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2018年11月26日(月)

水族館の殺人 (創元推理文庫) 



著者:青崎 有吾
発売日: 2016/7/28

評価〔A-〕 手がかり少なすぎ。
評価〔B+〕 手がかり少なすぎ。
キーワード:推理、学園、文庫化

「一人だけ、こういう問題に強そうな奴を知ってる」(P171より抜粋)


卓球少女・袴田柚乃と駄目人間・裏染天馬のコンビ再び。地元の水族館で起きた凄惨な事件は、容疑者が多く手がかりが極端に少ないものでした。天馬は謎を解き明かすことができるのか? 「体育館の殺人」に続く2冊目です。文庫化。

前作同様、登場人物が多いですがそれをあまり意識させない読みやすさがあります。天馬の趣味のせいもあってか、読んでいて重くなることはなさそう。高校生探偵は捜査に加わる経緯は雑ですが、緻密な推理は健在で面白いです。あの消去法のような推理はまさに合理的で、ひらめきで解いてしまうのとは違って説得力が格段にあります。あそこまで物事を分解して考えられれば、本当に凄いと思います。

アリバイや証言の時間が嫌に正確なことなど多少の違和感はありましたけど、今回も楽しめました。ただ、全体的には前作のほうが質は上だと感じました。結末があっさりだったのが特に。次の作品も出版されているようなので、楽しみです。




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[ 2018/11/26 18:29 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年11月14日(水)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 



著者:木元 哉多
発売日: 2018/3/22

評価〔A-〕 沙羅は意外と甘いよね。
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

「あなたが、あなたを殺した犯人を推理して、みごと言い当てることができたら、生き返らせてあげましょう」(本文より抜粋)


推理小説には様々なタイプの探偵が登場しますが、被害者が探偵役というのはどうでしょうか? 本書では死亡した被害者が、なぜ自分は死んでしまったのかを推理する個性的な推理短編集です。第55回メフィスト賞受賞作。

このシリーズは、講談社の「閻魔沙羅からの挑戦状 犯人を当てれば現金5万円!」で知りました。問題も本書と同じく被害者が推理するものでしたけど、情報が限定された状況で被害者と一緒に頭を捻るのが面白いです。本来ヒントはありませんが、彼らの推理がヒントとなるので、自分で解きたい方は霊界の案内人・沙羅がスタートと言った時点で推理すると良いでしょう。事件自体は他の推理小説と比べて易しめです。ミステリマニアには物足りなさそう。

霊界での二人の会話は短いものの、思いのほか人情味があって良かったです。沙羅は冷酷なように見えますが易しいよね。彼女が本人の気づかなかった、もしくは見て見ぬふりをしていたことを指摘する場面は印象に残りました。

推理の難易度だけ見るとインパクトに欠けますが、被害者に推理させる形式はかなり面白いです。変わった推理小説をお探しなら試しに読んでみてはいかがでしょうか。



[ 2018/11/14 21:09 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年11月04日(日)

know (ハヤカワ文庫JA) 


著者:野崎 まど、 シライシ ユウコ
発売日: 2013/7/24

評価〔A-〕 起こりうるのでしょうか。
キーワード:SF、近未来、京都、情報庁、

「科学が求めるものはなんだ?」(1. birthより抜粋)


情報技術が格段に発展した2081年の京都、情報庁のエリートの御野・連レルは、恩師の縁によってひとりの少女と出会います。少しの間だけ保護者になってほしいと言う彼女に、戸惑いながら彼は行動をともにすることになります。

あらすじだけ書くとなんだか恋愛もののようですが、れっきとしたSFです。超情報化社会を分かりやすい形で見せているので、物理や情報工学の知識がなくても十分楽しめます。序盤はゆったりしていて捉えどころのない雰囲気でしたが、少女とあってから波乱に富んだ展開で引き込まれます。後半は、読んでいて連レルと同じような反応をしてしまうと思います。他の書評でも書かれている方がたくさんいた、あのダンスシーンがやはり印象的です。実写化してもアニメ化しても映えるものに・・・・・・いや、こういう作品は下手に映像化しないほうがいいかもしれませんね。

事件の真相は意外でしたけど、改めて考えると全ては繋がっていることが分かり、題名もこれが最適なような気がしてきます。非常に興味深い主題。エピローグのような将来になるのだとしたら、是非見てみたいものです。




[ 2018/11/04 18:05 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年10月17日(水)

終わりの志穂さんは優しすぎるから 


著者:八重野統摩
発売日: 2015/6/25

評価〔B〕 推理小説って感じはしません。
キーワード:離島、画家、

ただ、折に触れて思うことはある。どうして彼女は、こんなところに来るのだろうか、と。(第二章より抜粋)


南の島に絵を描きに来た若き画家と、彼を見守る若い女性のある夏の出来事です。裏表紙にはライトホラーミステリと紹介されていますが、ホラーと評するのは違うと思います。日常の謎を解くミステリが比較的近いです。

観光客も来ない離島での出来事なので、静かで穏やかです。派手で奇抜なものがお好みの方にはおすすめしません。ハッピーエンドかどうかは賛否両論ありそうですが、読後感は良かったです。一言でいうなら、綺麗。

ヒロインの隠していることは、うまくミスリードにひっかかってしまいました。伏線がさらっとしていて気がつかなかったです。それよりも、第二章の違和感を解くことができなかったほうが悔しいです。なかなか良い話。劇中の絵を見れることなら見てみたいですね。



[ 2018/10/17 19:11 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年08月04日(土)

バビロン 1 ―女― 



著者:野崎まど
発売日: 2015/10/20

評価〔B-〕 検察の職業ものとしても読めます。
キーワード:検察、サスペンス、

「正崎さんっ、なんなんですかその紙・・・・・・ッ!」(P36より抜粋)


検察官の正崎善はある事件の証拠物件の中から、異様な品を発見します。捜査を続けていくうちに、予期しない事態へと発展していく検察ものです。続きもの。現在3冊目まで出ていて、まだ終わらない模様。

個人的に著者はSF作家のイメージが強いので、こうした専門職の人にスポットを当てた物語を書くとは意外でしたけど、検察組織の様子や捜査の現実が細かく書かれていてそれだけでも興味深いです。一見よくある推理小説のようですが、次第にその雰囲気は変化し終盤では違う印象で終わります。

普通でない何かを書くのが上手いのですが、これまでのSF作品以上に現実味を重視しています。そのせいか、より不可解さや不気味さが増しているのではないでしょうか。

まだというか、ようやく事件が始まったばかりなので評価しづらいですが、今のところテンポ良くも意外性もあり面白いです。ただ、これだけ大きな話なので、それに見合った結末でないとがっかりしそう。他の作品と同じように驚きとともに終わるといいなあ。



[ 2018/08/04 22:37 ] 小説 | TB(0) | CM(0)