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2013年07月31日(水)

100文字でわかる 世界の宗教 

100文字でわかる 世界の宗教 (ベスト新書)100文字でわかる 世界の宗教 (ベスト新書)
著者:一条 真也
出版:ベストセラーズ
発行:2006/12/06

評価〔B+〕 宗教の簡易版イミダス
キーワード:宗教、三大宗教、要約、

世界中の宗教について「これ以上は無理」というところまで、徹底的にわかりやすく解説しました。(まえがきより抜粋)


宗教用語を簡潔に説明している宗教入門書です。著者は学者ではなく冠婚葬祭会社の経営者で、日頃から宗教と深くかかわっているようです。学者以外でもこういう仕事をしていると詳しくなるのですね。なんか感心してしまいました。

三大宗教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を主に扱っています。まずよく聞くが詳しくは知らない言葉を100文字で解説し、隣のページに補足説明があります。取り上げられている単語は、旧約聖書、カトリック、シーア派、密教と顕教、などです。本書の題名どおり100文字だけ読んでも大まかには分かりますが、興味があれば補足も読んだほうがためになります。雑学を学んでいるみたいで面白いです。

難しい概念はやはり文字数が足りないためか、分かりづらいのが残念です。それと、本書はあくまで宗教についてほとんど知らない分からない人向けなので、興味を持ちもっと知りたくなったら、自分で他の本をあたるなり詳しい人に聞くなりすべきでしょう。ある程度知っている方には既知のことばかりだと思います。

まえがきで触れていますが、国際人、国際ニュースをよく見たり外国の人と頻繁に交流する人にとって、特に役に立つでしょう。手軽に読めて、簡易辞典のようにパラパラ調べることができるので、今後もちょこちょこお世話になるかもしれませんね。




[ 2013/07/31 21:35 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2013年06月04日(火)

日本人はなぜ無宗教なのか 

日本人はなぜ無宗教なのか (ちくま新書)日本人はなぜ無宗教なのか (ちくま新書)
著者:阿満 利麿
出版:筑摩書房
発行:1996/10

評価〔B+〕 日本人はむしろ宗教心豊か。
キーワード:宗教、日本人、仏教、神道、キリスト教、

我々が容易に「無宗教」を口にする原因の一つに、風俗や習慣となってしまった宗教は「宗教」ではないという思いこみがあるようだ。(本文より抜粋)


日本人の半数以上が「自分は無宗教」と公言しているそうです。日本人は本当に無宗教または無神論者なのでしょうか。また、外国人には奇妙に感じられるこの状況は、いったいいつどのようにして形成されたのか。宗教思想史の専門家である著者が、歴史を振り返り原因を究明します。

ぼんやりした宗教観を、歴史と民俗学と共に分析・考察していて興味深いです。分かりやすく説明していますが、様々な要因が絡んでいてややこしいです。でも、神仏の信仰が篤かった中世から、なぜこうも変わってしまったのかが理解できて面白いです。

日本人の民族性、和を大切にしたり日常・平凡を好むところが宗教観に影響しているのは、ある程度予想していましたが、歴史の流れ、政治の影響も強く受けていることに驚きました。明治維新と新政府の方針・政策が興味深く、キリスト教禁止が幕府から受け継いだ唯一の政策だったとは知りませんでした。信仰の内と外、習慣となってしまった宗教のあたりも面白いです。

柳田国男の研究を参照する回数が多いです。民俗学がこうした宗教・思想の分野の研究に役立つとは思いませんでした。自然科学に限らず、複数の分野を研究しないとある分野の研究が進展しないことがあるのですね。勉強になりました。

巻末の引用文献を見ても、多くの資料をあたり客観性と広い視野を心がけていることが分かります。初詣、お盆、クリスマスとごちゃまぜのイベントに疑問を抱いたら、本書を読んでみるのも良いと思います。




[ 2013/06/04 22:39 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2011年12月14日(水)

完全教祖マニュアル 

完全教祖マニュアル (ちくま新書)完全教祖マニュアル (ちくま新書)
著者:架神 恭介、辰巳 一世 他
出版:筑摩書房
発行:2009/11

評価〔S〕 真剣に不真面目な宗教入門
キーワード:宗教、マニュアル、入門書

教祖はただお金が稼げるだけではありません。あなたを信じる人々をハッピーにし、そして彼らからの尊敬も得られる素晴らしい職業なのです。(序章より抜粋)


常々思うのですが、人に難しいことを分かりやすく教えるのはとても困難なことです。興味を持ってもらえるように面白く教えるとなると、至難の業ではないでしょうか。その至難の業を、宗教という日本ではあまり良いイメージがなさそうな題材でなしえた本書には感心してしまいました。……まあ、敬虔な信者の方には怒られそうですが。

この本は教祖になるためのハウツー本、の体裁を取った宗教入門書です。目次を見ると、弱っている人を探そう、現世利益をうたおう、異端を追放しようなど真面目なのか不真面目なのか判断しにくいのですが、中身は不真面目な内容を真面目な顔をしてやっている感じです。

説明はところどころ今時の口調をそのまま使っていて、真面目な台詞が妙に俗っぽくなっていたりして笑いを誘います。仏僧はニート以下!と主張し、甘い汁を吸うため出版を勧めるその姿勢は、ここまで言い切ってしまって良いのだろうか?と一読者ながら心配してしまいます。

もちろん、ただふざけているだけではありません。キリスト教・イスラム教・仏教の3大宗教をはじめ過去の宗教が通ってきた道を例に挙げ、どのような経緯で何をするようになったかが解説されています。巻末の参考文献を見ると、きちんと調べて書かれていることが分かるでしょう。イスラム教は寛容だと聞いていたのですが、どこがそうなのかよく分からなかったのですが、食事規制や禁止事項の例を読み、なるほどと納得できました。また、お守りは免罪符という意見も理解できます。一見なんのためにするのか分かりにくい事にも、それなりの理由があるのが面白いですね。衝撃的だったのは、悟りをひらこうの記述です。なんかもう紙一重って感じ。

宗教の布教活動が資本主義社会の経済活動と似ているのは興味深いです。科学的ですと説明すると、鵜呑みにしてしまう人がいます。4章では、テレビの権威にしたがうおばさんとイスラム教徒の違いは、みのもんたに従うか預言にしたがうかの違いしかないと、その判断の委任の快適さを論じています。どの宗教も、程度に違いはあれそうした面を持つものだと再認識しました。また、宗教施設はディズニーランドと同じく別世界を感じさせ、高揚感を与えることで人々の心をとらえているとの分析はなるほどなーと思いました。

さすが「よいこの君主論」の著者だけのことはあります。大いに笑わせて、いや楽しませてもらいました。人間の宗教活動そのものを一歩突き放して見た、でも学術書のように硬く難しくはない読みやすい奇書です。特定の宗教に厚い信仰を寄せている人々には薦めにくいですね。





[ 2011/12/14 22:39 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)