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2020年06月05日(金)

世界一非常識な日本国憲法 



著者:長尾 一紘
発売日: 2017/9/2

評価〔B+〕 非武装中立には反対かな。
キーワード:憲法、改正、違憲、自衛隊、外国人参政権、天皇

政治意識の点では、「非武装中立」などと言っているようでは、せいぜい中進国ではないでしょうか。(エピローグより抜粋)


最近、憲法改正についてニュースなどで耳にします。どう改正するのかの前に、まず改正するのか否かを議論している最中なのでしょうが、まったく議論しないよりはずっと良いと思っています。マスコミでは自衛隊と9条のことばかり取り上げていますけど、他の部分はどうなのかちょっと興味があり手に取りました。

日本の憲法学は宮沢俊義なる人物の影響が大きく、現在でも宮沢憲法学と呼ばれ憲法学説の多数派として存在しているとは知りませんでした。反天皇、反自衛隊、反国家を主としたものです。著者とはまったく意見が異なり本書では一貫して批判しています。断言することが多く話に熱がこもってますが、それだけ熱心なのでしょう。「真理を追究するのではなく信仰に取りつかれた人々」とは言い得て妙なのかも。

憲法の成り立ちや明治憲法との関係は専門的でやや難しいですが、後半の自衛隊や皇室、外国人参政権はマスコミを通して多少知っていたのでよく理解できました。テレビで言ったら議論が長くなりそうなものも断言して短く終わらせているのが潔いです。女性宮家と旧宮家の件は納得です。よく聞くけれど理解が曖昧な「君主」「元首」の違いも書かれているのも良かったです。

9条は著者の改正案が妥当だと思います。世界の常識とも照らし合わせて国民の不利益にならないものにすべきだと感じました。



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[ 2020/06/05 21:41 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2020年03月14日(土)

直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座 



著者:内田 樹
発売日: 2017/7/7

評価〔C〕 大きなテーマが多いです。
キーワード:エッセイ、教育、メディア、政治、国際、

おっしゃるとおり、煙草は体に悪い。だが、アルコールもジャンクフードも体に悪いことには変わりはないだろう。(第6講より抜粋)


雑誌に連載されていた900字のコラムを採録したエッセイです。題材は仕事論から政治論まで幅広く取りあげています。

あとがきにあるとおり、冒頭のテーマからは読者が予想しない終わり方をしないように捻って書かれているのが良いです。嫌いなものがはっきりしているので分かりやすいし一貫性があります。また、政治などでは近未来の予測を具体的に書いていて面白い試みだと思いました。自分に先見の明があるのか分かるし、その時の感情までよみがえってきそうで興味深いです。

このようなエッセイでは自分にない物の見方や考え方を少しだけ求めながら読むのですが、残念ながら共感や感心よりも異議や不賛成、もしくは違和感のほうが多かったです。それに、他のエッセイよりも違う気がするんだけどと思う回数が多かったです。読んでいてお金に苦労したころがなさそうと思ってしまいました。

異なる意見の人の言い分や価値観を知ることができたのは良かったです。



[ 2020/03/14 21:57 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2018年08月30日(木)

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ 



著者:坂村 健
発売日: 2016/3/10

評価〔B+〕 先の先まで見えていて凄い。
キーワード:IoT、ユビキタス、インダストリアル・インターネット、オープンAPI、ガバナンス、

前述の「閉じたIoT」を超えて、「インターネットのように」なることが、「世の中を大きく変える」にあたり重要なポイントなのである。(第2章より抜粋)


時々目にするIoT(Internet of Things)なる単語、意味は物のインターネットですが具体的にはほとんど知らず、オール電化の家くらいのイメージでした。しかし、本書を読むとインターネットと同様に社会を変えてしまう可能性を持つものだと分かります。

最先端の研究者であり、はじめにでも触れられているように設計者・技術者の意図が書かれているので、より深く知ることができます。既に行われているIoT実証実験の先、全ての物に識別番号をつけて繋げるオープンなIoT、さらには著者の提唱するアグリゲート・コンピューティングまで見据えていて、さすがはTRONの開発者だなあと驚きました。それにしても全ての物に128bit、10進法で39桁の数字をふるのか。SFじみてきたなぁ。

また、単なる解説を超えて、技術的問題点に加え社会的問題点、特に後半では日本の問題点も大きくとりあげられていて、何がどこまでできていて、どの点が他の国に後れを取っているのかが詳しく説明されていて良かったです。失敗しないようにしていると、後で大きな失敗となる。オープンな社会の重要性が理解できました。

理解があやしい箇所もありましたけど勉強になりました。シンクライアントなどの専門用語が解説なく書かれているので、ITの知識がまったくない方には読むのは困難かもしれません。AIとは違ったコンピュータの驚異的発展は興味深かったです。



[ 2018/08/30 21:40 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2018年05月03日(木)

大放言 



著者:百田 尚樹
発売日: 2015/8/12

評価〔B+〕 この本は炎上してないみたいです。
キーワード:放言、批判、炎上、反論、

どこからも突っ込まれない意見や、誰からも文句の出ない考えというものは、実は何も言っていないのと同じだ。(まえがきより抜粋)


失礼ながら著者はなんだか喋るたびに炎上している印象があります。有名な小説の作家ということ以外よく知らず、具体的にはどのようなことを言っているのかほとんど知りませんでした。

実際に著者の意見や非難に対する反論を読んでみると、自分とは異なる意見のものもありますが、概ね理解できる意見です。炎上が頻発するほど過激にはあまり感じません。メディアが発言の一部のみ抜粋するので、真意やニュアンスが本来のものとは異なって伝わることが多いようです。

他人の目は正しい、超少数意見は厳しいようだけど無視していい、国会のヤジは問題ないのか?、あたりが読んだ後も印象に残りました。特に、最初の放言は、本心を出さずに生きてきた人は出さずにいる姿が本当の姿と続き、説得力のある内容です。

放言を問題発言だとむやみに騒ぎ立てずに、その真意を読み取ることが大切です。本人の反論もきちんと聞くべきですね。言葉狩りが横行することのないような社会を望みます。



[ 2018/05/03 18:40 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2018年04月07日(土)

哲学の練習問題 (河出文庫) 



著者:西 研
発売日: 2012/11/3

評価〔A〕 考えることは簡単なようで難しいです。
キーワード:哲学、本質、人生、社会、

人は意外なほど、ほんとうは自分は「何が」気になっているのか、をわかっていないもの。そこを見つめようとする勇気と、つきつめて根っこからわかろうとする意志から「考えること」ははじまる。(プロローグより抜粋)


教科書のような題名ですが、あまり専門用語を使わず素人でも読めます。しかし、分かると思って読んでいると、いつの間にか難しい問題へと突入しているので油断なりません。抽象的な概念が数多く登場します。

四章でも言及されていますが、唯一の真理や美はなく、本書を読めばてっとり早く全て分かるという訳でもありません。むしろ上記の引用のとおり、深く突き詰めて考えることの大切さを痛感するばかりです。生き方や人との関係の本質についてそれぞれ考えるきっかけを与えてくれる内容で、練習問題という題名がぴったりです。

ネットで時々見かける宇宙の果てはどうなっているの問題が取り上げられていて、それに対する解答(もしくは証明)が非常に面白かったです。宇宙を考えているのに、いつのまにか人間について考えているのが奇妙な感じです。また、異文化交流は違うから面白いのではなく、違いの中に共通性を見出すことが理解に繋がると書かれていて印象深かったです。まるっきり違う文化には本当に違和感しか覚えないのでしょうか。興味深いです。

各章の終わりには参考文献(推薦図書?)が挙げられていますので、気になった主題はさらに追いかけてみるのも楽しいかもしれません。こうした記述は読者の視野を広げる一助となるので、どんどん書いて欲しいです。




[ 2018/04/07 21:43 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)