2018年06月17日(日)

最貧困女子 



著者:鈴木 大介
発売日: 2014/9/27

評価〔A-〕 想像していたより苛烈でした。
キーワード:貧困、女性、性産業、

家を飛び出したのは「本人の選択」として「もうちょっと我慢すれば」というような言葉を軽々しく吐く者は、同時に加害者と変わらないと僕は思っている。(第三章より抜粋)


解決するのが難しい貧困問題の中で、知られていない若い女性たちの現状を記したドキュメンタリーです。

数多くの生の声が記されていて、その暮らしぶりに驚かされます。ある程度は覚悟して読んだのですが凄惨で、著者が取材はもう限界だと嘆くのも分かる気がします。専門家でも弁護士でもないので客観的な数字がないのが残念ですが、当事者たちの言葉はそれ以上に説得力がありました。

本書に登場する彼女たちのように、苦境に立っている人たちを自己責任の一言で切り捨てる人をネットで見かけます。しかし、実態を知らないから厳しい態度を取ってしまう人が多いのだと思います。具体的に助けることはできないかもしれませんが、非難するだけで終わらないようにしたいです。

印象に残ったのは、どんな学童保育だったら良かったのか?です。厳しい管理が彼女たちの足を遠ざけていることは、注目すべき点だと感じました。管理と居心地の良さを両立するのは難しいですが、もっと利用してもらえるよう何らかの対策が取られることを望んでいます。



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[ 2018/06/17 10:41 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年05月26日(土)

無能なナナ 2 



著者:るーすぼーい、古屋庵
発売日: 2017/5/22

評価〔A-〕 表紙の隠そうとしない感じも好き。
キーワード:能力者、学園、サスペンス、アクション

「これ、どーいうこと?」(本文より抜粋)


任務を果たしていくナナですが、今回も強力な人類の敵に悪戦苦闘します。

彼女の強さは、どんな窮地に陥っても諦めない精神力です。もうこれダメだろうという状況になっても、冷静さと頭の回転の早さで乗り越えていくさまは、見ていて感心してしまいます。あの柔軟性や適応力は羨ましい。

他の書評で、頭脳戦にしては突っ込みどころが多いとの記述がありました。確かに緻密な設定とは言えませんし、いくつか都合の良い展開があります。しかし、それを上回る緊張感や面白さがあったと思います。敵も自分の強さを過信して油断していると考えれば、ある程度は目をつぶっても良いのではないでしょうか。・・・・・・甘い?

テンポよく進んでいるので、今のところストーリの穴はあまり気になりません。この勢いで突き進んでもらいたいです。



[ 2018/05/26 21:22 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2018年05月18日(金)

サイコパス 



著者:中野 信子
発売日: 2016/11/18

評価〔A〕 きちんと理解できてよかった。
キーワード:サイコパス、犯罪、精神分析、共感、合理性、

表情や音声から他者の感情を読み取る実験をおこなうと、「怒り」「喜び」「驚き」といった感情については一般人と同程度に読み取れるものの、「恐怖」「悲しみ」を察する能力には欠けていることがわかっています。(第1章より抜粋)


報道で伝え聞くサイコパスは、血も涙もない殺人鬼といったイメージでしたが、本書を読むとそれは正しくないと分かります。犯罪者の中のごくごく一部の人たちの特徴をそう呼ぶのかと思っていたのですが、もっと範囲が広く、全人口のおおよそ1%が当てはまります。その中には成功者もいれば違法行為をして捕まる者まで様々です。例としてブラック企業の社長などが挙げられていて、なるほどなと思ってしまいました。

サイコパスの人たちはあたかも感情がないかのように言われますが、他者の感情を読み取る能力が高いのが意外で興味深いです。それが同情や共感を伴っていればよいのですが、共感性は低く合理性のみで行動していく点が一番の特徴だと感じました。感情のない合理性は、冷静という表現を通り越して違和感を覚えます。なぜ冷酷な言動を取ってしまうのかが分かります。

また、遺伝と環境のどちらの影響が大きいのか調べていて、現状では遺伝のほうが大きそうです。単に結果だけ示すのではなく、反社会的行動に向かわないための要素、解決法も示していて良かったです。詳しくは第3章の3脚理論をご覧ください。

今までぼんやりとしたイメージしかありませんでしたが、こうして一から説明を読み、偏見が少なくなったことは収穫でした。サイコパス気質の人と出会っても振り回されないよう注意したいです。




[ 2018/05/18 20:12 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年05月03日(木)

無能なナナ 1 



著者:るーすぼーい、古屋庵
発売日: 2017/2/22

評価〔A-〕 表紙の不穏な雰囲気が良い感じ。
キーワード:能力者、学園、サスペンス、アクション

「ちょっと空気は読めません。よろしくお願いします」(本文より抜粋)


能力者と呼ばれる不思議な力を持つ若者たちが集う学校で、ある日二人の転入生がやってきます。二人はクラスメイトと共に人類の敵と戦うために訓練することとなります。超能力者が人類の敵と戦うと聞くと、少年漫画にありがちなバトルものを想像しがちですが、そう単純ではありません。

今回読むずっと前に1話だけ読んだことがあるのですが、その時の衝撃がなかなか忘れられず、こうしてしっかり読むことになりました。自分で意識している以上に好みだったのかもしれません。

凄く完成度が高い訳ではありません。緻密な設定とは言い難いですし、都合がいいなと感じることもありました。それでもこのジャンルの漫画は好きですし、テンポの良さもあってか楽しめました。

1巻なのに早くも人類の敵に苦戦しています。大丈夫でしょうか。このままの調子でどんどん面白い戦いを見せてほしいです。



[ 2018/05/03 18:42 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2018年04月07日(土)

哲学の練習問題 (河出文庫) 



著者:西 研
発売日: 2012/11/3

評価〔A〕 考えることは簡単なようで難しいです。
キーワード:哲学、本質、人生、社会、

人は意外なほど、ほんとうは自分は「何が」気になっているのか、をわかっていないもの。そこを見つめようとする勇気と、つきつめて根っこからわかろうとする意志から「考えること」ははじまる。(プロローグより抜粋)


教科書のような題名ですが、あまり専門用語を使わず素人でも読めます。しかし、分かると思って読んでいると、いつの間にか難しい問題へと突入しているので油断なりません。抽象的な概念が数多く登場します。

四章でも言及されていますが、唯一の真理や美はなく、本書を読めばてっとり早く全て分かるという訳でもありません。むしろ上記の引用のとおり、深く突き詰めて考えることの大切さを痛感するばかりです。生き方や人との関係の本質についてそれぞれ考えるきっかけを与えてくれる内容で、練習問題という題名がぴったりです。

ネットで時々見かける宇宙の果てはどうなっているの問題が取り上げられていて、それに対する解答(もしくは証明)が非常に面白かったです。宇宙を考えているのに、いつのまにか人間について考えているのが奇妙な感じです。また、異文化交流は違うから面白いのではなく、違いの中に共通性を見出すことが理解に繋がると書かれていて印象深かったです。まるっきり違う文化には本当に違和感しか覚えないのでしょうか。興味深いです。

各章の終わりには参考文献(推薦図書?)が挙げられていますので、気になった主題はさらに追いかけてみるのも楽しいかもしれません。こうした記述は読者の視野を広げる一助となるので、どんどん書いて欲しいです。




[ 2018/04/07 21:43 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)