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2020年02月16日(日)

ゆるす力 



著者:植西 聰
発売日: 2012/7/28

評価〔B〕 分かってはいるけれど難しい。
キーワード:ゆるす、心理学、人間関係、

ゆるしとは相手を忘れる、無罪放免にする手段ではなく、自分を自由にする手段、それがゆるしです。(第一章12より抜粋)


怒りに注目した書籍は時々見かけますけど、許すことについて書かれたものは珍しい気がします。

他人のためでなく自分のために誰かをゆるすことが大切だとし、受け止め方を変える方法や人それぞれと諦める方法、怒りから気分を切り替える方法を紹介しています。とにかく数多くの手段・方法が書かれているので、自分に合ったもの興味のあるものから試していくのが良いです。また、第三章の「相手に事情があったのかも」などいくつかは既に実践していたものもありました。

上記の引用の、ゆるしとは自分を自由にする手段、という表現が印象に残りました。他には「気持ちを客観的に表現してみる」「石ころを握る」あたりが興味深く試してみたくなりました。特に後者は自分にはない発想です。

しかし、頭では分かっていてもいざ腹が立つ状況になると怒ってしまうものです。怒りをうまく制御するのは本当に難しいです。無意識にストレスを貯めこまない程度に怒りをあらわにするのは控え、他人と衝突しないようにしたいです。



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[ 2020/02/16 21:44 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2019年10月23日(水)

「時間の使い方」を科学する 思考は10時から14時、記憶は16時から20時 



著者:一川 誠
発売日: 2016/7/15

評価〔B+〕 公私ともに使えそう。
キーワード:時間、実用、サーカディアンリズム、目標勾配、

この規則性は、総合的な印象は、最も明確であった際の印象強度と最終段階での印象強度によって決定されているということで「ピーク・エンドの法則」と呼ばれています。(第9章より抜粋)


時間を科学するのではなく、使い方を科学的に考察する本です。学問というよりは実用書っぽいです。

心理学の研究によって分かってきた人の心の時間的特性が紹介されています。ひとつの項目を深く掘り下げるのではなく、いくつもの項目が列挙されていて雑学の本のようです。主観的な時間の長さ、身体変動のリズム(サーカディアンリズム)、作業効率を高める手段など様々な面から研究しているのが分かります。各章はコンパクトにまとまっていて読みやすいですし、「はじめに」でも書かれているように自分の興味がある章から読んで試してみるのも良さそうです。

印象に残ったのは上記の引用の「ピーク・エンドの法則」です。事後の印象はピークとエンドの中間になりやすく、持続時間は影響しないとのこと。確かに終わってみれば長時間嫌なことがあった時よりも、ごく短時間すごく嫌なことがあった時のほうが嫌です。楽しいときもそうかもしれません。関連して楽しい時間を長引かせる方法、すなわち細部に注意して、代謝を上げ、刺激を受けることの3つも覚えておいたほうが得しそうです。

他にも時間を作り出す技術、優先順位を決めるなどもすぐにでも使えそうな技術がいくつも書かれています。ちょくちょく読み返したい本です。



[ 2019/10/23 21:06 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2019年09月02日(月)

夫婦という病 



著者:岡田尊司
発売日: 2018/3/3

評価〔A〕 既婚者だったらSです。
キーワード:夫婦、結婚、出産、離婚、恋愛、

そこで一番変わった点は、互いの非に目を向けるのではなく、互いの失敗に対して優しさや寛容さを取り戻したことだ。(第十五章より抜粋)


夫婦やパートナーとの関係をより良くかつ安定したものにするために、精神科医である著者が21のケースを通して解決策を模索します。

前半は夫婦が上手くいかなくなっていく様を何回も見るので疲れてきます。お互いにもう少し思いやることができたならと思うのですが、感情的になってしまうのも良く分かります。様々なパターンが挙げられているのでどれかに当てはまる夫婦も多いのではないでしょうか。

基本的には対人関係を支える愛着に注目し、安定―不安定と回避―不安の軸で男女を分類して特性を掴み問題の解決をはかっています。愛着スタイルを踏まえた上で原因と対策を説明しているので、分かりやすく頭にすんなり入ってきます。

後半は一度は不安定になった関係が持ち直した例が描かれています。我慢以外の解決策が提示されているので、どれか一つは実践できそうな方法が見つかるかもしれません。

読んでいるうちに現在の夫婦制度は現代人の価値観に合っているのだろうか、合ってない人もいそうだな、と思い始めましたが、終盤では結婚という形にこだわらない関係や生き方について述べられていて興味深かったです。一夫一婦制ばかり考えが囚われていましたが、違う可能性を示しているのが良かったです。現代の倫理観とは離れていて驚きましたけど。一夫一婦制に向いている人ばかりじゃないからね。

個人的に価値観が合わない対策や関係もありますが、夫婦やパートナーとの良い関係を保ちたいもしくは改善したいと思っているなら一読の価値はあると感じています。これから親密になる二人にも役に立つでしょう。

巻末の科学者の方の解説も良かったです。


[ 2019/09/02 21:59 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2019年04月06日(土)

考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 



著者:梶谷 真司
発売日: 2018/9/27

評価〔A-〕 考えること自体が目的です。
キーワード:哲学、対話、考える、自由、

私たちは「問う」ことではじめて「考える」ことを開始する。思考は疑問によって動き出すのだ。(第一章より抜粋)


哲学の本はたいてい有名な理論や概念を紹介していますが、本書はそれらの難解な専門用語や研究者は一切出てきません。では何が書かれてるのかというと、哲学は専門家だけのものでなく、誰にとっても楽しくかつ必須であることの説明です。興味がある人にむけてではなく、興味がない人こそが対象の参加型哲学の入門書です。

哲学的思考を知る取り組みとして、「哲学対話」が挙げられています。10人ほどの集団で自由に話をするのですが、ただのお喋りとは一味違います。人の意見を否定しないのは良いとして、結論を出さなくて良い点や分からなくても良い点が斬新です。第一印象はアイディアを出すブレインストーミングに似ていると思いましたが、詳細を読んでいくとそれとは違う独特のものだと分かりました。

気になった箇所をいくつか。年齢も立場も違う人たちが、果たして自由に発言できるのでしょうか。生徒が先生に、部下が上司にまったく気兼ねなく自由に発言できるのか疑問です。また、第二章で自由を妨げるのが他者なら自由にしてくれるのも他者であると解いていますが、何度読んでもピンときません。共感する喜びとは違うのでしょうか。もう少し詳しく解説してほしかったです。

第二章の2に『考えることで自由になれる。そして共に考えることで共に自由になれる』のが哲学の意義としています。参加者の感想が肯定的なものが多いみたいなので、機会があれば見学して参加してみたいです。

[ 2019/04/06 21:19 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年08月11日(土)

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 



著者:中野 信子
発売日: 2018/1/18

評価〔B+〕 協調性の欠点のお話。
キーワード:シャーデンフロイデ、オキシトシン、向社会性、集団、正義感、

攻撃に伴うメリットをなんとしても捻出する必要がありました。それが、社会的排除を執行する際に脳で生み出される「快楽」です。(第2章より抜粋)


題名の単語はドイツ語で、他人の失敗を喜ぶ感情という意味だそうです。誰もが持っている心の動きだけれども、恥ずかしさも覚えます。なぜこのような感情を抱くのかを、脳内物質や心理実験によって分析しています。

この心の働きにはオキシトシンなる物質が関係しているようです。幸せホルモンとも呼ばれるこの物質の働きが、人にどのような影響を与えるのか、欠点はあるのか、そしてシャーデンフロイデとはどのように繋がっていくのかを分かりやすく説明しています。また、動物実験によるとこれの分泌量が多いと、他の個体を認識できる能力が高まるとあったのが興味深いです。私は人の顔を覚えるのが大変苦手なので、分泌量がが少ないのかもしれませんね。

多くの実験や研究が挙げられていてためになります。稲作と稲作以外の地域の集団意識の違いは視点が面白いです。また、本筋から少しそれますが、数種類のジャムを選ぶ実験やある歴史の先生が試みたサード・ウェーブ実験なども良かったです。

本書では危険性と対策の難しさが指摘されていますが、協調性と寛容さのバランスが大切なのではと考えています。昨今のネットでは当事者でもないのに激しく批判する出来事をときどき目にしますので、もう少し寛容になれば息苦しさも緩和されるのではないでしょうか。承認欲求と上手く付き合っていかねば。




[ 2018/08/11 23:52 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)