2017年07月30日(日)

男が働かない、いいじゃないか! 



著者:田中 俊之
発売日: 2016/3/18

評価〔B〕 男らしさとは何なのか。
キーワード:男性学、生き方、仕事、

家族に対する責任を果たし、苦難を乗り越えて働き続けるのが「男らしい」男だと言う人もいるでしょう。その考えを否定しません。しかし、それはあくまで個人的な好みの問題であることを理解してください。男だからという理由で、すべて男性が背負う必要はないのです。(第1章より抜粋)


ここ数十年で女性の社会進出が進み、生き方の選択肢は増えました。一方、男性はどうでしょうか。変化がないとは言いませんが、昔ながらの職場で仕事一辺倒の人が多い印象があります。そうした生き方に疑問を投げかけ、より豊かな人生を歩むため若者向けに書かれた男性学の入門書です。もちろん、中高年の方々が読んでもためになります。

よく見たり聞いたりするような意見や問いかけに対し、著者が答える人生相談のような形式ですので、少しずつ読んでも一気に読んでも大丈夫です。一つの質問につき回答が5ページほどで、気軽に読むことができます。研究や統計を使わないのは、入門書だからでしょうか。

題名にもあるように、働かない男性を肯定していますが、働いている男性を否定している訳ではありません。男性だからこうすべきと決めつけないで、違う生き方も模索してみることの価値を訴えています。男性のことなので仕事や職場のことが多いですが、結婚や社会全体についても扱っています。「女性をリードできないとダメですか」あたりは、男女ともに意見が分かれそうですね。

基本的には働き始めた男性向けの本ですが、それ以外の人、上の世代の男性や女性が読んでも参考になるでしょう。男だからと強要されずにすむ社会になるといいなあ。




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[ 2017/07/30 11:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年01月28日(土)

非言語表現の威力 パフォーマンス学実践講義 



著者:佐藤 綾子
発売日: 2014/7/18

評価〔C+〕 名演説は一日にしてならず。
キーワード:パフォーマンス学、プレゼンテーション、言語学、心理、

七人の映像をたった二秒間見ただけで、被験者はこの大学院生たちが正直なのか、頼りないのか、まじめなのか、日頃の大学院生たちの個性を正確に見抜いているのです。(第3章より抜粋)


人と話をする時、喋った内容よりも話者の表情や身振り手振りから多くの情報を得ている、と耳にしたことがあります。言葉だけでは分からない感情や思惑が、態度から強く伝わってくることは珍しくありません。一般的に、表情や仕種は非言語表現と呼ばれています。パフォーマンス学の第一人者である著者が、その非言語表現の重要さを分かりやすく解説します。

読むとすぐ気づきますが、本題はパフォーマンス学のほうで、非言語表現はその一部として取り扱っています。パフォーマンス学はコミュニケーション学や心理学などを含む自己表現のための複合的な学問で、本書ではプレゼンテーションや演説をメインに説明しています。演説の具体的な練習の仕方など、大勢の前で話をする機会のある方には有益なものですが、私のようにそういった機会のない人にとっては実用的とは言えません。とはいえ、自己紹介や交渉のポイントは役に立ちそうなので、知っておいたほうが得だと思います。

残念なのは非言語表現を扱ったところが少ないことと、一つひとつの表現の解説が浅いことです。意見を聞く際、相手を指差すのは良いことか悪いことか、悪いならどうした仕種なら良いのか、どうした仕種や表情が相手の発言を促すことができるのか、など細かいことが知りたかったのですが書かれていませんでした。プレゼンの指導を生業とし、人間嘘発見器とまで呼ばれているならば、もっと具体的なことを教えて欲しかったです・・・・・・というのは欲張りなのかな?



[ 2017/01/28 21:46 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2016年12月29日(木)

ちょっと今から仕事やめてくる 



著者:北川恵海
発売日: 2015/2/25

評価〔B+〕 実に現代的なエピソードじゃないのかな。
キーワード:仕事、職業、人生、

「久しぶりやな! 俺や、ヤマモト!」(本文より抜粋)


あー、初めて働く会社でうまくいかず、行き詰ってしまうことってあるよなー、と思って読んでいたのですが、よく考えたら私もそうでした。時間が経った今となっては客観的に見られるようになったと思いますが、それでも主人公・青山隆の人生がうまくいかない気持ちはよく分かります。

隆は疲れ切って会社から帰る途中、ヤマモトに助けられます。ヤマモトと接するうちに、隆は少しずつ変わり始めて・・・・・・という話ですが、推理小説のようなどんでん返しやコメディのような笑いはありません。中盤の事件の真相やヤマモトの正体も、途中で分かってしまいましたので驚きもありませんでした。しかし、読後感はかなり良かったです。帯に書かれた『人生応援ストーリー』という言葉がしっくりきます。

ライトノベルのような読みやすさと一般書籍で扱うテーマが合わさった、メディアワークス文庫らしい本だと感じました。劇中の隆のような状態の人にとって、本を読むことは時間もないし体力も使うので気が向かないと思いますが、そういう人にこそちょっとでも余裕があるうちに読んでもらいたい本です。これから社会人になる人にもおすすめです。



[ 2016/12/29 21:35 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2016年12月10日(土)

家事労働ハラスメント 



著者:竹信 三恵子
発売日: 2013/10/19

評価〔A〕 日本の生きづらさの原因に迫る。
キーワード:家事労働、育児、介護、無償労働、

男性の雇用は不安定化し女性の稼ぎは重要性を増しているのに、家事を担う働き手を排除する日本の会社は相変わらず多い。そんな中で世帯賃金を稼げなくなった多くの男性と、家事・育児の担い手を嫌う会社の下で十分にカネを稼げない女性との組み合わせによる新しい貧困化が進む。(第1章より抜粋)


家事は誰かがしなければならない重要な仕事ですが、お金を生み出さないので日本の価値観では軽んじられています。1人暮らしをした時に家事をしてみると分かりますが、手間取り時間もかかるもので、家事をしたことのない人からは過小評価されがちです。日本における家事は主に女性が担当していますが、それが社会にどのような影響を与えているのかを説き、問題点を明らかにしています。

家事はそれ自体だけの問題ではなく、仕事や家庭に強く影響し、はては社会全体を動かす力があります。最近では介護するために仕事を辞めなければならない介護離職が問題となってきました。妻の働き方が夫の働き方に影響を与え、それが家族の在り方、生き方まで左右しているのです。

力仕事を除けば仕事における男女差はないと思っていましたが、家事は女性が行うものという慣習のせいで、男性優位な社会が作られていることを痛感しました。育児や介護を一方的に任せられた女性たちの生の声を聞くと、OECDの報告書に「日本は働く女性冷遇」と書かれても文句が言えません。

時代を下るにつれ、家事に協力的な男性が増えてきましたが、個人の努力だけでは限界があります。職場の意識や法の改正により、労働環境の改善が期待されます。

解決案として外国の例が挙げられていますが、中でも専業主婦大国だったオランダの手法は参考になります。西洋は戦後はずっと男女平等だった印象がありましたけどそんなことはなく、地道な努力によって働き方や人生を変えたことを知りました。

夫婦喧嘩の一因になっているであろう家事の分担は、もはや個人の性格や能力のせいだけではありません。女性について書かれた本ですが、男性も是非読んでもらいたい一冊です。料理なんてしたことないなんて方には特にね。




[ 2016/12/10 21:25 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2016年09月20日(火)

「超」集中法 成功するのは2割を制する人 



著者:野口 悠紀雄
発売日: 2015/9/17

評価〔C〕 その2割を見つけるのが難しい。
キーワード:実用、勉強、仕事、

世の中では、「重要なのは2割程度であり、それで全体の8割程度の効果が得られる」場合が多いのです。(本文より抜粋)


学校の勉強でも職場の仕事でも、本当に大切な部分は全体の2割ぐらいで、その部分に力を入れれば全体の8割くらい把握するのと同じことである、というのが著者の主張する法則です。どこかで見聞きした「2:8の法則」と同じですが、これがいかに日常生活に当てはまるのか、そしてどうすれば効率よく物事を進められるのかについて検討しています。

何事も一様ではないことは経験から知っていますが、問題はどこか重要なのか知ること、発見することです。それについては本書でも述べられていますが、その核心部分(コア)の見つけ方が『能力のある人から教えてもらう又は見て盗む』で、あまり参考にならなかったのが残念です。もう少し具体的な方法が欲しかったです。難しいとは思いますが。

また、終盤で残り8割の部分は無視できないとしながら、しかしやはり2割が重要であるとも強調していて、少々混乱しました。このような書き方ですと、結局どちらが大切なのかよく分からなくなってしまいそうです。

一方、書類整理やべき乗分布のくだりは興味深かったです。特に前者の使う頻度の高いものを揃える手法は、物が多い場合は有効かもしれませんね。私も本棚で似たようなことをしています。こうした良い点もありましたが、全体的には良くなかった点が目立ってしまいました。



[ 2016/09/20 20:45 ] 実用 | TB(0) | CM(0)