2017年05月19日(金)

フリーランチの時代 



著者:小川 一水
発売日: 2008/07

評価〔B〕 軽かったり重かったり色々。
キーワード:SF、短編集、

回復の見込みはゼロだった。でもこのとき世界には、Vフィールドが作られつつあった。(Live me Me.より抜粋)


表題作を含む5つの物語からなるSF短編集です。著者は名前はよく見かけるけど読んだことがなかったので、読みやすそうな短編集を試しに読んでみました。

軽い雰囲気で新時代を描いた「フリーランチの時代」があったかと思えば、現代から地続きで説得力のあるシリアスな人生の「Live me Me.」と、意外にも時代も雰囲気もバラバラな短編集です。よくある宇宙船で宇宙を旅する話もあり、これだけあればどれかは気に入った物語がありそう。印象深かったのは上で引用した「Live me Me.」と「千歳の坂も」かな。変わりゆく社会に翻弄されながらも、流されず自分の人生を生き切る意志が描かれていて目を引きます。

どれも落ち着いていて、登場人物が新たな一歩を踏み出す、というのが全体に共通する印象です。上手く表現できませんが。お腹を抱えるような笑いや、派手な展開とは縁遠いです。インパクトを求める人には、そこが弱いかもしれません。

著者の他作品「時砂の王」の外伝も収録されています。私は本編を未読だったので、そういった楽しみ方はできなかったのですが、読まなくても支障はありません。単体でも楽しめます。



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[ 2017/05/19 21:35 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年04月12日(水)

ふわふわの泉 



著者:野尻 抱介
発売日: 2012/7/24

評価〔A-〕 泉のネーミングセンスも結構好き。
キーワード:SF、化学、宇宙、

「努力しないで生きたいと思わないか」(本文より抜粋)


SFでは遠い未来の魔法のような技術が度々登場しますが、その技術がいかにして作られ、そして発展していったのかを追ったのが本書です。物語は、努力しないで生きることが目標の化学部部長・朝倉泉が、唯一の部員・保科昶(あきら)と共に文化祭の展示物を制作しているところから始まります。第33回星雲賞日本長編部門受賞作。

身近で少し変わった出来事が起こる学園系SFかーと読んでいたら違っていて、どんどん突っ走っていきます。テンポよく進むので爽快で面白いです。良い意味で期待が裏切られた形でした。練られた伏線ではなく、現実の想像できるところからワクワクするようなところまで発展するのが、容易に想像できるのが本書の魅力ですね。SFの部分も少な過ぎず、かと言ってSFを読んだことない人が嫌になるほど多くもなく、ちょうど良かったと思います。

多少、強引な展開や唐突な急展開もありましたが、面白さが損なわれるほどではなかったです。推理小説のような緻密なシナリオを望む人には、合わないかもしれません。

あとがきによると、設定は専門家にお世話になったらしいので、おそらく科学的考察もしっかりしているのでしょう。あの物質も・・・・・・まあこれは読んでのお楽しみですね、表紙から受ける印象とは異なり、しっかりとした説得力あるハードSFでした。でも、泉の性格のおかげか、または著者の文章力のなせる業なのか、堅苦しくなく読みやすかったです。




[ 2017/04/12 21:08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)