2012年06月10日(日)

笑えぬ童子~108の業~1 

笑えぬ童子~108の業~1(ゼノンコミックス)笑えぬ童子~108の業~1(ゼノンコミックス)
著者:真野 真
出版:徳間書店
発行:2011/03/22

評価〔B〕 幸か不幸か運命の二択
キーワード:オカルト、現代、人生、

「私は座敷童子。そなたの不幸を払う者。」(本文より抜粋)


しばらくの間、童子をドウジと勘違いしていました。正しくはわらし、座敷わらしのわらしです。不幸にして殺された赤ん坊、すなわち座敷童子が成仏するために108つの煩悩を集めるというお話で、一話完結のオムニバス形式となっています。

人の煩悩に触れるため、不幸に直面した人間に“不幸の宿替え”を持ち掛けます。彼もしくは彼女は、打って変わって運に恵まれ幸せな人生を得るのですが、それは代わりに誰かが不幸になることで成り立つのを知ります。自分の幸福を選ぶのか、他人の幸福を選ぶのか。各話の主人公が決断する時の緊張感が良いです。

不幸を取り扱っているので、どうしても暗くシリアスになりがちです。こういった閉塞感のある不幸は、読んでいて気持ちが沈み辛くなってきますね。『エンマ』など似たような漫画がありますが、それらよりも深刻な雰囲気を強く感じました。

このタイプにはめずらしく、巻末には本編とは違った選択をしたらという別バージョンが収録されています。それはそれで、ははぁなるほどねと感慨深いです。

108の業(カルマ)とありますが、3巻で完結なので全部の業は見られないでしょう。それでも色々な欲に関するエピソードを見せてくれると思います。




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[ 2012/06/10 18:42 ] 漫画 | TB(1) | CM(0)

2011年01月04日(火)

エンマ8 

エンマ(8) (ライバルコミックス)エンマ(8) (ライバルコミックス)
著者:ののやま さき
出版:講談社
発行:2010/12/29

評価〔A-〕 きっちり完結しました。
キーワード:オムニバス、シリアス

「次がお前の最後の任務となる」
「…最後…?」
「…そうだ。2010年、日本へ――」(本文により抜粋)


7巻巻末の予告どおり最終巻となりました。前回からの引きである某人物との再会、ナユタの行方、紙人形をめぐる閻魔王と楚江王の思惑、そしてエンマの未来と次々に物語に決着がつきます。

様々な地域や時代が骨抜きの場となりましたが、最後にきてついに現代の日本が舞台となりました。いつかならないかなーと思っていただけに、読むことができて嬉しいです。意外なターゲットも面白い。主要キャラそれぞれの決断と結末には、なんか納得です。

また、終盤にて閻魔王様のご尊顔を拝することができます。美しい。この時、エンマにかけた言葉が彼(?)の内面を示していると感じました。

最初のころはすぐ飽きてしまうかもと危惧していたのですが、巻数を重ねてもそのようなことはなく、毎回生と死、人生を感じさせてくれる素晴らしい出来だったと思います。骨抜き対象たちの生き様が印象的な作品でした。シリーズ全体としての評価もA-。良い少年漫画でした。秀作。次回作も期待しています。




[ 2011/01/04 21:34 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年10月16日(土)

スキエンティア 

スキエンティア (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)スキエンティア (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
著者:戸田 誠二
出版:小学館
発行:2010/01/29

評価〔A-〕 地味で上手な人間ドラマ
キーワード:人生、オムニバス、SF風、現代

頼むよ、科学の神さま。(第2話より抜粋)


あることがきっかけで人生が変わっていく人たちのヒューマンドラマ短編集です。裏表紙のあとがきにもあるように、そのきっかけは科学の力で出来た様々なもの。スキエンティア・タワーと呼ばれる高層建築がある街が舞台となり、惚れ薬やクローン等が登場するので、SF漫画のような感じですが、今までの作品同様やっぱり核となるのは人の生き方そのものです。

登場人物たちの設定は、大きな悩みを抱えていたりや生きることに疲れていたりと、なんらかの形で辛い境遇です。しかし、ふとしたことがきっかけとなって、懸命に生きようと思い生きていく、厳しくて辛いが暖かいエピソードとなっています。人生の希望を示してくれるような、そんな感じ。この作者はいつもながら人生を描くのが上手いなあと思います。読むたびに自分の人生について考えてしまいます。

失礼ながら絵が上手いわけではありませんが、話は読む人をひきつけるものがあります。派手さはないんですが、地味に光るものがあるとでも言うのかな。内容も絵と同様派手な人はいないかな。良くあると言えばそれまでですが、地道で現実味のある普通の人だと思います。でも、そこが良いんだよね。

久しぶりに読んだ戸田誠二ですが、以前と変わらず期待通りの出来で良かったです。「生きるススメ」や「説得ゲーム」等の昔の作品を読みかえしてみたくなりました。本棚を漁ってみよう。





[ 2010/10/16 19:12 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年09月05日(日)

エンマ7 

エンマ(7) (ライバルコミックス)エンマ(7) (ライバルコミックス)
著者:ののやま さき
出版:講談社
発行:2010/09/03

評価〔B+〕 感情が芽生えたエンマの行方は
キーワード:オムニバス、シリアス

「オレも…苦しい…のか?」(本文より抜粋)


骨抜き紙人形のエンマ、7冊目です。予告どおり匣部藩のその後から始まります。

6巻でエンマの身に起きた出来事、そしてその影響が強く出てきます。これは予想通りだったのですが、こうなると分かっていても面白いです。反面、良く分からなかったのがナユタ。エンマの監視のようなそうでないような……。彼の今後も気になります。

少し前からエンマの存在自体に話が傾いてきていますが、一方で1巻から続く大量に死人が出ないように骨を抜く一話完結のスタイルも維持している点が目を惹きます。同じ一話完結でも、エンマの変化前と後では印象が変わりますね。登場人物のほうに重点が置かれると、今までメインだった骨抜きは軽視されるのかと思っていたので、上手いつくりです。

最後のエピソードである人物が再登場します。強烈な引き。そして、予告によると次で最終巻となるようです。非常に残念だなあ。もう少し続いても、と思ってしまう。エンマ出生の謎、閻魔王の思惑が明らかになるのでしょうか。期待したいと思います。





[ 2010/09/05 17:17 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2010年07月27日(火)

魔法行商人ロマ1 

魔法行商人ロマ 1 (少年サンデーコミックス)魔法行商人ロマ 1 (少年サンデーコミックス)
著者:倉薗 紀彦
出版:小学館
出版:2009/09/17

評価〔B-〕 欲に溺れないように
キーワード:魔法、オムニバス、現代

お金はいらない…。私達が欲しいのは…その大きな“欲望”…(本文より抜粋)


仮に、何か強い望みがあり、その望みを叶えてくれる道具があったとしたら、どうしますか? そんな人の欲を明るい絵柄で描いているのが本書です。クラブサンデーというサイトで連載しているのを偶然知り、少し読んで気になったのが読むきっかけとなりました。

謎の少女ロマが大きな欲望を持つ人間に魔法具を与え、かわりにその欲望をもらう。一話完結のオムニバス形式で進みます。ロマの目標が毎回変わる、つまり違う欲望を持つ人間が登場するので、なかなか興味深いです。絵柄に反して緊張感や重みのある結末になることが多く、意外で良かったと思います。

ネットで読んだ時は、さっぱりし過ぎかな~と感じていたのですが、1巻を全部読んだ感想は予想より面白かったです。1話・レリスの魔券はなかなか。

ただ、「バイクが欲しい」など目標の欲望が大きいと思えないものもあり、違和感がありました。また、目標が十代の若者ばかりなのも偏っている気がします。表紙折り返しにあるように、著者が若い読者に向けて書いたものだから、そうなっているだけかもしれませんけど。

オムニバスはマンネリが心配ですが、そうならないよう期待したいところです。ダークでバッドエンドが多い漫画ですが、読後感は悪くはなく楽しめます。





[ 2010/07/27 22:20 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)