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2020年05月27日(水)

魂は、あるか? ~「死ぬこと」についての考察~ 



著者:渡部 昇一
発売日: 2017/9/2

評価〔B-〕 他の宗教も似たような感じなのかな。
キーワード:宗教、魂、パスカル、ウォレス、死後の世界、

そしてこのとき、私は、「ああ、人間には、肉体を超えた何物かがある」と、感じたのです。(序章より抜粋)


魂や死後の世界はどういうものか?は直接論じていません。著者が魂と死後の世界を信じるようになった経緯と理由が、詳細に記されています。話の中心となるのはキリスト教ですが、詳しくなくてもカトリックとプロテスタントという宗派があることは知っている程度の知識で十分読むことができます。

生まれ育った環境やオカルト的な体験が要因になっているのは予想がつきましたけど、パスカルの「賭けの精神」の影響が大きいのは意外でした。このような論理で信仰に目覚めることもあるのですね。この「賭けの精神」は負けることのない賭けと書いてあります。しかし、どうも腑に落ちない気分になり残念ながら感銘しませんでした。

魂を語るうえで進化論に触れた章があります。生物地理学の父、ウォレスは名前も知らなったので興味深く読みました。ここ以外の章でも科学を否定している訳ではなく、科学では説明のつかない大切な部分を繰り返し論じています。

自分の周囲にはあまりいない価値観を知ることができて良かったです。



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[ 2020/05/27 22:49 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2020年05月22日(金)

ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から 



著者:三井 誠
発売日: 2019/5/21

評価〔B+〕 実物大のノアの方舟があるとは驚き。
キーワード:科学、宗教、政治、論理的、アメリカ、

温暖化を疑う姿勢は、その人の「知識のあるなし」に由来するのではなく、その人の「思い」から生まれているのだ。(第1章より抜粋)


科学分野でのアメリカといえば、NASAなどを見ても明らかなように世界の最先端を走っているイメージがあります。しかし、進化論を否定し人工妊娠中絶を許さない、科学よりも宗教を重んじる人々が少なくないというニュースも時々耳にします。また、科学に対する不信も深まっているそうです。なぜ科学を信じないのか、科学を専門とする記者が全米各地で生の声を聞いたノンフィクションです。

知識がないから科学者の研究結果を信じないと考えるのは著者も指摘していたように間違いで、結局人は見たいものを見て信じたいものを信じるということなのでしょう。私もネットで自分の反対意見の記事を読もうとはあまり思いません。本書ではその理由として宗教と政治に注目しています。宗教と科学が反発するのは分かります。政治とも合わないことがあるのは驚きでした。政治、政治と言っていますけど、正確には経済的な理由や反エリート主義だと思います。

問題点の列挙だけでなく、科学者たちの反科学に対する取り組みまで調べているのは良かったです。ただ知識を伝えるのではなく、アリストテレスの論理・信頼・共感の3要素をおろそかにせず相手に伝えることが大切なのは賛成です。話はよく分からないけれどあの人の言うことなら信じよう、なんてことは珍しくないですからね。

アメリカの取材だけで『人は科学が苦手』と言えるのかは疑問ですが、反科学の人々を理解するのに有益です。



[ 2020/05/22 20:52 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2016年03月24日(木)

浄土真宗の信心がこんなにわかりやすいわけがない 



著者:石田 智秀
発売日: 2015/11/24

評価〔B-〕 信じる心、ではありません。
キーワード:宗教、仏教、浄土真宗、信心、

「これだけわかりにくい信心をわかる日が、いつか来るのだろうか・・・・・・?」(本文より抜粋)


お寺に生まれなのに信心がよく分からなかった著者の体験談です。信心って信じる心、つまりは信仰心のことだと解釈していたのですが、少なくとも浄土真宗では違うそうです。では信じる心でなるとすると何なのか。その1点に絞った本です。

子どもの頃から疑問に思い、仏教系大学にも通って着実に歩みを進めても、肝心なところで確信が得られないのはなかなか辛いと思います。しかし、妥協せず分かったふりをせず、真摯に求めたからこそ答えに辿りついたのでしょう。疑問、悩み、救済と、なんとも宗教らしいお話です。謙虚に書いていますが、布教使という伝える立場になれたのですから、かなり真面目に修行したのではないでしょうか。

本書の題名を見て、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を連想した方は、多分それで間違っていないと思います。著者はオタクだそうで、各段落の見出しがアニメやラノベ、ゲームのパロディになっています。あとがきで「攻めている」と表していますが、若い読者にも気軽に読んでほしいという配慮だと思います。おそらく。・・・・・・単に趣味かも。

短いのでお手軽に読めます。え、違うの?と思った方は試しに読んでみてはいかがでしょうか。




[ 2016/03/24 22:22 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2015年09月09日(水)

しない生活 



著者:小池 龍之介
発売日: 2014/3/28

評価〔B-〕 仏教と人生論。
キーワード:仏教、宗教、人生論、自己啓発、実用、

私たちの会話の多くは、こうやって相手の会話を遮ってしまうせいで、寂しくすれ違っています。相手を理解しようとせず、自分を理解させようとしてばかりであるがゆえに、です。(P89より抜粋)


現役の住職が現代人の生き方について、仏教の教えを基に助言をします。著者は他にも多数の著書がある人気のある方のようです。

まず、一項目2ページなので読みやすいです。宗教ときくと何やら難しいと思う方もいるかもしれませんが、日常のよくある光景から、いかに煩悩に惑わされずに生きるかを説いています。

全体的に、頭にきたりいらいらするのは自己顕示欲・自己防衛によるもので、心の平穏を保つには内省する心がけを忘れないこと・・・・・・とあります。でも、言うは易く行うは難し。感情に説明をつければそうなるのは分かりますが、実際に感情的になりそうな場面でそのように振る舞うのは難しそうです。特に「謝るときはよけいな言い訳をしない」「誉められても喜ばない」などはそう思います。

著者は実践できているのかと言えば、実はそうでもなく、自身の失敗を隠さずに述べています。厳しいだけでなく、こうした姿勢は好感が持てます。こうした内省によって平穏を得るのは簡単なことではありませんが、そうできたらいいなと感じた本でした。




[ 2015/09/09 20:19 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2015年02月01日(日)

慟哭 (創元推理文庫) 

慟哭 (創元推理文庫)慟哭 (創元推理文庫)
著者:貫井 徳郎
出版社:東京創元社
出版日:1999/03

評価〔C+〕 面白くなくはないけど・・・・・・。
キーワード:警察、新興宗教、誘拐事件、

「ただ、あなたを見れば、誰でもわかることです。あなたが救いを求めて、この教団にいらしたことも。」(P148より抜粋)


誘拐事件と新興宗教の様子を並行して描いた推理小説です。1999年初版と古めの小説ですが、ネットで推薦している人が何人かいたので読んでみました。

中盤まで派手な展開はないものの、警察内部の対立と捜査の様子は現実味がありますし、ある人物が新興宗教に興味を持つ過程も興味深いです。地味ではありますが、地に足のついたという表現が合う文章だと思います。内容も構成も、そして終盤明かされる驚くべき真相も質が高いと感じました。

しかし、面白いの?と問われたら、かなり困ります。つまらなくはないけれど、面白いとも言い難い。面白くなくもない。そんな感じです。質が低くなく盛り上がるシーンもあるのに、なぜなのでしょう。テーマが重いので爽快感がないせいか、読後感があまり良くないためか・・・・・・。読んでいるうちにトリックが半分くらい分かってしまったから、じゃないよね。

組織や家族など色々考えさせられる人間ドラマの面が強いので、そうした味のある推理小説をお望みの方にはお薦めできます。娯楽作品としては、うーん、笑いや心温まるものが読みたい人にはおそらく不向きです。



ちょっとだけネタばれ話↓
[ 2015/02/01 21:59 ] 小説 | TB(0) | CM(0)