2017年07月16日(日)

語彙力を鍛える 



著者:石黒 圭
発売日: 2016/5/19

評価〔B+〕 言葉に品や知性がでるよね。
キーワード:語彙力、書き言葉、話し言葉、類義語、敬語、

「最も最強」のように、漢字が重なる重言はすぐに気づくのですが、漢字が重ならない重言は気づきにくいので、注意が必要です。(本文より抜粋)


当ブログを書きはじめてかなりの月日が経ちますが、未だに辞書サイトを違うタブで開きつつ書いています。少し自信のない単語は調べてから書くので、この感想文を書くのにかかる時間は、あまり短くないほうだと思います。時間のかかっていないような感想ばかり書いていますが。何度も同じような感想を書いていると、国語力、特に語彙力は重要だと痛感します。稚拙なまたは何度も使っている言葉ばかりになってしまいますし、細かいニュアンスが表現できていないと思うことが多いです。そんなわけで、本書です。

前半は言葉の数を増やす方法、後半は使う言葉の質、表現力を豊かにする方法を解説しています。どちらかと言うと、前半に興味を持って読み始めたのですが、印象に残ったのは後半のほうです。適切な時に適切な単語や表現を使うのは、なかなか難しいことです。とっさに正確に、かつふさわしい表現で意思を伝えるのは技術が要ると思います。後になって考えてみたら、なんか言い方がしっくりこなかったことは度々あります。

具体例として挙げている、幼い子供や留学生の言い間違いは、どこが間違っているのか分かりやすくて良いです。母語だから感じ取れる違和感なのですが、語彙力は適切な表現を使うことで、豊かになるものだと理解できました。それ相応の連語(語の組み合わせ)を使うと効果的なので、良い表現を見聞きしたら覚えておこうと思います。

少し驚いたのは「まず最初に」の説明で、これが重言で間違っているとは気がつきませんでした。「事前予約」も自分では使いませんがよく聞く単語です。でも、これも間違い。指摘してくれる人がいないと、間違って覚えてしまう可能性があります。また、2章の『文字種を考える』では、続柄の読みは「つづきがら」、貼付は「ちょうふ」とあり、いつも迷うので今回再確認できてよかったです。あまり馴染みがない言葉なので、覚えてもすぐ忘れてしまいます。Amazonの書評で、続柄を間違えて覚えていたと書かれていた人がいて、なんか親近感がわきました。

最後に紹介された兄弟子と弟弟子の逸話のように、大切な場面で真に力のある言葉が出てくるように、言葉には気をつけようと再認識しました。


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[ 2017/07/16 23:14 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2017年06月03日(土)

「ほぼほぼ」「いまいま」?! クイズ おかしな日本語 



著者:野口 恵子
発売日: 2016/8/17

評価〔B+〕 正しい日本語は難しいです。
キーワード:日本語、言語、言語学、

「くださる」は「くれる」の尊敬語、「いただく」は「もらう」の謙譲語だが、「いただく」の使用頻度のほうがはるかに高い。日本人はそんなに「もらう」のが好きなのか、と言いたくなるほどだ。(第三章より抜粋)


仕事でメールを書く時、敬語が得意ではないので度々検索して調べていますが、よく分からないことがあります。なにげなく話している日本語ですが、まったく間違えない人は少なそうです。本書には多くの間違った日本語の例が挙げられています。驚くべきことにすべて実例だそうです。簡単なクイズでそれらを紹介し、著者が正しい表現を示しています。

最初の語彙・意味は正解がすぐ分かるのですが、文法や敬語は結構迷いました。どれが正解かなんとなく分かるのですが、何が間違っているのか、どう間違っているのかがうまく指摘できないものもありました。クイズではどれが正解かだけでなく、文法的にどこが間違っているのかしっかり解説していて、理解しやすいのが良いです。「くださる」と「~いただく」は、よく分かっていなかったので勉強になりました。

ツイッターから生まれた誤用を見て、著者は大丈夫か日本人と狼狽し、そして警鐘を鳴らしています。私もネットを見ていると「こんにちは」を「こんにちわ」と書いている文章をよく見かけるのですが、未だに違和感があります。時代が変わるにつれ言葉も変化していきますが、正確な日本語を使って欲しいと願う著者に、共感を覚えました。



[ 2017/06/03 18:11 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2016年01月03日(日)

0歳児がことばを獲得するとき―行動学からのアプローチ 



著者:正高 信男
発売日: 1993/06

評価〔A-〕 行動学って観察が大変そうです。
キーワード:新生児、ことば、声がわり、クーイング、母親語、

赤ちゃんは高さのより高い音によって、より強く注意を喚起されるのだと考えられる。これはヒトの乳児に、生まれながらに備わっている感覚器官としての聴覚の性質であるらしい。(第五章より抜粋)


生まれたばかりの新生児がどのようにして言葉を習得していくのかを、行動学の視点から研究・考察した本です。外国語を習得する過程などは研究成果がある程度でているようですが、言葉を知らない赤ちゃんがいかにして言葉を理解していくのか、その初期段階に注目した珍しい新書だと感じました。

周囲の大人やテレビの音などを真似しているうちに喋れるようになる、とボンヤリ思っていたのですが、実は様々な段階を経て成長しているのが分かります。授乳のタイミングやおうむ返しなども目を引きますが、特に印象に残ったのは文脈のメロディーについてです。話している内容よりも、相手が何を伝えたいのか感情表現を重要視して意思疎通をしているのが興味深いです。外国人と話していてまったく理解できなくても、困っているか感謝しているかくらいは分かるのと似ていると思いました。内容よりも伝える意欲や意思が大切です。

また、新生児ののどの形態を声がわりと結び付け、行動学だけでなく生物学・解剖学の見地からも考察をしていて面白いです。声を出しながら物を食べることができる動物がいることは知っていましたが、新生児もそれに似たのどを持つとは驚きです。それと、言語獲得の過程が日本人・日本語だけの特性かどうか確認するために、外国の研究者と共同実験をしているのも良いですね。

あくまで0歳児の話なので、言葉をきちんと理解し発音するところまではたどり着きませんけど、初期段階の学習の仕方が分かってきただけでも凄いと思います。相手に質問できず回答も得られないのに、ここまで分かったのですから。結構かたい内容ですが、親になる大人には役立つかもしれません。




[ 2016/01/03 21:00 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2013年11月09日(土)

女ことばと日本語 

女ことばと日本語 (岩波新書)女ことばと日本語 (岩波新書)
著者:中村 桃子
出版:岩波書店
発行:2012/08/22

評価〔B〕 言葉と社会の関係を探求します。
キーワード:日本語、女ことば、社会、政治、

当時の女子学生はさまざまな言葉を使っており、その中には書生言葉も、「てよだわ」言葉も、英語も漢語もありました。(本文より抜粋)


現代では女性らしい言葉使い、すなわち女ことばは当たりまえのように存在していますが、これらはいつからあったのでしょうか。日本語が話し始めた頃なのか、それともある時期を境に増え始めたのか、その歴史を知っている人はほとんどいないと思います。よくある言葉づかいやマナー本のように具体的な使用法ではなく、その存在理由と意義について考察していきます。

女ことばの成り立ちがいかに社会の影響を受けているのかが分かります。日本社会が女性に求めてきたものやその時代の政府に都合の良いものが、女ことばに色濃く反映されていて少々意外でした。方言に近いのかなと思っていたので。今からは想像しがたい男女の区別もしくは差別があったのが分かります。

また、男ことばとは何なのかと逆から考えてみると、色々見えてきて面白いです。明治政府の標準語を定めるに当たって、どの話し言葉を採用するかを決める逸話が興味深いです。そのあとに続く、てよだわ言葉から女学生ことばへの変遷も重要でなるほどと思ってしまいました。

当時の資料を挙げ説明してあるのでためになるのですが、社会だけでなく政治や思想も絡んできて、予想していたよりもずっと深く重いテーマなのだなと感じました。読んでいるとまだ資料が十分でないところもありそうで、今後の研究によりさらなる発見が期待できそうです。







[ 2013/11/09 18:13 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2013年10月03日(木)

日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 

日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 (光文社新書)日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 (光文社新書)
著者:石黒 圭
出版:光文社
発行:2013/05/17

評価〔B〕 言葉の適切さを研究する学問です
キーワード:言語、話し言葉、言葉づかい、

社会言語学の立場からすると、「正しい敬語」は存在しません。あるのは「ふさわしい敬語」だけです。(本文より抜粋)


社会言語学という分野があるのを本書を読むまで知りませんでした。言語学と聞くと品詞や動詞の活用、古語を研究しているイメージですが、社会言語学は仕組みそのものではなく実際に話されている生の言葉を研究する身近な学問です。

話し言葉や言葉づかいは話す相手によってを変わるのは当然ですが、話し手の立場や年齢、話題の内容、会話の場所・状況などによっても変わるのを分かりやすく説明しています。興味深いのは地域方言の効果で、キリスト教の一説を大阪弁に翻訳した文章を読むと、同じ内容でも言葉によっていかに印象が変わるのかが実感できて面白いです。また、日本語の特徴である人称表現の多さについても解説されていて、日本の社会が年齢を重視してきたかが分かります。

終盤は言語と政治や文化の関係が述べられています。方言として存在している八重山語や八丈語は、ユネスコでは独立した言語と認識されていて興味深いです。こうした言語の危機もそうですが、言語学者として英語の早期教育にも警鐘を鳴らしていています。

今までの経験から既に理解している項目もあるので、全て目新しいわけではありませんでしたが、一冊の本としてまとまっているで知識を整理するには便利です。題としては「空気」ではなく「状況」にしてほしかったかな。「空気」という言葉があまり好きではないので。




[ 2013/10/03 21:25 ] 言語 | TB(0) | CM(0)