2017年06月08日(木)

男はなぜこんなに苦しいのか 



著者:海原純子
発売日: 2016/1/13

評価〔B〕 分かりやすく言うと時代の流れ。
キーワード:心理、男性、ジェンダー、仕事

整形外科や消化器科で抗うつ剤を処方されながら心の病気を否定している男性は多いのだ。(第1章より抜粋)


この題名ですと、男ばかりが苦労しているとも取れますが、内容は男性ならではの悩みやストレスに注目し、どうすればより良い生き方ができるのかを考察しています。

男はこうあるべしという信念や、この方法で順調だったので今後もこれでと従来の方法や価値観にとらわれ、結果として心の病で苦しむ事例が数多く挙げられています。どちらも一昔前では常識だったかもしれませんが、現代社会では柔軟に対応したほうが上手くいくことが多いと感じました。昭和的な価値観が全て悪いわけではありません。

印象に強く残ったのは、3章コラムの「男性の多くは、話を聞くなど気持ちを分け合うことが大きな支援となることに気づかない」です。確かに直接支援にばかり意識が向くことが多いので、周囲の人が困ったり悩んでいたら、声をかける等の直接支援以外の支えも心がけていきたいです。

後半は、承認欲求や自己実現願望、結婚やメンタルケアなど男女に限らず重要なことが書かれています。これらは他の本を読んで知っていたので、新鮮味はありませんでしたが、大切さを再認識しました。自分を知る手法としてエゴグラムが挙げられていたので、あとで久しぶりに診断してみようと思います。


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[ 2017/06/08 19:56 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2016年08月30日(火)

一目惚れの科学 



著者:森川 友義
発売日: 2012/12/26

評価〔A-〕 人間はモテるために生きている?
キーワード:恋愛、性、五感、

五感は自分にもっともふさわしい異性を見つけ出し、求愛し、求愛され、性行為をするための道具としても発達しました。(第1章より抜粋)


恋愛感情はどのように発生するのか、人はどのような点に異性に惹かれるのかを、科学的に解明する恋愛の入門書です。恋愛の本ではありますが個人の体験談は皆無で、研究の結果から分かってきたことを紹介しています。

驚いたのは、『恋愛感情は五感を通して子孫を残すべき異性だと無意識に認めた場合に発生するもの』と主張している点です。心だけで発生するものではないと感じていましたが、意識的なものになる以前に全て決定していたみたいで、自分のことなのに自分で選んでいないみたいでとまどいます。それに加えて、『人間の行為は、お金儲けであれ芸術であれスポーツであれ異性にモテるためのもの』とも言っています。こちらのほうが衝撃的です。最初はそんなはずはないと反発しましたが、恥ずかしい気持ちを別にして実利のみで考えると、違和感は残りますがこのような行動原理も一理あるかもしれませんね。

五感それぞれと恋愛について詳しく書かれていますが、印象に残ったのは嗅覚です。場合によっては視覚と同じくらい重要で、相手のにおいが好きかどうかも、生命力の強い子を産めるかどうか関係しているのが驚きです。また、視覚的に左右対称な顔が魅力的で優良な遺伝子を持つこと、ユーモア豊かな男性はモテるけれど女性はモテないことなど、多岐にわたって書かれていて興味深いです。

いくつかの章の終わりに補足として書かれたQ&Aが、まるで人生相談のようです。恋愛に関する質問だけど、合理性を重視してズバズバ答えるのが学者らしくて良いです。特に、煙草を吸う彼氏を持つ女性に対する回答がキビシイ。

題名が一目惚れですが、正しくは恋愛感情の科学だと思います。極端に感じる論もありましたが面白かったです。しかし、現代は女性の経済力も向上していますし、体外受精の技術も確立していますので、男性と女性の求めるものが変わってくるかもしれませんね。例えば、お金持ちの女性は、男性の経済力よりも健康を重視して選ぶこともあるでしょう。社会の変化とともに恋愛も大きく変化していきそうなので、今後の研究に注目です。





[ 2016/08/30 22:24 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2014年09月18日(木)

夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち 

夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)
著者:橘木 俊詔
出版社:中央公論新社
出版日:2013/01/24

評価〔B+〕 格差を個人ではなく家族として考えます
キーワード:夫婦、結婚、格差社会、未婚、離婚、世帯

先回りして言うならば、日本社会の格差や貧困の問題において、妻が働くかどうかが大きな影響力を及ぼしつつあるからなのだ。(本文より抜粋)


近年、徐々に深刻になってきた経済的格差の問題を、夫婦を軸にして論じています。一人ひとりの収入も重要ではありますが、人は家族で暮らすことが多いので、その家族の核となる夫婦について詳しく調べてみようということです。夫婦と所得の関連性や、二人の職業や学歴などを考察しています。

どのデータを見ても、現実しかないと言った感じです。同程度の収入の人と結婚することが多い、収入の低い男性の結婚率は低い、などが豊富なデータによって、日本の結婚の傾向や格差が明確になっています。出身大学名にこだわる、高学歴でも専業主婦になる、などの特徴も興味深いですね。見合い結婚から恋愛結婚の世になったと言われていますが、経済力が未だ大きな影響力を持っているのは間違いないようです。読んでいくうちに、イメージしていた格差が実態と概ね合っていたと分かりました。

また、後半は未婚や離婚、都会と田舎の地域差ついて語っていて、前半をうまく補っています。現在、夫婦でない方にも役に立つのではないでしょうか。離婚によって貧困に陥る人も珍しくないようなので、今、離婚を考えている方にとっては現実を知る意味で読んでもらいたいですね。母子家庭の貧困率は父子家庭のそれより格段に高いので。

分析は優れているのですが、解決案は聞いたことのあるものが多く、目新しさはありませんでした。少々残念。なんらかの具体的な打開策が欲しかったです。とはいえ、現状の確認には良い一冊とでした。格差是正・少子化対策に携わる人々には、なにが問題なのかを知るために一読していただきたいですね。




[ 2014/09/18 22:18 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2013年12月31日(火)

女子校育ち 

女子校育ち (ちくまプリマー新書)女子校育ち (ちくまプリマー新書)
著者:辛酸 なめ子
出版:筑摩書房
発行:2011/03/09

評価〔B〕 異性がいない長所もあります。
キーワード:女子校、東京、

ある時、「女子校出身者は生きづらそう」と知人に指摘されて、ハッとしたことがあります。(本文より抜粋)


女子校と聞いてどのようなものをイメージしますか? 暑いと人目をはばからずスカートの中を下敷きでバサバサあおぐ、という情報をどこかで聞いて以来ずっとそのイメージなのですが、実際のところはどうなのか。自身も女子校卒の著者が、インタビューや文化祭潜入をとおして女子校育ちの実情に迫ります。

閉ざされた印象の強い女子校について、生徒の生の声はもちろん教師や卒業生たちの意見も集めてある点が良いです。女子校と言っても様々で、校風によって雰囲気・自尊心・外からの評価が大きく変わってくるのが興味深いです。ただし、本書の分類では東京を中心に解説されているので、都内やその近郊以外の地域の人にとってはよく分からないのが難点です。

女子校育ちは同性の扱いが上手く、異性との交流が下手なようです。後者はともかく前者の話で、男性と接する際に女らしくふるまえないという意見はなるほどと思いました。共学とは違い恋愛は乏しくなりますが、それ以外では意外といってはなんですが楽しそうです。仲も予想していたよりは良さそう。しかし、なぜ女子校では「男は野獣だ」と教え込むのでしょうか。読んでいるうちになんか嫌な気分になりました。適度に教えれば良いのに。

現役の生徒と学校に重点が置かれ、女子校育ちがどのような大人なったかはそれほど語られていなくて少々残念でした。そちらのほうがメインかと思っていたので。女子校に入る前の生徒たち及びその親たちに、入学する前に読むと参考になるかもしれません。



[ 2013/12/31 19:53 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2013年11月09日(土)

女ことばと日本語 

女ことばと日本語 (岩波新書)女ことばと日本語 (岩波新書)
著者:中村 桃子
出版:岩波書店
発行:2012/08/22

評価〔B〕 言葉と社会の関係を探求します。
キーワード:日本語、女ことば、社会、政治、

当時の女子学生はさまざまな言葉を使っており、その中には書生言葉も、「てよだわ」言葉も、英語も漢語もありました。(本文より抜粋)


現代では女性らしい言葉使い、すなわち女ことばは当たりまえのように存在していますが、これらはいつからあったのでしょうか。日本語が話し始めた頃なのか、それともある時期を境に増え始めたのか、その歴史を知っている人はほとんどいないと思います。よくある言葉づかいやマナー本のように具体的な使用法ではなく、その存在理由と意義について考察していきます。

女ことばの成り立ちがいかに社会の影響を受けているのかが分かります。日本社会が女性に求めてきたものやその時代の政府に都合の良いものが、女ことばに色濃く反映されていて少々意外でした。方言に近いのかなと思っていたので。今からは想像しがたい男女の区別もしくは差別があったのが分かります。

また、男ことばとは何なのかと逆から考えてみると、色々見えてきて面白いです。明治政府の標準語を定めるに当たって、どの話し言葉を採用するかを決める逸話が興味深いです。そのあとに続く、てよだわ言葉から女学生ことばへの変遷も重要でなるほどと思ってしまいました。

当時の資料を挙げ説明してあるのでためになるのですが、社会だけでなく政治や思想も絡んできて、予想していたよりもずっと深く重いテーマなのだなと感じました。読んでいるとまだ資料が十分でないところもありそうで、今後の研究によりさらなる発見が期待できそうです。







[ 2013/11/09 18:13 ] 言語 | TB(0) | CM(0)