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2020年06月12日(金)

ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ 



著者:霧舎巧
発売日: 2003/6/13

評価〔C+〕 少しずつ分けて読んだのは失敗でした。
キーワード:推理、本格、同時進行、文庫化

「これで十人そろっちゃったな」(第四章より抜粋)


推理小説研究会の学生たちが二つのそっくりな場所で起きた不可解な事件に遭遇し、仲間の安全と真相解明に努めます。第12回メフィスト賞受賞作。

幾つもの事実を畳みかけるように犯人にぶつけていく様子は見物です。もう推理が終わったかなと思ったらまだ終わらず伏線がどんどん回収され、事件や発言が繋がっていく様に感心してしまいました。ところどころこれは怪しいなと睨んだ記述も全て伏線でした。合わせて、軸となるトリックも大胆でしたし推理するのが名探偵一人ではない点も良かったです。

しかし、あっけなく退場してしまった人物も多く、あれほどの人の数が必要だったのか疑問です。また、主人公たちの恋愛は本作をコミカルな感じにしたいのか重厚な雰囲気にしたいのかよく分からず、中途半端でちぐはぐした印象を受けました。

それと、私の読解力がないせいか、トリックの説明で分かりづらいと感じる時がありました。分かっている者同士の会話が多かったからかな。犯人の一連の行動も理解があやしいかも。もう一度読み返してみようかな。

「そして誰もいなくなった」という有名な推理小説を基にしていますけど、未読でも問題ありません。私も読んでいませんし。もし「そして誰もいなくなった」を読んだら違った感想になるのでしょうか?



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[ 2020/06/12 21:35 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年04月29日(水)

見晴らしのいい密室 



著者:小林 泰三
発売日: 2013/3/22

評価〔C+〕 合うのと合わないものの差が大きい。
キーワード:SF、短編集、時間旅行、仮想空間、

「やはり敵は目に見えない侵略者なんですか?」(忘却の侵略より抜粋)


表題作をはじめ、全部で7つの短編からなる短編集です。本書は注意点があります。著者の既刊「目を擦る女」の3編を他の3編と入れ替えたものなので、「目を擦る女」を既読の方はその点を考慮して読んでください。

分かりやすい物語よりも思考実験のようなややこしい論理の物語のほうが多いです。軸となるアイディアはなかなか面白くて、短編ではなく長編で読んでみたいものもありました。「忘却の侵略」は分かりやすくてオチも好みです。「予め決定されている明日」の世界設定もよく考えつくなあと感心してしまいます。

また、よくあるSFに限らずサスペンスホラーやミステリもあり、幅広い意味でSFと呼べそうなものを詰め込んだのかもしれません。重々しいものやライトノベルのように軽いものもあり、読者はどれかしらは好みのものがありそうです。

「探偵助手」は挿絵がQRコードになっていますので、何か読み込める機器を用意して読んでください。他の人の書評を見るまでQRコードなしでも理解できると思っていましたが、最後のオチがそれでないと読めないので必須でした。

アイディアは良いのですが論理が分かりづらく、読み返すことが多々ありました。結末がすっきりしないものもあり、全体的にそれほど好みではなかったかな。部分的には好きなところはありますけど。後でまた読んだら感想が変わりそうな本です。



[ 2020/04/29 20:44 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年04月25日(土)

ファンタジスタドール イヴ 



著者:野崎まど
発売日: 2013/9/20

評価〔B+〕 こういうのも書くんですね。
キーワード:近未来、SF、

そうして溜まった欲求は、捌け口を求めて、私を少し病的なまでに、サイエンスの思考へと向かわせた。(第三の力より抜粋)


一人の科学者がどのように育ち、どのように科学の道へと進んでいくのかを一人称で描く近未来の物語。アニメ「ファンタジスタドール」の前日譚です。

まずアニメ本編を見ていなくても、本書だけでも十分楽しめます。ただし、未来の技術や世界を扱いながらも主人公・大兄(おおえ)の個人的な欲望とともに語るので、好き嫌いがはっきり分かれそうです。SFの部分だけ取り出せばよくありそうですけど、彼の心情の揺れが苛烈で印象に残ります。

あとがきという名のエピローグでご婦人が最後に言った言葉を見た瞬間、やはりそうだよなと腑に落ちました。なんかモヤモヤとした感覚を抱えつつ読んでいた気分をしっかり言語化してくれてすっきりしました。

読後、ちょっと興味があったのでアニメを調べてみたら可愛らしい雰囲気で、本書の堅苦しい感じは全然なくて驚きました。



[ 2020/04/25 20:48 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年04月14日(火)

さあ、地獄へ堕ちよう  (角川文庫) 



著者:菅原 和也
発売日: 2014/8/23

評価〔C-〕 いろんな趣味嗜好、価値観があるものです。
キーワード:サスペンス、ホラー、青春、嗜好、

真っ黒な壁紙に、ゴシック体の白い文字で、それだけが書かれていた。他には何もない。無機質すぎるホームページ。(本文より抜粋)


SMバーに勤める主人公のミチは偶然とある裏のサイトの存在を知ります。同時期に周囲で衝撃的な事件が起き、彼女はその謎を解くためにサイトを調べ始める暗黒青春ミステリです。第32回横溝正史ミステリ大賞受賞作。文庫化。

ミチの職場のSMバーの様子から始まり、見慣れない世界や人々が次々に描写されていきます。共通するのはどこに行っても不気味で異様な痛々しいものであること。文章だからか色々と痛そうな場面を想像してしまい、細かい記述を読むのが嫌になることもありました。グロテスクなものが嫌いな人はダメでしょう。しかし、ただ痛そうで終わるのではなく、そのような文化について細かい説明や彼らの意見も書かれていて、その点では興味深い内容でした。

ミステリと分類されていますけど、推理というよりはサスペンスやホラーと表現したほうが適していると感じました。意外な真実や伏線を回収する場面もあり推理といえば推理なのでしょうが、その部分はあまり面白くありませんでした。推理ものを求めて手に取ったので不満が残ります。

裏表紙の説明が暗黒青春ミステリではなく暗黒青春小説でしたら、期待するものと内容が合っていてもう少し満足できたのかもしれません。



[ 2020/04/14 23:36 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年03月27日(金)

捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書 (講談社文庫)  



著者:加藤元浩
発売日: 2019/2/15

評価〔B〕 表紙が著者じゃない!
キーワード:推理、元アイドル、文庫化、

そうだ。この事件の犯人を捕まえればいいのだ。(第三章より抜粋)


元アイドルと変わった経歴の七夕菊乃が密室殺人事件に挑むライトノベルチックな推理小説です。推理漫画家である著者の初の長編小説です。

本書の大半の読者が著者の「Q.E.D」や「C.M.B」は既読で、そちらから興味を持った人々だと思います。主人公の菊乃を見ていると確かに著者らしさを感じ、事件もその雰囲気が出ています。ただ、菊乃の事件が裏表紙にある「小説でしかできないこと」かというと少々疑問です。読解力不足のせいかもしれませんが、小説である必要性が感じられませんでした。それらしく感じたのは捜査報告書でしょうか。

また、序盤は菊乃の少女時代とアイドル活動が描かれているのですが、読み終わってみると少々冗長だと思いました。繋がりが見えて面白いと思うよりも、長いなあという感想のほうが強かったです。この部分は別の本か短編にしたほうがすっきりして良かったのではないかな。

「Q.E.D」の著者なので期待しすぎていたのかもしれません。すごく良かったともすごく悪かったとも言えないので、次の作品も読む予定です。



[ 2020/03/27 20:10 ] 小説 | TB(0) | CM(0)