2008年09月30日(火)

他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学 

他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学
著者:クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン
出版:紀伊國屋書店
発行:2007/03

評価〔A+〕 良いコミュニケーションと認知
キーワード:心理学、社会不安、社会恐怖(社会不安障害)

つまり、私たちは、他人に見られたり、他人の評価の対象になったりしていると感じた時に、不安をおぼえるものなのである。(序章より抜粋)


インパクトの強い題名ですけれど、副題のほうがむしろ内容を勘違いせずに連想しやすいです。表題『他人がこわい』は強烈な人間恐怖症を想像してしまいますがそうではありません。相手に言動を見られたりや評価されたりする時、緊張したり不安になったりすることがあります。それが生活に支障をきたすほどになってしまったものを社会恐怖と説明しています。あがり症も内気も社会恐怖も他人の目を気にしているという点では同じです。

精神科医クリストフ・アンドレの本は(他にも読んだ本があるのですが)、本当に判り易く、かといって易し過ぎることもありません。そして何より実例が豊富かつ身近なので、共感できるものばかりです。著者がフランス人なので、フランスの場合について書かれていることもありますが、どの国の人にも共通する問題を取り上げているので気にはなりません。逆に、社会学的要因について言及している項目では、日本を含む他の国々についても書かれているので、良いと思います。

社会不安を感じる4つの状況と4つの社会不安の解説は分かりやすく見事です。例えば、あがり症と内気の違いの1つは、特定の状況か生活全般で感じるかであるなど曖昧な認識を改めてくれます。また、社会不安のピラミッドは不安に感じる頻度と程度をうまく説明できていると納得しました。心に残ったのは、不安によって行動する前に最悪の結果になると思い込んでしまう<予期不安>です。自分に当てはまっているかも。

この本の良いところは、誰の目にも病気だとわかるケースだけでなく、病気ではないが悩んでいる軽度のケースも取りあげている点です。

もし「病気」というものを、「個人に大きな苦しみをもたらし、その人の生活の質を下げてしまうもの」と定義するとしたらどうだろう?(第5章より抜粋)


上記の抜粋にもあるように、心の苦しみを軽視せずに真摯に取り組んでいるのがわかります。この軽度の社会不安についても、具体的解決策が掲示されています。

巻末についている心理テストで簡単な自己診断ができるので、自分のあがり症や内気を気にしている、もしくは興味がある方は1度試してみてはいかがでしょうか。周囲にそのような人がいるときも、この本は助けになると思いますよ。




スポンサーサイト
[ 2008/09/30 22:54 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)