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2020年03月14日(土)

直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座 



著者:内田 樹
発売日: 2017/7/7

評価〔C〕 大きなテーマが多いです。
キーワード:エッセイ、教育、メディア、政治、国際、

おっしゃるとおり、煙草は体に悪い。だが、アルコールもジャンクフードも体に悪いことには変わりはないだろう。(第6講より抜粋)


雑誌に連載されていた900字のコラムを採録したエッセイです。題材は仕事論から政治論まで幅広く取りあげています。

あとがきにあるとおり、冒頭のテーマからは読者が予想しない終わり方をしないように捻って書かれているのが良いです。嫌いなものがはっきりしているので分かりやすいし一貫性があります。また、政治などでは近未来の予測を具体的に書いていて面白い試みだと思いました。自分に先見の明があるのか分かるし、その時の感情までよみがえってきそうで興味深いです。

このようなエッセイでは自分にない物の見方や考え方を少しだけ求めながら読むのですが、残念ながら共感や感心よりも異議や不賛成、もしくは違和感のほうが多かったです。それに、他のエッセイよりも違う気がするんだけどと思う回数が多かったです。読んでいてお金に苦労したころがなさそうと思ってしまいました。

異なる意見の人の言い分や価値観を知ることができたのは良かったです。



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[ 2020/03/14 21:57 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2019年11月10日(日)

孤独の価値 



著者:森 博嗣
発売日: 2014/11/27

評価〔B〕 程度の問題かと。
キーワード:孤独、人生観、人生論、

言葉ではっきり書くと、孤独を怖れている人は、孤独がどれほど楽しいものか知らないのだ。(本文より抜粋)


メディアでは人と人の繋がり、絆が何かと取りあげられ連呼されています。それでは反対の孤独はどうなのでしょうか。最近では孤独死が問題になっていると聞きますが、寂しいから悪いものなのか、そもそも良いものなのか悪いものなのか。あまり深く追求されない孤独について小説家の著者があれこれ語ります。ひとり入門書。

小説家だけあって集団行動を好む人たちよりも一人でいる状態を好意的にとらえています。発想や創作は1人で行うものだと説き、孤独も悪くないと主張しています。欠点に見える寂しさとは何かも考え、受け入れる手段も考慮しています。エッセイにしては体系的ですがどこかふらふらしているところが、やはりエッセイなのかもしれません。

私は他人から一人でいるのが好きな人だと思われているので、孤独の良さについては概ね同意です。しかし、これでワイワイ騒ぐのが好きな人たちが孤独を愛するようになるかは疑問です。ふと不安や寂しさを感じた時に助けにはなるかもしれませんね。



[ 2019/11/10 17:38 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2019年05月28日(火)

非社交的社交性 大人になるということ 



著者:中島 義道
発売日: 2013/5/17

評価〔C+〕 実質エッセイ本です。
キーワード:哲学、現代、哲学塾、若者

だが、この際とくに言っておきたいのは、きみと異質な人々を切り捨てるのではなく「大切にする」ことである。(はじめにより抜粋)


題名の「非社交的社交性」とはカントの言葉で、人間は我慢できないが離れることもできない人々に囲まれて生きているという意味だそうです。少し調べてみたところ著者は人間嫌いみたいなので、そういう人が人間関係をどう思いどう実践しているのか、哲学者から見た人付き合いとはどうなのか興味があって手に取りました。

前半は哲学のエッセイと著者の半生が書かれています。エッセイの部分はカントが中心でまったく知らないことが多く興味深かったです。学問とは少し外れた哲学者の飲み会の話題は何か、なども面白いです。少子化などの社会問題には触れないところがいかにもって感じですよね。

後半は著者が主催する哲学塾について、日頃思っていることや印象に残る出来事を綴っています。特にある種の特徴、言葉を額面通りに受け止め批判に弱い生徒たちの言動を紹介しています。はじめは穏やかに紹介しているのですが次第に辛辣になって、少々戸惑いましたしあまり良い気分ではありませんでした。そして、前半では自分は哲学を続けているので真っ当な社会人とは違うと言っているけれど、後半では生きづらそうに生きる生徒たちに対してもっと真っ当になれと諭しているのが、なんだか皮肉っぽくて印象に残りました。

上記のとおり本書は哲学の本というより哲学者のエッセイです。勘違いしないように注意してください。



[ 2019/05/28 22:19 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2019年03月09日(土)

恐怖の構造 



著者:
発売日:

評価〔C〕 一個人の考察です。
キーワード:恐怖、ホラー映画、ホラー小説、

我々が恐れている感情の多くは「恐怖」ではなく「不安」なのではないか。(本文より抜粋)


題名は心理学のそれですが、内容はホラー小説化が恐怖について語るエッセイです。

新書のように体系立てて書かれていないので話がやや散文的ではありますが、恐怖という感情を仕事にしている方が恐怖についてどう思っているのか知ることができます。説得力があると感じたのは恐怖と不安の違いです。対象がはっきりしている恐怖と、漠然とした感情の不安の違いを上手く説明していて興味深かったです。他には創作のジャンルとしてのホラーの定義も、なかなか新鮮で面白いです。

ただし、これらの意見は著者の個人的な体験をもとに書かれているので、客観的な裏付けがあるわけではありません。あくまで一個人の価値観です。何か根拠となる実験や調査結果があればぐっと説得力が増すのですが・・・・・・。

最後の章で精神科医の方と恐怖をテーマに対談をしています。途中で精神科医の方が、平山さん(著者)が怖いものではなく平山さんが怖いって話じゃないのと言っていて、私が思っていたことを代弁してくれたかのようで印象的でした。やはり小説家って感性が少し違うのかなって思ってしまう対談ですので、著者のファンの方は読んでみることをおすすめします。



[ 2019/03/09 21:36 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2018年09月09日(日)

おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 



著者:角川書店 (編集)
発売日: 2001/7/1

評価〔B-〕 意外と堅苦しくないです。
キーワード:古典、俳句、俳諧、詩歌、旅行記、江戸時代、

夏草や兵どもが夢の跡(本文より抜粋)


多くの人が俳句といえば松尾芭蕉、芭蕉といえば奥の細道を連想するであろう有名な作品です。学校で勉強したはずですが、東北地方を旅したくらいしか覚えていませんでした。

芸術関係の本なので、歌集のようにある程度知識がないと楽しめないのかなと危惧していましたけど、万葉集や古今和歌集のように歌だけではなく、風変わりな旅行記を読んでいるようで予想よりもずっと分かりやすかったです。現代語訳も説明が多すぎることもなく違和感がないのが良いです。

あの有名な「松島やああ松島や松島や」は芭蕉の句でなく、近代に作られたもので無縁の駄句と書かれていて驚きました。確かに単純すぎないかとは思っていたのですが・・・・・・。では芭蕉はどんな句を詠んだかというと、絶句して詠めなかったそうです。よっぽど荘厳な景色だったのでしょう。

また、「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」が山形県山寺とは知りませんでしたし、「庭掃きて 出でばや寺に 散る柳」は偉人の人間味あふれる側面が見えて興味深かったです。実際に芭蕉がたどった土地や名所を訪ねてみるのも、面白いかもしれません。



[ 2018/09/09 11:57 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)