2015年07月13日(月)

イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか 



著者:宮田 律
発売日: 2013/9/14

評価〔B〕 日本とアラブ、イスラムの関係を考える。
キーワード:イスラム、アラブ、イスラム教、外交、対日感情、

イスラムの人々が日本人を評価するのは、彼らが理想とするような心意気や感情を日本人が備えていると見ているからである。(第1章より抜粋)


ネットで中東のテレビ番組が日本のことを褒めている知り、視聴したことがあります。確か公園でゴミを落とした人が、自分のゴミを拾って持ち帰る場面を見て、素晴らしいと賞賛していましたと記憶しています。本書の題名を見て、ちょうどそのことを思い出しました。ちなみに、この番組のことは第1章に書かれていました。最近外国を紹介する番組が多いですが、日本人にとってイスラム、アラブ世界はまだまだ未知の部分が多いと思います。彼らの対日感情はどのようなものか、過去の日本との関係はどのようなものだったのか、を分かりやすく論じています。

序盤は日本を褒めてばかりでよくある日本礼賛の書かと思ったのですが、対日感情を歴史から考察し、具体的な宗教観や文化を紹介し、逆に日本の外交を論じたりと、予想より幅広く書かれていました。興味深かったのは、後半のイスラム教の細かい概念の説明です。イスラムの寛容性や「イスラムの家」「戦争の家」という価値観、ジハードの起源と意味などは具体的でかなり分かりやすいと感じました。

また、ページ数は少ないですが、中東各国の日本への要望・注文が書かれた章があったのが良かったと思います。経済的援助を望んでいるなど抽象的な単語ではなく、なるべく生の声を伝えようとしている姿勢が好感が持てます。そういえば、日本でも観光の分野では対応しはじめていて、イスラム教の戒律を守って作られるハラール料理を用意している場所が増えてきているそうです。ゆっくりでもいいから相互理解が進むと良いですね。



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[ 2015/07/13 21:51 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2009年05月08日(金)

日本人の知らない日本語 

日本人の知らない日本語日本人の知らない日本語
著者:蛇蔵&海野凪子
出版:メディアファクトリー
発行:2009/02/18

評価〔B〕 文化の違いを感じます
キーワード:コミックエッセイ、言語、日本語、国際

そんな日本語学校のカオスな日常をお楽しみ頂ければ幸いです。(本文より抜粋)


日本で外国人に日本語を教えている方のコミックエッセイです。あまりピンとこない人もいるかもしれませんが、考えてみれば日本にも語学学校あるのは自然なことですよね。でも、接点がなければそういう所があることを想像すらしないと思います。僕は外国で現地の語学学校に行った経験があるので、そのときのことを思い出しながら読みました。

母国語を使っている時は何の疑問も抱かないことを、外国人の生徒達が次々に質問してくるさまは面白くもあり、勉強させられます。例えば物の数え方。ひとつ、ふたつの他に、一個・一枚・一本などたくさんの言い方がありますが、手袋の数え方なんて知らないよねえ。また、なぜ旧仮名遣いはなくなったのか?(仮名の変遷)や、なぜ漢字に沢山の読み方があるのか?(漢字導入時の逸話)は、日本人でも知っている人は少なそうで興味深いです。

著者が本の中でも言っているように、言葉を学ぶことは文化を学ぶことです。『美しさは罪』『お見舞いのルール』は、それぞれの考え方の違いがでています。このような大人なのに外国では子供のような間違いをしてしまうのは、自分の経験と照らし合わせても納得です。この本は生徒達が主役ですが、彼・彼女たちを通して母国・母国語を再認識できるのも良いですね。

今まではあまり見かけなかったコミックエッセイという新しい本の形も、だんだん定着してきました。結構興味深い本が多いのはいいのですが、前々から思っていたのですが少々高いなぁ……他の漫画と同じくらいならいいのに、と思うのは贅沢でしょうか。



[ 2009/05/08 22:21 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

2008年11月26日(水)

「ニッポン社会」入門 

「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)
著者:コリン ジョイス
出版:日本放送出版協会
発行:2006/12

評価〔A-〕 イギリス人の視点で日本を語る
キーワード:日本、文化、国際、イギリス

それを目にするやいなや、自分が東京もしくは大阪にいると実感させてくれるものとは何だろうか。(伍【日本の日常】より抜粋)


日本に10年以上住んでいるイギリス人記者による日本論です。論文ではなく随筆です。どうしてそう思い込んでいたのかよく分かりませんが、こういう本って40~50代くらいの人が書いてるんだろうな~と思っていました。長い間住んでみて、とあったからかな? 読み続けていってあとがきにある自己紹介を見たら30代だったので、少し吃驚しました。予想していたより若かった。失礼いたしました。

日本・日本人についての本はいくつか読みましたが、この本はちょっと違ってただ日本を語るだけでなく、著者の母国イギリスや職業も絡めて書かれているのが特徴です。例えばサッカーとビールを熱く語ったり、ジョークを言ったり、また時には日刊紙『デイリー・テレグラフ』でどのように日本を伝えるか頭を悩ませたりと彼の色がでていて読み応えがあります。また、食文化の章で通説を覆す弁解は新鮮でした。

メインテーマである日本についての記述も面白く、プールは日本社会の縮図だと評し、イギリスと日本は似ていないと言ってのけ、読者の興味を引いてくれます。きっと日本について何度も何度も質問されたせいなんでしょうか。一方で、日本語や日本人の独創性についてなどよく見る話題も書かれています。好きなのは『日本以外では決して見られない光景』と『わが町、東京を弁護する』かな。前者は他国との比較ですが2ヶ国しか見たことのない僕でも共感できるし、後者はやはり外国人から見た日本の街の良し悪しが分かります。締めの架空の後任者への手紙は実にうまく纏まっていて秀逸です。ここだけ読んでも十分楽しめますが、やはり最初から読んだほうが味があって良いですよ。

外国人から見た日本もそうだけれども、自分が生まれ育った社会から出て、異なる文化と接した時の体験談はとても興味深いです。できればまったく違った価値観の持つ社会に触れたほうが面白いと思います。そして、長い歴史から生まれた良い点はもちろん、妙なところやおかしな点も書かれているとなお良いですね。日本を語った本は見つけようと思えば見つかるのですが、ある国の人が別の国を訪れ色々と感想を記した本はなかなか見かけません。そういう本も読んでみたいです。




[ 2008/11/26 23:02 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)

2008年08月23日(土)

日本力 

日本力 アジアを引っぱる経済・欧米が憧れる文化! (講談社+アルファ文庫 G 170-1)日本力 アジアを引っぱる経済・欧米が憧れる文化! (講談社+アルファ文庫 G 170-1)

著者:伊藤 洋一
出版社:講談社
出版日:2008/01/21

評価〔B-〕 外と比べた上での日本像
キーワード:日本、経済、文化、国際

たとえ人口が減っても、日本人は悲観論に振り回される必要はない。(文庫版まえがきより抜粋)


少し前に外国に行くことになって、その頃はよく海外や日本に関する本をよく読んでいました。帰国後はネットでよく国際関係の記事を読んでいたのですが、最近本では読んでいないなと思い、今回手によってみたのがこの本です。前からハードカバーで出ていたのは知っていたのですが、何時の間にやら文庫本になっていました。

日本の経済と文化について書かれていますが、日本のことを単体で書くのではなく、まわりの有望で潜在能力があると言われている国々と比較した上で日本の独自性や強みを示しています。成長著しい中国や巨大企業サムスンを生んだ韓国、そして人口は中国を超えると予想されるインドの実情と問題点が明らかにされています。周りを見せることによって、見せたい日本の状況を浮き彫りにしたのは面白い手法だと思います。出版当時は2005年6月ですが、3年経った現在でも十分通用するでしょう。

著者は行き過ぎた悲観論は良くないと述べています。自国の経済や社会の問題点を議論するのは悪くないが、過度の悲観論は活力を奪うので、客観的に分析すべきだ、と。確かに日本では良くないニュースのほうが多いし目を引きます。報道する側もそのほうが見てくれると思っているからでしょう。でも、良い点も悪い点も偏りなく事実を伝えて欲しいものです。

かつて江戸時代でも人口減少の時期があって、当時の人々がとった打開策は現在でも通用するものでとても興味深いです。また、中国の都市では日本を感じさせるものが多く、こんなに日本が進出して良いのかと心配になるという感想は、現地を見てきた人ならではだと感じました。

他にも何冊か外国と日本に関する本を読んできたので、衝撃的な本だったとはいえませんが、それでも上記のような知らなかった話や現地の実情は新鮮でした。今まで外国と経済に関する本を読んだことがないならば、この本は良い啓蒙書となりえます。




[ 2008/08/23 23:01 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)