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2019年06月24日(月)

その症状、本当に認知症ですか 



著者:神谷 達司
発売日: 2016/4/30

評価〔B〕 医師でなくても知っておくと良いこと。
キーワード:認知症、アルツハイマー病、加齢、誤認、介護、

認知症にあまりくわしくない医師が診断する機会が非常に多くなり、結果として誤診につながっていると思われます。(本文より抜粋)


高齢社会の問題の一つとして認知症があります。一度なってしまうと完治することはないやっかいな病気です。有名となってしまった病気ですが、正しい知識を持っている人はどのくらいいるのでしょうか。題名にあるように誤診の危険性も含めて、専門医の立場から認知症について解説した一般向け入門書です。

違いが分からなかった認知症とアルツハイマー病の違いや、疑問に思っていた認知症のもの忘れと加齢のそれの違いが書かれていてためになります。アルツハイマー病は認知症の一種ですが、認知症は状態を表す言葉だそうです。また、症状が似ている病気が多いことや、専門知識のない医師の診察により誤診が多いことにも触れています。誤診しやすいケースや事例を挙げているので分かりやすいです。誤診を防ぐために家族ができることは、医師に患者の普段の様子を正確に伝えることだと説いています。

病気の違いを要点を絞って説明しているのは良かったです。アルツハイマー患者が立体を模写できないのは興味深いし、何かの役に立つかもしれません。しかし、正確に説明しようと専門用語ばかりとなってしまったところは、素人には分かりづらかったです。
専門家でない限りはそこまでの知識は要らないかな。

最後の章では認知症発症の危険性を下げる対策が書かれています。だいたいは予想したとおりでしたが、アロマセラピーや肥満が影響あるとは知りませんでした。こうした対策は頭の中に入れておこうと思います。



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[ 2019/06/24 19:19 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2019年06月19日(水)

PTA不要論 



著者:黒川 祥子
発売日: 2018/5/16

評価〔B+〕 私も不要に一票。
キーワード:学校、PTA、役員、教師、教育、

これほどの負担と労力とストレスを強いられながら、意味が見出せない組織が戦後70年も延々と続いている。あるのが、当たり前とされて・・・・・・。(第六章より抜粋)


子供の頃は、PTAは保護者と先生がなんだか集まって何かしているよく分からない組織でした。大人になってから体験談を聞いたり読んだりしてみると、どうも問題が多い組織のようですね。

役員になると多くの時間を犠牲にして活動しなければならないのですが、その活動が本当に子供たちの教育に役立っているのか分からないものがあります。本書で挙げれた先生たちへのお茶くみやベルマーク集計は大いに疑問です。家庭の事情は一切考慮せずに時間と体力を捧げなければならないのが辛いです。

一番酷いのは任意加入なのに、古参の参加者がさも強制加入であるかのように説明していることではないでしょうか。自分たちが苦労したのだからあなた達もしなさい、と中学生の部活動の悪習のようです。義務ではないのですから、参加したい人が行うボランティア制が理にかなっています。しかし、何らかの理由で未加入でいると、その人の子供が大人からいじめられる可能性があるというのですから酷いものです。

PTAを必要であると主張する本部役員の弁も載っていますが、他人事のようであり賛同できません。理解しがたい意見もありましたし。もっと現場でうまく行っている、こうした場合に必要だという意見が聞きたかったです。その上で要か不要か考えてみたかったです。

誰のための組織と活動なのか。本部の人々も原点に戻って考え直してもらいたいです。



[ 2019/06/19 19:53 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2019年05月04日(土)

「過剰反応」社会の悪夢 



著者:榎本 博明
発売日: 2015/5/10

評価〔B〕 受け手も過剰にならずに。
キーワード:社会問題、炎上、クレーマー、

何を期待されていたのかもよくわからないし、何が気に入らないのか、何を怒っているのかと戸惑うばかりである。勝手な思い込みによる期待なのに、裏切られてたといって過剰反応するのである。(第3章より抜粋)


今までは特に何の問題もなかったことが、少数の意見により組織や会社が対応を強いられる出来事があります。少数派としてはまっとうな意見なのかもしれませんが、感情的になってしまいネットで取りあげられることも少なくありません。どうしてこのような出来事が起きてしまうのか、原因は何なのか、について分析します。

まず列挙されている過剰反応の事件の数に驚きました。一度は目にしたことがあるのに忘れていた事件も多く、ネットではすぐ新しいニュースが飛び込んでくるので長く記憶に残らないのが原因なのでしょう。一つひとつ反論しています。概ね納得できる意見でしたが、心理構造を読み解くための心理実験の結果などの客観的な根拠があればなお良かったと思います。

対策が知りたくて読みましたが、劇的に効く対処法はなかったのは予想はしていましたが残念です。和解できた成功例をもっと挙げて欲しかったです。実際に話し合って解決していくのが一番効果的なのかもしれません。社会を構成する一人ひとりが意識と行動を変えていかなければならないと再認識しました。



[ 2019/05/04 21:46 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年10月12日(金)

精神医療に葬られた人びと ~潜入ルポ 社会的入院~ 



著者:織田 淳太郎
発売日: 2011/7/15

評価〔B〕 一番の原因はなんなのか。
キーワード:精神病、入院、介護、人生、

そこは、平和だが、鍵によって密閉された「鳥かご」のような世界だった。地域との繋がりが寸断された、文字通りの無縁社会である。(本文より抜粋)


精神科病院の病棟は、接点のない人がほとんどなので、実態を知っている方は極一部です。せいぜいドラマや漫画など創作物の中での、暗くて不気味な雰囲気のイメージしかない方ばかりではないでしょうか。では、現実の病棟はどのようなところなのでしょうか。著者自ら精神病棟に入院し、何が起きているのか何が問題なのかを綴っている体験レポートです。

病棟の描写は想像よりも落ち着いていて平穏そうに見えますが、数十年も病院で暮らしている比較的健康な患者がいること自体が問題の大きさを示しています。難病のためやむを得なくならばともかく、治療以外の要因、例えば引き取り手の不在などで暮らしていかなければならないのは、どこか腑に落ちません。隔離・拘禁から治療・復帰の場とするには様々な課題がありますが、医療関係者以外の者としてできるのは精神病患者への理解と関心を持つこととあり考えさせられました。

また、日本は諸外国に比べて病床数が格段に多いのは知りませんでした。これは精神医療が充実しているからではなく、病院の経営面から入院患者を多くしているそうで、お金がなければ何もできないとはいえ残念に思います。

本書は患者と医療関係者の生の声に触れていますが、患者の家族や病院経営者の意見もあったらなお良かったです。



[ 2018/10/12 22:38 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年08月11日(土)

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 



著者:中野 信子
発売日: 2018/1/18

評価〔B+〕 協調性の欠点のお話。
キーワード:シャーデンフロイデ、オキシトシン、向社会性、集団、正義感、

攻撃に伴うメリットをなんとしても捻出する必要がありました。それが、社会的排除を執行する際に脳で生み出される「快楽」です。(第2章より抜粋)


題名の単語はドイツ語で、他人の失敗を喜ぶ感情という意味だそうです。誰もが持っている心の動きだけれども、恥ずかしさも覚えます。なぜこのような感情を抱くのかを、脳内物質や心理実験によって分析しています。

この心の働きにはオキシトシンなる物質が関係しているようです。幸せホルモンとも呼ばれるこの物質の働きが、人にどのような影響を与えるのか、欠点はあるのか、そしてシャーデンフロイデとはどのように繋がっていくのかを分かりやすく説明しています。また、動物実験によるとこれの分泌量が多いと、他の個体を認識できる能力が高まるとあったのが興味深いです。私は人の顔を覚えるのが大変苦手なので、分泌量がが少ないのかもしれませんね。

多くの実験や研究が挙げられていてためになります。稲作と稲作以外の地域の集団意識の違いは視点が面白いです。また、本筋から少しそれますが、数種類のジャムを選ぶ実験やある歴史の先生が試みたサード・ウェーブ実験なども良かったです。

本書では危険性と対策の難しさが指摘されていますが、協調性と寛容さのバランスが大切なのではと考えています。昨今のネットでは当事者でもないのに激しく批判する出来事をときどき目にしますので、もう少し寛容になれば息苦しさも緩和されるのではないでしょうか。承認欲求と上手く付き合っていかねば。




[ 2018/08/11 23:52 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)