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2015年10月19日(月)

孫子・三十六計 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 



著者:湯浅 邦弘
発売日: 2008/12/25

評価〔A-〕 現代でも応用できる普遍性が凄い。
キーワード:中国、古典、戦争、孫子、

彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し。(三 謀攻篇より抜粋)


中国の古典でおそらく論語と同じくらい有名なのが、この孫子の兵法書だと思います。後の為政者・軍人たちに大きな影響を与えたと言われれる本書。武田信玄の「風林火山」が有名です。その有名な古典を読み下し文・原文・訳文の順に書き、分かりやすく解説した孫子の入門書です。また、孫子の要点をまとめ、理解しやすくした兵法書、「三十六計」も説明しています。

全編ではありませんが、代表的なところは網羅されています。勝つための戦術的なことよりも、いかにして損害を少なくするか、負けないかを力説しています。戦乱の時に書かれ、もっと勝つことに拘っているのかと思っていたので、意外で印象に残りました。また、現代では当たりまえとなっている情報の重要性を、あの大昔に説いているのが凄いですね。用間篇でも、「成功を収めるのは予知しているから。予知とは、不可思議な力ではなく知性によって得られる情報である」とあります。格好良い。

また、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は知っていましたが、続きがあることは知りませんでした。上記の引用文がその続きです。なるほどね。覚えておきたいものです。「三十六計、逃げるに如かず」という言葉は、劣性の時に使う計謀。正しくは「走為上(そういじょう)」で、「走るを上と為す」と言うそうです。知りませんでした。

いつの時代でも応用できそうな考え方・価値観が随所に見られます。だからこそ、長い時を越えて、外国でも読まれているのでしょう。はじめにで、哲学の書と評されていた理由が分かります。しかし、完全に理解したとは言えないので、なにかの折にまた読み返してみたいと思います。





[ 2015/10/19 22:23 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2014年06月30日(月)

リチャード三世 (新潮文庫) 

リチャード三世 (新潮文庫)リチャード三世 (新潮文庫)
著者:ウィリアム シェイクスピア
出版社:新潮社
出版日:1974/01/30

評価〔B+〕 凶悪な主人公が歯止めなく悪事を働きます
キーワード:戯曲、シェイクスピア、イギリス文学、

「おお、残虐非道のリチャード! あわれなイングランド!預言してやるぞ、どんなみじめな時代も、いまだかつて見なかった恐ろしいことが、きっとお前のうえに起る。」(第三幕 第四場より抜粋)


王の一族であるグロスター公リチャード、のちのリチャード三世が権力を得るために、手段を選ばず邪魔者を排除していく物語です。イギリスの薔薇戦争を題材に書かれたシェイクスピアの初期の悲劇。

陰謀をめぐらし、身内を騙していくリチャードの姿はまさに極悪非道です。ある女性の夫と子供を殺しておいて、その女性を口説こうとするのには驚きました。自分の欲望のためなら無理かどうか悩まず、他人の気持ちも考えません。誰でも容赦なく退けていきます。彼がこれでもかとばかりに悪人の主人公として描かれていて、なんかすがすがしいくらいです。ただ、単に悪い奴としてではなく、頭が回り口も達者と無能ではないところが興味深いです。

登場人物が多く、かつ同じ名前の人物も何人かいるので、読むのに少々苦労しました。傍らにメモを書きながら読んだのは久しぶりです。それと、薔薇戦争について何も知らなかったので、巻末の解説は助かりました。もし、家系図を頭に入れてから読んでいたら、作品をもっと深く味わえたでしょう。こうした分かりやすい解説は、理解の助けになり本当にありがたいです。




[ 2014/06/30 20:41 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2014年03月25日(火)

今昔物語集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 

今昔物語集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)今昔物語集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:角川書店
出版社:角川書店
出版日:2002/03

評価〔B〕 本当に幅広い説話集です。
キーワード:説話集、古文、

さて、帰宅してこの一件を妻に語ると、「あなたっていう人は、盗人以上にしたたかでいらっしゃる」と言って、妻は吹き出した。(P178より抜粋)


十二世紀初めに成立した話数一千数十という巨大な説話集「今昔物語集」の紹介本です。他のビギナーズ・クラシックスと同じように、訳文・原文・解説の順で読みやすく分かりやすい構成になっています。

部台は日本だけかと思っていたら、天竺(インド)部や震旦(中国)部もあって、当時のありとあらゆる物語を集めたかのようで驚きました。シャカや帝から地方役人や盗賊にいたるまで、本当に様々な人物が登場します。しかし、有名人よりは一般人の話のほうが面白いです。変装した妻を口説く夫など、なんか現代でも存在しそうな人物ばかりで。また、芥川龍之介の小説の元となった作品もいくつかあって、どこか違うか見比べてみるのも面白いと思います。

千を超える説話集を二百数十ページにまとめたので分量は多くありませんが、もう少し見てみたい気もします。古典を読むと、昔も今も人は変わらないな~と思わずにはいられません。



[ 2014/03/25 21:14 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年08月04日(日)

古事記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 

古事記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)古事記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:角川書店
出版:角川書店
発行:2002/08

評価〔B-〕 日本最古の書をやさしく解説
キーワード:古典、神話・伝説、歴史書、神道、天皇

天上の神々の合議により、イザナキ・イザナミの男女二神に、「この浮遊している国土を固定し、整備せよ」との命令が下った。そのときに天の沼矛という神聖なる矛を授けて委任した。(上巻より抜粋)


アマテラス、オオクニヌシなどの言葉は聞いたことがあるけれど、神様か何か?とぼんやりとしか知らない人が多いと思います。これらの古代の神々が登場し活躍する古典が古事記です。古事記は日本最古の書として知られていますが、歴史書、文芸書、また宗教・民族学の書と様々な側面を持つ興味深い本です。全文漢字で書かれていて、まだ謎が残っていますが、本書は現代文で分かりやすく説明した入門書です。

大きく分けて上巻の神話と、中・下巻の歴史伝説の2つに分かれます。前者が天地創造から神が日本に降り立つまで、後者が初代天皇と言われる神武天皇から後の時代の話です。前者は話自体は難しくないのですが、なじみのない神様が多数登場するので、たびたび混乱しました。P123の系図がよくまとまっているので、それを見ながらよむと理解しやすいと思います。後者は人の世界の物語なので、いくぶん理解しやすくなっています。名前だけは知っていたヤマトタケルの逸話もあり、興味深い内容です。

イザナキ・イザナミの国作りの逸話は、昔ちょっとだけ読んだことがあったので知ったいたのですがやはり驚きます。記憶違いじゃなかったのか……なんであんなに直接的なんだろう。また、通して読んでみると、天皇家が中心の物語だとわかります。神から統治者へと繋がるので、箔をつける、権威づけの意義が強かったのではと思います。解説にも「天皇の、天皇による、天皇のための書」とありますしね。

もう一つの神話集である日本書紀も、古事記と同じ神や人物が登場するようですが、内容がいくぶん違っているそうです。機会がありましたら、そちらのほうも見てみようと思います。





[ 2013/08/04 11:58 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年03月23日(土)

方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 

方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
著者:武田 友宏
出版:角川学芸出版
発行:2007/06

評価〔B〕 千年近く前の無常観
キーワード:平安末期、随筆、古典、

長明の「無常観」は、けっして机の前に座って生まれたものではなく、実際の体験に基づいています。(本文より抜粋)


平安時代末期、源平の争いのころに都の郊外に庵をたて、一人で暮らしていた鴨長明が綴った随筆です。引き継ぐ地位も財力もあった彼は、親族との争いに破れ表舞台から退くことになります。様々な都市型災害を経験した上で、どのような無常観を持つようになったのか。その全文と現代語訳が収録されています。

思ったより短いので驚きました。Amazonのある書評によると400字の原稿用紙で24枚とか。有名な「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」ではじまる本書は、全てこのような難しい哲学的なことが書かれているのだろうなと思っていたのですが、意外にも現実に起きた出来事の描写が多いです。そのため、どうしてこのような無常観を抱くに至ったかが理解しやすかったです。現代でも通じる価値観もあり、約千年の時を越えて語りかけてくる言葉の説得力に感心してしまいます。また、彼の晩年のように、自然に囲まれ一人優雅に暮らすのはどんな感じだろうかと、色々考えをめぐらせるのも興味深いですね。

現代語訳は分かりやすいです。古典の文法が苦手な僕でも関係なく、作品を楽しむことができます。しかし、時折訳者の意見が鼻につくのが残念です。「また長明の自画自賛が始まった。」、こういうのはよくないと思うんだけどなあ。

読後、著者と作品のイメージが親しみやすいものに変わりました。解説で好き嫌いが分かれそうですが、古典初心者には分かりやすくお薦めの本です。



[ 2013/03/23 22:33 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)