2017年01月21日(土)

六花の勇者 archive1 Don’t pray to the flower 



著者:山形石雄 (著), 宮城 (その他)
発売日: 2016/3/25

評価〔B+〕 勇者たちの前日譚。
キーワード:ファンタジー、ミステリー、サスペンス、

「あなたに頼みがあります。あなたにハンスさんを見せたのは、この頼みが可能かどうかを、確かめてもらうため」(「密偵と猫」より抜粋)


六花の勇者シリーズの短編集です。彼らが勇者に選ばれる前の日常を描いた前日譚です。

どのエピソードも登場人物たちの個性がよく出ています。特に、ハンスやフレミーは印象に残りました。なかなか内面が読めない二人を、より理解できるようになります。ハンスの異性の好みは昔からのようです。また、中には本編で起きる事件を仄めかしている場面もあります。本編を読み直す時に思い返すでしょうし、本編の続きを読む時に物語の深みに繋がると思います。

ふと思ったのですが、現在の六花ではなく過去の六花の話でも面白いかもしれませんね。多少語られていますが、過去にどのような戦いが繰り広げられた詳しく知りたいです。短編でいいから読んでみたいです。

本書を読まなくても差し支えありませんが、シリーズのファンでしたら読んでおくことをお勧めします。




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[ 2017/01/21 21:24 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2017年01月21日(土)

岸辺露伴は動かない 



著者:荒木 飛呂彦
発売日: 2013/11/19

評価〔B+〕 露伴先生らしい波乱万丈な出来事。
キーワード:ジョジョ4部、短編集、

「・・・・・・それとは別に『山奥の別荘』を買いに行くお話とか漫画にしません?」(本文より抜粋)


ジョジョの奇妙な冒険に登場する漫画家・岸部露伴が主人公の短編集です。性格はわがままですが格好良くもある人気のキャラですし、職業柄よく取材に出かけるようなので、著者も言っているようにこうした短編には向いていますね。

好奇心を刺激する不可思議でどこか怖いエピソードが魅力的です。ジョジョと言えばスタンドを連想する方が多いと思いますが、本書では本編のようなバトルはありません。しかし、同じくらいの面白さがあります。追い込まれた主人公がどう難局を乗り切るのかが見物です。上で引用した家を買いに行く話が印象深かったです。

別の短編集「死刑執行中脱獄進行中」にある短編と同じものが、1編だけ収録されていました。本書の題名からしてその短編と同じでしたので予想はしていましたけど、できれば全部新しい作品が読みたかったなあ。あの話も結構好きなので悪くはないのですが。

ジョジョを読んだことがない人が、試しに読んでみても良さそうです。露伴先生はだいたいこんな感じで活躍していますよ。



[ 2017/01/21 21:21 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2016年08月21日(日)

猫なカノジョと犬の僕 



著者:けろりん
発売日: 2016/4/25

評価〔B+〕 いやらしさだけでない味のある漫画です。
キーワード:恋愛、短編集、社会人、

昔から、なにを考えているのか、よくわからないヤツではあった。(本文より抜粋)


初々しい話から切ないものまで様々な恋愛を描いた短編集です。前後編の話あり。表紙からはそう見えませんが男女の性的描写があり、これで成人指定でないとは驚きです。苦手な方はご注意ください。

基本的に読んでいて読後感も良いです。いやらしい場面を見せるためだけの話はなく、登場人物たちの心情が分かるようにしっかり描かれていて好感が持てます。女性側が少々軽い気もしますが。(笑) 全体的に優しい温かみのある雰囲気です。女性の体の書き方は男性っぽいけれど、心理描写を見るに著者は女性なのかもしれませんね。

最初の話「そんなこといえない」で、始まっているのに減らず口を叩くのが、なぜかお気に入りです。こういうちょっとした台詞やシーンが味があって良かったです。著者の他の作品にも興味がわきました。




[ 2016/08/21 11:43 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2016年02月10日(水)

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫) 



著者:ディーノ ブッツァーティ (著), 関口 英子 (翻訳)
発売日: 2007/4/12

評価〔B+〕 宗教色が強いものもありますが面白いです。
キーワード:イタリア文学、短編集、

入院患者はカースト制度のように、画然とした七つのグレードに分けられていた。(「七階」より抜粋)


幻想文学の鬼才と称されたイタリアのブッツァーティの短編集です。

著者の文章力か翻訳者の能力か分かりませんが、翻訳本に見られる文章の硬さ、違和感がなく、外国文学ではありますが読みやすかったです。一つひとつは短いですが、読み応えがありました。印象に残ったは、皮肉の利いた「秘密兵器」、人の心理を上手く描いた「1980年の教訓」「この世の終わり」、著者の考えが透けて見える「病院と言いうところ」「マジシャン」などです。「七階」は一つのルールがある病院が舞台で、こういう病院も主人公も実在しそうだ、と感心しながら読みました。戯曲化、映画化されるだけあります。なかなか怖いです。

様々な種類の短編がありますが、全体に共通する雰囲気のようなものがあります。皮肉や不安という言葉が近いかもしれませんが、もう少ししっくりくる言葉がありそうです。人生の上手くいかないところ、不条理さとでも言うのでしょうか。幻想文学と評されていますが、本書を読む限りでは、かなり現実的で普遍的なことを綴っている、というのが感想です。

もう一つの特徴として、宗教色の強い短編があることです。イタリアなので、キリスト教カトリックです。神や司祭、日本では聞きなれない聖人も登場します。ただ、盲目的な信仰ではなく、あくまで物語の一役として出ている感じなので、宗教が苦手な方でも楽しめるでしょう。



[ 2016/02/10 21:34 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2016年02月02日(火)

他人をほめる人、けなす人 (草思社文庫) 



著者:フランチェスコ・アルベローニ (著), 大久保昭男 (翻訳)
発売日: 2011/4/12

評価〔C〕 エッセイにしては硬い文章かな。
キーワード:エッセイ、人間関係、短編集、

こういうタイプの人びとは、自分の日常生活の出来事のなかから多くのことを学びとる。あれこれ出来事を観察し、対比し、判断し、辛抱強く関連づけることによって学びとる。(「真の教養がある人」より抜粋)


世の中には色々な人がいます。ほめない人、冒険できる人、先入観にとらわれない人。観察と洞察によって、短い文章で人の本質に迫ります。

一項目4~5ページでどの項目から読んでも大丈夫なので、読みやすいです。ただし、簡潔に書かれてはいますが、抽象的な単語や婉曲的な表現を使っているので、分かりやすくはないと思います。また、理解しやすい流れではないのが、読みづらさを感じました。例えば、題名のような人物を最初から説明するのではなく、逆のタイプの人物の考察から入ったり、全然関係ない話題が長く続く場合もあるので、何について話しているのか良く分からなくなってしまった時もありました。

良かったのは、自分の考えと同じでも反対でもなく、まったく違った見方をしていることを知ることができた点です。こういう見方は考えたことなかったなぁと思うこともありました。例えば、「困惑させる人」は単なる意地悪や気晴らしではなく、他人を利用するために行動している、というのはなるほどと思いました。なかなか合わないタイプの人を理解するための、より良い人間関係を築くための助けとなるかもしれないですね。

序盤に好ましくないタイプが固まっているのも良くなく、始めは読んでいてあまりいい気分ではありません。しかし、徐々に見習うべき人物が出てくるので、途中で読むのをやめないほうが良いです。



[ 2016/02/02 21:36 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)