2017年01月28日(土)

非言語表現の威力 パフォーマンス学実践講義 



著者:佐藤 綾子
発売日: 2014/7/18

評価〔C+〕 名演説は一日にしてならず。
キーワード:パフォーマンス学、プレゼンテーション、言語学、心理、

七人の映像をたった二秒間見ただけで、被験者はこの大学院生たちが正直なのか、頼りないのか、まじめなのか、日頃の大学院生たちの個性を正確に見抜いているのです。(第3章より抜粋)


人と話をする時、喋った内容よりも話者の表情や身振り手振りから多くの情報を得ている、と耳にしたことがあります。言葉だけでは分からない感情や思惑が、態度から強く伝わってくることは珍しくありません。一般的に、表情や仕種は非言語表現と呼ばれています。パフォーマンス学の第一人者である著者が、その非言語表現の重要さを分かりやすく解説します。

読むとすぐ気づきますが、本題はパフォーマンス学のほうで、非言語表現はその一部として取り扱っています。パフォーマンス学はコミュニケーション学や心理学などを含む自己表現のための複合的な学問で、本書ではプレゼンテーションや演説をメインに説明しています。演説の具体的な練習の仕方など、大勢の前で話をする機会のある方には有益なものですが、私のようにそういった機会のない人にとっては実用的とは言えません。とはいえ、自己紹介や交渉のポイントは役に立ちそうなので、知っておいたほうが得だと思います。

残念なのは非言語表現を扱ったところが少ないことと、一つひとつの表現の解説が浅いことです。意見を聞く際、相手を指差すのは良いことか悪いことか、悪いならどうした仕種なら良いのか、どうした仕種や表情が相手の発言を促すことができるのか、など細かいことが知りたかったのですが書かれていませんでした。プレゼンの指導を生業とし、人間嘘発見器とまで呼ばれているならば、もっと具体的なことを教えて欲しかったです・・・・・・というのは欲張りなのかな?



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[ 2017/01/28 21:46 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年09月20日(火)

「超」集中法 成功するのは2割を制する人 



著者:野口 悠紀雄
発売日: 2015/9/17

評価〔C〕 その2割を見つけるのが難しい。
キーワード:実用、勉強、仕事、

世の中では、「重要なのは2割程度であり、それで全体の8割程度の効果が得られる」場合が多いのです。(本文より抜粋)


学校の勉強でも職場の仕事でも、本当に大切な部分は全体の2割ぐらいで、その部分に力を入れれば全体の8割くらい把握するのと同じことである、というのが著者の主張する法則です。どこかで見聞きした「2:8の法則」と同じですが、これがいかに日常生活に当てはまるのか、そしてどうすれば効率よく物事を進められるのかについて検討しています。

何事も一様ではないことは経験から知っていますが、問題はどこか重要なのか知ること、発見することです。それについては本書でも述べられていますが、その核心部分(コア)の見つけ方が『能力のある人から教えてもらう又は見て盗む』で、あまり参考にならなかったのが残念です。もう少し具体的な方法が欲しかったです。難しいとは思いますが。

また、終盤で残り8割の部分は無視できないとしながら、しかしやはり2割が重要であるとも強調していて、少々混乱しました。このような書き方ですと、結局どちらが大切なのかよく分からなくなってしまいそうです。

一方、書類整理やべき乗分布のくだりは興味深かったです。特に前者の使う頻度の高いものを揃える手法は、物が多い場合は有効かもしれませんね。私も本棚で似たようなことをしています。こうした良い点もありましたが、全体的には良くなかった点が目立ってしまいました。



[ 2016/09/20 20:45 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年08月14日(日)

人間は脳で食べている 



著者:伏木 亨
発売日: 2005/12

評価〔B-〕 「美味しい」を分解して考察しています。
キーワード:食事、食生活、文化、脳、情報、おいしさ、

なぜ人間は情報のおいしさに頼ろうとするのか。口や舌の感覚よりも情報が気になるのはなぜか。ひとことで言うと、食の安全対策である。(本文より抜粋)


美味しいものが食べたいのは、いつの時代もどの国でも共通の欲求だと思います。中には、食事は本来必要なエネルギーを得るために取るものなのに、美味しい食べ物の虜となり、食べること自体が目的となってしまった人たち――美食家、グルメな人もいます。しかし、そもそも美味しいとは一体どういうことでしょうか。この根本的ですが複雑な疑問を、本書は分かりやすく解説しています。

栄養素はもちろん、文化・体内の生理メカニズム・情報など、内容は多岐にわたります。その中で最も現代的で重要なものは情報で、安全や権威が関与していると説いていて興味深かったです。それと、「匂いの判断は味よりもかなり正確」なのは、意外でした。確かに食べる前に分かったほうが安全ですからね。また、現代人の食生活についても触れていて、どちらかというとそちらのほうが豆知識っぽくて面白かったです。食の好き嫌いの説明は説得力がありました。

ところどころ読者を代表するかのような発言を挟み込んで、会話のようなやりとりで説明しているのが特徴です。慣れるまで違和感がありましたが、慣れてしまえばこれはこれで良いかなと思いました。個人的には、対話方式で書かれていたほうが、より分かりやすいので好みです。

食事や食生活に関してぼんやり思っていたことが、やはりそうだったと再確認できました。あっと驚くようなことはありませんでしたが、複合的な感覚・現象を調べる難しさも分かりました。簡単そうにみえる題材ほど研究は難しいようです。




[ 2016/08/14 21:17 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年05月29日(日)

回復力 失敗からの復活 



著者:畑村 洋太郎
発売日: 2009/1/16

評価〔B+〕 失敗学から得た成果でしょうか。
キーワード:失敗、回復、

人はその弱さゆえ、傍から見ると明らかな失敗をしている場合でも、自分ではそれが失敗であるとすぐに認めることができないときがあります。そのため失敗の上にさらに失敗を重ねることもよくあります。(本文より抜粋)


失敗学の第一人者である著者が、失敗から立ち直るコツを解説します。

まず、人は失敗をするし弱いものという前提から始まり、潰さないための行動やその後の対処法などが順を追って書かれていています。失敗した時はエネルギーがなくなっているので、まずはエネルギーを取り戻すことが基本的な考え方となっています。失敗後はエネルギー不足のため、間違った行動をしてしまって事態を悪化させやすいというのは同意見です。そして、潰されないために、一般的には良くないとされる逃避や責任転嫁を認めているのが新鮮でした。一時に緊急避難として使うなら、かなり有効であると感じました。

失敗を見るときの絶対基準として「お天道様」を挙げていますが、なんか違和感があります。全然気にしない人もいそうですし、倫理観は人によって差がありますし・・・・・・あまり良い方法が思いつきません。多くの人に聞いて平均を取るとか? 自分でも他人でも評価するのは難しいです。

具体例をいくつか出していますが、少なかったように感じました。欲を言えば、もう少し体験談を読んでみたかったです。

本筋とはそれますが、興味深かったのはコンプライアンスの話です。本来の意味は法令順守ではないのですね。

失敗に対する準備として、失敗を想定するというのも印象に残りました。予期せぬ事態には慌ててしまいますが、ある程度予想がついていたことなら、多少は冷静になれるかもしれません。潰されないための方法とこれは、頭の片隅に入れておこうと思います。



[ 2016/05/29 17:48 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年04月17日(日)

ルポ 電王戦 人間 vs. コンピュータの真実 



著者:松本 博文
発売日: 2014/6/6

評価〔B+〕 ゲームにおける人と機械の競争
キーワード:将棋、人工知能、電王戦、機械学習、

コンピュータ将棋界のブレイクスルーは、その本流とはかけ離れたところから、ある日、突然やってきた。(第一章より抜粋)


先月、囲碁では人工知能「アルファ碁」が韓国のプロ棋士に勝利しましたが、将棋界では現在進行形で第1期電王戦が行われています。人間と人工知能が先手後手を入れ替えて二局指します。第1局は中尊寺で行われ、人工知能のPONANZA(ポナンザ)が勝ちました。将棋もこのまま人が負けてしまうのか否か、注目されています。この電王戦と呼ばれる対局企画は、数年前から行われているプロ棋士VSコンピュータ将棋を指します。本書は、電王戦がどのように始まり、どのように発展していったかを綴ったドキュメンタリーです。

電王戦のみならず、コンピュータが弱い時代から順を追って紹介しているので、分かりやすいです。プログラムについてまったく知らなくても問題ありません。ただ、将棋のルールくらいは知っておいた方が良い内容です。プロ棋士側の紹介もありますが、人工知能のほうに多く分量がさかれています。

将棋の指し方には個性が出ると言われていますが、ソフトもその開発者も十人十色で面白いです。なかでも印象に残ったのは、ブレイクスルーのきっかけを作ったBonanza(ボナンザ)と、対人ではなく対ソフト用のソフト・やねうら王です。前者の開発者保木さんは研究者で、勝負の世界の人たちとは違う世界の人です。まったく関係ない世界の人が、別の世界に大きく影響を与えることとなったのは、面白いですよね。後者のやねうら王も、出るべくして出たソフトで、しかも優秀な成績を残しているのが凄いです。こうした発想が、また次へと繋がるのでしょう。

将棋の内容そのものは専門的になりすぎるためか、大まかな説明でした。盤面の図があれば良かったと思います。また、勝負した棋士たちの言葉があまりなかったのが残念です。どこがどう違うのかを知りたかったけど、これも将棋を知らない人が読むには専門的過ぎるので省いたのでしょうか。PONANZAの開発者の山本さんについての話が、多かったのも少々気になりました。

私は将棋が好きですし、電王戦も大雑把にしか知らなかったので楽しめましたが、まったく知らない人の場合は読んで面白いかどうかは分かりません。将棋か人工知能、どちらかに興味があれば楽しめるのではないでしょうか。



[ 2016/04/17 21:53 ] 実用 | TB(0) | CM(0)