2017年08月12日(土)

なぜ、それを好きになるのか? 脳をその気にさせる錯覚の心理学 



著者:竹内 龍人
発売日: 2014/3/10

評価〔B+〕 無意識と誤解の産物です。
キーワード:心理学、好意、視覚、

自分の行動や認知の理由を何かのせいにすることを帰属と呼びます。人間の面白いところは、この帰属が常に正しいというわけではないところです。(第2章より抜粋)


強烈にではなく、ぼんやりとした感じで好きなものはありませんか? なんとなく好きだけど上手く説明できないのはなぜでしょうか。実験心理学の研究から、そうした好きという感情の仕組みに迫ります。

堅苦しくない文章で、脳の情報処理の仕組みから順を追って説明しています。視覚の重要さから始まり、どのように無意識として反映されるかまでを分かりやすく書かれています。単純接触効果は他の心理学の本を読んで知っていましたけど、その先の「処理の流暢性による誤帰属」は知らなくて驚きました。理由があって好きになるのではなく、好きなんだと理由づけしてしまうとは・・・・・・。

具体的な例も、色や絵画、異性の表情など様々な形で挙げています。応用編として、なんとなく好かれるために注意すべきことや、自分から苦手なものを好きになる方法も書かれていて、自己啓発書や実用書のようでもありためになります。特に、勉強(学習)に関する記述は新鮮でした。成績の良さの原因は知能指数ではなく自制心の強さ、自制心も疲弊する、はそうかもしれないと感じました。

好きを解明する読みやすい本でした。



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[ 2017/08/12 18:45 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2017年07月06日(木)

信頼学の教室 



著者:中谷内 一也
発売日: 2015/12/17

評価〔A-〕 程良くくだけた会話で読みやすいです。
キーワード:信頼、心理学、現代、

ナカヤチ「さて、ここで問題です。なぜ、信頼が高いという、良い話はあまりないのでしょうか?」(2日目より抜粋)


最近は、組織や有名人の謝罪会見は珍しくありませんが、同じような失敗で誤っているのに、なぜか違う印象を受けることがあります。信頼できそうと思うこともあれば、どうもまた同じことを繰り返しそうだと感じることもあり、うまく言葉にできません。何が違うのでしょうか。本書では、信頼や信用の仕組みを丁寧に解説していきます。

通常の説明文とは異なり、若手メーカー社員のシンジ君が、心理学が専門のナカヤチ先生の個人講義を受ける形で、説明しています。冗談を交えて進むので、硬い文章が苦手な人でも比較的読みやすいです。くだけた雰囲気ではありますけど、内容はしっかりしたもので、社会調査のアンケート方法も詳しく丁寧に書かれています。また、各章の最後にまとめがあり、あとで読み返す際に便利です。

対象の信頼度によって、何が一番影響力があるのか変わってくるのが面白いです。信頼を既に得ている人の方法を、信頼されていない人が真似ても、同じ効果が得られないのは分かる気がします。賛否が分かれる行動では、公正さが重要視される点も興味深かったです。また、信頼とは逆の裏切りも一緒に議論されています。最終的な行動が同じ場合でも、自発的か受動的かによって、相手の印象が大きく変わるのは覚えておいたほうが良さそうです。

具体例が東日本大震災に少々偏っているのが気になりますが、それ以外は分かりやすく、勉強になりました。こうした読みやすくためになる新書が増えると嬉しいですね。





[ 2017/07/06 20:29 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2017年05月07日(日)

快楽の脳科学 「いい気持ち」はどこから生まれるか 



著者:廣中 直行
発売日: 2003/8/30

評価〔B〕 脳の一部だけでは決まらない。
キーワード:脳、快楽、不快、低次脳、高次脳、

私の想像ではあるが、人間は世界を制御できたと思ったときにもっとも強烈な快感を感じるのではないだろうか。(第二章5より抜粋)


気持ち良いという感情を、心理学ではなく脳科学の見地から分析した本です。題名の「快楽」とついていますが、快を知るためには不快・辛さを知る必要として、問題行動が多く取り上げられています。楽しそうだなと思って読むと、なんか違うと思ってしまうかもしれません。

脳を原始的な低次脳と人間らしい高次脳の2つに大まかに分けて、何がどのように作用しているのか細かく説明しています。私は生物には疎いので、化学物質などの専門用語を羅列されると分かりにくいのですが、詳しい人には丁寧に書かれていて分かりやすいでしょう。

他の動物も同じようにある食欲や睡眠欲から、本来避けるべきものに接近する「怖いもの見たさ」まで幅広く取り扱っています。項目により分量に差があり、もっと快の部分を多く書いてほしかったです。また、読んでいるときはあまり感じませんでしたが、全体的にまとまりに欠けるような印象を受けました。各項目では研究が進んでいるけど、それらの軸となる分かりやすい共通点がない、のかな?

正直、理解できているかどうか怪しいです。後でまた読もうかな。本書はもう十年以上前のものなので、著者が新しい本を書く時は進展がありそうなので、気長に待つのも良さそうです。




[ 2017/05/07 17:42 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2016年11月03日(木)

平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫) 



著者:M・スコット・ペック (著), 森英明 (翻訳)
発売日: 2011/8/5

評価〔B+〕 序盤は解説よりも具体例が興味深い。
キーワード:心理学、邪悪、善、虚偽、文庫化

これにたいして、私が邪悪と呼んでいる人たちの最も特徴的な行動としてあげられるのが、他人をスケープゴートにする、つまり、他人に罪を転嫁することである。自分は非難の対象外だと考えている彼らは、だれであろうと自分に近づいてくる人間を激しく攻撃する。(第2章より抜粋)


主題は人間の邪悪さ、邪悪な人々についてです。悪と聞くと殺人や詐欺のような犯罪を連想してしまいますが、本書で問題となる悪はそれらとは違います。自分の評価が落ちそうになると、理由をつけて否定する人たちのことです。有能で正しそうに見えるけれど、家族であれ誰であれ責任を押し付け保身を図ります。違法ではないけれど、自分に問題があることが分かっていない厄介な人です。

邪悪な人たちの例として、精神科医の著者と面談をした何人かの人たちが挙げられています。問題行動を起こす子の親や夫婦が登場しますが、著者は特徴として嫌悪感を覚えると記しています。読んでいくと、他人の立場にたって想像することができないので、説得や治療が非常に困難です。邪悪さの中核はナルシシズム(自己愛)であるとする著者の持論は、正しいのかもしれませんね。また、失敗談も隠さず挙げているので、好感が持てます。

こうした特徴を邪悪と呼んだり、邪悪性を精神病と呼ぶのは、まだ何か違和感があります。意識して行っている悪は悪ではないのだろうか、心の特徴を病気と呼ぶのはしっくりこないなあ、と色々考えてしまいます。これから研究されていく新しい分野だと思うので、概念をうまく理解できていないのかもしれません。

悪の治療も少しだけ述べられていますが、実践するのは難しそうです。著者は残念ながら亡くなってしまいましたが、誰か後を引き継いだ研究者がいるのでしょうか? 邪悪性の研究が続いていることを願います。ただ、邪悪な人たちの心配をするだけでなく、自分も邪悪な人になっていないか自問自答することを怠らないようにしたいです。



[ 2016/11/03 18:46 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2016年10月29日(土)

面白いほどよくわかる! 犯罪心理学 



著者:内山絢子 (監修)
発売日: 2015/1/16

評価〔C+〕 やや硬い文章ですが、分かりやすいです。
キーワード:犯罪、加害者、被害者、心理学、

なぜ「真面目な人」「よい子」は犯罪とは無関係に見えるのでしょうか。それは、社会や私たちが犯罪を行った「真面目な人」や「よい子」に無関心であったためかもしれません。(第7章より抜粋)


犯罪を行う人に注目し、加害者はなぜ犯罪に手を染めてしまったのか?を分析し分かりやすく解説した、犯罪心理学の入門書です。

犯罪を殺人、性犯罪、詐欺と系統立てて説明していて、理解しやすいのが良いです。また、加害者の心理に興味をひかれ読んだのですが、法律ではどのように扱っているのかや、逮捕後から更生までの流れも触れられていて、犯罪全般について知識を得ることができて良かったです。また、犯罪心理学を使った捜査も簡単に説明しています。

入門書としては良いのですが、用語の大まかな説明のみで終わってしまう項目では物足りなく思うこともあり、もう少し専門的な解説があっても良かったと思います。また、読み物としてはやや硬い文章、教科書のようだったのが残念です。

普段考えることはありませんが、社会で生活していく上では知っておくべきことなのかもしれませんね。




[ 2016/10/29 18:51 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)