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2019年12月14日(土)

世にも奇妙なニッポンのお笑い 



著者:チャド・マレーン
発売日: 2017/12/9

評価〔B〕 悪口や愚痴を書かないのが偉いです。
キーワード:お笑い、漫才、芸能、オーストラリア人、

対して、日本ではすぐ「何を言うてんねん」とツッコミを入れる。「否定の文化」と言えるのかもしれません。(第三話より抜粋)


外国人の目から見た日本を語る本はたくさん出ていますが、お笑いに特化して分析し説明している本は稀ではないでしょうか。日本のお笑い界に飛び込み、漫才師として時には字幕翻訳家として活躍中の著者が思いのままに語っています。各国のお笑いの紹介から日本のお笑いの魅力まで笑いに関して幅広く書かれているので、お笑いにあまり興味のない私でも楽しめます。あるあるネタが日本的である説明は筋が通っていて分かりやすかったです。

政治や宗教を扱う社会派お笑い芸人がほとんどいない点について、レベルが低いからではなく簡単に笑いを取れる話題で勝負しないからと述べているのはどこか新鮮に感じました。どちらかにあまり片寄らず公平に物事を見ようとしているのでしょう。

また、字幕翻訳の仕事の良さや難しさが興味深かったです。駄洒落や諺なんか訳すのに苦労するだろうなーと思っていましたが、やはり大変そうです。「チリンチリン」の件は上手いですね。専門家でなければ意図が上手く伝わらないのは良く分かります。記事やレポートも詳しい人が書いたものは面白いですし。

著者の漫才を一回見てみたくなりました。



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[ 2019/12/14 21:30 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年02月26日(月)

誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸 



著者:パオロ マッツァリーノ
発売日: 2014/9/10

評価〔B+〕 ちょっとした文化の変化が興味深いです。
キーワード:文化人類学、民俗学、日本、

いま日本人が土下座と呼んでいる所作は、本来、平伏といわれていたものです。平伏までいかない、しゃがんだり片膝立てたりする所作を蹲踞(そんきょ)、あるいは、うずくまりなどといいました。(第一章より抜粋)


日本の文化に興味を持つイタリア生まれの著者が、日本人だったら身近過ぎて疑問に持たなさそうなものに対して、深く掘り下げていく読み物です。エッセイ風の歴史文化史、と言えばよいのでしょうか。題名ほど堅苦しくはありません。むしろざっくばらんです。

それにしても、土下座や先生、新聞広告と多種多様なものが挙げられています。謝罪は日本のエンターテインメントと評し、そこから土下座の本来の意味まで話を繋げていて、読ませるなあと感心してしまいました。時が経つにつれ言葉の使い方が変わるように、動作や仕種の意味も変わっていくとは少々驚きです。また、「疑惑のニオイ」ではある飲み物のにおいについて書かれていて、読んでいて非常に興味深かったです。外国に行ってそれを飲んだときに、薄いような物足りないような感じがしたのは、気のせいではなく理由があったのか。色々勉強になりました。機会があったら、におわないほうを買って飲んでみよう。

外国人の視点を活かして書かれた本はたくさんありますが、本書は単に思うだけ批判するだけでなく、裏付けを取るために色々と調べているのが珍しいです。新聞社の昔の記事、昔の書物や研究者の論文を当たり、論理的に結論を導いているのがエッセイとは大きく異なります。言いっぱなし書きっぱなしで責任を取らない専門家が少なくないですが、著者のようにきちんと調査して発表してくれればいいのにと思うばかりです。そのあたりは「諸説あります」に詳しく書かれていますので、興味のある方は是非ご一読を。



[ 2018/02/26 21:29 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2015年08月23日(日)

日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る 



著者:マイク・モラスキー
発売日: 2014/3/18

評価〔C+〕 呑み歩きが好きな人には良書。
キーワード:居酒屋、赤提灯、立ち呑み屋、大衆酒場、第三の場、

見逃せないのは、この軽いやり取りを通して、久々に入ってきた客は店主やほかの客たちに大切にされていることを再認識する、という大事な作用が潜んでいる点である。(第一章より抜粋)


外でお酒を呑む習慣がないので居酒屋もほとんど行かないのですが、あの独特の雰囲気にひかれる人は多いと思います。外国の方々にも結構評判が良いと聞いたことがあります。居酒屋の魅力とは何なのか? 居酒屋通いを続ける著者が居酒屋の素晴らしさを紹介しています。

居酒屋をストレス解消だけではなく、友人知人に会うことで自己確認が叶えられる「第三の場」であると述べています。確かに常連客はサークルや同好会のような楽しさや居心地の良さを感じているのだと思います。来ることを強要されず、社会や家庭から離れて楽しい時間を過ごせるのが利点です。ただ単に食事をするだけなら居酒屋でなくとも言い訳ですから。

店の注目すべき点や穴場の探し方は実用的で興味深いです。このあたりは著者の経験が活きています。また、前半の居酒屋の分類と全国各地の実在する店の紹介は、呑み歩きが趣味の人にとっては非常に有益です。しかし、味や価格ではなく雰囲気や趣を考慮して紹介していますが、あまり居酒屋ガイド本と変わらない印象を受けました。実際に呑み歩きの趣味がないからでしょうか。

題名に居酒屋文化とあるので、もう少し魅力の原因や秘密について考察してほしかったです。魅力を探るよりも、居酒屋が好き過ぎて魅力を伝えることに力が入ってしまった感がありました。




[ 2015/08/23 09:59 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2015年07月13日(月)

イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか 



著者:宮田 律
発売日: 2013/9/14

評価〔B〕 日本とアラブ、イスラムの関係を考える。
キーワード:イスラム、アラブ、イスラム教、外交、対日感情、

イスラムの人々が日本人を評価するのは、彼らが理想とするような心意気や感情を日本人が備えていると見ているからである。(第1章より抜粋)


ネットで中東のテレビ番組が日本のことを褒めている知り、視聴したことがあります。確か公園でゴミを落とした人が、自分のゴミを拾って持ち帰る場面を見て、素晴らしいと賞賛していましたと記憶しています。本書の題名を見て、ちょうどそのことを思い出しました。ちなみに、この番組のことは第1章に書かれていました。最近外国を紹介する番組が多いですが、日本人にとってイスラム、アラブ世界はまだまだ未知の部分が多いと思います。彼らの対日感情はどのようなものか、過去の日本との関係はどのようなものだったのか、を分かりやすく論じています。

序盤は日本を褒めてばかりでよくある日本礼賛の書かと思ったのですが、対日感情を歴史から考察し、具体的な宗教観や文化を紹介し、逆に日本の外交を論じたりと、予想より幅広く書かれていました。興味深かったのは、後半のイスラム教の細かい概念の説明です。イスラムの寛容性や「イスラムの家」「戦争の家」という価値観、ジハードの起源と意味などは具体的でかなり分かりやすいと感じました。

また、ページ数は少ないですが、中東各国の日本への要望・注文が書かれた章があったのが良かったと思います。経済的援助を望んでいるなど抽象的な単語ではなく、なるべく生の声を伝えようとしている姿勢が好感が持てます。そういえば、日本でも観光の分野では対応しはじめていて、イスラム教の戒律を守って作られるハラール料理を用意している場所が増えてきているそうです。ゆっくりでもいいから相互理解が進むと良いですね。



[ 2015/07/13 21:51 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2013年12月22日(日)

韓国が漢字を復活できない理由 

韓国が漢字を復活できない理由(祥伝社新書282)韓国が漢字を復活できない理由(祥伝社新書282)
著者:豊田 有恒
出版:祥伝社
発行:2012/07/01

評価〔B+〕 利便性と自尊心のどちらが勝るのか。
キーワード:言語、漢字、民族、文化、国家主義

韓国も、もともとは、漢字国だった。日本以上に漢字を多用していた。(まえがきより抜粋)


外国で知り合った韓国人と中華街に食べに行った時、その人は漢字がまったく読めないと言いました。彼は1980年生まれくらいだと思いますが、簡単で有名そうな「中華」ですら知りませんでした。かつては韓国では、漢字は貴族や知識人の言葉だったとききます。なぜ韓国は漢字を学ばなくなったのか、どうして漢字の使用を止めつつあるのか。歴史・文化・国家主義の面から分析しています。

漢字の論争は、実用性よりも民族としての意識・プライドが重要であることが分かります。第2次世界大戦後の韓国の言語政策を追っていくと、効率や研究のためではなく自己主張や気分が前へ前へと出ていて、日常の一部となった漢字を執拗に隠したり追放しなくてもよいのでは?と感じました。占領期より前のことはあまり騒がれず、占領期の場合は熱がこもるのは、やはり儒教の影響でしょうか。「竹島の帰属の論拠と、著者が死ぬかどうかは」のくだりは悪いけど苦笑してしまいました。

ハングルがいかに有用有能であるかを説いても、個人的には言語に優劣はそれほどないと思います。どの言語も発音しづらいものもあれば語彙が乏しい分野があると思うからです。

また、韓国の漢字政策とは直接関係ありませんが、日本語と韓国語の関係や仮名混じり表記の利点について述べられているのもなかなか興味深いです。大和言葉に関する記述は、ほとんど知らなくて新鮮でした。

著者は言語学者ではありませんが、韓国の知識と韓国との交流は豊富なので説得力があります。韓国を理解する、または言語の歴史を理解する一助になる本でした。




[ 2013/12/22 10:53 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)