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2020年04月29日(水)

見晴らしのいい密室 



著者:小林 泰三
発売日: 2013/3/22

評価〔C+〕 合うのと合わないものの差が大きい。
キーワード:SF、短編集、時間旅行、仮想空間、

「やはり敵は目に見えない侵略者なんですか?」(忘却の侵略より抜粋)


表題作をはじめ、全部で7つの短編からなる短編集です。本書は注意点があります。著者の既刊「目を擦る女」の3編を他の3編と入れ替えたものなので、「目を擦る女」を既読の方はその点を考慮して読んでください。

分かりやすい物語よりも思考実験のようなややこしい論理の物語のほうが多いです。軸となるアイディアはなかなか面白くて、短編ではなく長編で読んでみたいものもありました。「忘却の侵略」は分かりやすくてオチも好みです。「予め決定されている明日」の世界設定もよく考えつくなあと感心してしまいます。

また、よくあるSFに限らずサスペンスホラーやミステリもあり、幅広い意味でSFと呼べそうなものを詰め込んだのかもしれません。重々しいものやライトノベルのように軽いものもあり、読者はどれかしらは好みのものがありそうです。

「探偵助手」は挿絵がQRコードになっていますので、何か読み込める機器を用意して読んでください。他の人の書評を見るまでQRコードなしでも理解できると思っていましたが、最後のオチがそれでないと読めないので必須でした。

アイディアは良いのですが論理が分かりづらく、読み返すことが多々ありました。結末がすっきりしないものもあり、全体的にそれほど好みではなかったかな。部分的には好きなところはありますけど。後でまた読んだら感想が変わりそうな本です。



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[ 2020/04/29 20:44 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年04月25日(土)

ファンタジスタドール イヴ 



著者:野崎まど
発売日: 2013/9/20

評価〔B+〕 こういうのも書くんですね。
キーワード:近未来、SF、

そうして溜まった欲求は、捌け口を求めて、私を少し病的なまでに、サイエンスの思考へと向かわせた。(第三の力より抜粋)


一人の科学者がどのように育ち、どのように科学の道へと進んでいくのかを一人称で描く近未来の物語。アニメ「ファンタジスタドール」の前日譚です。

まずアニメ本編を見ていなくても、本書だけでも十分楽しめます。ただし、未来の技術や世界を扱いながらも主人公・大兄(おおえ)の個人的な欲望とともに語るので、好き嫌いがはっきり分かれそうです。SFの部分だけ取り出せばよくありそうですけど、彼の心情の揺れが苛烈で印象に残ります。

あとがきという名のエピローグでご婦人が最後に言った言葉を見た瞬間、やはりそうだよなと腑に落ちました。なんかモヤモヤとした感覚を抱えつつ読んでいた気分をしっかり言語化してくれてすっきりしました。

読後、ちょっと興味があったのでアニメを調べてみたら可愛らしい雰囲気で、本書の堅苦しい感じは全然なくて驚きました。



[ 2020/04/25 20:48 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年08月22日(木)

岡本倫短編集 Flip Flap 新装版 



著者:岡本倫
発売日: 2014/7/18

評価〔B+〕 徐々に変化しているのが分かります。
キーワード:短編集、ギャグ、シリアス、SF、

「おれに出来ることは記憶の削除と追加だ」(レジストラより抜粋)


2000年のデビュー作から2011年までの8つの短編をまとめた短編集です。既に出版してある同名の短編集の新装版です。

初期からあの独特のギャグセンスなのかなと思って読んだら、熱血ものだったり切ない恋愛ものだったり様々で意外でした。顔の描き方も変化しているのが分かります。「極黒のブリュンヒルデ」のプロトタイプ読切「きみとこうかん」ではもうブリュンヒルデとほとんど変わりません。

面白かったのは「レジストラ」と「アルマージュ」です。特に「レジストラ」の夢を叶えたあの人が面白くて好きです。どう考えたらあの発想にいたれるのか不思議です。この短編は実は前に読んだことがあり、面白くて他の短編も読みたいと思ったのが本書を読むきっかけとなりました。上記の2つは盛り上がるし短編としてちょうどいい長さでスパッと終わるので良かったです。

長編もいいけれどこうした短編集もたまには出して欲しいですね。


[ 2019/08/22 20:42 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2019年07月29日(月)

探偵AIのリアル・ディープラーニング 



著者:早坂 吝
発売日: 2018/5/27

評価〔B+〕 AIを知らないほうが楽しめるかも。
キーワード:推理、AI、連作短編集、

アバターが口を開いた。同時にスピーカーから女性の声が流れ出した。(第一話より抜粋)


父親の遺品からAI・相以を見つけた合尾輔が、彼女とともに父親の死の真相を追う推理ものです。各章に謎解きがあるので、連作短編集に近いつくりとなっています。

題名にAIやディープラーニングとあったので、難しくお堅い物語を想像していたのですが、表紙のイメージどおりライトノベルのようなどこか緩さを感じる雰囲気でした。AIの知識は劇中で説明があるので必須ではなく読みやすい文章なので、専門的な知識はなくても十分楽しめます。むしろ知らない方が新しい知識得られるぶん楽しめるかもしれません。

トリックや謎は各章に散りばめれらています。そのせいか簡単ではないものの、あまり印象深くもありませんでした。もう少し派手さがあっても良かったんじゃないのかな。

あの終わり方だと完結とも続くともとれるので、できれば続きを読んでみたいです。

[ 2019/07/29 23:20 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年05月28日(火)

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル 



著者:宮澤 伊織
発売日: 2017/2/23

評価〔B〕 一番見せたいのはホラーの部分だと思う。
キーワード:都市伝説、ネットロア、SF、裏側、現代、ホラー、

「そうそう、そういえば、くねくねってどういうところに出るお化けなの?」(本文より抜粋)


異世界から連想するのはゲームでよくあるファンタジーの世界ですが、本書に登場する異世界は現代と似ているけれど人はいない得体の知れないそれです。女子大生・紙越空魚(そらを)は異世界探検中に、金髪の女性・鳥子に助けれたことが縁で行動を共にします。日常と非日常を行き来する探検物語です。

ハヤカワ文庫なので近未来SFなのかと思い込んでいましたが、SFのようでもあり、オカルトもののようでもあり何とも断言しにくいです。都市伝説や怪談、ネットの都市伝説であるネットロアを参考にしているのでそう感じるのかもしれません。不思議な現象や存在をつめこんだ人間のいない廃墟の現代、といったところでしょうか。

難しい機械や理論は出ないので気軽に読めます。平凡な場所から一歩踏み出すと謎に満ちた世界と未知の生物(?)というのもワクワクします。しかし、のめり込むほど面白いかと聞かれれば、残念ながらそうでもありませんでした。好きな題材なのですが。もう少し怖くても良かったかな。

文庫本には珍しく挿絵があります。どちらかというとライトノベル寄りのSF小説でした。


[ 2019/05/28 22:17 ] 小説 | TB(0) | CM(0)