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2019年04月27日(土)

おとの教室 



著者:やまむらはじめ
発売日: 2016/4/7

評価〔B-〕 芸大卒とそうでない人は結構違うの?
キーワード:音楽教室、楽器、音大、連作短編集

「先生は・・・なんでチェロ始めたんですか?」(本文より抜粋)


音楽が主題の物語ですが、音楽教室の若い先生が主役という一風変わった連作短編集です。全10編。

一編一編が軽快に進むので読みやすいし、音楽教室の雰囲気がよく伝わってきます。主人公である武部都の目を通して描かれ、各話で詳しく紹介される職場の同僚や家族たちが個性的で面白いです。また、著者の他の作品で度々見かける大きな問題を抱え苦悩する人物はいないので、明るく軽やかな印象が残りました。

どの話も味があって良いし全体としてまとまっていますが、さらっと終わって少し物足りない感じがしました。もう少し生徒との関係や音楽家としての彼女を掘り下げて・・・・・・でもそうすると1冊では終わらなさそうなので難しいですね。

この手の専門的な分野の創作物は、実際その世界にいる人たちの感想が聞きたくなります。


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[ 2019/04/27 17:13 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2019年03月30日(土)

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 



著者:青崎 有吾
発売日: 2017/7/20

評価〔B+〕 登場人物たちの個性が出ています。
キーワード:推理、学園、連作短編集、文庫化

「・・・それが他のよくわからないとは別の意味でよくわからん話でさ。向坂と裏染に相談したんだよ」(天使たちの残暑見舞いより抜粋)


裏染天馬シリーズ初の連作短編集です。学食や部活と日常に現れた謎を解き明かしていきます。全五編。

オタク趣味の探偵なので少々ライトノベルのような雰囲気がありましたが、本書では各章に扉絵がありますのでよりラノベ感が出ています。しかし、肝心の推理のほうは長編と同じように切れの良い推理が楽しめますのでご安心を。気に入ったのは「天使たちの残暑見舞い」です。謎あり笑いありで意外性ありで面白いです。

5つの短編は3つの長編と並行した物語なので、できれば長編を先に読んだほうがいいのかも。読まなくても楽しめるとは思いますけど、知っている人物が多いほうが読みやすいかな。

また、長編ではなかなか焦点が当たらない登場人物たちの詳細も描かれていて、このシリーズをさらに楽しめるようになっています。長編より気軽に楽しめるので、このシリーズを読み続けている人には特におすすめです。


[ 2019/03/30 20:43 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年02月05日(火)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室 



著者:木元 哉多
発売日: 2018/5/23

評価〔A-〕 被害者も千差万別です。
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

「しかし、この別荘、すげえセキュリティーだな。あちこちから監視されている気がするぜ」(第3話より抜粋)


被害者対エンマ、閻魔堂沙羅シリーズの2冊目です。

1冊目は基本的にパターンに則した展開でしたが、本書はそのパターンを上手く破って意外性を出しています。身勝手な人物や傲慢とも思える人物が登場し、読んでいてあまり気分の良いものではありませんけど、真相や結末は説得力があると感じました。毎回こうした人物では疲れてしまいますので、ときどきが良いですね。

第1話は珍しく推理がほとんど当たってこれならば3つとも真相が見破れるかなと思っていたのですが、あとの2つは難しく半分も分かりませんでした。特に第3話。あれを解くには相当推理力がないと無理でしょう。



[ 2019/02/05 21:19 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年12月26日(水)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム 



著者:木元 哉多
発売日: 2018/12/20

評価〔A-〕 日常パートどう思いますか?
評価〔B+〕 日常パートどう思いますか?
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

これではダメだ。犯人はこいつ以外にありえないことを明瞭に指摘できるだけの論拠がなければ、沙羅を納得させられない。(第1話より抜粋)


亡くなった被害者がそれまでの記憶で推理する閻魔堂沙羅シリーズの4冊目です。

1冊で事件が2つだけのせいか、1冊目に比べて難しくなっていると感じました。特に1話目。容疑者が多いしミスリードも多いです。被害者が推理する前の時点で真相までたどり着けたら名探偵ですよ。

また、今回は珍しく仕事をしていない沙羅が少しだけ描写されています。沙羅個人については推理とは関係ないので、個人的にはどちらでもいいかなと思っていますけど、シリーズが長くなるとこうしたものがあったほうが良いのかもしれません。それとも読者からの要望があったのかな。

まだ1冊目しか読んでいないのに4冊目を読んだのは、ネットで催された「閻魔沙羅からの挑戦状 犯人を当てれば現金5万円!」の犯人と真相が一刻も早く知りたかったからです。結構自信があったのですが、残念ながら推理は外れていました。かなりガッカリしましたけど、自分の推理がなぜ間違っていたかも二人の会話を読んで納得しました。またいつかこういう推理企画をやってほしいですね。



[ 2018/12/26 21:41 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年11月14日(水)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 



著者:木元 哉多
発売日: 2018/3/22

評価〔A-〕 沙羅は意外と甘いよね。
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

「あなたが、あなたを殺した犯人を推理して、みごと言い当てることができたら、生き返らせてあげましょう」(本文より抜粋)


推理小説には様々なタイプの探偵が登場しますが、被害者が探偵役というのはどうでしょうか? 本書では死亡した被害者が、なぜ自分は死んでしまったのかを推理する個性的な推理短編集です。第55回メフィスト賞受賞作。

このシリーズは、講談社の「閻魔沙羅からの挑戦状 犯人を当てれば現金5万円!」で知りました。問題も本書と同じく被害者が推理するものでしたけど、情報が限定された状況で被害者と一緒に頭を捻るのが面白いです。本来ヒントはありませんが、彼らの推理がヒントとなるので、自分で解きたい方は霊界の案内人・沙羅がスタートと言った時点で推理すると良いでしょう。事件自体は他の推理小説と比べて易しめです。ミステリマニアには物足りなさそう。

霊界での二人の会話は短いものの、思いのほか人情味があって良かったです。沙羅は冷酷なように見えますが易しいよね。彼女が本人の気づかなかった、もしくは見て見ぬふりをしていたことを指摘する場面は印象に残りました。

推理の難易度だけ見るとインパクトに欠けますが、被害者に推理させる形式はかなり面白いです。変わった推理小説をお探しなら試しに読んでみてはいかがでしょうか。



[ 2018/11/14 21:09 ] 小説 | TB(0) | CM(0)