 
| 著者:坂野 杏梨 発売日: 2018/6/25
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評価〔C〕 瞬発力はありましたが。キーワード:異世界、ギャグ、ファンタジー、語彙力
「何言ってるか全然わかんねェよ!!!」(本文より抜粋)
斬新な発想さえあれば語彙力や作文能力がなくても創作物はできるのか?をギャグ漫画の形で表現したのが、本書だと思います。
普通の高校生が突然異世界に飛ばされるというおなじみの展開ですが、言葉をより知っているほうが強いのは面白いです。ファンタジー世界なのにそれらしき戦いをせず、口喧嘩のみしているように見えるのはなかなか新鮮です。雰囲気も軽いし。
1話目は面白かったのですが、全体的にはそれほど・・・・・・。3人目の敵あたりからパターンが読めてしまい、意外性がなくなってしまったのが原因だと感じました。何か変わった勝負もできたのでは、と思ってしまいました。例えば、しりとり勝負とか。
何が物足りなかったのかうまく表現できません。あの世界に行ったらボコられそうでマジヤバい。
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| 著者:阿古 真理 発売日: 2016/10/7
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評価〔C〕 現状をもっと語って欲しかった。キーワード:パン、食文化、主食、
日本にはフランスのように国立のパン学校はないが、チェーン展開する大手製パン会社がある。(本文より抜粋)
食パンをはじめとして菓子パンや総菜パンと、数多くのパンが現代の日本では売られています。日本にパンが入ってきて約150年。どのようにして受け入れられてきたのかが綴られています。
フランスパンの品質が語られているのかと思ったら、前半はパン全般の歴史でした。本格的なパン作りを日本に伝えた人、当時の人気店、製パン会社の原点が分かりやすく説明されていて、様々な要因があって普及したのだと知ることができます。また、日本のパンと特徴やパンブーム、食文化にも触れていて、パン好きにはたまらない一冊かもしれません。パンとキリスト教の考察は、なるほどと感心しました。
歴史の部分が多く、副題のほうが題名にふさわしいです。フランスパンの美味しさの考察は少しだけしかなくて残念でした。また、流行の火付け役となった人気店が紹介されていますが、興味がないので少々退屈でした。グルメの方は、こういう情報を得たら実際に行きそう。
将来は貴重な資料になりそうです。
 
| 著者:上遠野 浩平 (著), 緒方 剛志 (イラスト) 発売日: 2013/9/10
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評価〔C〕 フォークなのに挿絵はお箸。キーワード:シリアス、SF、超能力
知っていることと知らないことがあるのは何故だろう?(blank/1より抜粋)
少女は目を覚ますと何も思い出せないことに気がつきます。部屋には奇妙な黒帽子とマントが置いてあり、記憶はないけれど身体は習慣からか支度を整え学校へ向かいます。この欠落は何が原因なのか、彼女は情報を得るため動き出します。本シリーズでは少年少女が出会ってグループで不可思議な現象に首を突っ込むのが定番ですが、今回は女の子3人組です。
過去の大きな事件が原因で起きる事件です。こうした寄り道が多い気がします。それはそれで悪くないのですし、あまり危機感もなく巻き込まれていく様子はまさに本シリーズなのですが、今回は話の規模が大きくなく結末が好みではなかったのが残念でした。もっと得体の知れない感じや危機感を期待していたので。当初は存在するだけで緊張感があった合成人間も、今となっては弱く見えてしまうせいもあるのかもしれません。慣れてしまったのか。
既に登場している者たちが再登場し、複雑に絡み合っているのはさすがだと思います。なぜかお亡くなりになってから出番が多い人もいますが、意外と重要人物だったということなのでしょう。
 
| 著者:柏井壽 発売日: 2018/4/17
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評価〔C〕 グルメ論抗争なのかも。キーワード:グルメ、SNS、ミシュラン、食文化、
多くのお客さんにとって、今や外食の最大の関心は、食べることそのものよりも、お店や料理人さんに向けられているのです。(本文より抜粋)
最近のグルメブームを好ましくないと感じる食通の批判本です。題名からあまり食事に興味のない人が書いたの思っていましたが、詳しい人による問題提起なので意外でした。
SNSやミシュランの格付けによって、料理人や客の意識や価値観が変化し、本質である味よりも人気や知識・情報などが重要視される傾向は良くないと警鐘をならしています。確かにSNSで称賛されたいためだけに予約の取れない店に行ったり、文化よりも商業優先が透けて見える恵方巻きなどは著者の意見はもっともだと思います。ブロガーの口コミの裏事情なども興味深くためになります。
しかし、それは好みや価値観の違いなのではと思うこともあり、全面的には賛同しかねます。例えば、テーブルにプロジェクトマッピングを施し料理と一体化する店があり否定的に書かれていましたが、食事の場の雰囲気を大切にする人には好まれそうですし、創造的な面白い試みだと感じました。批判する側もグルメなので、食とはこうあるべきという信念が強いので快く思わないのでしょう。また、自分の故郷ばかり褒めるのも少し自慢のようで好きではないです。
グルメにも色々なタイプがいることが分かった1冊でした。
 
| 著者:紀 貫之、 西山 秀人 発売日: 2007/8/1
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評価〔C〕 昔の記録としては貴重ですが。キーワード:随筆、古典、旅行記、国司、
三十日。雨風吹かず。「海賊は夜歩きせざなり」と聞きて、夜中ばかりに船を出だして、阿波の水門を渡る。(本文より抜粋)
男もすなる日記といふものを、の出だしで有名な紀貫之の作品です。日記ですが旅行記、紀行文の要素が強い文章で、現代では平安時代の船旅がどのようなものであるかを知る重要な資料となっています。
また男性が普段使う漢文ではなく、女性が使うひらがなで書くことによって、日記をいつもとは違う視点や感性で描こうと挑戦しているのが大きな特徴です。ネットで男性が女性のふりをするネカマと一緒です。もしかしたら土佐の国司という高い身分を、一時的にでも忘れてみたかったのかもしれませんね。
内容はというと、日記なのに一人で物思いにふける場面は少なく、登場人物たちが様々な場面で感情を表現するために和歌を詠んでばかりです。船が出港できなければ嘆きの歌、夜の月を見れば優雅な歌を詠みます。まるで物語つきの歌集のようでした。もっと旅行記のならではの珍しいものを見た的な記述を期待していたので、正直なところ残念でした。ただ、昔の船は速度がでないばかりか、出港することさえ思いどおりにならなかったのだなと、当時の人々の苦労は少しだけ分かりました。
和歌が好きで昔の歌集の知識があれば、かなり面白い旅行記だと思います。