絶反応を示す人もいます。まるでお経を唱えられた悪霊のようにね。そのような人にも読んでもらいたい本です。

[ 2008/01/16 20:34 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2008年01月10日(木)

妹は思春期10 

妹は思春期 10 (10) (ヤングマガジンコミックス)妹は思春期 10 (10) (ヤングマガジンコミックス)

著者:氏家卜全
出版:講談社
発行:2008/01

評価〔C〕 思わせ振りなところがいい
キーワード:4コマ漫画・ギャグ・下ネタ・学校

普通の会話をしていたハズなのに、またしてもエロい内容になってしまった。(本文より抜粋)


記念すべき1冊目が下ネタ中心のギャグ4コマ漫画なのはどうかなと思ったのですが、今年初めて購入した本ですし、これも何かの縁と思って感想を書きたいと思います。

「妹は思春期」は10巻で最終巻。漫画は単行本で読む派なので、今回で最終巻だと本に付いている帯で初めて知りました。だから帯にも表紙にも金色を使っているのかも。最終巻でしたけれど、内容はいつもどおりでした。ミホの出番が多く、金城の出番が少なかったです。

この漫画を未読の方のために紹介しますと、2人暮らしをしている普通の高校生の兄妹、城島シンジと城島カナミ。妹のカナミは出来た子ですが、なにかとエッチなことばかり考えたり言ったりしています。そのエロボケ妹に友達や先生まで加わり、さらに会話はエロい方向へ……といった感じです。こう書くと敬遠する人がいると思いますが、御心配なく。卑猥な言葉ばかり出てくる割りに、直接的なイヤラシイ表現は皆無なためか、意外にさっぱり読むことができます。この本の帯にも「まったりエッチ、なにげにサワヤカ」とありますしね。

下ネタばかりで飽きてもおかしくないのに、最後まで飽きさせず続いたのは凄いと思います。新キャラや新しいオチを出すタイミングがうまいんだよね。例えば、あぁこのパターンは見飽きたな~思い始めたあたりで、違うパターンに変えるとか。好きだったのは城島兄妹の会話、そしてマナカとエーコがらみのギャグです。どれもそうなのですが、くだらない、しかし笑えるくだらなさが良かったです。どのキャラも外見はまともなんだけどねえ。ボケキャラの中では、中学生なのにカナミと同レベルのエーコや、妄想にとどまらず実行しているショーコが、主人公のカナミを上回っていたと思います。カナミはただ単に猥談が好きなだけのようにもみえます。結構恥ずかしがったりしていますので。

各回のはじめのページの右半分、タイトルロゴの下に描かれたキャラのイラストが好きでした。デフォルメあり、4コマではあまり見られない適当でない全身像あり。あの部分だけ見ていると下ネタ中心の漫画にはみえないなあ。

ネットで誰かが面白いけど人には(恥ずかしくて)薦められない漫画と書いていました。非常に的確だと思います。この漫画の初期の頃、POPに『おすすめ!』と書いて推していた本屋さんに感謝。あのお試し読みが無ければ読むこともなかったでしょう。これで最後かと思うと残念ですが、無理に続けるよりはよっぽど良いと思います。今まで笑わせてくれてありがとう!

[ 2008/01/10 22:53 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2008年01月09日(水)

基本方針 

まだサイトのデザインがかたまらないため、あれこれ試行錯誤しつつ更新していきたいと思います。手間はかかりますが、背景や本文の色を変えたり天気予報などブログパーツを探したりするのは、予想通り楽しいです。部屋の模様替えのよう。


さて。開設前から迷っていたサイト名ですが、最初の記事をアップした後も迷っていて、いくつか考えてみたのですがどうもしっくりこなくて、仮でつけておいた『好きな本は何遍も』をそのまま使うことにしました。とりあえず、これでよろしくお願いします。


読書感想文ブログを書くにあたって基本方針と、読む際の注意点を説明します。以下の説明をご覧下さい。

1.読んだ本はアルファベットを使って6段階で評価します。

 S (すごい)
 A (かなり好き)
 B (良かった)
 C (好感)
 D (普通)
 E (不満足)

 ★でも良かったのですが、以前書いた評価メモを見直し
 たらABC評価だったので、今回もこれで。 
 評価というよりはむしろお気に入り度・満足度です。
 良し悪しよりも好き嫌いを優先します。

2.ネタばれは基本的になしです。
  だけど書きたいときもあると思うので、その時は『ここから
  ネタばれ』と記述して文章の色を変えて見えないようにするか、
  読まれたくない文章を『』で囲み、同じく色を変えて見えないよ
  うにしておきますのでご心配なく。

  例文↓
  今日の晩御飯は『カレー、食後にリンゴ』を食べました。
  『』の間をドラッグすると色が反転して読めるようになります。

3.続きものは、前巻までの話はネタばれありです。
  でないと、何も書けなくなってしまう可能性があるからです。  

4.これらを変更する時はお知せします。

以上です。よろしくお願いします。


[ 2008/01/09 23:24 ] お知らせ | TB(0) | CM(0)

2008年01月05日(土)

はじめの挨拶 

はじめまして、トナクと申します。
当ブログは僕の読書感想文ブログです。

今までとりとめなく好きなように本を読んできましたが、読書に関するブログを見ているうちに自分でも書きたくなり、思い切ってブログを立ち上げました。

また、読書メモをつけておけば、初めて読んだ時の感想を思い返したり、本の2度買いの危機を回避できたり、いくら本にお金を使ったか大体分かったりと色々便利だと思ったのも、ブログ開設の理由です。

書評やレビューや読書感想文を読むは好きですが、書くとなるとまったく自信がありません。かなり拙い文章になると思います。しかも、感想とともに点か星で評価をつける予定です。怖いもの知らずな試みですが、誰かが本を買うときにほんの少しでも役にたてば幸いと思っております。

基本的にここでは読書のことしか書かない予定です。僕は当ブログとは別に、イラストサイトを運営います。そちらでは読書以外のことについて書いたり描いたりしていますので、興味がある方はリンクからどうぞ。

アフィリエイトには興味がなかったのですが、書影(本の画像)をどうしても使いたかったのでアフィリエイトを使用することとなりました。アフィ嫌いの方もいらっしゃるかと思いますが、そこはご容赦を。

[ 2008/01/05 23:31 ] お知らせ | TB(0) | CM(2)