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2019年11月10日(日)

雀蜂 



著者:貴志 祐介
発売日: 2013/10/25

評価〔C+〕 前半が単調でなければ。
キーワード:蜂、山荘、アナフィラキシー・ショック、

そのとき、俺の鋭敏な聴覚は、またもやあの音を聞きつけた。(P18より抜粋)


雀蜂に刺されたことはありませんが、一度刺されたことがある人には分かる恐怖なのかもしれません。小説家の安斎は夜中に目が覚めると山荘の中に蜂を発見します。医師からもう一度刺されたら命にかかわるかもしれないと宣告された彼は、危機的状況を逃れようと奮戦します。

蜂に追われる恐怖について何回も同じような展開だったのが残念でした。弱点も分かっている昆虫が相手なので、得も言われぬ不安や未知の恐ろしさはなかったのが原因かもしれません。エピペンなる緊急時用の薬があるのは知りませんでした。

終盤の展開は予想していなかったので驚きました。伏線は感づいていたのですが、真相まで分かりませんでした。ただ、裏表紙の文章で内容をにおわせてしまうのは良くないのではないでしょうか。ネタバレとは言いませんけど、それに近いと思います。

著者の他の作品と比較すると少し物足りなかったです。特に前半は大味でした。次の作品に期待します。



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[ 2019/11/10 17:40 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年08月22日(木)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 業火のワイダニット 



著者:木元 哉多
発売日: 2018/8/22

評価〔B+〕 全部は当てられないなぁ。
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

だとしても、動機はなに? 天国に行ってしまったら、すべてが謎のまま終わる気がした。(第3話より抜粋)


被害者と閻魔と推理ゲーム、3冊目です。

事件から推理への流れはいつもどおりですが、被害者それぞれが個性的で興味深いです。マンネリに陥りやすそうな設定ですが、前作「負け犬たちの密室」でもそうだったのですが、ちょっと捻った事件にしてみたり個性豊かな人物を登場させたりして変化があって面白いです。

中でも変わっていたのは第3話です。犯人や殺害方法ではなく動機を当てるワイダニットと呼ばれるタイプでした。珍しいです。あー、これはまったく分からないと推理するのを諦めて読み進めていたら、被害者の推理の途中で急にひらめいて分かりました。前2つの短編では長いこと考えても分からなかったのに。

このシリーズもだいぶ読んできたので、いつかは長編を読んでみたい気もします。物語の構造上、長編は向かないのかもしれませんが、いつか出ないかなと期待しています。



[ 2019/08/22 20:30 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年07月29日(月)

探偵AIのリアル・ディープラーニング 



著者:早坂 吝
発売日: 2018/5/27

評価〔B+〕 AIを知らないほうが楽しめるかも。
キーワード:推理、AI、連作短編集、

アバターが口を開いた。同時にスピーカーから女性の声が流れ出した。(第一話より抜粋)


父親の遺品からAI・相以を見つけた合尾輔が、彼女とともに父親の死の真相を追う推理ものです。各章に謎解きがあるので、連作短編集に近いつくりとなっています。

題名にAIやディープラーニングとあったので、難しくお堅い物語を想像していたのですが、表紙のイメージどおりライトノベルのようなどこか緩さを感じる雰囲気でした。AIの知識は劇中で説明があるので必須ではなく読みやすい文章なので、専門的な知識はなくても十分楽しめます。むしろ知らない方が新しい知識得られるぶん楽しめるかもしれません。

トリックや謎は各章に散りばめれらています。そのせいか簡単ではないものの、あまり印象深くもありませんでした。もう少し派手さがあっても良かったんじゃないのかな。

あの終わり方だと完結とも続くともとれるので、できれば続きを読んでみたいです。

[ 2019/07/29 23:20 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年06月19日(水)

致死量未満の殺人 



著者:三沢 陽一
発売日: 2015/9/17

評価〔A-〕 分かりそうで分からないです。
キーワード:推理、クローズドサークル、ハウダニット、

「それでは、皆さん、弥生さんに何らかの恨みを持っていたわけですね?」(本文より抜粋)


雪山の別荘で起きた殺人事件を被害者の同級生たち4人が推理します。単なるクローズドサークルものではなく、冒頭である人物が別の人物に自分が犯人だと自白するのが特徴的です。第3回アガサ・クリスティー賞。

殺害方法を推理する所謂ハウダニットものです。ハウダニットという言葉を知ってからこの類の小説を読むのは初めてかも。犯人も動機も分かっているので推理する部分が少なく自分でも解けるかもと思って推理するのですが、犯人以外の同級生のように真相は分かりませんでした。怪しいなと目をつけていた動作が鍵となっていたのは良かったのですが、それが犯行とどのように繋がっているのかを見破れなかったので悔しいです。裏表紙に書かれているようにどんでん返しがあります。終盤まで読んでここからどう読者を騙すのか興味がありましたが、読んでみてなるほどと感心しました。

ただ、最後に明かされた事実は少々半端だったように感じました。もっと納得できる強い伏線が欲しかったです。また、事件発生まで長く冗長に感じたり、分かりにくい専門用語も出てきて読みにくいと思う人もいそうです。

推理すべき点が狭く明確なせいか、推理してみたくなる面白さがありました。それと登場人物が推理小説のわりに少なかったのも個人的には良かったです。


ネタばれ一言↓
[ 2019/06/19 19:59 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年05月11日(土)

殺人鬼探偵の捏造美学 



著者:御影 瑛路
発売日: 2017/11/22

評価〔B+〕 なるほどなるほど。
キーワード:推理、探偵、殺人鬼、

とても美しかった記憶はあるのに、どうしてもその顔が思い出せない。(第一話より抜粋)


美形で人気の精神科医・氷鉋(ヒガノ)が、副業で探偵業をしさらに裏では殺人鬼・マスカレードとして暗躍する一風変わった推理ものです。

事件のアリバイやトリックが一番の見せ場ではなく、事件の全体像が最大の謎です。誰がどのような動機で動いているのか、誰の言っていることが本当なのか。劇中で触れているミスディレクションが、誰から誰へのものなのか。目まぐるしく事態は変化してたびたび事件の見え方が変わってくるので、面白くて一気に読んでしまいました。

どんでん返しがある物語は珍しくありませんけど、本書は一体何回ひっくり返ったのでしょうか。終盤で再び出てくるあの文章の意味が分かった時は、本当に驚きましたし感心しました。あれ、きちんと全て見抜いた人は凄いです。

個人的にはミステリにしては登場人物が少なく、いちいち容疑者を覚える必要がないので読みやすかったです。巻頭で20人くらい名前が書かれているのを見ると、読む気がそがれます。

思っていた推理ものとは違っていましたけど、このようなタイプの本も結構好みです。


ネタばれを少しだけ↓
[ 2019/05/11 22:15 ] 小説 | TB(0) | CM(0)