 
| 著者:木内 一裕 発売日: 2011/7/15
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評価〔C+〕 結構ひどい話だと思います。キーワード:探偵、ヤクザ、文庫化、
「俺に証拠は必要ない」(第一章発端より抜粋)
私立探偵・矢能は依頼人との待ち合わせ場所に行ってみたら、死体を発見し事件に巻き込まれていくといった探偵小説です。出だしだけ書くとよくありそうですが、本書が他と違うのは探偵が元ヤクザであること。これは著者の「水の中の犬」の続編です。巻末の解説で初めて知りました。
矢能は元ヤクザなのでなかなか足を洗えず探偵家業をがんばる人物なのかなと思ったら、探偵とは名ばかりのまだそちらの世界の住人で少々面喰らいました。彼の周囲の人物はまっとうな人間は少なく、彼自身まったく探偵らしくありません。推理小説や探偵小説ではなく、ハードボイルド的な何かです。
事件は上手くおさまったなと感心しましたけど、主人公の矢能は好きではないのでどうしても印象が良くないです。彼を格好良いと捉えるのか悪者と捉えるのかで評価が分かれそうです。本書が続編であることを考慮すると、好意的な人が多そうですね。また、不幸な結果で終わってしまう人が少なくないのもあまり良い気分ではありませんでした。
評価するに当たって作品の出来よりも好みが大きく影響した小説でした。
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| 著者:さくら 剛、あき 発売日: 2015/11/12
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評価〔B〕 イラストだとたけし格好良いね。キーワード:探偵、探偵事務所、連作短編集、
「私の見たところ、伊藤くんにはどうも探偵の素養があるように感じるんでね」(本文より抜粋)
自立を強要され探偵会社で働くことになった伊藤たけしの探偵小説です。推理小説ではありません。連作短編集のような探偵ものです。
表紙の雰囲気から分かるようにコメディ調で読みやすいです。主人公であるたけしが有能でないのが親しみやすくて良かったのかもしれません。彼以外の登場人物たちも個性があって漫画っぽい印象を受けました。探偵事務所の仕事内容はありそうなものばかりでそれほど現実離れしていません。時々出てくる探偵のちょっとしたテクニックが面白いです。
しかし、他と一線を画すような特徴があるとは言えません。大きなどんでん返しや意外な事件があるのかなと思いながら読んでいたのですが、そうしたものは残念ながらありませんでした。
探偵ものを読んだことがなく、気軽に読んでみたい人にはおすすめです。