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2019年05月04日(土)

「過剰反応」社会の悪夢 



著者:榎本 博明
発売日: 2015/5/10

評価〔B〕 受け手も過剰にならずに。
キーワード:社会問題、炎上、クレーマー、

何を期待されていたのかもよくわからないし、何が気に入らないのか、何を怒っているのかと戸惑うばかりである。勝手な思い込みによる期待なのに、裏切られてたといって過剰反応するのである。(第3章より抜粋)


今までは特に何の問題もなかったことが、少数の意見により組織や会社が対応を強いられる出来事があります。少数派としてはまっとうな意見なのかもしれませんが、感情的になってしまいネットで取りあげられることも少なくありません。どうしてこのような出来事が起きてしまうのか、原因は何なのか、について分析します。

まず列挙されている過剰反応の事件の数に驚きました。一度は目にしたことがあるのに忘れていた事件も多く、ネットではすぐ新しいニュースが飛び込んでくるので長く記憶に残らないのが原因なのでしょう。一つひとつ反論しています。概ね納得できる意見でしたが、心理構造を読み解くための心理実験の結果などの客観的な根拠があればなお良かったと思います。

対策が知りたくて読みましたが、劇的に効く対処法はなかったのは予想はしていましたが残念です。和解できた成功例をもっと挙げて欲しかったです。実際に話し合って解決していくのが一番効果的なのかもしれません。社会を構成する一人ひとりが意識と行動を変えていかなければならないと再認識しました。



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[ 2019/05/04 21:46 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年08月30日(木)

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ 



著者:坂村 健
発売日: 2016/3/10

評価〔B+〕 先の先まで見えていて凄い。
キーワード:IoT、ユビキタス、インダストリアル・インターネット、オープンAPI、ガバナンス、

前述の「閉じたIoT」を超えて、「インターネットのように」なることが、「世の中を大きく変える」にあたり重要なポイントなのである。(第2章より抜粋)


時々目にするIoT(Internet of Things)なる単語、意味は物のインターネットですが具体的にはほとんど知らず、オール電化の家くらいのイメージでした。しかし、本書を読むとインターネットと同様に社会を変えてしまう可能性を持つものだと分かります。

最先端の研究者であり、はじめにでも触れられているように設計者・技術者の意図が書かれているので、より深く知ることができます。既に行われているIoT実証実験の先、全ての物に識別番号をつけて繋げるオープンなIoT、さらには著者の提唱するアグリゲート・コンピューティングまで見据えていて、さすがはTRONの開発者だなあと驚きました。それにしても全ての物に128bit、10進法で39桁の数字をふるのか。SFじみてきたなぁ。

また、単なる解説を超えて、技術的問題点に加え社会的問題点、特に後半では日本の問題点も大きくとりあげられていて、何がどこまでできていて、どの点が他の国に後れを取っているのかが詳しく説明されていて良かったです。失敗しないようにしていると、後で大きな失敗となる。オープンな社会の重要性が理解できました。

理解があやしい箇所もありましたけど勉強になりました。シンクライアントなどの専門用語が解説なく書かれているので、ITの知識がまったくない方には読むのは困難かもしれません。AIとは違ったコンピュータの驚異的発展は興味深かったです。



[ 2018/08/30 21:40 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2017年10月04日(水)

個人情報ダダ漏れです! 



著者:岡嶋 裕史
発売日: 2013/9/18

評価〔B〕 自分の情報は自分で守ろう。
キーワード:個人情報、ネット、スマホ、セキュリティ、

ビッグデータなどというものは大量の資金と人手を投入して分析する価値のあるものしか適用されず、したがって自分がその分析対象になることはないと油断していると、いつしかネット世界の有名人になっているかもしれません。(本文より抜粋)


企業の個人情報流出のニュースを時々目にします。忘れた頃に起きるものです。他の組織に渡した情報はしっかり守ってもらうとして、自分が保持している情報は大丈夫でしょうか? 知らないうちに誰かに見られているかもしれません。ネットが発達した現代だからこそ知っておきたい、セキュリティ基礎知識の入門書です。

分かりやすくQ&A形式で書かれています。質問も難しいものではなく、「会社でアニメサイト見たら怒られた。なんでバレたの?」などいかにもありそうな出来事ばかりです。単に結論だけでなく、ネットやコンピュータの仕組みから説明してくれるので、より深く理解できます。

難解な法律の記述はなく、個人情報という硬い言葉から想像していたよりも堅苦しくありません。著者の趣味がちょくちょく語られ、ざっくばらんな感じです。

ネットはそれなりに知っているつもりでしたが、知らないこともいくつかあり、特に野良アクセスポイントの罠(ハニーポット)は勉強になりました。セキュリティが甘い初心者ではなく、情報を読み取る上級者の可能性があるんですね。知りませんでした。

入門書ではありますが、ネットの専門家でなければ、知識を確認するために読んで損になることはないでしょう。



[ 2017/10/04 21:50 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2015年05月10日(日)

ウェブはバカと暇人のもの 




評価〔A-〕 ネット漬けの編集者から見た世界とは
キーワード:ネット、ブログ、SNS、炎上、

何のモチベーションがあってそんなことをするのかと一瞬悩んだものの、結論は「暇だからやっている」としか考えられないのである。(本文より抜粋)


はじめて表紙を見た時は、年配の地位のある方がネットは良くないと説く本なのかなと思ったのですが違いました。ネットに精通したニュースサイトの編集者が、情報発信において頭の良い人以外の、いわゆる普通の人や頭の良くない人たちがネットをどのように使っているのかを豊富な実例をもとに説明しています。

ネットで受けるのはB級ネタは結構説得力があります。実際、暇つぶしはそういう面白そうな題名のリンクをクリックしてますからね。凄いニュースでも難解なもの、例えば学術的な発明などはあまり取り上げられていない感じです。ネットは居酒屋で雑談する場と同じというたとえはかなり的確なのではないでしょうか。うわさ話が好きなのも似ています。企業のサイト担当者は、このことを考慮すればうまくいきそうですね。

目を引いたのはクレーマーとネット炎上です。自分に直接害が及んでないのに他人の変わって抗議をする人々を、著者は暇人だと断じています。犯罪行為ならばともかく、価値観の違いでは?と感じることについても大勢でしつこく批判するのは、好ましいとは思えません。相手が企業の権限のない人で、反論するのが難しい立場の人ならなおさらです。飲食店の店員に、些細なことで説教をする人を連想させます。以前、何か炎上しているブログのコメント欄をチラッと見たことがありますが、本人そっちのけで喧嘩していました。意見交換ではなく、叩くために叩いている人がいると思わざるを得ない。

また、世間で言うネットの可能性がいかに幻想であるかが語られています。ブログを書けば文筆業になれる、サイトを開けば会社の知名度が上がり売り上げものびる・・・・・・そんなことは滅多にないと主張しています。最後の章で、ネットは便利だが画期的ではないと述べているのが印象に残りました。

副題にもあるように、著者はネットを諦観していますが、youtubeで活躍するテレビに依存しないネット発の人気者(ユーチューバー)が現れたり、炎上やクレームは対処法をわきまえた有名人が増えてきたように感じます。出版当時よりも、少しずつネットに希望が持てるようになってきているんじゃないのかな。

この題名だとネット利用者はバカか暇人だと誤解されると思います。もう少し題名を考えれば、変な先入観を与えずに読者を増やすことができたのに。鋭い指摘を含んでいるだけに、その点が惜しいですね。



[ 2015/05/10 11:07 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2011年08月27日(土)

ネトゲ廃人 

ネトゲ廃人ネトゲ廃人
著者:芦崎治
出版:リーダーズノート
発行:2009/05/01

評価〔B-〕 題名の意味を知らない貴方へ
キーワード:ネトゲ廃人、ネット、子供、教育、社会問題

「ところが、ある一線を越えてしまうと、もうゲームじゃなくなってくるんです」(第7章より抜粋)


数年前、ネットゲームで遊んでみようか迷ってた時期がありました。その時に、偶然「今からネットゲームをする人を止めるサイト」のようなところを見つけ、ネトゲ廃人たちの体験談を読み、大変驚いたのが印象に残っています。ネトゲ廃人とは、簡単に言えばネットゲームに凄くはまっている人のことを指します。中毒ではなく廃人です。はまりすぎて現実の生活にしている、そんな彼・彼女たちの体験談をまとめた本です。

ゲームは好きだけどネットゲームには疎い著者が、現役あるいは元ネトゲ廃人たちにインタビューをしたものが書かれています。数多くの人たちから集めているため、様々な意見や経験がつめられています。ネトゲに心を奪われた理由は十人十色で、ゲーム仲間との繋がりだったり恋愛だったりと、単にゲームが面白いからではないことが分かります。ネットでは現実とは違って、他人とすぐ心が通じ合う感覚があり、そのため夢中になりやすいという意見は、分かるような気がします。また、彼・彼女たちは廃人にならないためには「やらないこと」、自分の子供には「やらせない」と言っていて、経験者の言葉の重さを感じ、唸ってしまいました。

ネトゲ廃人が社会問題となっている韓国の例も取り上げて、客観的になっているのは良いのですが、著者が経験者でないためどうしても単調になりがちなのが残念です。我を忘れて遊ぶ姿や、プレイ時の台詞のやり取りや心境の変化などは、ネットにあがっている体験談のほうが興味深いです。上記のサイトのほうが生々しさやあって、言い方は悪いのですが面白かったですね。個々の記事を少し減らし、もう少し掘り下げてくれれば、より怖さが理解できるものとなったのでは。


テレビやネットで知っている方には、あまり目新しさはありません。ですが、まったく知らない方には、ネットゲームを始める前に読み、こういう可能性もあることも知っておいてもらいたいです。





[ 2011/08/27 21:09 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)