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2020年06月18日(木)

「めんどくさい」がなくなる本 



著者:鶴田豊和
発売日: 2015/2/20

評価〔C+〕 もう少し説明をしてほしかったです。
キーワード:めんどう、心理学、実用、

何か新しいことをする前は、いろいろと考えすぎてしまい、よりめんどくさくなって、行動できなくなります。(だお3章より抜粋)


めんどくさいと思う原因とその対処法がいくつか書かれています。他の自己啓発書で見たものが多く、やはりそうだよなと再確認することが多かったです。考え方を変える、自ら進んで行うようにする方法が効果的なのは理解できました。

ある単語を違う単語に言い換えているだけに感じる場合がいくつかありました。やる気と情熱、相手への期待と相手への信頼、目標と幸せ、など二つの単語を同じ意味で使用しているように見えます。もう少し具体的に違いを述べて説得力を持たせてほしかったです。

他の自己啓発書ではよく○○と書いてありますがそれとは違う、と記述している箇所が数か所ありました。しかし、自分を受け入れ好きなことをするという結論は、著者の主張とは異なり自己啓発本ではめずらしくないと思います。

後半は人間関係がめんどくさいということで、自分の内面ではなく対人関係について書かれています。これはこれで役に立つのかもしれませんけど、本書の主旨から少々外れている気がします。人間関係も大切ですが、しなければならないことの対処法をもう少し説明してほしかったです。

「自分に甘いと自分に甘い行動は違う」の件は興味深く読みました。意見に賛同するかは別として、こうした考え方はしてこなかったので面白かったです。また、自分のルールが少数派の環境から多数派の環境へ移動するとストレスがなくなるというのも目を引きました。価値観が合う合わないことをそう言いかえると、なんだか印象が変わってきます。価値観が合わないよりは自己主張が弱くなるのでしょうか。

本書を読んでみて新鮮さをがあまり感じることができなかったのは残念でした。帯に「本を読むのもめんどくさいあなたへ」とありますが、活字が苦手な人が最後まで読めるかは怪しいと思うんだけどなあ。



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[ 2020/06/18 22:25 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2020年04月14日(火)

予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 



著者:ダン アリエリー , Dan Ariely他
発売日: 2013/8/23

評価〔S-〕 先延ばしの章は耳が痛かったです。
キーワード:行動経済学、選択、決断、無料、買い物、

ふたつの品物からひとつを選ぶとき、わたしたちは無料のほうに過剰に反応してしまうことが少なくない。(3章より抜粋)


合理的もしくは論理的に動いているつもりでも、人間は不合理に行動していることがある、というのが本書の核です。その不合理の規則性を知ることで好ましくない癖を取り除ける可能性があり、よりよい人生よりよい社会へを得ることができます。

著者の専門は行動経済学です。判断・意思決定科学ともいうと序盤に書かれていて、私としてはこちらのほうがしっくりきますが、本書の中では行動経済学で統一されています。

何かを選択する時に、選択肢からの決断に至るまでの思考の流れを考察しています。自分では合理的と思っていても指摘されると不合理だと気づくので不思議です。実体験と照らし合わせても自分も同じ選択をしそうで、納得のいくものが多かったです。例えば、大きく値引きした商品と小さな値引きで無料になった商品なら後者を選んでしまうなどです。合理的に考えるならば前者のほうが得なのですが、後者のほうが魅力的に見えます。興味深いですね。

行動経済学なのでお金に関することを扱っています。しかし、それだけではなくプレゼントを受け取ったときの反応や所有物を合理的に鑑定できない理由など日常的な意思決定にも触れていて、親近感のある話題も取り上げられていて興味を引きます。時には個人的な買い物について、時には社会的なジレンマや問題点と、幅広く応用のきく内容が挙げられていて知的好奇心を満たしてくれます。その個性的な研究はイグ・ノーベル賞を取るほどです。「医師の出す偽薬は高い価格のほうが効果が高い」がこの人の研究だったとは驚きと同時に納得です。

また、不信や不正など社会的に影響の大きい決断の研究も、無料などの個人的な研究同様に興味深いものでした。特に、あまり違いがないだろうと考えていた不正行為と現金と現金引換券の実験は意外な結果になり、権力者や富裕層の陥りやすい不正の構造が理解できました。

不合理にならない対策もいくつか書かれています。2章のアンカリングの罠に陥らない方法では、前の知識は捨て今の相場を調べることを以前から自分で行っていてちょっと驚きました。どの意思決定にも共通するのは、一番の対策はこの不合理を意識して買い物や決断をすることです。知っていれば間違えません。

教授の知的好奇心を満たすために何度も実験対象となったMITやハーバードの学生たちがなんか面白いです。彼ら彼女らは実験に参加してお得な買い物だったとしか思っていないかもしれませんけど。楽しそうに研究していていいなあ。著者の今後の研究に期待しています。

最後になりますが翻訳本にある読みにくさがないのも良かったです。他のハヤカワ・ノンフィクション文庫で感じた冗長さや持って回った言い方がなかったと思います。著者は読みやすい文章を心掛けていたようですし、訳者の能力の高さのおかげかもしれませんね。



[ 2020/04/14 23:39 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2019年10月23日(水)

「時間の使い方」を科学する 思考は10時から14時、記憶は16時から20時 



著者:一川 誠
発売日: 2016/7/15

評価〔B+〕 公私ともに使えそう。
キーワード:時間、実用、サーカディアンリズム、目標勾配、

この規則性は、総合的な印象は、最も明確であった際の印象強度と最終段階での印象強度によって決定されているということで「ピーク・エンドの法則」と呼ばれています。(第9章より抜粋)


時間を科学するのではなく、使い方を科学的に考察する本です。学問というよりは実用書っぽいです。

心理学の研究によって分かってきた人の心の時間的特性が紹介されています。ひとつの項目を深く掘り下げるのではなく、いくつもの項目が列挙されていて雑学の本のようです。主観的な時間の長さ、身体変動のリズム(サーカディアンリズム)、作業効率を高める手段など様々な面から研究しているのが分かります。各章はコンパクトにまとまっていて読みやすいですし、「はじめに」でも書かれているように自分の興味がある章から読んで試してみるのも良さそうです。

印象に残ったのは上記の引用の「ピーク・エンドの法則」です。事後の印象はピークとエンドの中間になりやすく、持続時間は影響しないとのこと。確かに終わってみれば長時間嫌なことがあった時よりも、ごく短時間すごく嫌なことがあった時のほうが嫌です。楽しいときもそうかもしれません。関連して楽しい時間を長引かせる方法、すなわち細部に注意して、代謝を上げ、刺激を受けることの3つも覚えておいたほうが得しそうです。

他にも時間を作り出す技術、優先順位を決めるなどもすぐにでも使えそうな技術がいくつも書かれています。ちょくちょく読み返したい本です。



[ 2019/10/23 21:06 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2019年09月02日(月)

夫婦という病 



著者:岡田尊司
発売日: 2018/3/3

評価〔A〕 既婚者だったらSです。
キーワード:夫婦、結婚、出産、離婚、恋愛、

そこで一番変わった点は、互いの非に目を向けるのではなく、互いの失敗に対して優しさや寛容さを取り戻したことだ。(第十五章より抜粋)


夫婦やパートナーとの関係をより良くかつ安定したものにするために、精神科医である著者が21のケースを通して解決策を模索します。

前半は夫婦が上手くいかなくなっていく様を何回も見るので疲れてきます。お互いにもう少し思いやることができたならと思うのですが、感情的になってしまうのも良く分かります。様々なパターンが挙げられているのでどれかに当てはまる夫婦も多いのではないでしょうか。

基本的には対人関係を支える愛着に注目し、安定―不安定と回避―不安の軸で男女を分類して特性を掴み問題の解決をはかっています。愛着スタイルを踏まえた上で原因と対策を説明しているので、分かりやすく頭にすんなり入ってきます。

後半は一度は不安定になった関係が持ち直した例が描かれています。我慢以外の解決策が提示されているので、どれか一つは実践できそうな方法が見つかるかもしれません。

読んでいるうちに現在の夫婦制度は現代人の価値観に合っているのだろうか、合ってない人もいそうだな、と思い始めましたが、終盤では結婚という形にこだわらない関係や生き方について述べられていて興味深かったです。一夫一婦制ばかり考えが囚われていましたが、違う可能性を示しているのが良かったです。現代の倫理観とは離れていて驚きましたけど。一夫一婦制に向いている人ばかりじゃないからね。

個人的に価値観が合わない対策や関係もありますが、夫婦やパートナーとの良い関係を保ちたいもしくは改善したいと思っているなら一読の価値はあると感じています。これから親密になる二人にも役に立つでしょう。

巻末の科学者の方の解説も良かったです。


[ 2019/09/02 21:59 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年08月11日(土)

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 



著者:中野 信子
発売日: 2018/1/18

評価〔B+〕 協調性の欠点のお話。
キーワード:シャーデンフロイデ、オキシトシン、向社会性、集団、正義感、

攻撃に伴うメリットをなんとしても捻出する必要がありました。それが、社会的排除を執行する際に脳で生み出される「快楽」です。(第2章より抜粋)


題名の単語はドイツ語で、他人の失敗を喜ぶ感情という意味だそうです。誰もが持っている心の動きだけれども、恥ずかしさも覚えます。なぜこのような感情を抱くのかを、脳内物質や心理実験によって分析しています。

この心の働きにはオキシトシンなる物質が関係しているようです。幸せホルモンとも呼ばれるこの物質の働きが、人にどのような影響を与えるのか、欠点はあるのか、そしてシャーデンフロイデとはどのように繋がっていくのかを分かりやすく説明しています。また、動物実験によるとこれの分泌量が多いと、他の個体を認識できる能力が高まるとあったのが興味深いです。私は人の顔を覚えるのが大変苦手なので、分泌量がが少ないのかもしれませんね。

多くの実験や研究が挙げられていてためになります。稲作と稲作以外の地域の集団意識の違いは視点が面白いです。また、本筋から少しそれますが、数種類のジャムを選ぶ実験やある歴史の先生が試みたサード・ウェーブ実験なども良かったです。

本書では危険性と対策の難しさが指摘されていますが、協調性と寛容さのバランスが大切なのではと考えています。昨今のネットでは当事者でもないのに激しく批判する出来事をときどき目にしますので、もう少し寛容になれば息苦しさも緩和されるのではないでしょうか。承認欲求と上手く付き合っていかねば。




[ 2018/08/11 23:52 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)