2017年04月08日(土)

その「つぶやき」は犯罪です 知らないとマズいネットの法律知識 



著者:神田 芳明 (著), 前田 恵美 (著), 深澤 諭史 (著), 香西 駿一郎 (著), 鳥飼 重和 (監修)
発売日: 2014/5/16

評価〔A〕 危険性は認識しておかないと。
キーワード:法律、インターネット、SNS、

まず前提として、名誉棄損罪は、その内容が真実であるかどうかは関係なく成立します。(第1章2より抜粋)


インターネットが発達したおかげで、誰でも気軽に思ったことを発言することができます。しかし、あまりに簡単なので、知らないうちに違法行為となっていたり、逆に不当な被害を受けることもあります。どこまでOKでどこからがダメなのか、情報発信の責任を勉強する本です。

まず、知らないうちに加害者となる場合を紹介していますが、様々な法律と共に説明されていて分かりやすいです。名誉棄損罪は事実でなくても、評価でも公然と相手を貶めると侮辱罪になることがあることに驚きました。具体例の一つとして、レストランの評価はどうなるのか?が書かれていますが、どうやら程度によるようです。その程度も、人によって異なるので難しいですね。

悪いことだとは知らなかったという弁明は言い訳にならない「法の不知は害する」について説明していますが、他人のためにも自分のためにも知識を身につけることは必要でしょう。できれば小さいうちに知っておけば、問題も起きにくいはずです。

一方、図らずも被害者となってしまった場合も紹介していますが、加害者のケースと比べて分量が少なかったのが残念です。欲を言えば、もっと個々の事例について判例を挙げたり、もっと色々なネット問題を紹介して欲しかったです。

法律の面から見たら本書の内容は正しいのでしょうが、このとおりに様々なことに注意すると、基本的に良いことしか書けなくなってしまいそうです。褒めてばかりの情報では有用かどうか判断しずらいし、会話としても味気のないものになりそうだし・・・・・・難しいものです。



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[ 2017/04/08 21:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年03月02日(木)

さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち 



著者:原田 曜平
発売日: 2013/10/10

評価〔C+〕 バブル世代との違いが際立ちます。
キーワード:世代論、若者、ゆとり、さとり、不況、デフレ、バブル、団塊ジュニア、

原田「つまり、さとり世代は、もともと裕福なせいで物欲が育みにくかった上に、お金がなくても、ある程度良質なモノを得られてしまって、そこで満足しちゃっている。」(第2章より抜粋)


少し前まではゆとり世代と呼ばれていた若者たち、さとり世代とはどのような特徴を持つのか。彼らの対談から他の世代との違いや考え方を明らかにしていきます。

ひたすら解説ではなく、かわるがわる発言する対談形式なので読みやすいです。著者が司会を務めているので、あまり脱線することなく、知りたいことをうまく聞き出していると感じました。さとり世代誕生の要因は予想がついていたので驚きませんでしたけど、彼らの恋愛論や仕事に対する考え方は興味深いものでした。専業主婦の人気が高いのは意外だったかな。理解を深めたところで、最後のバブル世代との対談を読むと、ギャップが凄くて面白いです。バブル世代がアメリカ人のように見えます。(笑)

残念なのは、本書の冒頭で触れていますけど、意見を述べてくれた若者が都会の大学生だけだったことです。しかも、結構有名な学校で、著者の大人の調査に協力するような社交的で積極的な人たちばかり。地域も社会的立場も同じ人ばかりの集団で、これらの意見を若者の代表とするのは疑問が残ります。難しいとは思いますけど、もっと偏りのないバラバラな集団ならば良かったのですが・・・・・・。

参考にはなりますが、これ1冊でさとり世代を理解しようとは思わないほうが良さそうです。



[ 2017/03/02 21:45 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年02月04日(土)

外国人が選んだ日本百景 



著者:ステファン・シャウエッカー
発売日: 2014/3/20

評価〔B〕 田舎も魅力的な観光地みたいです。
キーワード:旅行、外国人観光客、ジャパンガイド、

あなたの故郷も、外国人から見れば、「世界遺産」の富士山と同じように貴重な場所なのです。(はじめにより抜粋)


日本に関する情報サイト『ジャパンガイド』を運営する著者が、観光客の評価と人気、そして自身の意見をもとに、観光地をランキング形式で紹介しています。サイトのユーザーは個人旅行者が多いので、団体旅行者たちで賑わっているところとは異なる結果なのが特徴です。1位から50位までは各2~3ページ、51位以降は各3行ほどで簡潔に紹介しています。

予想よりも人里離れた自然豊かな場所がいくつもランクインして、少し驚きました。日本人でも良さそうだけれども、そこまで行くのはちょっと大変そうと思ってしまうような観光地もあります。日本国内とは思えないような自然や、温泉など昔の日本を感じることができる場所が人気があるようです。温泉に入るニホンザルが好評でほほえましいです。

また、宗教関係の場所が多かったのも意外です。日本人が外国の教会を見にいくようなものでしょうか。金閣は日本を代表する建造物という印象が強いそうなので納得ですが、それ以外のもの、特に鎌倉大仏は意外でした。どうやら日本人が考えているよりも知名度は高いみたいです。

良く知らなく興味のなかった観光地も、異なる文化圏の人の目を通すと、どこか新鮮に感じます。外国旅行も良いけれど、国内旅行もまだまだ面白そうだと思わせてくれる一冊でした。



[ 2017/02/04 10:53 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年01月14日(土)

弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業 



著者:木山 泰嗣
発売日: 2012/4/17

評価〔A〕 役に立つ超入門書です。
キーワード:法律、民法、弁護士、

自分に債務があることを認めることを「債務の承認」と言います。「債務の承認」があった場合には消滅時効は中断します。(1日目4時限より抜粋)


この本を見た時、知人の裁判の話を思い出しました。相手が悪いのだから弁護士はいらないと、弁護士を雇わないで裁判に行ったら、裁判所の人に弁護士がいなければ勝てる裁判も勝てませんと忠告されたそうです。法律は専門性の高い分野だと思います。中でも膨大な量がある民法は難しいそうです。必要性が高いけれど難解な民法を、できるだけ簡単で分かりやすく説明しようと試みたのが本書です。

超入門書なだけあって、知識がまったくゼロからでも読み進めることができます。内容は2日間の講義形式とし、前半は基礎を、後半はその具体例を挙げて解説しています。具体例が未成年の子供が万引きしたときの責任や、大家さんに無許可で部屋を又貸しなど日常で起こりそうな、または巻き込まれそうな問題が多く興味深いです。

予想通り専門用語が多くです。意思の欠缺(けんけつ)を始め聞きなれない言葉ばかりです。相手に原因があることを「帰責事由」なんて難しく言わなくてもいいと思うのですが、厳密に言葉を使わなくてはならないから仕方がないのかな。

印象に残ったのは上記引用の時効についてです。途中で「債務の承認」があると、さらに時効が伸びるのは知っておいたほうが良さそうです。飲食店の代金、ホテルの宿泊料の有効期限が1年しかないのも意外でした。また、連帯保証人についての記述も勉強になりました。単なる保証人の違いもきちんと説明してあります。債権者がいつでも連帯保証人に請求してよい点がポイントです。

超入門書とはいえ、もちろん分かりにくい難解な箇所もありますが、全体的に丁寧に要点だけ書かれていますので理解しやすいと思います。こうした知識は自分を守るために必要だなと再認識しました。



[ 2017/01/14 21:35 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年01月02日(月)

京都ぎらい 



著者:井上章一
発売日: 2015/9/11

評価〔B-〕 京都の華やかでない部分を紹介。
キーワード:京都、洛外、洛中、歴史、地域差、

ひとことで言えば、洛外でくらす者がながめた洛中絵巻ということになろうか。(まえがきより抜粋)


京都の人は性格が悪いと書かれているのを、ネットで何回も見たことがあります。何でも遠まわしに文句を言ういやらしさがあるとかないとか。早く帰って欲しい客には「ぶぶ漬けでもどうですか」と尋ねる逸話が有名ですが、本当なんでしょうか。あまり語られなかった京都人の本心について、京都市嵯峨出身の著者が暴露します。

『洛中の人々は洛外の人々を見下している』。洛中の中華思想は、都会に住んでいるほうが格上という価値観に似ています。しかし、どの地域にもありそうな都会人の優越感よりを、さらに苛烈にした感じです。良く言えば自尊心、悪く言えば選民意識かな。このまえちょっとだけ読んだ漫画にもそのことに触れていて、洛中の中にも序列があるみたいです。なぜ住んでいる場所がそれほどまでに重要なのかは、正直言って実感できません。でも、著者自身も自覚していますが、著者がさらに洛中から遠い地域を下に見ていることから、京都付近の社会ではそのような強固な因習があるのでしょう。

他には寺と花柳文化、寺と行政、京都と江戸の意外な関係が明かされています。こちらは京都人ではなく、京都の町の特色を分かりやすく説明していて、さすが歴史のある都市だなと感じさせてくれます。歴史の勉強をするのに身近な地名が出てくると、分かりやすいし覚えやすくてよさそうです。また、寺の拝観料の正と負の面は興味深かったです。

残念なのは、歴史に重点が置かれて、本来のテーマであった京都人の価値観や性分が少ししか明かされなかったことでしょうか。帯には「千年の古都のいやさしさ、ぜんぶ書く」とある割にはそうでもなく、なんだか物足りなかったです。




[ 2017/01/02 22:03 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)