2017年09月02日(土)

ラットマン (光文社文庫) 



著者:道尾 秀介
発売日: 2010/7/8

評価〔B+〕 題名がヒントです。
キーワード:推理、文庫化、

同じことをやれ。同じことを。(P130本文より抜粋)


人が何かを見るとき、直前に見ていたものが判断や理解に影響する現象を、分かりやすく体験できるのがラットマンの絵です。この先入観のようなものが、本書では重要な意味を持ちます。

事件はあるライブハウス。趣味でバンドを組んでいる主人公・姫川の恋愛と、彼の過去の不幸な出来事の2つを軸に、物語は進んでいきます。やや暗く重い雰囲気で進み、事件がなかなか起きないので推理小説ではなく青春小説っぽいですが、事件後はテンポよく進むのでご安心を。

早い段階で真相が分かってしまったと思いながら読んでいたら、案の定と言いますかやっぱり間違っていました。文脈効果というヒントをもらいながら深く考えていなかったので、うまくミスリードに引っかかってしまいました。いや、しかし、終盤までそう思い込ませるとは巧いです。

話の筋自体は好みではなかったのですが、伏線も上手でしたし、なにより予想していたより読後感が悪くなかったのが良かったです。



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[ 2017/09/02 19:06 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年08月20日(日)

グランドマンション (光文社文庫) 



著者:折原 一
発売日: 2015/11/11

評価〔B〕 世相を反映したマンションでミステリー。
キーワード:連作短編集、推理、マンション、文庫化

彼は極度に神経質で、ちょっとした物音が気になる性格だった。車の走行音や屋外の子供の遊ぶ声などはそれほど気にならないのだが、室内の物音、この建物内の騒音にはことのほか敏感だった。(音の正体より抜粋)


グランドマンション1番館の住人達が事件を引き起こす、または巻き込まれる連作短編集です。推理物なので裏表紙にはミステリー連作集と書いてあります。雑誌連載後書き下ろしを追加して刊行された単行本の文庫版です。

各短編にはテーマとなる社会問題、ストーカーや振り込め詐欺などが盛り込まれています。住人同士は交流があまりなく、その近所付き合いの希薄さが事件の遠因になっていることもあって、現代風でなかなか現実味があるなあと思ってしまいました。推理小説ではありますが、こうした推理以外の要素もしっかりしていると、読んでいて引き込まれます。

それぞれ推理のヒントとなる伏線の描写が巧みでした。結構色々な描写に目を光らせて読んでいたのですが、あっさり騙されてしまいました。読者の目を真相からそらすのが上手いなぁ。しかし、物語としては強烈な印象は残りませんでした。何故だろう。また、裏表紙に大どんでん返しと書かれているのも、どういった種類の謎が仕掛けられているか予想がつくので良くないですよね。ま、これも気がつかなくて騙されたわけですが。(笑)

斬新さやインパクトはそれほど感じませんでしたが、うまくまとまった連作短編集だと思います。



[ 2017/08/20 21:01 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年08月12日(土)

Q.E.D.証明終了 46 



著者:加藤 元浩
発売日: 2013/10/17

評価〔B+〕 過去を調べる話は久しぶりかな?
キーワード:推理、謎解き

「この問題は“問いかけ”ではなく“メッセージ”のような気がしたんです」(本文より抜粋)


とある演芸場で起きた日常の謎を解く「初恋」と、過去の事件の真相をおう「巡礼」の異なるタイプが収録されています。同じタイプよりこういうほうが好きです。

「初恋」は寄席の楽屋で何が起こったかを推理する話ですが、推理そのものよりも、落語の師匠が説く芸とは何か?のほうが印象に残りました。落語家に限らず、創作者や表現者は大変ですね。

「巡礼」は出版されなかったノンフィクションについてです。第二次世界大戦中に起きた事件と、某の不可解な行動が謎となっています。燈馬はまるで見てきたように真相を言い当てますが、難しいですよねこれ。自分が彼だったらどうするか、考えされられるエピソードでした。

また、終盤燈馬が可奈のためを思って配慮する場面は、本シリーズ初めのころの彼だったらしなさそうなことでしたので、内面も変化していることがうかがえます。46巻ですからね。



[ 2017/08/12 18:48 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年08月03日(木)

Q.E.D.証明終了 45 



著者:加藤 元浩
発売日: 2013/6/17

評価〔B〕 どっちも殺人事件でした。
キーワード:推理、謎解き

「この問題は“問いかけ”ではなく“メッセージ”のような気がしたんです」(本文より抜粋)


大学のメディア研究会関係者がアパートで殺された「金星」と、美少女に告白された男子高校生が事件に巻き込まれる「初恋」の2本です。どちらの事件も殺人事件なので、推理漫画らしい1冊です。

「金星」で使われたあるトリックが、他の推理物で見たことのあるものだったので犯人がピンときました。ま、それだけで他は分かりませんでしたけど。印象に残ったのは、犯人の逮捕後の言動です。某は動機が理解できないと言っていますが、数は少ないながらもいそうです。嫌な場面ですがリアリティを感じました。

「初恋」は「金星」と似通った話ですが、最後が他の推理漫画と違って本シリーズらしいかもしれませんね。



[ 2017/08/03 22:12 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年07月23日(日)

占星術殺人事件 (講談社文庫) 



著者:島田 荘司
発売日: 1987/7/8

評価〔B-〕 これが元ネタだったのか。
キーワード:推理、文庫化、

「この謎解きは大ざっぱにいって二つの問いかけがあると思う。一つは犯人捜し、もう一つがこのアゾート捜しだよ」(P134より抜粋)


四十年前に迷宮入りとなった殺人事件に、頭の切れる占い師・御手洗潔と、彼の友人・石岡の二人が挑みます。著者のデビュー作。

序盤の遺言状兼小説が退屈でしたが、事件の概要あたりから徐々に面白くなっていきます。古い推理小説らしく、読者への挑戦状があるので、うっかり解決編を読んでしまうことはありません。こうした著者の発言は、劇中の雰囲気を損なうこともあるので、好みが分かれそうですが。また、冗長なところあったが少々残念でした。事件の中心人物を詳しく描写するためや、推理のミスリードのためなのは分かりますが、それよりもくどいと言う印象のほうが強かったです。

事件のトリックは独創的で素晴らしかったです・・・・・・が、最後の事件のトリックに関しては、前に似たようなトリックの作品を見たことがあったので、素直に楽しめませんでした。こちらのほうが先に出版されているので、本書が元ネタだったのですね。いやー、あれに似ているなーと思ってたら、本当にあれだったとは。驚きです。最初に考えた著者は凄いですね。

実写化すれば面白そうですが、凄惨な場面があるから難しいかな。余談ではありますが、2013年に講談社文庫から改訂完全版が出版されています。読んでから完全版の存在に気がつきました。まだ未読の方はそちらを読んだほうが良さそうですね。



[ 2017/07/23 21:13 ] 小説 | TB(0) | CM(0)