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2020年01月21日(火)

広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス 



著者:スティーヴン ウェッブ, Stephen Webb, 松浦 俊輔 (翻訳)
発売日: 2004/6/1

評価〔B+〕 こういうのこそテレビ番組で見たい。
キーワード:天文学、ETC(地球外文明)、宇宙人、

あちらが見つかりたくないと思っていて、こちらからは向こうが見えないようにする技術的能力もあるだろうというわけだ。(解5 動物園シナリオより抜粋)


もし地球外文明(本書ではETCと呼ぶ)が存在するなら、なぜその兆しや証拠が見つからないかというパラドックスについて、50もの答えを紹介し考察しています。

解1の『ハンガリー人だと名乗っている』という冗談から、解34の『われわれが一番乗り』が示すように人類が宇宙で最初の知的生命体であると論じるものまで実にさまざまです。映画や小説でよく登場しそうな何らかの理由があって地球を隠れて監視している説も、解5として挙げられています。宇宙の専門家以外の一般の人が考えつきそうな答えはおそらく挙げられているでしょうから、探してその可能性と弱点を読むのも面白いと思います。

終盤の解は、知的生命体まで進化しないという意味ではすべて一緒だと思います。その原因がどの時点で起きるかで解が分かれているだけで。専門家にはその部分が重要なのでしょう。

可能性は低そうですがETCの環境のせいで天文学が発明・開発されない解29の『いつも曇り空』は、考え方として非常に盲点をついた興味深い説でした。なにかと地球や人類を基準に考えがちなのを教えてくれます。それと、解27のすでにETCが破滅している可能性を説明する際に使われているデルタ t論法も、新鮮で面白い考え方だなと感じました。

理系の、特に物理と生物を使って説明するので、高校の理系科目が大まかにわかるくらいの知識があると、より深く理解できます。まったくないと退屈かもしれません。私は生物の知識がないので、進化を論じている部分は難しかったです。分厚い本なので時間があるときにじっくり読んでもらいたい1冊です。



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[ 2020/01/21 21:28 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る 



著者:大栗 博司
発売日: 2012/5/29

評価〔A〕 物理学の最先端を垣間見た。
キーワード:重力、超弦理論、相対性理論、物理学、

アインシュタインの「最高のひらめき」とは、このニュートン以来の論理を逆転させることでした。(第三章より抜粋)


重力よりも副題の超弦理論の文字にひかれて手に取りました。高次元を解明する最先端の理論としか知らなかったので。

まずは前提となる相対性理論や量子論から始まり、超弦理論やブラックホールと進んでいくのですが、今は科学から遠ざかっている高校生の同窓生に語るつもりで書いたとあるように、かなり分かりやすく書かれています。難解な理論をほとんど数式を使うことなく、図と簡単な具体例で上手く説明しているのは鮮やかです。これなら知識なしでも読める、とは思いますが、やはり多少は知っていたほうが理解が早いですし面白いと思います。

超弦理論の超弦の意味は、高次元を表すことができる凄い紐くらいに捉えていたのですが、超対称性を前提とした弦のことだったとは初めて知りました。また、潮汐力の説明は本当に分かりやすくためになりました。今までの理解が浅かったようです。物理学を10億のステップで考えることと理論の関連性は、なるほどと関心しました。確かに新理論の存在が予見できます。

途中まではだいたい知っている内容も多く少し退屈でしたが、中盤以降はかなりワクワクしながら読みました。こんなに進んでいるんだと思う反面、まだまだ謎が多いとも感じました。事象の地平線の先から特異点まで、物質には何が起こり、最後に何が残るのでしょうか?

何度読んでもピンとこないところもあります。最先端のあの理論も、分かったような分からないような感じです。しかし、多少分からなくても、次から次へと有名人やノーベル賞受賞者が登場し、発展していった物理学の歩みは面白かったですし、興味のある人には是非読んでもらいたいです。




[ 2017/04/08 22:01 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2017年02月18日(土)

もしも宇宙を旅したら 地球に無事帰還するための手引き 



著者:ニール・F・カミンズ (著), 三宅 真砂子 (翻訳)
発売日: 2008/4/19

評価〔B+〕 科学的検証が現実味をもたせています。
キーワード:宇宙旅行、太陽系、惑星、無重力、

宇宙へ行くと、半数以上の人が微小重力状態に入って数日の間に、宇宙適応症候群、あるいは宇宙酔いと呼ばれるものを経験する。(第5部 医学的な危機より抜粋)


宇宙飛行士が宇宙船の中からテレビ中継する姿は、あまり珍しくなくなりました。電子機器の進歩やネットの発達によって、地球にいても鮮やかな地球の映像を見ることができます。しかし、一般の民間人が外国旅行のように宇宙へいくには、現時点では、まだまだ先の話になりそうです。

もし、この先、宇宙へ気軽に行けるようになるとしたら、どのような点に気をつけるべきなのか。未知の世界での危険について、宇宙物理学者が細かく検証したシミュレーション本です。

空気・放射能等、各項目を短く区切り、宇宙や物理学にあまり詳しくなくても理解できるよう書かれています。空気、水、重力の問題はすぐ思いつきますし、宇宙線や太陽風による放射線の影響も少しは知っていましたけど、思っていたよりも色々と問題点があり驚きました。放射線による機械の誤作動、宇宙酔い、概日リズムのずれ。変わったところですと、惑星・衛星での地震や地すべりの危険性、閉鎖空間に長期滞在する精神への影響が興味深かったです。

ぼんやり想像していた宇宙がほんの少しだけ身近なものとなる、夢のある科学読み物です。SF小説を書く人は読んでいるんでしょうね、きっと。



[ 2017/02/18 21:32 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2014年01月22日(水)

宇宙に外側はあるか 

宇宙に外側はあるか (光文社新書)宇宙に外側はあるか (光文社新書)
著者:松原 隆彦
出版社:光文社
出版日:2012/02/17

評価〔B〕 現代宇宙論をつまみ食い。
キーワード:宇宙論、物理学、重力波、

素粒子論の発展とともに、初期の宇宙を調べる研究が可能になると述べました。この背景のもと、大統一理論の研究の進展に伴って新しく出てきたアイディアが、「宇宙のインフレーション理論」です。(本文より抜粋)


誰しも一度は考えてみたことがありそうな、知的好奇心を刺激する題名です。現役の専門家である著者が、現代宇宙論で明らかになっていることと未だ謎であることを、仮説と理論を明確に区別して解説しています。

最大の興味だった題名の謎にはほとんど触れませんでした。外側には他の宇宙があるかも、くらいでしょうか。しかし、それ以外のことは背景放射、素粒子論、宇宙の起源、量子論と解釈問題など難しい数式など使わずに易しく説明されていて、物理学の予備知識なしに読んでも理解できるのはないでしょうか。僕も理解しているかあやしい用語について理解できて良かったです。

全体的に教科書のような文章なので、確実ではありますが娯楽性はあまりありません。また、ある程度宇宙について本を読んだことのある人には、やや物足りなさそうです。知っていることが結構ありました。

エクピロティック宇宙論が面白かったです。どこかで「重力波のみが他の宇宙へ影響する」なる文章を読み、不思議に思っていたのですがこういうことだったんですね。興味深いです。観測機器の発達によりどんどん研究が進んでいるそうなので、著者を含めた専門家たちの新たな成果を期待しています。




[ 2014/01/22 20:44 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2011年09月10日(土)

タイタンの妖女 

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)
著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
出版:早川書房
発行:1977/10

評価〔B〕 どこか心に引っかかるSF
キーワード:SF、サスペンス、宇宙、

「では、タイタンで会おう」と、そのにやにや笑いがいった。やがて、それも消えていった。(本文より抜粋)


大富豪のマカライ・コンスタントは、ラムファードの実体化現象の場へと招待を受けます。時間等曲率漏斗に飛び込み不可思議な存在となったラムファードは、コンスタントに予言を残します。予言は本当なのか、予言した意図は何なのか、そして彼の運命はどうなるのか。舞台は地球のみならず、ある星から別の星へと大きく移動、それに伴ってコンスタントの人生も大きく揺れ動いていきます。なんとも壮大なSFです。

移動するたびに話の雰囲気が大きく変わるので、まるで連作短編集を読んでいるような気分になります。物語もとらえどころがなく、不安定な展開のようでもあります。全体の筋書きよりも、特定の場面や人物の台詞といった局所的なところに目がいきます。世の中に対する皮肉や人生の理不尽さ、生きる喜びが表現されているのが、本書の魅力なのかもしれません。

どの星が好きか、どの人物・生命体が好きかは、かなり好みが分かれそうですが、僕は終盤になって登場するトラルファマドールから来たミロが気に入っています。ミロの持つメッセージの話も結構好きです。

著者は村上春樹に影響を与えたそうですが、確かにどことなく村上春樹の文章を感じさせてくれます。本来は逆なんですけど。テレビで爆笑問題の太田光氏が紹介していたのが、読むきっかけでした。新装版では彼のあとがきもついているので、字の小さい本書よりおすすめです。





[ 2011/09/10 21:51 ] 小説 | TB(0) | CM(0)