2017年04月25日(火)

盤上の詰みと罰 2 (完) 



著者:松本渚
発売日: 2015/11/12

評価〔B〕 記憶障害の真相とは。
キーワード:将棋、記憶、

「また私と対局してくれますか?」(本文より抜粋)


記憶障害の原因となった対局相手を探すため、都は旅を続けます。

劇中で某が、将棋の一手には感情や人生観が込められていると言っています。実際将棋を指していると、確かに相手の意図や気性が出ているなと感じることがあります。それが本書のテーマなのだと強く感じました。

都が追い求めていた相手はいったいどのような人物だったのか。ぼんやり予想していた人物像とは大きくかけ離れていましたけど、この漫画らしい、彼女らしい結末だったと思います。

もうちょっと将棋旅を続けて欲しかったかなとも思いますが、だらだら引き伸ばさずスパッと終わるのも潔くて良かったです。



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[ 2017/04/25 21:58 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年04月12日(水)

盤上の詰みと罰 1 



著者:松本渚
発売日: 2014/11/10

評価〔B+〕 主人公は起きている間、将棋しかしてなさそう。
キーワード:将棋、記憶、

「私はもう一度、あの人と対局したいんです」(本文より抜粋)


霧島都は元プロ棋士で、全国将棋一人旅をしています。理由は、記憶障害の原因となった対局の相手を探し出すため。彼女は相手を見つけ出すことができるのか、なぜ記憶を失ってしまったのかを求める将棋の旅です。

将棋の魅力にとりつかれ、何よりも将棋が好きな彼女の生き様が実に楽しそうです。いや、記憶が1ヵ月ごとにリセットされてしまうのですから、本人にしてみたら苦しいのかもしれませんが、将棋を指している姿は生き生きとしていて目を引きます。旅先で出会う人々も将棋にいろいろな想いを持っていて、都との違いが面白いです。勝負どころは迫力があり、きっと将棋のルールを知らない人でも楽しめるかと思います。

クライマックスの対局ですが、最後にプロ棋士の解説つきで棋譜が載っています。見ただけではよく分からなかったので、実際駒を並べて見たのですが、どちらも攻め将棋で迫力がありました。96手目と97手目なんて私には高度過ぎて指せません。こういう手はプロが監修しているだけあってさすがです。

次で完結ですが、一体どのような相手とどのような将棋で終わるのか。期待しています。



[ 2017/04/12 21:09 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2016年11月26日(土)

俺の棒銀と女王の穴熊 6 



著者:アライコウ
出版社:アライクリエイト事務所
出版日:2016/8/10

評価〔B〕 そろそろ終わりが見えてきた?
キーワード:将棋、高校、部活、

そう、棒銀こそが自分の将棋の原点ではなかったか。(本文より抜粋)


来是たちは進級し、彩分学園将棋部は増々活発になっていきます。

ほとんどゼロから将棋を始めた来是が、とうとうここまで強くなったかと感慨深いです。それにつれて戦法の紹介が減っていくのは寂しいですが、まぁ仕方がないのかもしれませんね。強い人の棋譜をあげて、一手一手解説するとライトノベルではなくなってしまいますし。

3人とも成長したところで、長らく停滞していた恋愛問題が再浮上します。まだしばらく決着はつかなそうだなと思っていたのですが、そろそろこの三角関係にも決着がつきそうな気配がしてきました。もう結果が見えている気もしますが・・・・・・読者も登場人物たちも納得のいく結末だと良いですね。

将棋よりも恋愛のほうが主になりつつあります。もう少し将棋が見たいので、少々残念かな。次の巻で最終巻となるのか、来是と紗津姫の勝負はいつどのように行われるのか注目です。



[ 2016/11/26 21:12 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2016年04月17日(日)

ルポ 電王戦 人間 vs. コンピュータの真実 



著者:松本 博文
発売日: 2014/6/6

評価〔B+〕 ゲームにおける人と機械の競争
キーワード:将棋、人工知能、電王戦、機械学習、

コンピュータ将棋界のブレイクスルーは、その本流とはかけ離れたところから、ある日、突然やってきた。(第一章より抜粋)


先月、囲碁では人工知能「アルファ碁」が韓国のプロ棋士に勝利しましたが、将棋界では現在進行形で第1期電王戦が行われています。人間と人工知能が先手後手を入れ替えて二局指します。第1局は中尊寺で行われ、人工知能のPONANZA(ポナンザ)が勝ちました。将棋もこのまま人が負けてしまうのか否か、注目されています。この電王戦と呼ばれる対局企画は、数年前から行われているプロ棋士VSコンピュータ将棋を指します。本書は、電王戦がどのように始まり、どのように発展していったかを綴ったドキュメンタリーです。

電王戦のみならず、コンピュータが弱い時代から順を追って紹介しているので、分かりやすいです。プログラムについてまったく知らなくても問題ありません。ただ、将棋のルールくらいは知っておいた方が良い内容です。プロ棋士側の紹介もありますが、人工知能のほうに多く分量がさかれています。

将棋の指し方には個性が出ると言われていますが、ソフトもその開発者も十人十色で面白いです。なかでも印象に残ったのは、ブレイクスルーのきっかけを作ったBonanza(ボナンザ)と、対人ではなく対ソフト用のソフト・やねうら王です。前者の開発者保木さんは研究者で、勝負の世界の人たちとは違う世界の人です。まったく関係ない世界の人が、別の世界に大きく影響を与えることとなったのは、面白いですよね。後者のやねうら王も、出るべくして出たソフトで、しかも優秀な成績を残しているのが凄いです。こうした発想が、また次へと繋がるのでしょう。

将棋の内容そのものは専門的になりすぎるためか、大まかな説明でした。盤面の図があれば良かったと思います。また、勝負した棋士たちの言葉があまりなかったのが残念です。どこがどう違うのかを知りたかったけど、これも将棋を知らない人が読むには専門的過ぎるので省いたのでしょうか。PONANZAの開発者の山本さんについての話が、多かったのも少々気になりました。

私は将棋が好きですし、電王戦も大雑把にしか知らなかったので楽しめましたが、まったく知らない人の場合は読んで面白いかどうかは分かりません。将棋か人工知能、どちらかに興味があれば楽しめるのではないでしょうか。



[ 2016/04/17 21:53 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2012年01月04日(水)

決断力 

決断力 (角川oneテーマ21)決断力 (角川oneテーマ21)
著者:羽生 善治
出版:角川書店
発行:2005/07

評価〔B〕 一流の人の考え方は面白いです。
キーワード:決断力、勝負、将棋、

私は、決断をするときのよりどころは自分の中にあると思っている。王をとるか、とられるかの厳しい局面では、最終的に自らリスクを負わなければならない。そういうところでの決断には、その人の本質が出てくるのだ。(第二章より抜粋)


その分野にまったく興味がない人でも、分野を超えて名前だけは知っているという有名人がいます。そういう人はその世界では超一流の人であることがほとんどです。本書の著者である羽生善治もその一人です。将棋を知らなくても名前を聞いたことがない人は、殆どいないのではないでしょうか。その著者が自身の将棋を通して感じた、一般社会でも通じることを記しています。決断力だけでなく彼の思考法全般の本です。

将棋は一対一で行い、勝負がはっきりとつく厳しいものです。その勝負の世界に置いて重要なのは、判断であり決断だと書いています。「決断とリスクはワンセット」「リスクを避けていると次のステップにならず、それこそリスク」の考え方は、耳が痛いですがもっともだと感じました。

他にも直感、集中力、情報の取捨選択などが挙げられていますが、目を引いたのは才能の説明です。著者は長期間同じ情熱を傾けられることが才能だと語っています。トップレベルであり続ける人の言葉は、説得力があります。それと、将棋一筋なのかと思いきや、他の分野にも興味を持って目を向けていることが分かりました。こうしたことが柔軟な発想、ひいては強さに繋がっているのでしょう。

もちろん将棋ファンが望んでいるであろう将棋界でのエピソードもあるので、そのへんはご心配なく。何かで見たのですが、「羽生先生は自分の考えを言語化するのがうまい」とありました。他の新書よりも話し言葉に近く読みやすいです。専門分野の紹介である新書と言うよりエッセイに近いです。将棋ファンでなくてもためになることでしょう。




[ 2012/01/04 22:06 ] 実用 | TB(0) | CM(0)