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2012年12月08日(土)

幼年期の終わり(光文社古典新訳文庫) 

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)
著者:クラーク
出版:光文社
発行:2007/11/08

評価〔B+〕 異星人との遭遇、そして……。
キーワード:SF、未来、異星人、人類、

まもなく、巨大な飛行物体の群れが降下を開始した。永遠とも感じられたひととき、カリーア中の人々とともに、その威容を言葉もなく見守った。(本文より抜粋)


突如現れた異星人は、その姿を見せることなく地球を、人類を統治することとなりました。社会に安定をもたらし、そして文明も発達していきますが、彼らの真意は未だ謎のままでした。異星人との接触から人類の行く末までを描いたスケールの大きい有名SF小説です。

桁違いの科学力を持つオーヴァーロードたちや接触後の社会の変化は、現代小説とは違った読み応えがあります。近い未来こうなるのだろうかと思うと興味深いです。第2部から第3部への大きな流れは圧倒的で、少し呆然としてしまうくらいです。オーヴァーロードの目的が彼らから語られる時、なんとも言えない気持ちになりました。

登場人物が外国人のため、名前を覚えるのに一苦労しました。本書付属の栞は主な人物が記載されていて、読んでいるときは助かりました。なかなかの気配りです。感謝。

本作品はハヤカワ文庫から既に出版されています。しかし、当時の社会情勢と現代を比べてみると隔たりがあるため、第一部は1990年に書き直されたそうです。新第一部の日本語訳が読めるのは、本書だけだそうです。また、いくつかの単語も違う言葉に訳されているので、ハヤカワ文庫版と読み比べてみるのも一興かと思います。

好み……ではないような気はしますが、予想外の結末で驚かされました。インパクトがあることは確かです。翻訳ものとしては読みやすいと思うので、想像力に自信のある方にはお薦めです。




[ 2012/12/08 11:17 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2012年08月01日(水)

エスニシティ ゼロワン2 

エスニシティ ゼロワン2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)エスニシティ ゼロワン2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者:多田乃 伸明
出版:メディアファクトリー
発行:2011/09/22

評価〔B〕 未来だけど未来っぽくない
キーワード:SF、近未来、管理社会、

「分からないのはここが空白地帯だからだ。ここにはパペットはいない。全て自由だ。」(本文より抜粋)


近未来、機械によって管理された都市に住む人々と、その都市の外で暮らす人々との物語です。コンピュータが得意な少女ニコが、管理された囲郭都市センソラムを離れ、空白地帯に行くところから続きが始まります。

1巻ではニコが主人公でしたがこの巻では彼女はあまり活躍せず、かわりに革命家のケオウの出番が多くなります。ケオウやノウなど各空白地帯のリーダー達、都市の有力者であるノルトレガがそれぞれの思惑で行動していますが、それぞれの真意や目的まではまだ明かされません。ニコに協力的なシオも何か企んでいそうですし、ようやく序盤の説明が終わったと言ったところでしょうか。

SFの部分とニコの個人的な事情がバランス良く描かれているので、今後も両方とも上手く見せて欲しいです。前作の「70億の針」のように。

タイトルの「エスニシティ ゼロワン」という言葉も登場し、徐々に全貌が明かされつつあります。次で完結するそうなので、話が短いのは残念ですが、楽しませてくれることを願っています。



[ 2012/08/01 21:36 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2012年07月11日(水)

スワロウテイル人工少女販売処(ハヤカワ文庫JA) 

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)
著者:籘真 千歳
出版:早川書房
発行:2010/06/30

評価〔A-〕 人工知能生命体の可能性
キーワード:SF、未来、人工妖精、ヒューマノイド・ロボット

「やはり“傘持ち”は一人ではないのです?」
『常に一人に見えますが、消えたように思えて瞬いて観測されるようです?』(本文より抜粋)


ある病気の感染者を隔離するため、関東湾に男女別の隔離自治区が作られ、そこでは人間と人工妖精と呼ばれるヒューマノイド・ロボットが共存している世界。人工妖精の揚羽は、“傘持ち”と呼ばれる殺人犯を捜索するうちに、事件はより大きな事態へと発展していくヒューマノイド共生SFです。

不可解な事件を追うサスペンスのような感じで始まりますがミステリーではなく、現実的な緻密な設定でみせるハードSFでもなく、人間と人工知能の交流や人工妖精の生き様に重点が置かれているように思いました。粗筋や伏線も悪くありませんが、人と人工妖精たちの会話のほうがより良かったです。Amazonの書評に「人工知能の幸せとは何かという深遠な哲学的テーマ」と書いたものがありますが、それがしっくりきます。

ほとんど人間と変わらない人工妖精たちや自治区の環境を保つ蝶型微細機械群体の様子は、ハードSFではないのですが、もしかしたらこうなるかもと思わせてくれます。平和な理想郷ではなく、自治区内外に勢力争いがあるのが現実的です。また、自我境界の制約により人工妖精は4つのタイプしか存在しない、というアイディアは独特で面白いですね。人間の性格分類と似ていて興味深いです。

とにかく長いです。500ページ超え。展開がゆっくりなのが難点かも。それと、序盤はかなり分かりにくく読みにくいと思ったのですが、揚羽登場後しばらくして読みやすくなりました。途中さらっと読んでしまって理解の薄い箇所があるので、後で読み返すつもりです。それと、ややライトノベルっぽいので、そういうのが嫌いな方にはおすすめできません。そのあたりは各々の趣味で。

登場人物たちの哲学と生き方に心を打たれ、また色々と考えさせられました。本の厚さのぶん楽しめて満足です。




[ 2012/07/11 21:40 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2011年10月23日(日)

エスニシティ ゼロワン1 

エスニシティ ゼロワン 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)エスニシティ ゼロワン 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者:多田乃 伸明
出版:メディアファクトリー
発行:2011/02/23

評価〔B+〕 管理社会をはぐれた人々
キーワード:SF、近未来、管理社会、

「俺は…俺たちはセンソラムから追放された人間だ。」(本文より抜粋)


機械によって厳しく人口と社会を管理されている近未来。少女ニコは囲郭都市センソラムで平穏に生活していましたが、ある日、好奇心から見知らぬ土地へと足を踏み入れます。そこには思いもよらぬ世界が存在して、彼女も無関係ではいられなくなるというSF漫画です。「70億の針」と同じ著者なので、興味を持って読むことにしました。

パペットと呼ばれるバーチャルペットのようなものがひとりひとりにつき、教育・指導・監視している安全で厳格な社会が描かれています。規律からはみ出さないように人権ポイントなる運転免許の点数のようなものが与えられ、反社会的な行動を取ると減っていくシステムが興味深いです。かなり現実味に溢れていて、将来こうなるかもしれないなーと思わされます。また、ルールを守れない都市を追放された人々が暮らす空白地帯が存在し、そこには現状打破したいと考える者たちもいます。今後、どのようにこの世界が動いていくのかが見所です。

最初の巻だけあって、状況説明や人物紹介で終わってしまったような感じです。巻末に説明を補強する設定資料集が数ページあるので、それを見ればおそらく整理できるでしょう。こういう設定集は見るの好きです。

そういえば、ニコの年齢っていくつなんでしょうか。十歳体という単語が出てきたから、それくらいなのかな?彼女のパソコン操作技術がどのレベルなのかなのも気になるところですが、そのあたりはこれから明かされることでしょう。最後の引きが良かったので、次がどうなるのか楽しみです。





[ 2011/10/23 09:46 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)