2011年11月06日(日)

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)
著者:斎藤 兆史
出版:中央公論新社
発行:2000/05

評価〔B-〕 方法ではなく情熱と姿勢がすごい
キーワード:英語、近代、伝記、

欧米の英語がまだ絶対的な規範として仰がれていた時代に、『ロミオをジュリエット』を演じる英国人の役者に向かって、「てめえたちの英語はなっちゃいねえ」と英語で一喝した日本人がいた。(第3章より抜粋)


日本の社会では英語は重要だと言われていて、社会人になっても習得に励んでいる方もたくさんいますが、調査によると日本人の英語力はとても低いそうです。日本人は語学に向いていないのでしょうか?しかし、昔の日本にも英語を母国語とする人と同じくらい、あるいはそれ以上に英語を知り操る人々がいました。そんな達人たちの勉強方法と一生を紹介しています。

基本的に日本にいながらにして英語力を身につけた人物が挙げられています。しかし、紹介する人数が10人と多く、どうしても簡略化された説明になりがちなので、面白みに欠けるところがあります。また、彼らの学習方法から学ぶと書かれていますが、その語学力は尋常でない努力と天与の才で得たものが多く、参考になるのかどうか疑問です。

けれど、達人たちの英語に関する逸話は興味深いです。英語でからかわれても、機転を利かせて英語でやり返してしまうのは凄いです。外交や教育など英語以外にも目的のあった彼らは、なんとしても目的を達成させる気概があったからこそ、達人になりえたのだと思います。著者の受験英語の何が悪いのかと書いているのも、こういう人達を見ていると一理あると感じます。

言語習得において、初歩の段階では英語がうまいと言われ、支障がなくなるにつれ何も言われなくなるそうです。また、日本人が英語を学習する場合、ある程度英語ができるようになると英国・米国的な思考に変化しますが、さらに習得するとまた日本人的な思考に戻るそうです。興味深いですね。

結びに著者は、英語を学ぶ際に欧米文化に従属するのではなく日本と日本語についてもしっかり学び、日本人の英語の意味を問いかけています。達人たちの真似をすることは難しいですが、外国語を学ぶときは肝に銘じておくべきだと感じました。




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[ 2011/11/06 14:54 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2011年10月03日(月)

ことばと文化 

ことばと文化 (岩波新書)ことばと文化 (岩波新書)
著者:鈴木 孝夫
出版:岩波書店
発行:1973/05/21

評価〔B+〕 言語の違いの面白さを知る
キーワード:言語、文化、

私は英語を学び出してから、もう三十年以上になる。米国やカナダにも何年か滞在したこともある。それなのに英語の lip が、このように日本語の「くちびる」とは違っていることに気付いたのは、なんと二、三年前のことでしかない。(P43より抜粋)


国際化が進むにつれ役に立つ言語とそうでないものの差が出てきて、どんどん言語の総数は減っていますが、それでも世界には数多くの言語が存在しています。日本語をそうした他の言語と比較することにより、日本の文化の特色と明らかにし、また言語と価値観・習慣の関係も分かりやすく説明していく、文字通りことばと文化の入門書です。

言語学の本ですが全体的に分かりやすく、やや専門的かなと感じたのは6章くらいです。外国語と母国語の違いを、著者の日常の体験から解説しています。上記の引用のように、lip と唇はまったく同じものを指していると思い込みがちですが、実は少し違います。辞書には違いが書いていないとありましたが、僕の電子辞書には記述されていました。これは、本書が1973年発行で昔の本だからでしょう。それ以外にも、同じような表現だけれども属している文化が違うために、価値観の違いが目立つ例も挙げられていて興味深いです。

ことばの定義で、辞書を引くと堂々巡りに陥ってしまうことが書かれています。やはりあの循環は説明になってないよね。

また、「お姉さん」という呼びかけはあるのに、なぜ「妹」と呼びかけることはないのか。迷子の小さな子供に対して血縁者でもないのに、なぜ大人は「おじさん」「おばさん」と自分のことを呼ぶのか。日本語話者としては当然すぎて考えもしないような言い回しを、多言語と比較して考察しています。日本語は何かと年齢を気にする言語だよね。先輩、後輩、先生など。儒教圏では日本より年齢に厳格なので、もっと年齢や上下を示す単語が多いんでしょうね、きっと。

既に身をもって経験したこともあったので、新鮮だったとは言えません。しかし、異文化や日本語についての本を読んだことのない人には、とても有益です。古くても古さは感じないでしょう。




[ 2011/10/03 20:47 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2009年11月13日(金)

日本人の英語 

日本人の英語 (岩波新書)日本人の英語 (岩波新書)
著者:マーク ピーターセン
出版:岩波書店
発行:1988/04

評価〔A-〕 英会話よりも英作文です
キーワード:外国語、英語、実用

"a friend of my mother"という意味は、いうまでもなく、one of my mother's friendsである。もし、母には友達が一人しかいなければ、正確な言い方は、the friend of my motherあるいはmy mother's friendとなる。(本文より抜粋)


外国のオタク系の掲示板を翻訳しているサイトで紹介されていたので、興味を持って読んでみることにしました。通常の新書と違い、英語の教科書のように左から右へページを読み進める形式となっています。新書で左開き(だっけ?)は初めてみたかも。

著者はアメリカ出身で来日し、多くの日本人の英作文をチェックしてきたことにより、日本人が間違いやすいポイントを熟知しています。冠詞・前置詞・完了形・関係代名詞など、豊富な例を挙げて説明しています。よくあるネイティブが会話で使う決まり文句を説明しているのではなく、参考書のような極めて基本的な概念を、しかし難しくなく興味深く解説しています。例えば、上野動物園のパンダはthe pandas of Ueno ZooなのかUeno Zoo's pandasなのか、はたまたUeno Zoo pandasなのか、ニュアンスまで説明されています(→結論はどれでも良いそうです)。

英語のネイティブスピーカーに教えてもらった時のことを思い出しながら読みました。aとtheの使い分けや、関係代名詞の制限用法と非制限用法の数意識の違いなど久しぶりに復習しました。それだけでなく、初めて目にするoffとoutの用途の違いや、接続詞のニュアンスの違いも勉強になります。

とても実用的で読み物としても興味深い本ですが、文章、特に論文作成に少々かたよっているようにも感じます。会話の能力を上げたい人には、あまり向かない内容ですが、英語で論文を書く研究者の方々には、かなり役に立つ本です。





[ 2009/11/13 22:27 ] 言語 | TB(0) | CM(0)