2017年03月14日(火)

「自分はこんなもんじゃない」の心理 



著者:榎本 博明
発売日: 2013/5/17

評価〔C+〕 新しい知識が欲しいところです。
キーワード:若者、心理学、人生観、

「自分はこんなもんじゃない」と思うだけではダメだ。それをエネルギー源にして、現実の壁を乗り越えようとする行動につなげていくことが大切なのだ。(本文より抜粋)


若者がよく口にする台詞「自分はこんなもんじゃない」に対して、心理学者である著者が分析し助言する本ですが、現実でこの台詞をあまり聞いたことがありません。実際はどうなんでしょうか?

それはそれとして、前向きな向上心と努力が人生をより良いものにする、というのが主題です。現状をただ否定するだけの「こんなもんじゃない」ではなく、理想に近づくために能力を伸ばす原動力となる「こんなもんじゃない」が好ましいという訳です。社会や人生をこんなものだと簡単に見切りをつけてしまわず、夢や自己表現に向かって行動することが大切と説くのは賛成です。

しかし、夢の追い方や自分らしさの分析では目新しさはなく、独特の手段や考え方を得られなかったのが残念でした。偶然のチャンスを生み出すのは、好奇心や柔軟性、楽観性だと再認識できたのは良かったです。

文章に説得力をつけるために、歌を多数引用しています。歌に詳しくないので、いくつも引用するのは返って読みづらかったです。1章につき1曲くらいで良いのではと思ってしまいました。





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[ 2017/03/14 21:40 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2017年03月02日(木)

さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち 



著者:原田 曜平
発売日: 2013/10/10

評価〔C+〕 バブル世代との違いが際立ちます。
キーワード:世代論、若者、ゆとり、さとり、不況、デフレ、バブル、団塊ジュニア、

原田「つまり、さとり世代は、もともと裕福なせいで物欲が育みにくかった上に、お金がなくても、ある程度良質なモノを得られてしまって、そこで満足しちゃっている。」(第2章より抜粋)


少し前まではゆとり世代と呼ばれていた若者たち、さとり世代とはどのような特徴を持つのか。彼らの対談から他の世代との違いや考え方を明らかにしていきます。

ひたすら解説ではなく、かわるがわる発言する対談形式なので読みやすいです。著者が司会を務めているので、あまり脱線することなく、知りたいことをうまく聞き出していると感じました。さとり世代誕生の要因は予想がついていたので驚きませんでしたけど、彼らの恋愛論や仕事に対する考え方は興味深いものでした。専業主婦の人気が高いのは意外だったかな。理解を深めたところで、最後のバブル世代との対談を読むと、ギャップが凄くて面白いです。バブル世代がアメリカ人のように見えます。(笑)

残念なのは、本書の冒頭で触れていますけど、意見を述べてくれた若者が都会の大学生だけだったことです。しかも、結構有名な学校で、著者の大人の調査に協力するような社交的で積極的な人たちばかり。地域も社会的立場も同じ人ばかりの集団で、これらの意見を若者の代表とするのは疑問が残ります。難しいとは思いますけど、もっと偏りのないバラバラな集団ならば良かったのですが・・・・・・。

参考にはなりますが、これ1冊でさとり世代を理解しようとは思わないほうが良さそうです。



[ 2017/03/02 21:45 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2014年02月12日(水)

納得しないと動かない症候群 

納得しないと動かない症候群 (Forest2545Shinsyo 76)納得しないと動かない症候群 (Forest2545Shinsyo 76)
著者:松本幸夫
出版社:フォレスト出版
出版日:2012/12/30

評価〔D+〕 年配者からみた若者論。
キーワード:仕事、若者、世代論、

「納得しないと動かない症候群」というフィルターを通して「若者」を眺めることで、これまで無意識レベルでしか認知できなかった問題がはじめて顕在化し、対処できるようになるのも確かなことです。(はじめにより抜粋)


企業向けの研修で不可解な言動をとる若者が増えてきていることを危惧し、どうしたら若者たちを理解しうまく対応することができるのかを説いたビジネス書です。若い部下をもつ社会人向けを対象にしています。

若者を理解する本だと思っていたのですが、価値観の違いまでしか語られてなく、深い考察はほとんどありませんでした。用件のみの会話は言語道断と怒り、スポーツカーを買いたがらないのに驚き、異性・お金・出世に意欲がないと嘆くのですが、根本的な理由を考えないので理解できない、嘆かわしいと感想を述べただけで終わってしまうことが多かったです。物事の優先順位や求めるものの違いでしかないのに、著者の考えのほうが当然のことのような書き方は残念でした。人材育成コンサルタントとして同世代よりもはるかに多く若者たちと接してきた人でも、この程度しか理解していないのかと、正直落胆しました。後半の対処法は分析よりは良かったですが、応急処置的なものが多かったと感じました。もっと相互理解に努め、根本的な解決があっても良かったのでは、と思ってしまいました。

悪い点ばかりあげてしまいましたが、著者は本当に社会を憂えているからこそ本書を執筆した訳で、その熱意は立派だと思います。本書で述べているように、行動力のない若者にはない素晴らしさです。また、人気講師として活躍しているだけあって、説得力のある教訓もありました。

本来は上司世代が若者を知るための本なのですが、逆に若者が上の世代の考え方を知るために読むのも良いと思います。どちらの世代が読んでも世代間の差を感じることでしょう。

言葉は悪いのですが、著者がはじめにで記述しているように、『飲み屋のオヤジがワーワー騒いでいる』ような本でした。僕は30代で本書の対象者でしたが「納得しないと動かない症候群」よりの価値観なので、著者の意見に賛同できるところが少なかったのが残念でした。著者と同じ50代半ばくらいの方々には、かなり共感を得られそうですね。




[ 2014/02/12 22:05 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2013年04月29日(月)

メタボラ(下) (朝日文庫) 

メタボラ(下) (朝日文庫)メタボラ(下) (朝日文庫)
著者:桐野 夏生
出版:朝日新聞出版
発行:2010/07/07

評価〔B+〕 よみがえるギンジの記憶
キーワード:記憶喪失、沖縄、若者、現代、

どういうわけか、<僕>の脳内ではさっきから、「ココニイテハイケナイ、ココニイテハイケナイ」という言葉が呪文のように繰り返されて、その激しい回転摩擦で脳味噌が沸騰しそうだった。(本文より抜粋)


居場所を確保できて落ち着き始めたように見えるギンジとジェイク。那覇で幸せをつかもうと、必死にもがきます。

ギンジはある人物と出会い、唐突に記憶を取り戻します。彼の語った半生は読んでいてかなり辛いのですが、グイグイ引き込まれました。家族、職場、将来……裏表紙にある『社会から零れ落ちていく若者のリアルと後戻りできない現代の貧困を暴き出す』の言葉どおりの現実がそこにはありました。著者の書く小説はもちろん創作なのですが、そう感じさせないリアリティがあります。おそらく現在も、ギンジのような人生を送っている人がいるかと思うと、相当重い気分になります。過去編はとても良かったです。その反面、安楽ハウスの続きは少々あっさりしたものに感じられました。もう少し関係者たちの内面が見たかったです。

巻末の解説では、社会と性差について言及しています。作中の性差はあまり意識していなかったのですが、思い返してみると、男性たちと女性たちは同じような境遇にあっても、違う考えや態度を示していて、なるほどなと感心しました。著者は人間の内面、特に負の面を描くのが上手いです。

終盤、ジェイクの現状を見てギンジがとった行動に驚きましたが、彼が何を大切にしているかと考慮すると分からなくもないです。でも、この結末は好みではないので、もう少しこう違った前向きな終わり方にして欲しかったです。



[ 2013/04/29 18:25 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年04月25日(木)

メタボラ(上) (朝日文庫) 

メタボラ(上) (朝日文庫)メタボラ(上) (朝日文庫)
著者:桐野 夏生
出版:朝日新聞出版
発行:2010/07/07

評価〔B〕 記憶喪失の青年が今を生き抜く。
キーワード:記憶喪失、沖縄、若者、現代、

どういうわけか、<僕>の脳内ではさっきから、「ココニイテハイケナイ、ココニイテハイケナイ」という言葉が呪文のように繰り返されて、その激しい回転摩擦で脳味噌が沸騰しそうだった。(本文より抜粋)


記憶喪失となってしまった<僕>が、なぜか夜の森を必死で逃げている場面から始まります。名前すら思い出せない状態で、同じように森の中を逃走中の昭光と出会い、行動をともにすることになります。彼らはギンジとジェイクと名乗ることとし、生きのびようとします。ギンジは記憶を取り戻せるのか、ジェイクは自分の人生を思うようにできるのか。現代の沖縄を舞台にした、若者ルポ風サスペンスです。

若者ルポと書いたように、現代の若者が数多く登場します。旅に出たいため働いている者、夢を探している者、夢を追いかけている者、日々を楽しく暮らしたい者。共通するのは、裏表紙に『社会から零れ落ちていく若者』とあるように、社会的成功とはあまり関係なさそうであることだと思います。彼もしくは彼女たちの現実が、良い点も悪い点もうまく描かれています。釜田のゲストハウスの様子は容易に想像できて、なんか笑ってしまいました。

物語は主人公2人の視点が入れ替わりで進みます。礼儀正しいギンジと享楽的なジェイクの違いが、物語の幅を広げていて面白いです。どちらか一方だったら決して踏み入れなさそうなところにも行くので、色々見ることができます。ジェイクの沖縄の方言は、訳がなくて正直よく分かりませんが、それはそれで現実感があって良いと思います。沖縄の人が沖縄と本土と分けて考えていることは知っていたけれど、沖縄本島と離島でまた違うのは意外でした。そういう内と外の意識が強い土地柄なのかな。

「グロテスク」ほどは衝撃や新鮮味はないけれど、沖縄と若者の今を見ているようで興味深いです。どのような結末をむかえるのか、引き続き下巻を読みます。




[ 2013/04/25 19:28 ] 小説 | TB(0) | CM(0)