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2019年10月23日(水)

「時間の使い方」を科学する 思考は10時から14時、記憶は16時から20時 



著者:一川 誠
発売日: 2016/7/15

評価〔B+〕 公私ともに使えそう。
キーワード:時間、実用、サーカディアンリズム、目標勾配、

この規則性は、総合的な印象は、最も明確であった際の印象強度と最終段階での印象強度によって決定されているということで「ピーク・エンドの法則」と呼ばれています。(第9章より抜粋)


時間を科学するのではなく、使い方を科学的に考察する本です。学問というよりは実用書っぽいです。

心理学の研究によって分かってきた人の心の時間的特性が紹介されています。ひとつの項目を深く掘り下げるのではなく、いくつもの項目が列挙されていて雑学の本のようです。主観的な時間の長さ、身体変動のリズム(サーカディアンリズム)、作業効率を高める手段など様々な面から研究しているのが分かります。各章はコンパクトにまとまっていて読みやすいですし、「はじめに」でも書かれているように自分の興味がある章から読んで試してみるのも良さそうです。

印象に残ったのは上記の引用の「ピーク・エンドの法則」です。事後の印象はピークとエンドの中間になりやすく、持続時間は影響しないとのこと。確かに終わってみれば長時間嫌なことがあった時よりも、ごく短時間すごく嫌なことがあった時のほうが嫌です。楽しいときもそうかもしれません。関連して楽しい時間を長引かせる方法、すなわち細部に注意して、代謝を上げ、刺激を受けることの3つも覚えておいたほうが得しそうです。

他にも時間を作り出す技術、優先順位を決めるなどもすぐにでも使えそうな技術がいくつも書かれています。ちょくちょく読み返したい本です。



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[ 2019/10/23 21:06 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2019年09月02日(月)

夫婦という病 



著者:岡田尊司
発売日: 2018/3/3

評価〔A〕 既婚者だったらSです。
キーワード:夫婦、結婚、出産、離婚、恋愛、

そこで一番変わった点は、互いの非に目を向けるのではなく、互いの失敗に対して優しさや寛容さを取り戻したことだ。(第十五章より抜粋)


夫婦やパートナーとの関係をより良くかつ安定したものにするために、精神科医である著者が21のケースを通して解決策を模索します。

前半は夫婦が上手くいかなくなっていく様を何回も見るので疲れてきます。お互いにもう少し思いやることができたならと思うのですが、感情的になってしまうのも良く分かります。様々なパターンが挙げられているのでどれかに当てはまる夫婦も多いのではないでしょうか。

基本的には対人関係を支える愛着に注目し、安定―不安定と回避―不安の軸で男女を分類して特性を掴み問題の解決をはかっています。愛着スタイルを踏まえた上で原因と対策を説明しているので、分かりやすく頭にすんなり入ってきます。

後半は一度は不安定になった関係が持ち直した例が描かれています。我慢以外の解決策が提示されているので、どれか一つは実践できそうな方法が見つかるかもしれません。

読んでいるうちに現在の夫婦制度は現代人の価値観に合っているのだろうか、合ってない人もいそうだな、と思い始めましたが、終盤では結婚という形にこだわらない関係や生き方について述べられていて興味深かったです。一夫一婦制ばかり考えが囚われていましたが、違う可能性を示しているのが良かったです。現代の倫理観とは離れていて驚きましたけど。一夫一婦制に向いている人ばかりじゃないからね。

個人的に価値観が合わない対策や関係もありますが、夫婦やパートナーとの良い関係を保ちたいもしくは改善したいと思っているなら一読の価値はあると感じています。これから親密になる二人にも役に立つでしょう。

巻末の科学者の方の解説も良かったです。


[ 2019/09/02 21:59 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年08月11日(土)

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 



著者:中野 信子
発売日: 2018/1/18

評価〔B+〕 協調性の欠点のお話。
キーワード:シャーデンフロイデ、オキシトシン、向社会性、集団、正義感、

攻撃に伴うメリットをなんとしても捻出する必要がありました。それが、社会的排除を執行する際に脳で生み出される「快楽」です。(第2章より抜粋)


題名の単語はドイツ語で、他人の失敗を喜ぶ感情という意味だそうです。誰もが持っている心の動きだけれども、恥ずかしさも覚えます。なぜこのような感情を抱くのかを、脳内物質や心理実験によって分析しています。

この心の働きにはオキシトシンなる物質が関係しているようです。幸せホルモンとも呼ばれるこの物質の働きが、人にどのような影響を与えるのか、欠点はあるのか、そしてシャーデンフロイデとはどのように繋がっていくのかを分かりやすく説明しています。また、動物実験によるとこれの分泌量が多いと、他の個体を認識できる能力が高まるとあったのが興味深いです。私は人の顔を覚えるのが大変苦手なので、分泌量がが少ないのかもしれませんね。

多くの実験や研究が挙げられていてためになります。稲作と稲作以外の地域の集団意識の違いは視点が面白いです。また、本筋から少しそれますが、数種類のジャムを選ぶ実験やある歴史の先生が試みたサード・ウェーブ実験なども良かったです。

本書では危険性と対策の難しさが指摘されていますが、協調性と寛容さのバランスが大切なのではと考えています。昨今のネットでは当事者でもないのに激しく批判する出来事をときどき目にしますので、もう少し寛容になれば息苦しさも緩和されるのではないでしょうか。承認欲求と上手く付き合っていかねば。




[ 2018/08/11 23:52 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年06月02日(土)

性格スキル 人生を決める5つの能力 



著者:鶴 光太郎
発売日: 2018/2/2

評価〔B-〕 大人になってもまだ成長できます。
キーワード:性格スキル、仕事、学業成績、自己啓発、ビッグ・ファイブ、

この研究は、「真面目さ」の重要性は仕事の種類や特徴にはあまり依存せず、広範な職業に影響を与えることも明らかにしている。(第2章より抜粋)


性格スキルとは心理学の非認知能力のことで、平たく言えば性格の個性やある要素のことだそうです。なぜスキルと呼ぶのかというと、固定的なものでなく学んで成長させることが可能だからと続きます。中でも重要な5つの因子「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神の安定性」、これらビッグ・ファイブが人生においてどのように影響するのかを事例を交えて解説しています。

性格スキルは性格のように各々が違うものを持っているのではなく、それぞれ程度の差こそあれ持っている、まさに技術(スキル)のようなもののようです。本書では性格スキルそれ自体の説明はほとんどせず、学歴や収入、犯罪との相関関係について深く掘り下げています。学校の成績や職業、人生で成功するためには何が必要かが多く語られていて、心理学の本というよりはビジネス書と呼んだほうがしっくりきます。

性格分類や身近な私生活での活用法を期待していたので、本書の内容とは少々ずれていたので残念でした。説明がいくつかの因子に偏っているのも不満です。しかし、思いがけず知った有益な知識もいくつかあります。大人になってからでも伸ばせる性格スキルがあることです。「協調性」が伸び続けるのは信じがたいですが、経験を積むと慣れてくるのでしょうか。

最後の章は著者が教育の場で、学生の性格スキルを伸ばす実践法と結果が書かれていて興味深かったです。このような例をもう少し読みたかったです。



[ 2018/06/02 18:42 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2018年05月18日(金)

サイコパス 



著者:中野 信子
発売日: 2016/11/18

評価〔A〕 きちんと理解できてよかった。
キーワード:サイコパス、犯罪、精神分析、共感、合理性、

表情や音声から他者の感情を読み取る実験をおこなうと、「怒り」「喜び」「驚き」といった感情については一般人と同程度に読み取れるものの、「恐怖」「悲しみ」を察する能力には欠けていることがわかっています。(第1章より抜粋)


報道で伝え聞くサイコパスは、血も涙もない殺人鬼といったイメージでしたが、本書を読むとそれは正しくないと分かります。犯罪者の中のごくごく一部の人たちの特徴をそう呼ぶのかと思っていたのですが、もっと範囲が広く、全人口のおおよそ1%が当てはまります。その中には成功者もいれば違法行為をして捕まる者まで様々です。例としてブラック企業の社長などが挙げられていて、なるほどなと思ってしまいました。

サイコパスの人たちはあたかも感情がないかのように言われますが、他者の感情を読み取る能力が高いのが意外で興味深いです。それが同情や共感を伴っていればよいのですが、共感性は低く合理性のみで行動していく点が一番の特徴だと感じました。感情のない合理性は、冷静という表現を通り越して違和感を覚えます。なぜ冷酷な言動を取ってしまうのかが分かります。

また、遺伝と環境のどちらの影響が大きいのか調べていて、現状では遺伝のほうが大きそうです。単に結果だけ示すのではなく、反社会的行動に向かわないための要素、解決法も示していて良かったです。詳しくは第3章の3脚理論をご覧ください。

今までぼんやりとしたイメージしかありませんでしたが、こうして一から説明を読み、偏見が少なくなったことは収穫でした。サイコパス気質の人と出会っても振り回されないよう注意したいです。




[ 2018/05/18 20:12 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)