2018年03月28日(水)

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち 



著者:ジョン・ロンソン、 夏目 大
発売日: 2017/2/15

評価〔A-〕 外国でも起きていたのか。
キーワード:ネットリンチ、ツイッター、SNS、公開羞恥刑

ツイッター上で、大勢で誰かを強く非難している時、その中に非難されている側の立場を考えている人がどのくらいいるか。これだけ非難して相手は大丈夫なのか、もしかして人格破壊につながるのではないか、と考えている人はおそらく多くない。(第三章より抜粋)


英語のネットスラングでSJWという単語があることを最近知りました。これはSocial Justice Warriorの略で、ネット上で差別とたたかう正義の味方のような人々を意味します。本来なら良い意味なのですが、彼らが攻撃的であったり独善的であったりすることが多いので否定的なニュアンスが強いそうです。彼らの行動は時として何をもたらすのか。本書はネットリンチ、日本でいう炎上、について取材をもとに書かれたドキュメンタリーです。

まず、ネットリンチの被害者のその後を取材しています。情報が古くなるのが速いネットなので、一時有名になってもその後を知らないことがほとんどです。叩かれた人の中には自宅から出られなくなってしまった人がいる一方で、あまり変化がなかった人もいて、その違いを知るためにさらに取材をしています。終盤、ある被害者が壊された人生を取り戻すための活動が綴られていて、手段としては少々すっきりしませんが希望の持てる結末となってホッとし、それと同時にこうしたことは今後増えていくかもしれないとも感じて複雑な気分になりました。

ネットリンチのことを本書では公開羞恥刑と訳していますが、これは意味が分かりやすく良い訳だと思います。リンチでは物理的な暴力を連想してしまいますが、羞恥と言われば恥の意識に訴える刑だとすぐ理解できます。公開羞恥刑は最新の出来事ではなく、過去にも同じような刑罰が存在していたのには驚きました。その件で著者が、刑は司法の手にゆだねられるべきで、一般市民が勝手に罰を与えてはならないというような主張をしています。賛成ですし説得力があって良かったです。

アメリカの記者が書いたものなので、当たり前ですがアメリカの事例ばかりです。個人の国のイメージが強い国ですが、こうした問題はやはり国や文化に関係なく起きてしまうもののようです。研究ではないので具体的な対策は掘り下げることなく、被害者の辛い現状の記述が多いですが、ネット利用者としては知っておいて損のないことだと感じました。




スポンサーサイト
[ 2018/03/28 22:20 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2015年09月02日(水)

中の人などいない @NHK広報のツイートはなぜユルい? (新潮文庫) 



著者:浅生 鴨
発売日: 2015/5/28

評価〔B+〕 ツイッターの良い点悪い点が見えてきます。
キーワード:ツイッター、ネット、現代、SNS、

こうして私は、みんなと普通の会話をするようになりました。(P78より抜粋)


ずっと前ですが、NHKの公式ツイッターがNHKらしかぬことを呟いている、という文章をネットのどこかで見ました。ツイッターをしていなかったので、あまり気に留めなかったのですが、先日本屋さんで本書の表紙を見て急に思い出したのです。今もツイッターは未登録ですが、ちょっと興味がでてきたので読んでみました。

広報のツイッター初代担当の著者が、発端からどのようなことを意図して呟いていたのかまで、読みやすい文章で綴っています。宣伝ではなく広報、NHKのイメージを変えたいという願いから始まったのが面白いです。特定の番組ではなく、局そのものの、企業そのものの印象。ツイッター初心者の著者が、試行錯誤で視聴者と会話をしていく過程が書かれていて、どこか微笑ましいです。

不特定多数の人に見られているため、何かに対して賛成の人と反対の人が必ず出てきます。公式では対応が難しい点も正直に話しています。東日本大震災の対応も様々な意見があると思いますが、著者の方針・行動は悪くなかったのではないでしょうか。

メンション欄など分からない用語もありましたが、これは後で調べてみようと思います。知らないアプリのことは、なかなかピンとこないですね。日常的に触れている人には知っていて当然なのでしょうが。

文庫化にあたって収録されたあとがき「外の人になりました」がなかなか良いです。しんみりしてしまいますが、新しい一歩を踏み出せたことは喜ばしいことだと思います。また違う題材で何か本を書いて欲しいですね。



[ 2015/09/02 22:29 ] 随筆 | TB(0) | CM(0)