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2018年11月18日(日)

なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか パンと日本人の150年 



著者:阿古 真理
発売日: 2016/10/7

評価〔C〕 現状をもっと語って欲しかった。
キーワード:パン、食文化、主食、

日本にはフランスのように国立のパン学校はないが、チェーン展開する大手製パン会社がある。(本文より抜粋)


食パンをはじめとして菓子パンや総菜パンと、数多くのパンが現代の日本では売られています。日本にパンが入ってきて約150年。どのようにして受け入れられてきたのかが綴られています。

フランスパンの品質が語られているのかと思ったら、前半はパン全般の歴史でした。本格的なパン作りを日本に伝えた人、当時の人気店、製パン会社の原点が分かりやすく説明されていて、様々な要因があって普及したのだと知ることができます。また、日本のパンと特徴やパンブーム、食文化にも触れていて、パン好きにはたまらない一冊かもしれません。パンとキリスト教の考察は、なるほどと感心しました。

歴史の部分が多く、副題のほうが題名にふさわしいです。フランスパンの美味しさの考察は少しだけしかなくて残念でした。また、流行の火付け役となった人気店が紹介されていますが、興味がないので少々退屈でした。グルメの方は、こういう情報を得たら実際に行きそう。

将来は貴重な資料になりそうです。



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[ 2018/11/18 10:29 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年10月12日(金)

精神医療に葬られた人びと ~潜入ルポ 社会的入院~ 



著者:織田 淳太郎
発売日: 2011/7/15

評価〔B〕 一番の原因はなんなのか。
キーワード:精神病、入院、介護、人生、

そこは、平和だが、鍵によって密閉された「鳥かご」のような世界だった。地域との繋がりが寸断された、文字通りの無縁社会である。(本文より抜粋)


精神科病院の病棟は、接点のない人がほとんどなので、実態を知っている方は極一部です。せいぜいドラマや漫画など創作物の中での、暗くて不気味な雰囲気のイメージしかない方ばかりではないでしょうか。では、現実の病棟はどのようなところなのでしょうか。著者自ら精神病棟に入院し、何が起きているのか何が問題なのかを綴っている体験レポートです。

病棟の描写は想像よりも落ち着いていて平穏そうに見えますが、数十年も病院で暮らしている比較的健康な患者がいること自体が問題の大きさを示しています。難病のためやむを得なくならばともかく、治療以外の要因、例えば引き取り手の不在などで暮らしていかなければならないのは、どこか腑に落ちません。隔離・拘禁から治療・復帰の場とするには様々な課題がありますが、医療関係者以外の者としてできるのは精神病患者への理解と関心を持つこととあり考えさせられました。

また、日本は諸外国に比べて病床数が格段に多いのは知りませんでした。これは精神医療が充実しているからではなく、病院の経営面から入院患者を多くしているそうで、お金がなければ何もできないとはいえ残念に思います。

本書は患者と医療関係者の生の声に触れていますが、患者の家族や病院経営者の意見もあったらなお良かったです。



[ 2018/10/12 22:38 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年09月09日(日)

なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか~韓国人による日韓比較論~ 



著者:シンシアリー
発売日: 2017/11/2

評価〔B〕 グルメ本ではありません。
キーワード:韓国、外国、対日観、日本観、

韓国と日本の「見えない差」の中でも、私としてはトップクラスの差だと思っている、「ご飯」を楽しむ時がきました。(第二章より抜粋)


題名から政治・文化の話ではなく、日本の料理を題材にした本なのかと思って読んでみたら、著者の他の本同様、主に日韓文化比較が語られていました。副題にもそう書かれていますね。うっかりしていました。本書は同名の単行本を新書化したものです。

著者と彼(?)の姉と姪の3人で日本を旅行した体験談を紹介しつつ、2国の制度や価値観の違いを分かりやすく説明しています。日本人の視点とは異なる点と、現地の生の声が綴られているのが特徴です。ご飯、白米に関しては、農業制度・接待文化などが原因で味に差がついたと結論付けています。これって、収穫してすぐ日本に輸入し管理したら味が向上するのでしょうか? また米の成分はどうなんでしょうか?

栓抜きや温泉は両国の違いを表す印象的な話でした。ネットでときどき見かけるスプーン階級論に触れられていたのも良かったです。ただ著者の考察も良いのですが、日本経験(?)が浅い姉や姪の発言が興味深かったので、もっと採り上げて欲しかったです。

巻末に「新書版のための新章」が収録されています。大きな決断をされて新たな1歩を踏み出した著者には、これからも興味深い本を、そして日本の良い点だけでなく改善すべき点も遠慮なく書いてほしいです。



[ 2018/09/09 11:59 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年06月17日(日)

最貧困女子 



著者:鈴木 大介
発売日: 2014/9/27

評価〔A-〕 想像していたより苛烈でした。
キーワード:貧困、女性、性産業、

家を飛び出したのは「本人の選択」として「もうちょっと我慢すれば」というような言葉を軽々しく吐く者は、同時に加害者と変わらないと僕は思っている。(第三章より抜粋)


解決するのが難しい貧困問題の中で、知られていない若い女性たちの現状を記したドキュメンタリーです。

数多くの生の声が記されていて、その暮らしぶりに驚かされます。ある程度は覚悟して読んだのですが凄惨で、著者が取材はもう限界だと嘆くのも分かる気がします。専門家でも弁護士でもないので客観的な数字がないのが残念ですが、当事者たちの言葉はそれ以上に説得力がありました。

本書に登場する彼女たちのように、苦境に立っている人たちを自己責任の一言で切り捨てる人をネットで見かけます。しかし、実態を知らないから厳しい態度を取ってしまう人が多いのだと思います。具体的に助けることはできないかもしれませんが、非難するだけで終わらないようにしたいです。

印象に残ったのは、どんな学童保育だったら良かったのか?です。厳しい管理が彼女たちの足を遠ざけていることは、注目すべき点だと感じました。管理と居心地の良さを両立するのは難しいですが、もっと利用してもらえるよう何らかの対策が取られることを望んでいます。



[ 2018/06/17 10:41 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年04月29日(日)

働く女子の運命は 



著者:濱口 桂一郎
発売日: 2015/12/18

評価〔B-〕 経緯が詳しく書かれています。
キーワード:男女雇用機会均等法、ジョブ型、メンバーシップ型、

人の処遇がジョブではなくコースで分かれる日本社会では、欧米のような「ジョブの平等」は意味がありません。そこで、日本の男女平等政策は、もっぱら女性も男性と同じコースに乗せてくださいね、という方向に向かいました。(序章より抜粋)


1900年代に男女雇用機会均等法ができて以来、少しずつ労働環境の法整備が進んでいますが、未だに女性が働きやすいとは言えないのが日本の現状です。どうして賃金に差がついているのか、なぜすぐに同一労働同一賃金に切り替えられないのか。戦前から日本の労働を振り返り、女性の労働はどのような歴史をたどってきたかを明らかにしています。

日本では仕事に対して対価が支払われるのではなく、組織に所属していることに対して報酬が支払われるメンバーシップ型社会であるのが原因であるとしいます。この説明は説得力があります。昔よりはよくなったもののライフワークバランスなど関係ないかのような残業の多さ、家庭の事情を考慮しない転勤制度は、組織への忠誠心を試されてると考えれば理解しやすくなります。女性の場合、それに加えて家庭での役割も問題となってきます。男性の家での時間が少ないせいか、まだまだ家庭は女性が守るものという意識が残っていて、彼女たちが仕事と家庭の板挟みになるのは無理もないです。

世界が男女均等へと進んでいく時、日本経済が順調でそうした問題を軽視したのも忘れてはいけません。当時の新卒の女性たちはこうした習慣を当然と思っていたのか、それとも社会で大きな活躍を望んでいたのか。生の意見もあったらもっと良かったです。

女性の労働史としては過不足なく書かれていると思いますが、現状や今後の対策の部分が少ないのが残念でした。解決策のほうに興味があって本書を手に取ったので、他国の成功例などを踏まえて未来の話をもっと書いてほしかったです。女性の労働問題の原因や経緯に興味のある方にはおすすめしますが、私のように対策を知りたい方にはおすすめできません。




[ 2018/04/29 18:40 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)