2011年12月11日(日)

夜の来訪者 (岩波文庫) 

夜の来訪者 (岩波文庫)夜の来訪者 (岩波文庫)
著者:プリーストリー
出版:岩波書店
発行:2007/02/16

評価〔B+〕 どんでん返しと社会風刺の面白さ
キーワード:戯曲、イギリス、近代

警部「こういうふうに仕事を進めるのがわたしのやり方なんです。一度に一人の人間、一つの線の尋問、っていうわけです。さもないと、ごちゃごちゃになってしまいますから。」(第1幕より抜粋)


20世紀前半、小説で人気が得て大きな影響力を持ったプリーストリーの戯曲です。解説によると、本作品は著者のもっともよく知られた戯曲で、1954年には映画化されたそうです。

郊外の裕福な家が舞台。家主の娘シーラ・バーリングと婚約者ジェラルドの婚約を祝って、バーリング一家とジェラルドが幸せなひと時を過ごしていると、グールと名乗る警部が尋ねてきます。ある女性の自殺について聞きたいことがあると彼は言うのですが……というふうに始まるミステリー戯曲です。スピード感があり次から次へと話は進んでいきます。

イギリスは今でも階級社会らしいのですが、当時も爵位にこだわる人物の様子が描かれています。また、登場人物たちの傲慢な言動や知られたくない事が警部によって暴かれていくので、社会風刺の一面を持つ戯曲であり興味深いです。著者の共同体の思想が強く反映されています。警部が帰った後の態度の違いがでて、それによって彼らの本性が分かり面白いです。

終盤どんでん返しがあり、これには感心しました。あの行動にあのような意味があったとは……うまく作ったものです。岩波文庫はとても硬いイメージがありましたが、考えを改めねば。過度の個人主義を非難した警告の書としても、娯楽作品としても楽しめます。




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[ 2011/12/11 10:40 ] 小説 | TB(0) | CM(0)