2014年11月22日(土)

アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫) 

アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫)アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫)
著者:ジョー マーチャント
出版社:文藝春秋
出版日:2011/11/10

評価〔B+〕 古代の英知がよみがえります。
キーワード:ギリシア、考古学、古代、ノンフィクション、科学史

それにしても、いったいこれはなにを計算する機械なのか。どういう目的で作られ、どのようにして使うのか。(本文より抜粋)


オーパーツと言う言葉をご存知でしょうか。製造法が不明、または当時の技術では製造が困難あるいは不可能と思われる出土品を指します。簡単に言うと、なんでこんなものがこの時代に存在したのか?という物のことです。本書に登場するアンティキテラの機械もその一つで、二千年前に作られたにも関わらず、時計のようにたくさんの歯車が組み込まれていました。時計の仕掛けが発明されたのは中世で、機械よりも一千年以上後のことです。これは何なのか、製作者は誰か、どう使うのか。海の底から引き上げられてから、謎が解かれるまでを追った科学ノンフィクションです。

機械とありますが、もちろん現代のような電子機器ではなく、歯車で複雑な動きをする装置・道具に近い感じです。とはいえ、古代にこれほどのものがあったとは驚かされました。知識と技術の両方がなければ製造できません。科学者のみならず博物館員や企業の技術者まで魅了したこの機械は、それだけの価値があると思いました。数多くの人が興味を持ち、少しずつ謎が解かれていく経緯は見ごたえがあります。以前読んだ「哲学的な何か、あと数学とか」を思い出しました。あれの考古学版のような感じ。

丁寧な説明と豊富な調査のためか、予想していたよりも分かりやすかったです。月が地球をまわる周期の朔望月と、満月から満月までの周期の恒星月がなぜずれているのか、の説明はよく理解できました。しかし、難しくて分かったような分からないような部分もあり、文章のみで機械の仕組みを理解する難しさを感じました。動画でしたら分かりやすそうなのですが。復元モデルを製作した人物がいましたが、その模型の動くところが見てみたかったです。

長い物語のため登場人物が多いです。現れては退場、また別の人が現れては去っていくと言った感じで、少々忙しい印象を受けました。一人ひとりの活躍の紹介が少ないのはやむをえないのですが、残念であり読みづらかったかな。それと、情報量が多いのは良いのですが、そのせいでテンポが悪くなってしまったり、その説明は必要なのかと思うところもありました。

歴史が好きな人も機械が好きな人も知的好奇心を刺激される本です。取っつきやすいとは言いませんが、こうした科学の流れ、ひとつのことに情熱を傾ける人生を見るのも面白いですよ。あとは古代ヨーロッパの知識があれば、もう少しだけ読みやすかったかもしれませんね。こういうものこそ、映像化してドキュメンタリーで見せてほしい。



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[ 2014/11/22 21:35 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)