2014年08月17日(日)

蔵書の苦しみ 

蔵書の苦しみ (光文社新書)蔵書の苦しみ (光文社新書)
著者:岡崎 武志
出版社:光文社
出版日:2013/07/17

評価〔B-〕 蔵書が万を超える収集家たちの日常。
キーワード:本棚、整理整頓、実用、

本を必要以上に際限なく溜め込む人は、個人差はあるだろうけど、どこか真っ当な人生を投げてしまっているのではないか。生活空間のほとんどを、本が占領している住居というのは、一般的な通念からすると、どう考えてもまともではない。(第四話より抜粋)


長年本を読むと生じてくるのが、本の置き場問題です。特に本を集めているわけでもない僕でも、さっき気になって大まかに数えてみたら、漫画が200、活字本が580、自炊した電子書籍が100ほどありました。これでも場所を取られるのに、千、万と持っている収集家たちはいったいどうしているのか。そんな人たちの一人、古書集めが趣味の著者が、蔵書についてあれこれ語ります。

持っている人は五千くらいかなと漠然と思っていたのですが、本書に登場する人々は数万、十万を超える人もいて驚かされます。部屋の壁が全て本で埋め尽くされていたり、本のために家を建てる話はなかなか興味深いです。しかし、登場する人物は著名人や本の関係者が多く、一般の本好きとはレベルが違い過ぎていて遠い世界の話のようでした。もう少し身近に感じられる話が読みたかったです。

古本屋に売るなど蔵書処分の方法もきちんと書かれています。個人的には、「鮮度を失った本は手放す」「読み返せる本を多く持っているのが真の読書家」が印象に残りました。場所がない人にとっては百でも一万でも苦労しているはずなので、参考になると思います。

本書で語られるのは魔法のような整理整頓術はなく、あくまで現実的な方法です。思い切りが重要みたいです。



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[ 2014/08/17 22:28 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2013年10月24日(木)

いざ志願! おひとりさま自衛隊 (文春文庫) 

いざ志願! おひとりさま自衛隊 (文春文庫)いざ志願! おひとりさま自衛隊 (文春文庫)
著者:岡田 真理
出版:文藝春秋
発行:2013/02/08

評価〔A〕 身近な自衛隊体験記
キーワード:自衛隊、予備自衛官、軍事、体験記、

「言われたことを、言われたとおりに、やる」これが基本。基本というか、これのみ。(本文より抜粋)


自衛隊の本または体験記と聞けば誰しもお堅い本なんだろうなと思うでしょうが、くだけた文章で非常に読みやすい体験記です。なんと動機が使命感でもミリタリーマニアだからでもなく、酔った勢いなのですから。体力に自信があるわけでもなさそうな、ごく普通の20代女性である著者が予備自衛官補の試験を受けるのが良いのです。なんか身近でね。

予備自衛官補は陸上自衛隊の予備自衛官になるための訓練生のことです。普段は社会人として働きながら、必要な時間だけ訓練し、招集がかかったら自衛官として活動するのが予備自衛官。任期制自衛官は聞いたことがあったのですが、予備自衛官はどうだったかなあ……。

自衛隊の広報の方が教えてくれなさそうな、実体験に基づく生の声が面白いです。訓練では銃の引き金をひいたときは口で「バーン」と言うことや、駐屯地では23時にクーラーが切れるので真夏は眠れないことは、内部の人には当然でも新鮮で興味深いです。

もちろん、匍匐や銃の訓練もあり大変なです。昔、元自衛官の人が、行進は何十キロもある荷物を何十キロも歩いて辛い、仲間が持てなくなったら仲間の分も持たなくてはならないので大変だった、と言っていたのを思い出しました。その行進も本職の自衛官ほどではありませんが、予備自衛官補もあるようです。しかし、著者は文章を読んでも写真を見ても、凄く辛そうには見えません。それどころかどこか楽しそうに見えます。大変なんでしょうが、そのあたりは性格のせいでしょうか。

自衛隊で配給されるSDFヌードルなどのちょっとした話から、予備自衛官補の応募動機、隊の階級や敬礼などの真面目な話まで書かれているのも良いと思います。

自衛隊の紹介と言えば、自衛隊岡山地方協力本部の勧誘漫画「ジエイのお仕事」が実に今時らしくて僕の中で有名ですが、あれと同じくらい分かりやすい読み物です。受けてみる気がなくても、予備自衛官補がどのような訓練をしているのかを知ることができます。面白いですよ。




[ 2013/10/24 21:46 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2010年11月30日(火)

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? 

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)
著者:穂村 弘
出版:光文社
発行:2009/02

評価〔B〕 経験も悪くないです。
キーワード:体験エッセイ、現代、人生、

そう、私は経験値が低い。「家を買う」というような大きなことから「髪型」を変えるような小さなことまで、「万引」のような悪いことから「お年玉をあげる」ような良いことまで、現実内体験というものが大きく欠けているのだ。(「現実だな、現実って感じ」より抜粋)


人生何でも経験だ、なんてことを良く言われます。何でも、というのは言い過ぎだと思うのですが、確かに失敗も後になって役に立つこともあるので、なかなか説得力があります。経験という言葉はあまり好きではないけれど。本書では、その人生における様々な経験が極端に少ない「ほむらさん」が、出版社の編集者「サクマさん」と共に未経験のことに挑戦する体験エッセイです。

色々と挑戦するとあったので、好奇心旺盛な人かと思っていたのですが、内向的で空想好きでスローペースなので結構親近感を持ちながら読みました。年を取るにつれ、初めてのことなんて珍しくなりましたが、あの初めてのことに直面した時の戸惑いや恐れ、期待が入り混じった感情を、上手く表現できているような気がします。全然関係ないことを考えこんでしまったりね。

読者メーターには、本ででいていることは献血以外未経験と書きましたが、僕はアカスリはしたことないけれどスーパー銭湯には行ったことがありますし、競馬の馬券は買ったことないけれど競馬場には行ったことがあります。半端な経験です。……なんか経験自体を忘れているような気もしますが、何にしても経験値は低いです。また、読んでいるときムームーなる単語が出てきて戸惑いました。気になったので、読後に検索。なるほど、ハワイのドレスなのか。

【ここからネタばれ】
結婚について。結局何が本当なの?と少々混乱しつつ検索をかけたりWIKIで調べてみると、本書が発行した当時に既に結婚している模様。「あとがきにかえて」にあるように、どうやらサクマさんは存在しないようです。読者が作者を笑っていると思ったら、逆に手玉に取られていたようで、結構面白い仕かけですね。
【ネタばれここまで】

最後に捻りもあって、ただの体験記で終わらないところがにくいです。読者を飽きさせないといいますが、詳しくは書きませんがまさに虚虚実実でした。肩の力を抜いて読むのに適しています。久しぶりにエッセイ読んだな。楽しく読めました。




[ 2010/11/30 18:42 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)