2017年08月03日(木)

萌え家電 家電が家族になる日 



著者:大和田茂
発売日: 2015/6/25

評価〔C+〕 将来の予測をもっと読みたかったです。
キーワード:家電、電気電子工学、テクノロジー、科学読み物、AI、

人間が人間以外のモノと対話するなんて寂しすぎる、と思う方もいるかもしれない。しかし実際には、人間とは人間以外のもの、たとえば機械に対するコミュニケーションであっても、人間に対するときと同じような反応をしてしまう性質がある。(第1章より抜粋)


家電と言えば高性能や新機能が売りでしたが、最近ではかわいい家電の人気が出てきました。一見役に立たない機能が、どうして利用者に好かれるのか。萌え家電の歴史を辿り、日本の文化やAIを踏まえて考察しています。

身近な具体例として挙げられたものは、AIBOやルンバ、SiriやMMDと知っていることが多かったので、あまり新鮮さはありませんでした。しかし、知っているとはいえ、こうした人間の相手としての家電や道具が結構あって、確かに萌え家電への流れが起きつつあるのかもしれないと感じました。ロボットに近いけれど、本書で扱っているのは人型に限らない人間味のある機械と言ったところ。

萌え家電の人気の秘密を考察した最後の章が、興味深かったです。特に、人間がどのようなものに生き物を感じるのかは、簡潔ながらも分かりやすくて面白いし、外見が人間そっくりではなくデフォルメされたもの(萌え絵)が好ましい理由も説得力があり頷けます。現状よりも、こうした分析や将来の予測についてもう少し読みたかったです。

コンピュータやAIが進化していくと、最後はやはり人間そっくりのロボットに行き着くのでしょうか。本書からロボットやAIの本を読んでいくのもいいかも。私は逆でしたけど。




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[ 2017/08/03 22:16 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2014年06月13日(金)

ロボットは涙を流すか 

ロボットは涙を流すか (PHPサイエンス・ワールド新書)ロボットは涙を流すか (PHPサイエンス・ワールド新書)
著者:石黒 浩、池谷 瑠絵 他
出版社:PHP研究所
出版日:2010/01/21

評価〔A〕 SF映画からロボットの未来を考えます。
キーワード:ロボット、SF、映画、アンドロイド、現代

ではその時、「人間」と認めるための要件とは何なのだろうか? 『スター・トレック』ではすでに、それが知性なのか、感情なのかといった一歩踏み込んだ議論が展開されている。(本文より抜粋)


人間そっくりのロボットを作り日々研究している科学者である著者が、SF映画を題材にして、最新のロボット技術および「人間とは何か」を探ります。著者の「ロボットとは何か」と同じような内容ですが、テーマを映画にし、文章は記者が担当したことで読みやすいです。

著者が精巧なロボットを作り人々の反応を見るのは、「人間とは何なのか」という哲学的な難問の答えを得るためだと一貫しているのが分かりやすくて良いです。ターミネーターを見てはロボットの構造・機能に注目し、サロゲートを見ては自分の研究の行く末をあれこれ想像し、映画を物語としてではなく現実または近未来として見て感想を書いています。面白いのですが、読みやすさ重視のためか、内容は「ロボットとは何か」より平易な印象を受けました。高度な内容は二の次のような。

5章では人間と同等と認められるための要素として、こころや感情を挙げていますが、この難問に対し自然科学ではなく社会学の面から考察しています。精神の存在を証明するのではなく、相手が認めるかどうか――チューリングテストの概念と似ていると感じました。工学やプログラムを研究している人が、ロボット作りにおいてコミュニケーション能力を重視しているのが興味深かったです。学問が繋がっているのが分かり面白いですね。

ときおり書かれている著者の独特な性格も楽しいです。怒るという感情がよく分かっていなかった、ロボットをおもちゃのハンマーで叩き続けたら学生に怒られた、など言動が新鮮です。さすが研究者といったところでしょうか。

本書では10作品のSF映画が例として挙げられていますが、見ていなくても楽しめます。僕がみたことあるのもターミネーターとスター・ウォーズくらいです。読んでいて映画が見たくなってしまいました。サロゲートは面白そう。映画の核心に触れる箇所も書かれているので、読みたい方はネタバレにだけ注意してください。



[ 2014/06/13 22:06 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2010年08月15日(日)

ロボットとは何か――人の心を映す鏡 

ロボットとは何か――人の心を映す鏡  (講談社現代新書)ロボットとは何か――人の心を映す鏡 (講談社現代新書)
著者:石黒 浩
出版:講談社
発行:2009/11/19

評価〔S-〕 現実だけどSFのような研究レポート
キーワード:ロボット、アンドロイド、現代

これほどまでに人間は人間らしい見かけに敏感なのに、私を含めロボットの研究者は、なぜその見かけの問題を無視してきたのだろうか?(第3章より抜粋)


数年前、日本の大学が開発した人間そっくりのロボットを、テレビで紹介しているのを見ました。似ているなんてものではなく、本当に精巧にできていて感心しましたし、さらには遠隔操作で滑らかに動くさまを目にした時は、まるでSFの世界のようだと驚嘆したのを良く覚えています。本書はそのロボットを開発した大学教授が書いた、ロボットに関する読み物です。

大阪大学と言えばロボット工学では世界一とも評される大学で、最先端の研究をしているところです。そこの先生が書いているのだからさぞかし硬く難しいのかなと思ったのですが、読み始めてみるとそうでもなく、専門外の人が読んでも分かりやすいです。どうして人間型ロボット、いわゆるアンドロイドにこだわるのか?から最新の研究まで、著者の感想を交えて述べられています。

人に似たロボットを見たときに感じる「不気味の谷」はなるほどと思いますし、ロボットが演技に挑戦した「ロボット演劇」や、ある夫婦がアンドロイドを操作した時の出来事は、非常に興味深いです。こうした実際アンドロイドに接した人々の、予期せぬ反応や感情の変化はおもしろいです。

この本の中では、社会で人と繋がるロボットを作るということは、心とは何か?人間のとは何か?を探求することに至ると、何度も主張されています。ロボットについて研究していくと、工学の問題がやがて心理学や哲学の問題に行き着く点が非常に興味を惹かれます。最先端の工学が科学の原点である哲学に戻ってくるのが、なんか良いね。研究レポートの後は今後の予定、そして研究、ロボットの未来について書かれています。性的情動、学習・発達、ロボットの人権……現時点でも結構SFっぽいのに、どこまで進んでしまうだろう。SFとの区別がつかなくなる日も遠くないのかも。

新書は初心者向けとしてのものが一般的だと思うので、最新の研究を覗くことができるのは稀ではないでしょうか。理系のみならず、機械音痴の人にも自信を持っておすすめできる本です。とても知的好奇心を刺激された本でした。評価A+かS-か迷いましたが、SF好きなのでS-で。




[ 2010/08/15 14:33 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)