2016年04月17日(日)

ルポ 電王戦 人間 vs. コンピュータの真実 



著者:松本 博文
発売日: 2014/6/6

評価〔B+〕 ゲームにおける人と機械の競争
キーワード:将棋、人工知能、電王戦、機械学習、

コンピュータ将棋界のブレイクスルーは、その本流とはかけ離れたところから、ある日、突然やってきた。(第一章より抜粋)


先月、囲碁では人工知能「アルファ碁」が韓国のプロ棋士に勝利しましたが、将棋界では現在進行形で第1期電王戦が行われています。人間と人工知能が先手後手を入れ替えて二局指します。第1局は中尊寺で行われ、人工知能のPONANZA(ポナンザ)が勝ちました。将棋もこのまま人が負けてしまうのか否か、注目されています。この電王戦と呼ばれる対局企画は、数年前から行われているプロ棋士VSコンピュータ将棋を指します。本書は、電王戦がどのように始まり、どのように発展していったかを綴ったドキュメンタリーです。

電王戦のみならず、コンピュータが弱い時代から順を追って紹介しているので、分かりやすいです。プログラムについてまったく知らなくても問題ありません。ただ、将棋のルールくらいは知っておいた方が良い内容です。プロ棋士側の紹介もありますが、人工知能のほうに多く分量がさかれています。

将棋の指し方には個性が出ると言われていますが、ソフトもその開発者も十人十色で面白いです。なかでも印象に残ったのは、ブレイクスルーのきっかけを作ったBonanza(ボナンザ)と、対人ではなく対ソフト用のソフト・やねうら王です。前者の開発者保木さんは研究者で、勝負の世界の人たちとは違う世界の人です。まったく関係ない世界の人が、別の世界に大きく影響を与えることとなったのは、面白いですよね。後者のやねうら王も、出るべくして出たソフトで、しかも優秀な成績を残しているのが凄いです。こうした発想が、また次へと繋がるのでしょう。

将棋の内容そのものは専門的になりすぎるためか、大まかな説明でした。盤面の図があれば良かったと思います。また、勝負した棋士たちの言葉があまりなかったのが残念です。どこがどう違うのかを知りたかったけど、これも将棋を知らない人が読むには専門的過ぎるので省いたのでしょうか。PONANZAの開発者の山本さんについての話が、多かったのも少々気になりました。

私は将棋が好きですし、電王戦も大雑把にしか知らなかったので楽しめましたが、まったく知らない人の場合は読んで面白いかどうかは分かりません。将棋か人工知能、どちらかに興味があれば楽しめるのではないでしょうか。



スポンサーサイト
[ 2016/04/17 21:53 ] 実用 | TB(0) | CM(0)