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2019年09月27日(金)

なぜ「それ」が買われるのか? 



著者:博報堂買物研究所
発売日: 2018/12/13

評価〔B〕 個人的に調べ物はあまり苦になりません。
キーワード:買物、商品、SNS、情報、

もはやモノの選択肢が多いということそのものが買物のストレスになっているのだ。(序章より抜粋)


欲しいモノの商品数や情報が多くなりすぎたために、企業が良いものを作っても消費者の要望に応えても買ってもらえない状況で、いかに消費者に選んでもらうかを考えた本です。目線は消費者で、そこから企画・販売へどうつなげるのかを論じています。

誰かやAIにあらかじめ商品を絞ってもらう「枠内の攻略」や、枠づくりの「これでいい/これがいい/これしかない」は分かりやすいです。ある程度譲れない条件があれば絞りやすいですが、こだわりがない場合はそれを考えるのすら手間です。私もネットで「今年のおすすめベスト10」みたいなものを参考にすることがあるので共感できました。しかし、消費者の立場からすれば詳しい友人・知人に選んでもらうのと同じであまり新鮮味は感じませんでした。

印象に残ったのは参加型の「これしかない」です。売る側からの提案のみでなく、SNSとの相性の良い参加型の売り方・イベントならば現代の消費者の心がつかめそうです。楽しそうですしね。

一つ疑問だったのは、皆が皆枠組みを作り同じような枠が数多くできてしまったら、再び情報過多になってしまうのではないでしょうか。枠を選ぶことも誰かに頼らなければならなくなるのでしょうか。また、AIにおすすめしてもらうのもよいですが、新たな出会いや発見はあまり期待できなさそうです。

分析編であった「関心高いがお任せ」の分野で、外国での事例のように日本でも新たな企業が生まれ躍進するかもしれません。なんにせよ何か買うなら満足のいく買物にしたいです。


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[ 2019/09/27 21:52 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2019年07月29日(月)

格差と階級の未来 超富裕層と新下流層しかいなくなる世界の生き抜き方 



著者:鈴木 貴博
発売日: 2019/1/19

評価〔A〕 お金を上から見た話。
キーワード:資本主義、富裕層、貧困層、搾取、労働、

なぜこれまでの歴史の中で、資本家は労働者から搾取をしてきたのでしょうか。その理由は「富は労働が生むもの」だったからです。(第五章より抜粋)


庶民目線ではなく富裕層・資本家から見た富の流れと世の中の仕組み解説しています。

どうして富を持つものが現れたのか、どうして今のような資本主義社会になったのかが、お金の流れのみで考察し説明されているのですっきりしていて分かりやすかったです。基本的に誰が誰から搾取するのかに注目しているので内容は殺伐としています。しかし、文化や個人の心理を排して考察しているので、より簡潔でより本質的な説明になっているのではないでしょうか。

単なる現状説明で終わらず、労働者がどうすれば富を持てる可能性があるのかについても言及しているのが本書の良いところです。解決策は誰もが富裕層になれる訳ではありませんが、現実的な案だと感じました。調べてみたら似たようなことを主張している本も見つけましたので説得力があります。

富の偏重は加速するのか、新しい価値観が覆すのか。次に世の中の仕組みが大きく変わった後で、また読み返してみたいです。


[ 2019/07/29 23:21 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年09月23日(土)

商店街はいま必要なのか 「日本型流通」の近現代史 



著者:満薗 勇
発売日: 2015/7/16

評価〔B〕 コンビニの次は何だ?
キーワード:商店街、流通、小売り、

店舗小売業においては、詐欺的な不正取引におびえて客が買い物を控えるようなことが起こりにくいので、行商に比べると、よりいっそう活発な取引が展開されることになります。(第3章より抜粋)


題名は商店街となっていますけれど、それだけでなく近代から現代までの小売と流通の歴史を紹介しています。思うに主題と副題が逆なのでは。百貨店、通信販売、商店街、スーパー、日本型コンビニエンスストアの5つの形態について、発祥と成長の過程を考察しています。

商店街の章では、商品を修理して使うのが当たり前で、掛売りが珍しくなかった時代に合っていたとの指摘しています。また、高速輸送の手段がなかった、もしくは限られていたので、現代よりも住民と地域の繋がりが強かったのでしょう。説得力があります。しかし、商店街について語っている文章が、期待していたより多くなかったのが残念でした。5つの章はどれを軸にという訳でもなく、どれも同じくらいの分量なので、商店街が主役と言う感覚はありませんでした。

他の4つはというと、初めて現金正札販売を取り入れた百貨店や、革新的なシステムを取り入れ大量消費社会を作ったスーパーには感心させられました。また、現在隆盛しているコンビニの問題点はニュースにもなり、商店街のことよりも印象に残りました。
コンビニ会計は公平さに欠けるよねぇ。

流通史として読むならバランスよくまとまって分かりやすいですが、商店街のことをよく理解したい場合はあまりおすすめしません。



[ 2017/09/23 22:13 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2016年07月18日(月)

その数学が戦略を決める 



著者:イアン エアーズ (著), Ian Ayres (原著), 山形 浩生 (翻訳)
発売日: 2010/6/10

評価〔A+〕 人工知能とは違う近未来の力。
キーワード:絶対計算、経済、近未来、統計、回帰分析、無作為抽出、

われわれはいま、馬と蒸気機関の競走のような歴史的瞬間にいる。直感や経験に基づく専門技能がデータ分析に次々に負けているのだ。(序章より抜粋)


映画の売れる脚本や裁判の判決をコンピュータが予測すると聞いたら、そんなのまだ早いと思うのが当然だと思います。しかし、前者は既にハリウッドで動き出していますし、後者は良い結果を出しています。データを集めて商売や危機管理に役立てているのは知っていましたが、創造性や複雑な判断にまでデータ分析が及んでいて、驚くとともに感心してしまいました。

本書では、それらの大量の情報を収集・解析するデータマイニングと、それを行う絶対計算者たちについて、専門家が具体例を交えて説明しています。ちなみに、英語の題名はこのデータ分析で決めたそうです。

計算による予測として回帰分析と無作為抽出の2大理論が、要点のみ分かりやすく書かれています。どちらも知っていたので、すんなり頭に入ってきましたが、数学に疎い方でも大丈夫だと思います。上記のように、様々な分野での実証例が挙げられていますので、それらも理解の助けになります。アメリカでの最先端の研究と、それを適用したビジネスの例が豊富なのが魅力です。

印象深いのは、専門家と絶対計算の比較の章です。人間は自分の予想に自信過剰である、複雑なものの重要要因を見極めるのが得意ではないとあり、おおむね賛成です。公平に偏見なく感情的にならずに物事を判断するのは、かなり難しいと思います。経験も時には邪魔になりますし。計算式によって導かれた確率は、それらには影響されずにすむのが強みです。皆、自分の分野ではデータ分析より人間のほうが勝っていると信じていますが、そうでないことを知ることができます。

全体的に分かりやすく書かれているとはいえ、興味のない話や込み入った話もありました。400ページ近いので、もう少し短くても良かったかもしれません。それと、理論の説明でもほとんど図や表がなかったと思うので、もう少し視覚的に分かりやすい説明が欲しかったです。入門書ならなおさら。

各章の最後にまとめがあるので、読み返す時に便利です。この感想文も、まとめを見て思い出しながら書いています。今後も、データ分析が社会に影響を与える機会はどんどん増えていき、避けられない流れだと断言しています。どのように利用すればよいのか知るためにも、一読するのもよいのではないでしょうか。



[ 2016/07/18 21:22 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2015年01月16日(金)

なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学 (ハヤカワ新書juice) 

なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学 (ハヤカワ新書juice)なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学 (ハヤカワ新書juice)
著者:パコ アンダーヒル
出版社:早川書房
出版日:2009/09

評価〔A〕 現場に行こう。
キーワード:買い物、消費者、現場、ショッピングモール、

このような経営評価の手法は、ビジネススクールでは教えてくれない。利潤差額や投資収益や通貨供給量などとは無関係だからだ。店の四方の壁のなかで何が起こっているかがすべてなのだ。(第2章より抜粋)


ショッピングの科学では、商品を買うことのみならず、お客さんが店に入ってから出るまで何をしたのかを全て調べて分析します。全てです。買う買わないはもちろん、値札を見たかどうか、試着したかどうか、誰と来たか、果てはどのくらい滞在したかなど全て記録するというのですから凄いですよね。そんなショッピングの科学の第一人者である著者が、買い物についてあれこれ語った世界的ベストセラーです。

現場で知り得た多くの情報が書かれています。消費者としては当たり前に感じることも、売り手としてはきちんと観察しないと気づかないことも多いのです。例えば、トイレが汚いからあの店に行かない、欲しいものが棚の一番下にあって取りづらいから買わないなど、実際に客として入ると分かることが、店側の人間には意外と気がつかないものです。ちなみに後者の「物がとりづらい」は年配の方の意見です。とにかく観察経験が豊富なので、非常に説得力があり肯けるものが多いです。

印象に残ったのは、お客は店に入る時は入ることしか考えていないので、掲示板や壁紙はほとんど見ていないこと、です。なるほど、確かにそうかもしれないと納得してしまいました。また、商品自身の魅力ではなく、隣に何を置くかで売れ行きが違ってくるマーチャンダイジングの手法も興味深かったです。買い物の主役である女性のみならず、男性、子供、老人にも注目しているのも良いですね。この章の最後、清涼飲料メーカーの例もなかなか面白かったです。

アメリカの小売業を中心に語られていますが、著者の会社は世界展開していて、様々な国々のショッピングや商品、サービスについても紹介しています。アメリカ人なのにアメリカのショッピングがナンバー1と言わないのは、実地調査の経験の豊富さからなのだと感じました。

興味深い内容なのは良いのですが、とにかく本が厚いです。450ページを超えます。なかなか読み終わらないなぁと、途中で何度もページ数を確認してしまいました。2冊にうまく分けることはできなかったのでしょうか。そうすれば、より効率良く(もしくは楽に)読むことができたと思うのですが。個人的な回想やインターネットに対する批評など、本筋から外れたような話もありましたが、内容の濃い有益な本でした。




[ 2015/01/16 20:25 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)