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2020年03月27日(金)

捕まえたもん勝ち! 七夕菊乃の捜査報告書 (講談社文庫)  



著者:加藤元浩
発売日: 2019/2/15

評価〔B〕 表紙が著者じゃない!
キーワード:推理、元アイドル、文庫化、

そうだ。この事件の犯人を捕まえればいいのだ。(第三章より抜粋)


元アイドルと変わった経歴の七夕菊乃が密室殺人事件に挑むライトノベルチックな推理小説です。推理漫画家である著者の初の長編小説です。

本書の大半の読者が著者の「Q.E.D」や「C.M.B」は既読で、そちらから興味を持った人々だと思います。主人公の菊乃を見ていると確かに著者らしさを感じ、事件もその雰囲気が出ています。ただ、菊乃の事件が裏表紙にある「小説でしかできないこと」かというと少々疑問です。読解力不足のせいかもしれませんが、小説である必要性が感じられませんでした。それらしく感じたのは捜査報告書でしょうか。

また、序盤は菊乃の少女時代とアイドル活動が描かれているのですが、読み終わってみると少々冗長だと思いました。繋がりが見えて面白いと思うよりも、長いなあという感想のほうが強かったです。この部分は別の本か短編にしたほうがすっきりして良かったのではないかな。

「Q.E.D」の著者なので期待しすぎていたのかもしれません。すごく良かったともすごく悪かったとも言えないので、次の作品も読む予定です。



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[ 2020/03/27 20:10 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年03月21日(土)

家守 (角川文庫) 



著者:歌野 晶午
発売日: 2014/7/25

評価〔B+〕 物語の構成が良いです。
キーワード:推理、短編集、家、サスペンス、

「とにかく視線を感じるのよ。痛いくらいに感じるの」(転居先不明より抜粋)


家をテーマにしたミステリ短編集です。光文社文庫のものを再文庫化しています。

ミステリですが読んでいてサスペンスよりだと感じました。単純に事件のトリックを考える短編よりも、何か不可思議なことが起きていて物語がどう流れていくのか不明瞭なまま進んでいくものが複数あって印象に残ったせいでしょう。どれも家が関係していますが、この家とは建物のことだったり血を分けた家族のことだったり様々です。読み終わってみると確かに家の話だったと少々感心してしまいました。

雰囲気も手法も違うので甲乙つけがたいですが、好みなのは最後の「転居先不明」です。サスペンス風に始まり殺人事件へ進んでいきます。これだけだとよくありそうですが、終盤が捻られていてなんとも言えない余韻が残ります。トリックの部分だけでいうなら4作目の「鄙」も良いのですが、総合的にみると転居先不明のほうが面白かったです。

少々暗めで派手さはありませんが物語としてみると興味深いものが多かったです。



[ 2020/03/21 22:07 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2020年02月01日(土)

あなたの罪を数えましょう 



著者:菅原 和也
発売日: 2018/12/20

評価〔B+〕 どの真相も怖いです。
キーワード:推理、廃工場、

「俺たちはあるボランティアの場で出会いました」(本文より抜粋)


探偵が依頼人とともに廃工場を訪れる現在編と、6人の男女が閉じ込められた過去編が同時進行するミステリーです。

誰かの思惑により次々と害意にさらされていくのはホラーのようです。犯人の意図により残酷な場面が多々ありますので、痛いのや気分が悪くなりそうな描写が苦手な方にはお勧めしません。お気をつけください。一方、現在編では過去編との繋がりをにおわせるところがあり、過去に起きた出来事をうまく推理できるかが鍵となっていきます。

探偵も戸惑ったある出来事のせいか推理ものとしてはあまり面白くはありませんでしたが、読み返すうちに題材の深さが分かってきて面白かったので、どうも評価が難しい推理小説でした。推理を楽しむより物語を楽しむタイプの本なのかもしれません。



↓ネタばれは続きに書きます。
[ 2020/02/01 21:14 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年11月17日(日)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎 



著者:木元 哉多
発売日: 2019/4/19

評価〔B〕 第2話は分かりやすかったかな。
キーワード:ミステリ、死後、連作短編集、

のどの渇きを感じた。しかしここには水も食料もない。(第3話より抜粋)


時々いつもの流れとは異なる事件の被害者が登場しますけど、この5冊目にも捻ったタイプが含まれています。

特に賛否両論ありそうなのが第3話のある社長の休暇中のエピソードです。犯行可能な人物が多過ぎて推理が難しいのは毎度のことですが、あの真相を正確に言い当てられた人はどのくらいいるのでしょうか。沙羅の言うとおりヒントは出ているし伏線もありまいした。予想を裏切る展開なのは良いのですが、でも、うーん、私はやや腑に落ちないかな。

テンポよく刊行されているので長く続いて欲しいシリーズです。



[ 2019/11/17 21:48 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2019年11月10日(日)

雀蜂 



著者:貴志 祐介
発売日: 2013/10/25

評価〔C+〕 前半が単調でなければ。
キーワード:蜂、山荘、アナフィラキシー・ショック、

そのとき、俺の鋭敏な聴覚は、またもやあの音を聞きつけた。(P18より抜粋)


雀蜂に刺されたことはありませんが、一度刺されたことがある人には分かる恐怖なのかもしれません。小説家の安斎は夜中に目が覚めると山荘の中に蜂を発見します。医師からもう一度刺されたら命にかかわるかもしれないと宣告された彼は、危機的状況を逃れようと奮戦します。

蜂に追われる恐怖について何回も同じような展開だったのが残念でした。弱点も分かっている昆虫が相手なので、得も言われぬ不安や未知の恐ろしさはなかったのが原因かもしれません。エピペンなる緊急時用の薬があるのは知りませんでした。

終盤の展開は予想していなかったので驚きました。伏線は感づいていたのですが、真相まで分かりませんでした。ただ、裏表紙の文章で内容をにおわせてしまうのは良くないのではないでしょうか。ネタバレとは言いませんけど、それに近いと思います。

著者の他の作品と比較すると少し物足りなかったです。特に前半は大味でした。次の作品に期待します。



[ 2019/11/10 17:40 ] 小説 | TB(0) | CM(0)